○区役所跡地利用を考えるシンポジウム
 議事録(大要)

仙頭 本日は区役所跡地利用を考えるシンポジウムにご参加頂きありがとうございます。
 私は区役所跡地利用を考える会の仙頭と申します。はじめに今回、区政策経営部長の坂田道夫さんが公務のため出席できなくなりました。
 その代わりに政策経営部参事の青木光夫さんにおいでいただいております。
 本日の進行ならびにコーディネーターを流通ジャーナリストの大野邦弘さんにお願いしておりますのでよろしくお願いします。
 ではさっそく、大野さんにお願いします。
大野 いま、ご紹介いただきました大野でございます。私は千住で生まれまして、子供のころは千住第3小学校にかよいました。現在は千住関屋町に住んでおります。
 今日は足立区民のひとりとして、区民の財産である区役所跡地利用計画について考えてみたいと思います。
 パネリストのみなさんご苦労様です。先程紹介のありました青木光夫さんは私のお隣です。
 三沢浩先生は足立区中川在住です。みなさんのお手元にパネリストの紹介が配布されています。
 三沢先生はみなさんもご存知の葛飾区のトラさんセンターの基本設計に携わっています。
 また、萩原正道先生は足立区佐野にお住まいで一級建築士です。また、区議会議員の針谷みきおさんは日本共産党区議団の幹事長でございます。
 今日はシンポジウムということで、パネラーのみなさんは分かりやすくお話いただきたい。
 その視点は三点あると思います。第1は区民の財産である区役所跡地をどう有効に活用するのかということです。
 第2は区民の要望をくみ上げて、区民が利用できるようになっているのかということです。
 第3は景気低迷のおりから、この中で町の賑わいにつながるのか。この3つの点を抑えてお話いただきたいと思います。また、会場の皆さんから多くの発言を頂きたいので、ひとり三分くらいでお話を頂きたいと思います。また、携帯電話は電源をおきり頂きますようにお願いします。
 それでは最初に足立区政策経営部参事の青木光夫さんから、現在の進捗状況を含めてお話いただきたい。よろしくお願いします。

青木 ご紹介いただきました、政策経営部参事の政策課長をつとめています青木光夫でございます。始めにお詫びしなければならないのは、本当は私どもの部長の坂田が公務とバッテングしてしまいまして来られなくなりました。変わりに私が精一杯、お話させていただきます。
 さっそく、千住地域の開発整備についてという資料を配布しておりますが、区役所跡地利用についてプロポーザル方針ということで、民間の方から提案をうけて、多数ありましたので4つの案に絞りました。その中から最優秀案、O案といわれておりましたが、これが一応、審査会できまったということで、今年5月頃から、地元のみなさんに説明に入りましたが、その時使った資料です。
 今回のシンポジウムは区民に十分に説明がされていないという話を坂田から伺いましたので、今日の趣旨とはちょっと違うかもしれませんが、関係のないところは割愛して説明します。
