Ⅱ、日本共産党提案の意見書案と提案理由説明
①議員提出第11号議案 北朝鮮の核兵器開発問題の解決を求める意見書
ぬかが和子議員

 ただいま議題となりました議員提出第11号議案、北朝鮮の核兵器開発問題の解決を求める意見書案について、提出者の日本共産党足立区議団に所属する区議会議員を代表して、提案理由の説明を行います。
  北朝鮮政府は、「物理的な抑止力、いかなる先端武器による攻撃も圧倒的に撃退することのできる強力な軍事的抑止力を保有してのみ、戦争を防ぎ国と民族の安全を守ることができる」との論理で核開発を合理化しています。アジアの平和と安定と、核開発は相容れるものではありません。いかなる理由があっても、核戦争を許さない立場が重要です。また、北朝鮮が、これまで犯してきた数々の国際的な無法行為について、その清算を行っていないことは、アジアの国々をはじめとする国際社会とまともな関係を築く上での最大の障害となっています。
  同時に相手が無法な国であるからこそ、国際社会は北朝鮮の無法の口実を与えない、理にかなった外交努力が求められます。非難しているだけでは問題解決にはいたりません。政府は「北朝鮮が平和・友好の関係にふみだすための努力こそすべきだ」と道理をもって説いていく必要があります。『核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守する』とした日朝平壌宣言にも反する問題であり、日朝国交正常化交渉の中で解決をはかるべきです。
  よって、足立区議会が、北朝鮮の核兵器開発を許さず、問題の解決を求める立場から意見書を提出されるよう、強く求めるものです。
  以下、意見書案文を読み上げて提案いたします。

北朝鮮の核兵器開発問題の解決を求める意見書(案)

 北朝鮮の核兵器開発問題が、重大な国際問題になっている。北朝鮮の核兵器開発の現状が具体的にどういう段階か確認は出来ないが、今年1月のNPT(核不拡散条約)脱退宣言など一連の行動から判断すれば、北朝鮮が核兵器開発路線を歩んでいることに疑いはない。いったん、この条約に加盟し、核兵器を保有しないことを意思表明した国家が、核保有の道に踏み込むことは、到底容認できるものではない。
 北朝鮮をめぐる一連の核開発問題を解決する手段としては、あくまでも平和的・外交的手段での解決を目指し、軍事力の行使に訴えないことが重要である。
 また、北朝鮮に核兵器開発の放棄を求めるうえで留意すべきことは、同国が核の先制攻撃に対処する自衛的手段として「物理的抑止力」と、軍事力の強化を他のすべてに優先させる「軍事的抑止力」(先軍思想)の正当性を訴えていることである。しかし、北朝鮮にとって安全保障上の最大の問題は、その主たる原因は北朝鮮に起因した諸外国との正常な外交関係が構築できず、国際社会で孤立していることにある。
 「物理的抑止力」論を放棄し、アメリカ合衆国の北朝鮮への先制攻撃戦略に口実を与えかねない、いわゆる瀬戸際外交を転換して、国際社会へ復帰することこそが、自らの平和と安全を担保できることを、外交交渉などを通じて働きかけるべきである。
 我が国政府は、昨年9月「日朝平壌宣言」に署名し、日朝関係に一定の前進をもたらした。しかしながら、北朝鮮核開発問題に関しては、国際社会から求められている役割を果たせていない現状である。
 よって、足立区議会は国会及び政府に対し、道理にたった外交姿勢で臨み、かつ平和的手段で、北朝鮮の核兵器開発問題の解決を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

  平成 年 月 日
              議 長 名
 衆議院議長
 衆議院議長
 内閣総理大臣    あ て
 内閣官房長官
 外務大臣
 防衛庁長官
 以上であります。
 議員各位におかれましては、本意見書案にご賛同いただき、ご決定いただきますようお願いを申し上げ、提案理由の説明といたします。

②議員提出第12号議案 「金融再生プログラム」に関する意見書
針谷みきお議員

 ただいま議題となりました「金融再生プログラム」に関する意見書案について、日本共産党足立区議団を代表して、提案理由をご説明申し上げます。
 政府は大手銀行の「りそな」に約2兆円の公的資金の注入を正式に決定しました。「りそな」危機は、「不良債権処理の加速」という「金融再生プログラム」(竹中プラン)が引き起こした人為的な危機であり、「金融再生プログラム」に盛り込まれている銀行の自己資本の算定方法、資産の査定方法を、アメリカ流のやり方に変更するということを「りそな」に押しつけたことから、「りそな」は急激な自己資金不足に陥ったのであります。
 「金融再生プログラム」(竹中プラン)にもとづき、大手銀行が来年度までに不良債権残高を半減(約五兆円減らす)しようとすれば、残っている中小企業が約倍の10兆円規模で清算に追い込まれることになります。
 大手銀行は2002年12兆円もの不良債権をオフバランス化(直接償却)しましたが、取引先の業績を悪化させて新たて不良債権を生み、残高は直接償却した半分の6兆円しか減りませんでした。
 「不良債権処理の加速」という「金融再生プログラム」をこのまま続ければ、日本経済の主役である中小企業の倒産は激増し、さらに金融危機を加速させる悪循環を繰り返すだけであります。よって、日本共産党足立区議団は「金融再生プログラム」の即時撤回を足立区議会が求めるよう提案する次第であります。
 以下、案文を朗読いたします。

