本会議に上程されなかった意見書
(日本共産党案)

介護保険料・利用料の減免制度の確立と介護基盤整備の促進を求める意見書案

 介護保険料と利用料負担が重すぎるという声が高齢者の中に渦巻いている。特に、昨年10月から保険料が満額徴収になったことにより、その声はいっそう大きくなっている。  
 利用料についても、それが高すぎるために、在宅サービスの利用限度額の半分程度しか利用されないという事態がある。こうしたもとで、自治体は財政が厳しい中でも、独自の負担政策を講じてきている。東京の23区と多摩地域のすべての市町村が、何らかの軽減措置を実施するに至っているのは、高すぎる介護保険料と利用料負担を何とかしてほしいという国民世論を反映したものにほかならない。
しかし、同じ軽減措置でも自治体間で格差があるし、全体として軽減措置自身の対象要件が厳しく、内容も決して十分とは言えない。東京都が国の特別対策を活用し、独自の利用料負担軽減制度をつくったことから、それを生かして軽減策を行う自治体も増えたが、都制度には事業者負担が残り、やはり対象要件が非常に厳しいという問題点がある。
よって足立区議会は、自治体の動向に示された国民世論を踏まえ、国が低所得者の高齢者のための保険料、利用料の軽減制度を設けることを強く求めるものである。
 同時に高い保険料を払っているにもかかわらず、介護基盤整備が立ち遅れ、特別養護老人ホームの入所者はいっこうに解消される見通しがない。にもかかわらず新年度予算が、特別養護老人ホームなどの施設整備費160億円も削減しているのは重大である。特別養護老人ホームをはじめとする介護基盤の整備促進を、改めて求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

足立区議会議長

内閣総理大臣、厚生労働大臣、衆議院議長、参議院議長あて


大企業のリストラを規制し、抜本的雇用対策を求める意見書案

 2001年度の完全失業率の平均値は5・2%と過去最悪を記録し、完全失業者数も過去最多である。この失業者増大の根本要因は「雇用のミスマッチ」にあるのではない。大企業がいっせいに空前の大リストラ計画を打ち出し実行していること、それが下請け企業にも影響を与えていることなどを直視する必要がある。大企業の経営者が目先の儲けのためだったら、労働者の雇用問題についていっさい責任を負わないというモラル破綻の状況が競い合って起きている。
 ところが政府は、「産業再生法」をつくりリストラで人減らしを行った企業は減税をするとか、子会社をつくってリストラをしやすくする「会社分割法」を制定するなど、人減らしを後押しするだけではなく、「不良債権の早期最終処理」でさらに倒産と失業を生み出し雇用の悪化を激しくしている。
 この政府の姿勢が、リストラ競争に拍車をかけ、大企業経営者のモラルハザードを助長し雇用の喪失を促進している。
 いま過剰なのは「雇用」ではない、「労働時間」である。労働時間を短縮し賃下げなしの労働の分かち合い、「サービス残業」の根絶、有給休暇の完全取得の方向こそ、政府が追及しなくてはならない課題です。  
 また、失業者の生活保障施策を充実することも政府の責任である。
 よって区議会は、身勝手な人減らしの横行を許さないために、リストラ・解雇を法的に規制するルールを確立することを求める
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する

     年  月   日             議長名         

内閣総理大臣
厚生労働大臣
経済財政担当大臣
経済産業大臣 
衆議院議長
参議院議長   あて


患者負担増をおしつける健康保険法等改定案に反対する意見書(案)