 はじめに千住地域の開発整備方針というのがありますが、資料の3ページを見て下さい。千住地域はいま、西口の駅前再開発をすすめています。そして丸井が進出します。その中には平成16年秋、総合文化センターが完成します。すでに旭町には生涯学習センターはできています。このように千住地域では施設整備が進められています。
 次に交通機関ではツクバエキスプレスが平成17年、半蔵門線が平成15年に乗り入れします。こうした交通整備で千住は東京方面への結節点ということで、ポテンシャルが高まってきております。千住の潜在力が上がっています。これを活用して今回の本庁舎の跡利用計画を作っていく必要があります。
 つぎに4ページに開発整備の基本的な考え方として、千住地域の地域特性―江戸四宿といわれていたように千住宿といわれていたとか、高齢者の進行が早く高齢者が多い地区、景気の低迷や商店街の後継者不足、つまり、全体として千住地区は衰退傾向にあり、これをどう打開するのかということが求められています。
 これらの課題をどうするのかということで、都市型ホテル、総合病院、特別養護老人ホーム、カルチャーセンターなどは必要であるが、今建設していくということにはならないという分析をしています。今回、プロポーザル方式というやり方
 つまり、区の税金を使わずに民間企業の力を借りて、跡地の計画を進めていただくという趣旨ですすめているというのが、経緯であります。
 昨年11月頃、地元の方から千住全体を見渡したトータルな計画をつくるべきという陳情がだされました。そのため、地元への説明ができませんでした。
 議会側からいろいろと調整をしてもらい、ようやく、地元説明が開催されたのが5月の17日頃、のべ5回ほど説明をさせて頂きました。その中で、千住全体の計画が出されるまではO案は凍結といわれていましたが、説明の中で、一日も早く計画をだしてほしいということで、O案を説明して了解を頂いたというものです。
 資料の中には、全体計画の概要とか地図があるが、千寿小とか、16中、千六小などの学校跡地など資源があり、跡地についても、千住地域の全体計画の中で考えたいと思っています。
 区民のみなさんのご意見、ご要望についても反映していきたいと思います。今回、区民意見が十分に反映されていないのではという指摘がありましたが、1次から2次に移る段階、つまり、15案から4案に絞る段階で広報に2回掲載してファックス、メールでの意見を聞くようにしましたし、区のホームページの中でも詳細な事業計画を掲載しました。
 計画の概要ですが、産業振興センターの機能も持っていますし、官民パートナーシップということで、民間業者が全部建てる、施設は(パネルを示し)デジタル・ファクトリーといわれているものが、中心で、その上にトレーニングルームとか体育施設とかレストランや、ソーホーという小さなオフィスも入っているし、その中にイベント展示ホールがあり、産業振興センター機能と相乗りして使う、こちらは民間事業者が建てて区が買い取る、これはPFI的なものですが、産業振興センターはそういう形でつくる。区民のみなさんの要望にもまた、区民の財産を有効に使うという考え方にたっているのでぜひ、ご理解していただきたいと思います。よろしくお願いします。