「金融再生プログラム」に関する意見書

 「金融再生プログラム」(竹中プラン)政策は、中小金融機関のみならず、「りそな危機」にみられるように大手金融機関をも危機に追いこみ、金融の仲介機能を著しく損なうものである。
 「りそな」に公的資金が注入されて「特別支援金融機関」になれば、これまでだと不良債権処理の対象でなかった中小企業がその対象となり、大規模な中小企業潰しが横行することになる。
 また、他の大手銀行グループが、国有化を恐れ、自己資本引き上げ競争をさらに激化させることも危惧される。これにより、貸剥がし、貸出し金利引き上げ競争が熾烈になることは容易に見通せる。
 政府は「金融システム危機の未然防止」といっているが、本当の金融危機とは、信用が収縮し、銀行が金融仲介機能を喪失することである。まさに、この金融の機能を劣化させてきたのが「金融再生プログラム」である。日本銀行は昨年、15兆円の資金を銀行に流し込む「超金融緩和政策」をとったが、銀行から企業への貸出しは逆に23兆円減少しているといわれている。
 金融が極度の萎縮に陥り、マヒ状態になっている。金融のマヒ状態は、実体経済をさらに落ち込ませる契機となり、それがさらに金融の危機を加速させるという悪循環である。
 このまま「不良債権処理の加速」という「金融再生プログラム」を続ければ、「日本経済の主役」である中小企業の倒産は激増し、失業は広がり、実体経済が冷え込み、不良債権は拡大再生産されて、金融の危機をさらにひどくし、金融破壊につながりかねない。
 よって、足立区議会は政府に対し、「金融再生プログラム」の撤回を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

  平成 年 月 日
              議 長 名
 内閣総理大臣
 金融担当・経済財政政策担当大臣  あ て
 財務大臣
 以上であります。
 議員各位におかれましては、本意見書案にご賛同いただき、速やかにご決定いただきますようお願いし、提案理由の説明といたします。

③議員提出第13号議案 消費税増税に反対する意見書と提案理由説明
鈴木秀三郎議員

 ただいま議題となりました議員提出第13号議案、消費税増税に反対する意見書は、日本共産党足立区議団の全員が提案者となって提出したものであります。
 政府税制調査会の中期答申は、高齢化の進展に伴い、国民の負担増は避けられないと増税先にありきの立場で、課税ベースを広げるとしています。
 中期答申がいう課税ベースの拡大は、歴代政府が行った大企業・大金持ち優遇税制による税収減と、長期の経済不況で減った税収分を、所得の少ない人から広く税を徴収し、埋め合わせをするというものであります。
 その一つが、「広く公平に」を口実にした消費税の税率アップです。税率を1%上げれば、2.4兆円もの増税となります。「高齢社会を支えるため」と、消費税が社会保障の財源として使われるかのように言っていますが、消費税の税収が増えたからと言って、社会保障に使われる保証はどこにもありません。
 6年前に税率を5%に上げたときも、福祉目的税の議論がありました。その後の経過は、医療費の負担増や年金給付の切り下げなど、社会保障制度改悪の連続というのが現実ではないでしょうか。
 また、政府税調は、「国民の理解を得て」とも言いますが、いま2ケタ税率を理解できる国民・区民はどのくらいいるのでしょうか。与党の支持者の中でも、極めて少ないのではないでしょうか。
 本来、税のあり方は、十分な負担能力を持っている大企業や高額所得者には応分な負担を求め、低所得者には税を少なく、または免除など、累進課税制を基本とするべきであります。
 消費税は所得が少ない人ほど負担が重く、逆進性の強い税金であります。この増税で社会保障を賄おうとするのは、見当違いもはなはだしいものであります。
 大規模公共事業などを見直し、無駄をなくし、世界第2位の軍事費を大幅に削減するなど、税の使い方を抜本的に改めるべきであります。このように税の使い方を変えれば、高齢社会を支える財源は十分あり、消費税率を引き上げる必要は全くありません。
 以下、意見書の案文を読み上げます。

消費税増税に反対する意見書

 政府税制調査会は、6月17日に提出した税制の中期的なあり方を示す「中期答申」で、消費税の税率引き上げを10%以上にする必要があると強調した。
 消費税率引き上げの理由にしているのは、「財政の持続可能性の確保」や「社会保障支出の増大を支えるため」というものである。
 しかし、財政を悪化させている一番の原因は、リストラ、企業倒産、高い失業率など、税収不足を招いている小泉内閣の経済失政にある。
 また、医療費負担の増大、年金給付の削減、雇用保険の改悪など社会保障を縮小、抑制している中で「福祉」を消費税率引き上げの理由にするのは、あまりにも国民を愚弄するものである。そもそも消費税は、低所得者ほど負担が重いという点で、最悪の不公平税制である。
 このような大増税では、家計消費が落ち込み、深刻な経済不況をますますひどくするばかりである。
 よって、足立区議会は国会及び政府に対し、消費税率を上げないよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

  平成 年 月 日
              議 長 名
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣  あ て
 財務大臣
 経済財政政策担当大臣
 以上であります。
 議員各位のご賛同をいただけますよう、心からお願いを申し上げまして、提案理由の説明を終わります。