 現在国会で審議されている健康保険法等改定案は、国民に1兆円をこえる負担増をおしつけるもので、この負担増はあらゆる世代を直撃する。
 70歳以上の高齢者は定額制と上限制が廃止され、1割負担(一定所得以上は2割)に引き上げられる。しかも償還払いが導入され、自己負担限度額を超える場合も患者が病院窓口で全額をいったん立て替えなくてはならなくなる。
 健康保険の窓口負担を2割から3割に引き上げる影響は労働者と70歳未満の年金生活者、その家族8千万人以上におよぶことになる。
 さらに、保険料の負担も大幅に増やされようとしている。
深刻な不況のもとでこれが強行されれば、受診抑制が急増しかえって症状の重症化を招き、医療保険財政を圧迫することになる。「持続可能な社会保障制度」が叫ばれる昨今であるが、これこそ持続を不可能にする選択といわなくてはならない。医療を受けやすくし、早期発見・早期治療こそ国民の命と健康を守り、医療保険財政を立て直していく道である。
 家計消費支出に占める医療費の窓口負担などの「医療費」の割合でみても、公的医療保険制度における自己負担の割合でみても、すでに日本は主要国の中で最も高い水準にあり、これ以上国民負担を増やす理由はない。もともと医療保険は病気という人生の困難なとき、収入も苦しくなるときに、だれでも安心して医者にかかれるようにつくられたものである。
 「持続可能な医療制度」にするためにも、このような患者負担増をやめ、@国が最優先で財政支出をおこない、A高すぎる薬剤費にメスを入れ、B保険料は経済的能力に応じた負担とするなどによって、医療保険財政をたてなおすべきである。
 よって、足立区議会は患者負担増をおしつける健康保険法等改定案に反対するものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

                          足立区議会議長 氏名

内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣、衆議院議長、参議院議長あて


メディア規制の人権擁護法案と個人情報保護法案に反対する意見書案

 人権擁護法案と個人情報保護法案が国会で審議されている。両法案は、人権や個人情報保護を名目にしながら、メディアを規制し、言論、表現の自由に政府が介入する道を開くことに共通した危険性を持っている。
 読売新聞が修正案を発表したが、政府案の基本的な枠組みはそのままに部分的に修正しようというものであり、両法案の言論、表現の自由を脅かす危険性は取り除かれていない。人権擁護法案は、報道を差別や虐待と同列において規制の対象としている。過剰取材やプライバシー侵害の判断を法務省の外局の人権委員会にゆだね、取材停止など勧告できることは、政府が報道・表現の自由に介入し、国民の知る権利を奪うことにつながる。個人情報保護法案も、情報の「適正な方法で取得」、「本人が適切に関与」などの基本原則を報道機関や一般国民にも適用するとしており、報道、取材も規制される。
 今続発する汚職、腐敗事件でも徹底した取材や内部告発が力を発揮したが、疑惑政治家に取材源の提示などを求められれば、疑惑追及は大きな制約を受けることになる。行き過ぎた資材や報道による人権侵害を防ぐことは重要なことだが、それは報道機関による自主的な取り組みを基本とすべきである。
 個人の人権や情報の保護の面でも法案には重大な欠陥がある。人権擁護を言いながら、委員会な法務省の外局では公権力による人権侵害の救済は保証されない。国際人権規約委員会が1998年、日本に法務省から独立した機関の設置を求めた勧告にも反する。国民の「差別的言動」も規制の対象であるが、何を差別とするか判断は委員会任せである。これでは、国民の言論の自由、内心の自由まで行政が踏み込むことになりかねない。
 個人情報保護でも、自分の情報を自分がコントロールする「自己情報コントロール権」の指定がないことは本来の目的から見て不十分である。
 よって足立区議会は、民主主義社会の背骨である言論、表現の自由を脅かす人権擁護法案と個人情報保護法案に反対し、その廃案を求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

足立区議会議長

内閣総理大臣、法務大臣、経済財政担当大臣、衆議院議長、参議院議長あて



公団住宅を公共住宅として存続させるよう求める意見書案

 政府の特殊法人等改革推進本部は、昨年12月18日に「特殊法人等整理合理化計画」を発表した。その内容は、住宅関係で「都市基盤整備公団」、「住宅金融公庫」など特殊法人の廃止が打ち出された。これは、国の住宅政策の全面撤退とも言えるものである。この整理合理化計画では、都市基盤整備公団が管理している賃貸住宅については、「賃貸住宅の新規建設を中止」し、管理については「可能な限り民間委託の範囲を拡大する」とし、「棟単位」で「売却に努める」ことが明記された。その後、関係住民をはじめ国民の不安とともに大規模な反対世論がまきおこった。
 現在、社会の現実として「高齢者だから」「小さな子どもがいるから」など民間住宅への入居を拒否される事例が後をたたない状況である。加えてますます深刻になる不況のもとで、誰もが安心して住み続けられる公共住宅の役割はいっそう大きいものである。従って、公団賃貸住宅の「売却」は国民の福祉、利益を真っ向から否定するものと言わなくてはならない。
 よって足立区議会は、公団賃貸住宅の「売却」方針を撤回し、公共住宅として存続させることを強く求めるものである。
 以上、地域自治体法第99条の規定により、意見書を提出する。
                        足立区議会 議長

