予算特別委員会 最終日 予算に対する討論 渡辺委員

○渡辺委員 私は、日本共産党足立区議団を代表し、第6号議案と第8号議案に反対、我が党提出の修正案及び第7号、第9号、第10号議案に賛成の立場から討論を行ないます。
 まず、第6号議案です。6日間の審議の中でリストラと失業、倒産と廃業がふえ、所得の減少、生活保護世帯の増など、どの指標をとっても区民生活はますます深刻さを深めていることが明らかになりました。来年度予算案は、この区民の暮らしと営業を支え、守ることが強く求められていました。
 しかし、鈴木区長が編成した予算案は、「子どもと産業の未来を育む予算」と銘打っておりますが、子ども対策では、乳幼児医療費助成制度の所得制限撤廃がなく、保育では認証保育所など、待機児が入所している認可外施設をふやすことで待機児解消を図るという、矛盾した施策で乗り切ろうとし、認可保育所の増設計画はありません。
 学校教育では、30人学級という全国の流れに逆らって学校統合を進め、学校選択の自由化を進め、行政みずから40人学級ぎりぎりのすし詰め学級をつくり出しています。新学習指導要領の実施初年度というのに、教師には必須の指導書が、これまで教師全員に配付されてきたのに、この肝心かなめの予算まで減らしており、加えて青少年の居場所づくり対策もありません。
 産業振興も、業者の実態から目をそらし、わずかな新規事業だけで、いまの苦境を支えることすら放棄しています。雇用対策も国の範囲を一歩も出ず、区独自の施策がありません。また、産業振興センターを中心に据えるべきなのに、プロポーザルの最優秀案では別館扱いにされ、支援機能はあだち産業プランからも後退させており、業者支援の中核に据えようとする姿勢が見えません。
 さらに重大なのは、条例で実施されている住宅改良助成事業です。13年度は公平性を無視して年度途中で申請を拒否し、14年度は予算計上が義務づけられているにもかかわらず、裁量権だと法を無視してゼロにしました。議決をすれば違法性はなくなると、その責任を議会に委ねています。しかし、条例を凍結されることに連動する提案であれば、予算説明書事項別名所に事業名をのせ、ゼロにしたことがだれにでもわかるように議会に示さなければ、仮に議決をしても無効だと考えます。我が党は区民の良質な住宅確保策として、また区内の建設業の仕事確保になり、地域経済への波及効果の高い事業だからこそ、修正案に盛り込みました。区長提案の予算案では「子どもと産業の未来を育む」どころか、不安を一層拡大させる内容です。
 さらに、自治体の使命である区民の暮らし、福祉を守る姿勢が伺えないことです。
 高齢者対策では、福祉手当の4億円削減など、命綱となっている現金・現物給付を廃止する方向を強め、健康な高齢者を励ます老人クラブ運営費助成金の復活もなく、長生きが不幸と思わせる冷たい態度です。
 憲法で保障された最低生活のとりでである生活保護費を投資的経費と比較して敵視し、難病患者福祉手当の削減、障害者保護雇用の唯一の施策であるJステップ事業に対しても、民間企業と対比して障害者の給与を月額3,200円もカットする本当に冷たい予算であります。
 お金の使い方では、財政健全化計画を策定し、区財政の赤字論を宣伝し、区民施策を切り捨てる一方、投資的経費のみの12年度から14年度までの3カ年だけでも、計画を無視して231億円も増額しています。鈴木区長の行財政運営は、区民施策を切り捨て、そこで生み出した財源を大型開発事業につぎ込む手法で、既に区民の審判が出たホテル計画まで復活させようという意思が見え隠れしています。これが構造改革というなら、これまでの減量型行革を一気に乱暴に大規模に進めるものではありませんか。改めて地方自治体の使命に立ち返り、我が党が修正案で示したように、お金の使い方を変えれば、区民の願いに沿う予算にすることは可能です。議員各位のご賛同をお願いします。
 最後に、所得税及び地方税に関する障害者控除拡大についての社会局長通知の徹底に関して一言申し添えます。
 この制度の活用が不十分であることが明らかになりました。この通知の精神をしっかり踏まえて、区民にわかりやすく周知を徹底すること、及び障害者手帳がなくても高齢者の身体の状況が障害者に準ずる場合の申請かあった場合には、速やかに障害者控除対象者認定書を発行するよう要望します。
 第8号議案では、実施2年で給付準備基金が約18億円になりました。これは介護保険での当初予定した介護保険サービス利用が抑制されているあらわれです。何よりも利用料が重く感じている所得の低い方々への対策が求められていることを示しています。都制度の活用は一歩前進ですが、事業者支援や対象者が少ないなど、残された課題が多くあります。区独自の減免制度が可能でありますが、その立場がありません。せめて我が党が示した保険料の減免だけでも実行することが区の責務ではありませんか。その立場に立つことを求めて討論を終わります。

○委員長 ご苦労さまでした。
 以上で、討論が終結いたしました。
 これより5議案、並びに修正案に対する採決を行ないます。
 採決は一議案ごとに行ないます。なお、修正案が提出されました第6号議案、第8号議案につきましては、最初に修正案について採決を行ない、その後、原案について採決を行なうことといたします。
 最初に、第6号議案 平成14年度足立区一般会計予算に対する修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の方の挙手を求めます。
      〔賛成者挙手〕

○委員長 挙手少数であります。よって、本修正案は否決されました。
 次に、第6号議案 平成14年度足立区一般会計予算の原案について採決いたします。
 本案は原案どおり可決すべきものと決することに賛成の方の挙手を求めます。