大野 ソーホーとかカタカナがかなり、使っていますが、カタカナで誤魔化すということがあるので、あとで質問のところで聞いてください。知ったかぶりをしていると損してしまう世の中なのでよろしくお願いします。
 つぎに三沢先生お願いします。

三沢 中川に住んでおります三沢といいます。設計事務所を千駄ヶ谷の駅前でやっています。ここに書いてありますようにトラさんセンターの原案をつくったり、深大寺の周辺をきれいにしたり、東京大空襲戦災センターをつくっています。今年の3月に完成しました。また、昔神楽坂に事務所があった関係で、近くの理科大に勤めています。学生の中には足立区の柳原に住んでいる学生もいます。私はそういう意味で千住地区のまちづくりに興味をもっています。
 実は私、今回のプロポーザルに応募しようと思い、実施要綱をもらって、良い案を跡地計画でつくろうと思いました。
 千住に関心があり、90社200名が応募しました。私の友人でデカイ事務所をもっているものと2ヵ月検討しましたが、とても、銀行をバックにもっていないとできない。予算もあわないので、諦めました。
 資料にはO案の事業計画書がのっていますが、お寺の横のC敷地に産業振興センターをつくる、そして元区役所だったA敷地に何をつくるということが問題になりました。
 約30社位の提案があり、12回の審査会が開かれてO案を最優秀案にしました。
 私は本町通りに区役所があるころには、1時間に1100人位の通行があったが、3年前に調べたところ900人に200人も減ってしまったということに問題視しています。
 さて、O案ですが、まず、人通りは一年間に150万人増えるということになっています。一日あたりにすると5000人になる。18時間で換算すると250位増えることになる。本当にそうであるならば、いい案でしょう。
 次にデジタル・ファクトリーですが、簡単に言うとデジタルという言葉は数字で表すのです。時計のアナログに対比してよく使います。デジタルカメラを連想して下さい。
 現在、なぜ、デジタルが注目されるのかといえば、テレビの地上波放送は6年後にはデジタル化され、アナログ放送は見れなくなります。
 デジタル変換をしようというのを考えたのがO案を提案した綜合商事です。
 NHKの子会社みたいなものをもってくれば、儲かるだろうと考えたんですね。ファクトリーとは工場のことです。官民パートナーシップで協働しようというのが区の考え方です。
 まず、施設から見ると10〜11階にソーホーです。ソーホー(SOHO)スモールオフィース、ホームオフィースといい、簡単にいえば貸事務所です。これは区が運営するものですが、月4万円くらいで借りられる安いものです。インターネットができたり、コピーなどみんなで借りればやすくなります。これは産業振興センターの一部です。
 そころが、その上の17階まで綜合商事の運営するソーホーは居住機能つき貸事務所で85室です。67uでバストイレつきの2DKです。
 デジタル工場が子会社を住まわせて下請けに仕事をやらせる。(これはわかりませんが、高級オメカケマンションになりかねない。) 
 産業振興センターの一部にソーホーは安い家賃ですが、綜合商事のソーホーの家賃はそうはいきません高いと思います。
 3〜5階にスポーツセンターが入るーすでにセントラルスポーツが決まっていますが、一日あたり1500人くらい。ところが東口にはすでにスポーツセンターはあるが会員が減ってしまい、今、入会料はただ、綾瀬、亀有にもあって不況の中でそんな計画どおりにいくとは思えません。私は保証しません。
 1階にはイベントホール400人くらいの平床のホール。名刺交換会もできません。綜合商事は公開スタジオをやろうとしています。
 コンビニとレストランがあります。コンビニは周辺に4つもあります。60坪あって24時間営業で他のコンビニがだめになるか。競合することは間違いありません。
 十八番(おはこ)広場とは50坪で88箇所の展示スペースがある。これはデジタル・ファクトリーに売り込むためのものだそうです。
 さらに入口に千寿広場というのがありますが、自転車置場がないので、ここは自転車置場になることは間違いありません。
 デジタルファクトリーの人たちはオタク族です。オタク族とは部屋にこもって1日、パソコンなどで仕事している人たちです。O案が千寿本町商店街にシャワー効果をもたらし、経済波及効果を生み出すのでしょうか。
 オタク族は本町通りに買い物に来てくれる可能性はあまり期待できない。にぎわいはあんまり期待できないと思います。
 すでに、秋葉原にも東京都がデジタルITセンターを作っています。さらに上野公園には東京タワーをつくり、やはり、ITセンターのような施設を検討しているようです。こうなってくると足立区のデジタルファクトリーがうまくいくとは考えられない。O案にはこうした欠点があるということを考えて下さい。報告を終わります。