内閣総理大臣、国土交通大臣、行政改革・規制課企画大臣、衆院議長、参院議長あて


都立病院の統廃合計画の再検討を求める意見書案

 東京都は、昨年12月に策定した「都立病院改革マスタープラン」にもとづき、都立病院の統廃合計画を推進しようとしており、その手始めとして今年12月27日に世田谷区にある都立母子保健院を閉院することにし、条例改定がこれからなのに、利用者に廃止を通告するというまったく理不尽な態度をとっている。
 「都立病院改革マスタープラン」は、「改革」の名のもとに、都立病院が大きな役割を果たしている地域医療から手を引き、現在16の都立病院を8病院に半減させるものとなっている。
 「マスタープラン」では、小児科の相次ぐ縮小・廃止など小児医療の危機が都内でも深刻になっているにもかかわらず、清瀬、八王子などの小児病院と小児精神専門の梅ヶ丘病院を府中の1ヶ所に統合し、都立乳児院も併設している母子保健院は今年の12月末で廃止するとされている。
 また、これから高齢化対策がますます重要となるときに、都立病院が担うべき医療分野から「高齢者医療」をはずし、日本でもっとも先進的・総合的な高齢者医療をおこなっている老人医療センターを豊島病院と統合し、ただちに民営化する方針を打ち出した。身近な地域の患者が多いという理由で大久保病院、荏原病院は都立病院から切り離し、地域病院として機能を縮小したうえで東京保健医療公社に移管し、さらに民営化を検討するとしている。
 「マスタープラン」は、都立病院の役割は高度専門医療にあるとして、こうした大幅な統廃合を打ち出している。高度専門医療の充実は重要な課題だが、そのことを理由に、都立病院が不足している地域医療から手を引くことは、東京の医療改革につながらないばかりか、都民の願いと逆行するものである。
 これほど大幅な再編・縮小がおこなわれた場合、都立病院として存続するところヘの多大な影響も避けられない。高度専門の「医療センター」化する駒込病院、広尾病院、大塚病院も、地域・一般医療をはじめ現行医療機能の整理・縮小が心配される。「広域基幹病院」とされる墨東病院、府中病院に、いっそう患者が集中することも懸念される。
 いうまでもなく、都立病院のあり方は、住民の命と健康、さらには各自治体における医療計画に深くかかわる問題である。
 よって足立区議会は、東京都に対して、都立病院の統廃合計画は都民と自治体の参加であらためて抜本的に再検討すること、都立母子保健院をはじめとして、住民と自治体の同意なしに統廃合はおこなわないことを、強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
  
年 月 日  
                            足立区議会議長
東京都知事あて


乳幼児医療費助成制度を国として創設することを求める意見書(案)

 子育て支援策の一つとして、今日では全国すべての自治体で何らかの乳幼児医療費の助成措置を講じるようになっている。しかし、その助成措置の内容は、自治体ごとにまちまちであり、対象年齢や活用方法などで大きな格差が残されている。また、厚生労働省の指導によって、償還払いとしている自治体も少なくなく、利用者はその都度、自治体窓口へ出向く手順を踏むことになり、利用しにくい現状がある。
 このため、国の制度として小学校就学前までの乳幼児の医療費の無料化を求める声が強まり、「国の助成制度創設」を求める国民的な要求が急速に広がっている。また、昨年6月22日の参議院本会議において、「少子化対策推進に関する決議」が行われた。そこでは、「乳幼児医療費の国庫助成等、出産・育児にかかる経済的負担の軽減」を「重点的にとりくむべき」としている。
 国の「助成制度」が創設されれば、自治体ごとのの格差を是正し、どの子も等しく大切に育てられる重要な条件となる。
 よって足立区議会は、一刻も早く、自治体間の格差や、利用上の煩雑さを是正し、利用しやすい乳幼児医療費の無料制度、負担軽減措置制度を国として創設するよう強く求める。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
厚生労働大臣
総務大臣
財務大臣
衆院議長
参院議長    あて


