日本共産党提案の意見書
年金制度の改革に関する意見書案−ぬかが和子議員

◎ぬかが和子議員  ただいま議題となりました議員提出第15号議案、年金制度の改革に関する意見書案について、提出者の日本共産党足立区議団所属議員を代表して、提案理由の説明を行います。
 政府は年金、医療、介護など、社会保障のあらゆる分野での負担増と庶民増税で合わせて4兆円もの国民への負担増を行い、年金については、既に今年、「物価スライド凍結解除」による4,000億円の給付削減を行い、来年も8,000億円の給付削減が計画されています。そして、来年の国会にでも、年金制度の抜本的な改悪を行おうとしています。年金額を自動的に減らしていく仕組みや、保険料の段階的な引き上げなどです。少子化や経済環境の変化に伴って、年金額を自動的に減らす仕組みに変えるこの方式に移行すると、厚生労働省の試算で、年金水準は現役労働者の手取り賃金の約60%から、将来的には52%にまで下がり、受け取る年金額はいまより12%程度も減ることになります。痛みを我慢しても、新しい痛みが押しつけられる際限のない負担増です。
 いま、やまべきなのは、負担増と給付減を柱にした年金改悪ではなく、政府自身が法律の付則で2004年までに引き上げると、国民に約束した基礎年金の国庫負担の引き上げ、リストラの横暴を抑え、雇用と所得を守る政策への転換で、年金の安定した支え手を増やす175兆円にのぼる巨額の年金積立金を計画的に活用することで、すべての国民が安心して老後を送れる土台を築くことです。年金についての世論調査では、「国の歳出を見直し、ほかの支出を削って年金に振り向ける」と願っている人が多数です。そのためにも、公共事業など、無駄な歳出を削減して財源を生み出すことこそ必要です。いまや社会保障制度は、国民の暮らしを支えるという本来の機能を大きく失い、生活不安をかき立てています。不況の時だからこそ、社会保障に予算を重点的に振りむけ、国民の暮らしを最優先させるべきです。
 以下案文を朗読いたします。

年金制度の「改悪」に関する意見書

 厚生労働省は、2004年度の年金制度見直しに向けて、社会保障審議会年金部会で審議を急いでいる。
 同省が有力案としているのが「保険料固定方式」である。保険料を段階的に引き上げて、厚生年金を2022年度までに20%(労使折半)にする(現在13.58%)、国民年金保険料を2012年に月額18,100円(現在13,300円)にしようとしている。
 一方、年金額は、固定した保険料に応じて低く設定している。しかも「少子化」と世代間の「公平性」を理由に、新たな年金受給者ばかりか、年金受給者の年金額の削減も計画されようとしている。
 さらに、パートタイマーへの厚生年金適用、専業主婦への適用問題も看過できない重大な内容を含んでいる。
 既に保険料の総報酬制となり、ボーナスからも高い保険料が引かれ、サラリーマン世帯に深刻な影響を与えた。加えて物価スライドを適用してこの4月から年金受給者も0.9%引き下げられ、年金生活者の暮らしに大きな影響を与えた。
 これ以上の「負担増と給付減」は、国民の老後を苦しめるだけではなく、年金そのものへの信頼を失わせる。大型公共事業など不要不急の支出を見直して、基礎年金への国庫負担の割合を現行の3分の1から2分の1に引き上げることなど、国としての責任をきちっと守ることが政府には求められている。また、国民から集めた年金積立金の市場運用では、株式投資による累積利差損が6兆円にものぼっている。リスクの大きい株式投資はやめ、世界に例のない巨額の積立金を計画的に取り崩し、保険料軽減などに充てることも必要である。
 よって、足立区議会は、政府が「負担増と給付減」を柱にした年金改革を進めるのではなく、年金への国民の信頼を回復し、だれもが安心して老後を過ごせる改革とすることを強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 平成 年 月 日
              議 長 名
 内閣総理大臣
 財務大臣     あ  て
 厚生労働大臣

 議員各位におかれましては、この趣旨にご賛同いただき、ご決定下さいますようお願いいたしまして提案理由の説明を終わります。