萩原 私は足立区の佐野に住んでいます萩原と申します。葛飾区の小菅で設計事務所の責任者をしています。生まれと育ちは南千住です。
 子どもの頃は、北千住はよく遊びに行ったゾーンです。足立区の佐野に移り住んで25年になります。
 日頃より、一区民として区役所跡地の利用計画については関心を持っていましたので、パネリストを引き受けました。
 足立区の情報を知るにはインターネットのホームページを見る以外に方法はありません。
 今回のプロポーザルの経緯そのものについても、その辺を見ました。しかし、今年に入りO案に決まったということで、細かい資料を頂きました。
 私は心配性の一区民として、疑問や意見を述べてみたいと思います。プロポーザルの趣旨ですが千住というのは中心市街地活性化事業の重点地域です。千住の回遊性とか、地元商店街の活性化とか、区民生活の向上とか、若者が集まる施設というものを民間事業者に提案を求めたということです。
 さらに区有地の活用では借地で活用して賃料は事業者の提案にまかせた。私としては公有地を借地で利用させることについて疑問を持っています。
 理屈上は土地を民間事業者に提供して、公共公益性のある施設をつくってもらう、地代も入るし区民も喜べばいいじゃないかということになるわけです。
 確かに一時的には区の財政負担はないが、ただで区が使える訳ではありません。民間事業者はつくった施設の建設費を区に利用させる場合には、建設費を回収するために、区民の税金で賃料や使用料を払うことになります。
 そういう仕組みです。だから、一時的な区の負担はないが、長期的には区の負担はあります。
 今日、青木政策課長から資料がだされました、O案は定期借地権をつかいます。これには3種類あります。一度設定すると期間が来ると必ず返してもらうことになります。
 ひとつは一般的借地権というもので、50年後には、建物を壊して返すという方式です。二番目は建物譲渡特約つき定期借地権というものです。30年くらいたったら、地主さんに買い取ってもらうというものです。三つ目は事業用借地権です。
 20年で期限がきたら更地にして返しますというものです。
 O案は50年の定期借地権にすると聞いています。50年間、民間事業者が土地を使いつづけるということになります。
 しかし、50年間、事業者が安全で安定した事業が営まなければなりません。
 他の事業者に譲渡を拘束することは難しいといわれています。
 この事業が本当に、区民にとって役立つものなのか、慎重な吟味が必要なのではありませんか。
 2点目に地代が安いのではないか。O案の提案では、1800万円の年間地代を提案しています。
 それ以上に問題なのは、50年の定期借地権で権利金も保証金も取らないというのはいかがなものなと思います。一般的に50年の定期借地権で解体されて地主にもどる保証はどこにもない。
 解体費用にみあう保証金を担保としてとることは定期借地権として通常に行われています。
 結局、区民の税金投入にならないのか心配です。
 次に50年間の安定した事業がこの計画でどのように裏打ちされているのか。資金計画、事業主体、経営主体など確実であると評価されたとまとめられています。
 O案は4案の中で一番高い事業費で87億円、A案37億円、L案は40億、他の案が40億円程度でありますが、O案は面積の割に大きい。この事業者は投資をして借金を返していかなければなりません。
 収入を上げなくてはなりません。ひとつは賃料です。私は計算をしてみました。まず、ソーホー、スポーツクラブ、レストラン、駐車場などで計算してみた。例えばソーホーは18万円位で貸したとして、年間、2億位にしかならない。その他施設をあわせても、5億程度にしかなりません。
 ところが、事業者は年間29億円の収入で事業を進めるとしています。するとデジタルファクトリーと展示ホールで残りの24億程度を稼がなくてはなりません。するとデジタルファクトリーが大半の収入をあげないとこの事業は継続できません。展示ホールはそれほど稼げません。
 毎月2億円づつ収入をあげる。たったの4000uで事業展開をするといっています。この事業の確実性というのは見えてきません。ITというのは、3年、5年、こういうスパンの産業ではないか。とても心配です。
 最後ににぎわいという点、地域産業の振興は目玉になっています。デジタルファクトリーの利用人数多くありません。一日、50人程度ではにぎわいにはなりません。
 ソーホーは新しい事業を起こそうという人たち18万円程度では出にくい。にぎわいという点でも疑問のある計画であることを指摘しておきたいと思います。