保育所待機児解消と保育水準の向上を求める意見書(案)

 幼児期は人間としての土台をつくる大切な時期である。子どもの権利条約にあるように、すべての子どもは最善の環境のなかで保育されなくてはならない。働く女性が増えるもとで、保育所に自分の子どもをあずけたいという国民の要求がつよまるのは当然であり、それに応えるのが、児童福祉法にもとづき子育てを支援する政府の取るべき責務である。
 しかし、全国で多くの待機児がいるにもかかわらず、保育所の増設には背を向けたまま、定員の25%増しという「つめこみ保育」や「規制緩和」と称して、保育所の設置や職員の配置基準を決めた「最低水準」を引き下げて、保育を民間営利企業の手にゆだねるのでは、国民の保育要求に応えることはできない。「最小のコストで最大の受け入れ」という政府の「待機児ゼロ作戦」は、「ちびっこ園」の乳児の死亡事故にみられる悲惨な事件をいっそう広げることになりかねない。
 よって足立区議会は、国と自治体の責任を明確にして、待機児解消と保育水準向上のため政府が次の対策を講じることを求める。

1、 待機児を一気に解消するため、政府の責任で保育所を増設できるよう予算措置をすみやかにおこなうこと。
2、 15万人ともいわれる潜在的待機児を解消するため、政府の責任で保育所の入所希望調査をおこない、「保育所整備計画」を作成すること。「計画」には、年度途中の入所と、待機児の7割を占める0〜2歳児の受け入れ枠の拡大を盛り込むこと。
3、 保育の質を実態にあわせて改善すること。保育時間を、保護者の勤務・通勤時間にあわせたものに改善し、「延長・夜間保育」を保障すること。そのためにも、国際水準からも大きく立ち遅れている保育士の配置基準を大幅に改善し、国の保育所運営費を大幅に引き上げること。
4、 公的保育の遅れを補い、23万人の子どもを保育している無認可保育所へ、国としても公的支援をおこなうこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

議長名
年月日
内閣総理大臣、厚生労働大臣、総務大臣、財務大臣、衆院議長、参院議長あて



慢性肝炎、肝硬変・へパトームの医療費助成存続を求める意見書案

 東京都は、ことし10月以降、慢性肝炎と肝硬変・へパトーム(肝がん)を難病指定からはずし、難病医療費助成を打ち切る方針である。
 その一方で、新たな肝炎対策として入院のみ対象とする助成制度を創設(自己負担は老人医療制度を準用)するとともに、当面3年間にかぎり、住民税非課税世帯にたいしては通院・入院とも現行制度を適用するなどの経過措置を講じるとされている。
 しかし、現在、慢性肝炎、肝硬変・へパトームの難病医療助成を受けている患者3万1千人のうち、都の試算によれば新たな入院助成の対象者は4千人、経過措置の対象者は6千2百人にすぎない。実に2万人以上が切り捨てられることになる。
 しかも慢性肝炎や肝硬変の治療は、インターフェロンの投与をはじめ、非常に重い医療費負担が長期にわたって継続し、ほとんどが通院による治療である。通院医療費助成の廃止は、高額医療費が負担できない患者は治療が継続できない事態をまねき、患者にとってはまさに死活問題である。
 そもそも慢性肝炎は、旧厚生省がWHO勧告をなおざりにして注射針・注射器の使いまわしを多年にわたり放置したことや、手術の際の輸血や血液製剤により、ウイルス感染がこれほどまで広がったものである。また肝硬変・へパトームは、こうしたウイルス肝炎からしか移行しない疾患であることが明らかになっている。このような原因が解明され行政の責任が問われるなかで、国は来年度からようやく早期発見のための検診事業などを開始しようとしている。その時に、都が国に先駆けてとりくんできた慢性肝炎、肝硬変・へパトームの医療費助成を大幅削減するのは、重大な逆行である。
よって足立区議会は、東京都にたいし、慢性肝炎、肝硬変・へパトームにたいする医療費助成を、通院・入院とも現行どおり存続することを求めるものである。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
 平成   年  月  日
                          議  長  名
東京都知事   あて


