≪付属資料≫介護保険の「保険料滞納者に係る保険給付の制限等実施要綱」
        の運用に関する申し入れ
日本共産党足立区議団
 日頃より区政の進展へのご尽力に敬意を表します。
さて、介護保険法は、保険料滞納者に対して保険給付の支払方法の変更や一時差し止めを規定しています。この規定の実施に当たり、区は「保険料滞納者に係る保険給付の制限等実施要綱」を定め、来年一月から給付制限を実施するとしています。
 この「実施要綱」は、要介護認定された方に一年以上経過した滞納保険料が一ヶ月でもあると給付制限の対象とされ、この被保険者が介護サービスを受けた時は、その介護サービス利用料を全額自己負担し償還払いの扱いとするものです。
また、同様な滞納保険料が一年半以上経過している場合は、介護サービス利用料を全額自己負担し償還払いとされ、これに加え償還払いの際に保険料滞納分に優先的に充当するとしています。
更に、二号被保険者も含め、要介護認定前の十年間に時効期間(保険料徴収権消滅期間に滞納保険料)がある方は、介護サービス利用料の本人負担を三割とするなどというもので、低所得の高齢者には大変に過酷なものです。
現時点における介護給付制限の対象は、普通徴収の一号被保険者です。つまり全員が無年金者か、または年金月額一万五千円未満の方であり、「保険料を払いたくても払えない」という生活実態にある多くの低所得高齢者が対象となり、この方々にペナルティーを課すということになるものです。月額二千四百円の保険料を払うことも大変な低所得高齢者が、どうして一ヶ月数万から三十五万円もの介護サービス利用料の全額を払えるのでしょうか。結果的に、低所得高齢者から介護サービスの利用を奪う事態となることは明白です。
当区は、普通徴収の高齢者(六五歳以上)二万八千人のうち保険料滞納者は四千九十五人、その内、要介護の認定を受けている高齢者は百六十七人で、実際にサービスを受けている高齢者が百一人もいると言われています。これらの方々が、今後一年間のうちに、給付制限の対象となります。
いうまでもなく介護保険は、高齢者等の介護を社会的に支え合うものです。介護サービスが取り上げられ命を縮めるような事態は絶対にあってはならないことです。
私たちは、本来このような給付制限の措置をとるべきではないと考えます。
そこで左記の点に配慮するよう申し入れます。
一、「実施要綱」の運用に当たっては、当該高齢者の実態を十分に調査し「介護保険給付の支払い方法変更の適用除外」に該当する場合は、確実に適用除外と認定するとともに、その解釈をせばめないなど柔軟に対応すること。
二、「予告通知」の理解や「弁明書」の提出も困難な高齢者に対しては機械的な「介護保険給付の支給方法の変更」は絶対に行わないこと。
三、給付制限の対象に該当する高齢者については、その生活実態を把握し、適切な援助が受けられるよう支援すること。

   二〇〇一年 十二月 二十七日

足立区長 鈴木 恒年 様


日本共産党足立区議団