針谷 ただいま紹介いただきました区議会議員の針谷幹夫でございます。私はホテルに代わる跡利用計画の審議会や区議会の特別委員会の委員をしております。
 私はレジメを用意しましたので、それに沿って話を進めたいと思います。
 第1に、区民意見が集約をして計画を作るべきだと主張してきましたが、そのことがされていない計画であると思います。
 実は区長が当選後の本会議で「一度白紙に戻し新たに区民のみなさんの声を聞いて、産業振興センターを中心とした計画をつくり、実現したい」とのべました。ところが、事業手法をプロポーザル方式という民間企業に提案させる方式とったときに、「事業の集客性、地元要望、区民要望」などの内容をプロポーザル募集要項から削ってしまいました。これは問題であります。
 区議会では区民要望を人気投票のように聞く必要はないという発言までありました。
 区民要望を聞くというプロセスが省かれているという点で、私たちは区民アンケートに取り組んでいます。現段階で300通くらいの回答がよせられていますが、計画を知っているという人はまだ、35%でした。知らないという人は55%でした。区は広報やホームページなどで意見を聞いているといいますが、区民全体から見れば知らない人が圧倒的です。
 そこで提案ですが、狛江市では市政の重要な問題について、市民から意見を取り入れる方法として狛江市まちづくり条例がマスコミでも評価されていますが、今、市議会で審議されています。
 ここで市民投票、パブリックコメントということで政策策定の途中で市民の意見を聞くということがやられようとしています。
 これは足立区にはありませんが、こういうものがひとつの選択肢として取り入れるべきではないか、かつてホテルの時には区民投票を求める直接請求がありましたが、区政の重要問題では必要ではないかと考えます。
 実は日本共産党は「住民投票法案」を11月に発表し、国民的な議論を呼びかけています。
 第2に本庁舎跡地の開発・整備の基本構想で定めた基本的な考え方からも逸脱した計画になっていると思います。
 まず、産業振興センターとしての機能がそれにふさわしいものといえないと思います。
 A敷地には会議室が入ることになっていますが、区民が集まる場所がない、資料をつけておきましたが、大変狭いです。280uしかありません。区内の中小企業が集まって十分な会議をするスペースはないと思います。全体として公共施設は970uしかありません。
 産業振興センターには3つの機能が必要だといわれていますが、たとえば、中小企業を支援する機能―高度な機械とかコンピューターも含めて中小企業を直接応援する機能、さらに中小企業同士の交流機能、ネットワーク機能が必要です。O案ではいずれもが不十分だと思います。
 地元のにぎわいですが、コンビニエンス・ストアはデイリーヤマザキが予定されています。インターネットで調べたところ、業界6位の企業ですが、一日24時間営業の店で1500名をこえる店はありません。
 セブンイレブンでも平均950人客単価680円平均の買物をするということですが、デイリーヤマザキの実績からみるとO案は過大な見積もりであるいわざるを得ません。
 L案の方が集客力ははるかにあると思います。
 つぎに官民パートナーシップについてですが、これは足立区が民間企業と運命共同体になるということです。
 実際にはどうかというと、リスクを負うということです。たとえば、テナントが撤退するリスク、デジタル・ファクトリーがポシャってしまうリスク、村井代表はデジタル・ファクトリーはせいぜい10年くらいで転換しなければならない、その後、どんな事業をするのはわかりません。
 また、産業振興センターの一部を民間が所有する場合のリスクです。これは民間企業が破綻した場合には、区の税金投入は避けられません。
 第3は、公共事業のあり方として疑問だということです。最大の問題はPFI的な手法です。
 すでに破綻している第3セクター方式もPFI方式のひとつであるということです。
 綜合商事は親会社である綜合警備保障は東証一部上場の大企業です。
 大企業優遇のしくみが産業振興の名で隠されているのではないかということです。
 定期借地権では権利金、保証金なし、地代は相場の2分の1、坪月1,000円です。2・2・2住宅プランの場合は2000円でしたから半分です。
 つぎの問題点はPFI事業では地元業者が排除されてしまうということです。
 資料を見てください。内閣府の資料ですが、PFI事業で契約された企業は茨城県、千葉、調布市など大企業ばかりです。
 なぜ、そうなるかというと資金をはじめから調達し、建設し、運営までしなければならないからです。地元企業は下請け、まご孫う請けとならざるをえません。
 最後に官民パートナーシップによる区の負担増も懸念されています。イベント展示ホール、スタジオの配分が6対4にするということが発表されました。しかし、区の負担は明らかにされていませんが、近隣の墨田区では第一ホテルとパートナーシップで400席のホールを運営していますが、約7000万円負担しています。
 足立区の場合は1億1千万円くらいになる。
 本来ならば民間企業が自分で負担するところを区に負担を求めてきたのです。
 結局、民間業者はパートナーシップの名でなるべく区に負担を期待するものです。
 そして、地代はやすい、権利金、保証金はない、土地代が顕在化しないで建設し事業展開ができる大企業にとってはおいしい話ではないかと思います。
 区はメリットとしている当面の財政負担がないという問題ですが、たしかに支出が平準化されます。区が文化ホールや学校を改築する場合のような帳簿上の借金はありません。
 しかし、財政上トータルで見ると長期か短期かいう違いではないかと思います。金利も政府系融資より高くなります。いずれにしても、87億円程度の建設費がかかる。
 区民ためになるのか、賑わいや町の活性化につながるのか、産業振興になるのかといえば、疑問だと思います。
 当面はイベント広場と駐車場のざんてい暫定活用をすすめながら、区民意見の集約をすすめるべきであると考えています。