有事法制3法案に反対する意見書

 政府提案の「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法案」の有事法制3法案が国会で審議されている。
 国会審議の中で3法案の問題点はいっそう明らかになってきた。その一つは国民の安全を守るためではなくアメリカの戦争が起こったときに自衛隊が武力行使をすることができるということである。相手が武力で攻撃していないのに、「おそれ」があるとして日本が武力行使することは、自衛反撃に限ることを規定した国連憲章第51条にも反する行為であることは明らかである。
 また、首相が「基本方針」を決定するだけで、有事法制は発動され、国権の最高機関である国会は、事後にその承認を求められるだけであり、国のしくみが国会を脇において政府が独断専行する方向へ大きく変わるものである。
 法案では国民は戦争に「協力」することが義務とされ、保有している土地、家屋を差し出すこと、自衛隊が使う物資を保管し提出すること、医療・輸送・建築・土木などの従事者が協力することは欠かすことのできない義務とされている。さらに自衛隊による民間人が従わない場合、罰則があたえられる。
 国会答弁で政府は、集会や報道の自由まで制限する意向も示している。文字通り、戦争のため国民の自由と権利を侵害し、強制動員しようとするのが今回の法案である。
 さらに、それぞれの独立性をもっている国と自治体の関係も大きく変えるものである。自治体や公共事業にかかわる民間企業に対し、首相の「指揮権」を認め、従わない場合には強制代執行により、あくまで戦争遂行を優先させるものである。
 これは憲法で謳っている地方自治の本旨に反するものであり、自治体の首長から相次いで懸念が表明されている。
 よって、足立区議会は、憲法が明記する平和原則、基本的人権、地方自治を壊し、首相に絶対権限をあたえ、アメリカの戦争に日本を参戦させる今回の有事法制3法案は即時廃案するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法99条の規定により意見書を提出する。

年 月 日
 
足立区議会議長名

内閣総理大臣、防衛庁長官、外務大臣
衆議院議長、参議院議長 あて 


郵政関連四法案に反対する意見書案

 二〇〇三年四月に予定される郵政公社化に向け、「信書便」法案など郵政関連四法案が国会で審議されている。
 信書便法案は、国営で提供されてきた信書の配達に営利企業の参入を認めるものである。信書便事業を全国一律のサービスを提供する一般事業と、三時間以内のスピード配達などの特定事業に分け、それぞれの事業者を許可する制度の導入を盛り込んでいる。
 はがきなら五十円、封書なら八十円の切手をはってポストに投函すれば、全国どこでも確実に届けられるシステムは、国民生活に溶け込んでいるため、日ごろはあまり意識することはないが、これほど便利な信書の送達システムはない。ここに、あえて利潤追求を第一とする営利企業を参入させて、このシステムを揺るがすことを、国民がのぞんでいるとはとうてい思えない。切手とポストは全国一律の低料金制度があって初めて維持できるサービスである。もうけを優先しない事業は国営だからこそであり、営利企業につずけられることではない。
 実際に、全国サービスへの参入では本命視された大企業が、早々と参入断念を表明した。大都市や大口顧客相手の「いいとこどり」ができないのなら、魅力はないという、営利企業の本音が浮き彫りになっている。
 いったん民間参入を認めたら、政府は大企業の要求に応えて、どんどん参入のハードルを引き下げにかかることは明白である。郵便が金儲けの市場と化せば、過疎地や個人向けの細かなサービスは利益率が低いからと、つぎつぎと切り捨てられていくことになる。それは、公社化を機に定期刊行物や点字印刷物などの郵便料金を減免する第三種、第四種郵便を不採算を理由に廃止する動きすら見せたことからも明白である。
 首相が郵政関連四法案を現在の国会で成立させることに執念を燃やしているのは、「将来、郵政民営化に向けた一里塚だ」と答弁したことから明らかなように、郵政民営化への突破口にしようとしているからにほかならない。郵政民営化は、国民の零細な貯蓄を守ることを目的とする郵便貯金・簡易保険を弱体化させることにしかならない。
 よって足立区議会は、国民生活にかけがえのない郵便事業への営利企業参入と、郵政民営化への政府の動きを拒否する立場から、郵政関連四法案に反対し、その廃案を求めるものである。
 右、地方自治法第九九条の規定により、意見書を提出する。

年月日                          議長名

内閣総理大臣、総務大臣、衆議院議長、参議院議長あて