大野 パネリストの皆さんが予定より早くまとめられたので、5分早く終わりました。
 しかし、内容については、区役所跡地が有効に使われるのか。まちのにぎわいにもつながらないのではないか。疑問が出されています。コンビニの例でも、私は流通ジャーナリストですから、デイリーヤマザキさんも1日34万円位しか売っていない。ありえない数字を綜合商事はだしている。この一点だけでも疑問なのですが、O案で区民が施設を利用できるのかどうか。
 私としてはコンビニに行くことはありません。スポーツクラブはどうでしょう。産業振興センターは会議室は使うかもしれませんが、ソーホーは会社をつくる気もないので使いませんね。
 私としては使うところがないんですね。そういう点でいると、区の青木さん一番バッターだったので、この3点について、発言してもらいたいと思います。

青木 3つの点、資料の千住全体のにぎわいをどう取り戻すのか、というと回遊性は考えられていると思います。
 カギはデジタル・ファクトリーとはなんなのか、その可能性はあるのかが中心の論点だろうと思います。
 それによってまちの賑わいにつながるのか、区民の財産である庁舎跡地が有効に使われるのか答えになってくると思います。
 デジタルファクトリーとは地上波のアナログ放送は今後、デジタル化しなくてはならなくなる。
 テレビも今のままでは見られなくなります。
 番組もデジタル系でつくられていく。今までの放送した番組はアナログからデジタルに変換しなくてはならなくなります。
 ソーホーもIT技術を駆使して、ベンチャー職業が増えてくる。これらの人たちがデジタルファクトリーの施設をつかって仕事をします。
 村井さんの話では7年とか10年でリストラをしていくが、もっとテンポをはやめて、機材の
 展開もしていこうとしています。
 80億以上投資するということなので、勝算は十分にリサーチはしていると思います。
 私たちもその全部を聞くことができないでいる。新しい事業なので事業採算性などは企業秘密ということになっています。区は企業運営まで口をはさむということではなく、民間にまかせるべきところは任せたいと思っています。



会場発言

足立演劇連盟の清野と申します。毎年、文化祭の中でフリーステージをしています。去年からはミュージカルをはじめました。私たちが求めているのは稽古のできる場所なんです。
 いろいろな場所が使用料が高いので負担になっています。
 ガレージ型練習スタジオがあるが、使用料はどうなるのか。
 多目的ホールというのは使いにくい、西口に文化センターに演劇ホールができるが、この案で区民がつかえる施設はどこにもないような気がします。スポーツクラブといっても料金は高くなかなか使えません。
 私はこの学校のプールに行きますが、一回500円です。そういう施設はありがたい。
 ソーホーというのは区民の中から必要だと要望があったのでしょうか。
 区民がいろいろなつながりをもっていける施設を作ってもらいたい。いかがでしょうか。

中居町の新田と申します。区の発言で気になったのは、民間に任せるということですが、企業秘密だから、それ以上はいえないとか、区民の財産をつかってやる仕事でそういう姿勢でいいのか、施設の疑問点は、区民の要望なのかどうか、今後の課題のような気がしますが、区の姿勢として疑問をもちました。

日の出町に住んでおります斎藤といいます。
 パートナーシップという言葉が気になり、区と大企業がパートナーでその中に、区民は入っているのか、わからりません。
 また、秋葉原のことが気になります。しかし、ラジオなどを聞いていると、秋葉原のすごさをマスコミでも取り上げているので心配です。
 新しい施設ができる期待感はありますが、きびしい世の中で失敗すると思ってやる人は誰一人いません。しかし、だまされる人は多い、おいしい話があるからといって乗って失敗した例はたくさんあります。
 架空の期待感だけで、区の税金投入がされることは不安です。区民の疑問点は明らかにして進めてほしい。いま、公共事業が問われています。
 区と民間とのパートナーシップについてもそういう観点で税金の使い方を正しく進めてもらいたい。また、秋葉原との対比について、区の優位性を明らかにしてほしい。東京都の秋葉原との違いや採算性についても明らかにしてほしいと思います。

デジタルファクトリーが将来的にも、有望であるというが、企業のためのような気がします。
 どうもどこかずれているような気がします。
 企業がそんなに有望ならば、独自に出てきていいのではないか。
 区民がどれだけ利用できるのか。二番目に足立区ににぎわいを取り戻せるのか。そういうことが一番大事ではないかと思います。
 どこか区長の姿勢が、区民の方向をむいているのか、気になってしょうがありません。
 私は中央本町に住んでおります徳永と申します。

板橋区から来ました。塩崎といいます。
 足立区の玄関にあった区役所が千住から移転してその跡地がどうなるのか、気になります。
 特にホテル計画をストップさせた区民の皆さんがこれをどうしていくのか、全都的な注目をしています。
 数十年先の見通しを持った計画であるか検討していただきたいと思います。

跡地を考える会の秋山と申します。
 今日、出席予定だった坂田部長にシンポジウムをしたいので、パネラーをやってほしいとお願いにいったときに、坂田部長はすごく自信をもって「この案はすばらしいですよ、最先端の案ですし、秋葉原よりも早くできる」と話していました。
 ところが商店街の人たちはL案がいい、シネコンといって映画館が9つくらい入る。それだったら、人が来るからそれがいいと考えていたようです。そこで商店街の人たちからこの案を廃案にしてほしいと陳情がだされたようです。
 しかし、区が千住小学校の跡地にそれ(シネコン)を入れましょう、一年後につくりますからといって、納得してもらい陳情を取り下げてもらったと言うんです。
 私が「そんなにお金があるんですか」と聞いたらそれがPFIといって、区がお金を出さないで、できるんですよと自慢げに話していたんです。
 私もPFIについて、いくつかの雑誌をよんでみたら、破綻している第3セクター方式の公共事業を復活させるために出てきた手法だと書いてあったので、これは問題だと思いました。
 ただ、PFIがすべて悪いということではなく、住民の要望があればいいのかなあと思ったんです。(もし、私が映画館を経営するとしたら、PFI法で権利金も敷金もただにしてもらったらいいなぁと思ったんです。それだったらPFIもいいなあと考えたりしています。)
 今回のO案は区民の要望に沿っているのかといえばそうではありません。都市計画の専門家に聞いてみたら、取り壊すときに環境問題にもなりかねないと申していました。つくるんだったら100年を展望した計画にすべきだと言っていました。
 私はO案に反対なんですが、決まったというので、どうすれば止められるのか聞きたいと思います。

大野 時間がなくなってきましたので、この辺でパネリストにまとめの発言をしてもらいますが、その前に、80数億円で民間が建てるといえ、権利金、敷金ゼロ、家賃1,000円というのは、私は聞いたことがない。区民財産どうするのかというてんで大事なことですね。
 区民利用ができるかと言う点も大事ですね。
 私はこの施設ができたら使うよという人いたら手を上げてくれますか。
 スポーツジム、デジタルファクトリー、ソーホー
 どうですか。(あんまり、手は上がらず)
 区民利用という点では疑問がありますね。
 まちのにぎわいという点もどうかと思います。
 丸井ができますね。商店街は相当打撃があると思います。あのベデストリアンデッキは下に下りてこないのですね。
 その点もパネリストのみなさんに答えてもらいましょう。みなさん5分くらいでお願いします。ただ、青木さんへの質問が多いので、青木さんは8分くらいでお願いします。

青木 いっぱい質問がでました。清野さんのガレージ型練習スタジオの話がありましたが、これはなしになりました。
 デイリーヤマザキなどのテナントはとりあえずの名をあげたので、決まったわけではないということです。
 実は7月の覚書を交わしてから、担当がかわったので、少しわからないものもあります。
 新田さんのご質問で行政の姿勢として民間に任せてしまうということがいいのか、ということですが、区がお金をだして丸々、建てるのであるならばいいのですが、千住の街の開発を考えた場合、官民のパートナーシップの勘所でして、産業振興やにぎわいなどの政策目的を達成するには単に、産業振興センターを建てるのではなく、もう少し起爆剤が必要だろう。それが、民間の事業の考え方をある程度認めていかなければならないだろう。
 企業秘密は先端産業のところで動いていることなのでしかたのないことだろうと考えています。まるまる企業論理に区が身をゆだねているものではなく、審査をし、枠組みをきめて進めてきた経緯があります。
 平成12年から跡利用の基本構想などをさだめて、進めてきました。区民要望については、第一次審査の15案のときから広報やインターネットでお知らせし、意見を聞いてきましたし、第2次の4案でも広報やインターネットでお知らせし、地元でも説明会をしてきました。
 今後の流れとしては、針谷先生からありましたが、区民意見を聞くということが、プロポーザル実施要綱から表現上はたしかに、落ちていますが区民要望を聞かないということではありません。
 つぎに区政透明度増進計画というのをすすめていますが、住民投票法案の話がありましたが、バブリックシンポルメント、パブリックコメンドといった計画段階で区民のみなさんのご意見を聞いていこうとしております。
 PFIについて基本方針を近く発表しますが、PFIは万能ではありません。たとえば今後、学校の改修計画があり、当面、何校も重なっていきます。その場合、資金調達が困難です。そこで民間の資金を活用していこうという趣旨でございます。全部PFIでやっていこうとは考えていません。
 PFIについて、地元業者が参入できないという欠点がありますので、そこをどう工夫するのかということが基本方針に入っておりますので御覧頂きたいと思います。
 秋山さんのご意見ですが、部長がどう説明した画は知りませんが、私の認識では、商店街の人たちはO案を取り下げてほしいという陳情ではなく、千住全体の開発整備方針を明らかにしてほしい、それまでは凍結してほしいというのが、趣旨だったと思います。

 本当は4月に説明に入るはずだったが、調整に手間取ったので、遅れたというものです。

三沢 にぎわいについてはあまり、期待できません。一時間に250人くらい増えたとしても、もとの区役所があったほどにはなりません。
 O案は入ったら出てきません。お宅族を増やしてもにぎわいにはなりません。
 新しく企業を興すことを足立区は千住保健所跡地にインキュベーター施設をつくります。
 インキュベーターというのは卵をかえすという意味です。コンキュベーションは10坪ばかりの小さな事務所でやろうとしています。
 しかし、O案のソーホーとは違います。68uで先程、おめかけマンションなんで言ってしまいましたが、もう少しまじめに発言しなくてはいけなかったのですが。
 みなさんが使うとすれば産業振興センターの2階に30坪あまりの会議室が3つあります。
 これらは、区民が使えると思います。
 もうひとつあるイベント広場は民間と半分づつ使う。デジタルファクトリーの人たちが使うので機材の片付けなど大変です。使い勝手はあまりよくないと思います。したかったイベント広場はあまり、期待できない。
 十八番広場ははじめボストンにあるワゴンセールのイメージを描いたのですが、どうも違いました。デジタルファクトリーの発表の場らしい。あまり、本町通りのにぎわいとは関係がありません。
 最後に上野の新東京タワーの問題です。精養軒の倍の施設ができることになりそうです。そういう施設とも競合する。
 これらは今後も、どんどんできてくると思います。

萩原 付け加えることは、私は心配性なのでPFIの話が心配です。
 遡って考えると区民の利用はむずかしいと思います。14階建てのデカイ施設を50年後に更地にして壊すというのは問題です。解体するというのは困ります。
 一般的には、定期借地権の場合、解体の費用を保証金で担保することになります。これがなしというのは、私には考えられません。しかも、地代は財産価格審議会で土地の鑑定評価をするのでしょうが、時価相場の1%というのは世間的な設定からすれば、安いなと思います。
 パートナーシップということですが、全体の事業のリスクについてパートナーシップを民間企業は求めているのではないかと考えます。
 区の方は一部上場企業だから、大丈夫だということを言っていますが、私は最近、一部上場企業は信用していません。バタバタ倒れますし、投資をこれだけやるから大丈夫ということにはならない。公有地を民間企業に50年間もあずけるとすれば、なおさら、チェックをする必要がある。
 区民利用という点も考えて進めていただきたい。

針谷 私は3点ほど述べたいと思います。
 官民パートナーシップですが、PPPというパブリック・プラベート・パートナーシップというのはPFI法で包括されていると思います。
 権利金、保証金などただの事例はのはあるのかいうことでしたが、実はこのPFI法でできるようになり、足立区でも「区有財産の交換、貸付、無償譲渡に関する条例」を変えました。私どもは反対しましたが、足立区としては条例上可能となっています。
 産業振興についてですが、私にメールが来ました。それによると「ソーホーには疑問がある。インキュベーションにならないからです。20坪の広さでは、家賃で30万円になるからです。」
 85室のソーホーにはついては、インキュベーション機能はないということです。
 3つ目に今後の流れですが、いくつかのハードルがあります。覚書をした段階ですから、これから基本協定を結ぶことになります。これは来年の春以後となる見込みです。
 それから、基本設計、実施設計、確認申請、着工ということになります。
したがって、決まってしまったということではありません。はじめに申し上げましたが、区民意見の集約をすすめていくことが求められているということを申し上げて終わります。

大野 一応、予定した時間になりました。
 10月に入って、失業が増えました。ボーナスも減る企業が増えています。高齢者の医療費も増えて大変です。介護保険も大変です。そんな中で庁舎跡地利用は区民の財産がどうなってしまうのか、区民が利用できるのか、86億民間資金を投入して、まちがにぎわうのかという3点について、考える会では今後、区がどうするのか、議会がどうするのか見守って行きたいと考えます。
 今日の感想文はファックスで送って下さい。よろしくお願いします。
 かぜも流行っていますので気をつけてお帰り下さい。今日はありがとうございました。