「足立区地域学習センターの使用料減額に関する経過措置の延長を求める陳情」の不採択に反対する討論
松尾かつや議員 |
○松尾かつや議員 私は日本共産党足立区議団を代表し、ただいま議題となりました受理番号8から11「足立区地域学習センターの使用料減額に関する経過措置の延長を求める陳情」の不採択に反対し、採択を求める立場から討論を行います。 この陳情は区民の教養文化の高揚を図るとともに、自主的活動を支援し、もって区民の生涯学習の振興に寄与することを目的に設置されている足立区生涯学習センターの登録団体使用料2分の1の軽減経過措置が今年の9月30日までの間であることに対し、4団体合わせて1,060名もの方が延長を求めているものであります。 区は社会教育の振興は、国民の普遍的権利であるとして、当時、社会教育館条例を制定し、青少年の健全育成と社会教育の振興を目的に、社会教育団体の育成をするために、登録団体の施設使用料減免制度を設けてきました。その結果登録団体は930団体に増え、年間68万人がさまざまな活動を展開していました。 ところが区は、生涯学習関連団体育成の目的を達成したので、今後、量的拡大から質的拡大へと、行政の支援策を転換すると言って、社会教育団体の施設使用料を有料化しました。わが党は減免制度の廃止は、社会教育団体の活動停止、解散に追い込み、会の存続にもかかわる重大事態になると指摘し、減免制度の存続を要求してきました。現在、施設使用料を2分の1にする経過措置を取っていますが、わが党の指摘どおり、平成15年度で699団体と、200団体以上も減少しています。これでは団体育成の目的を達したどころか、後退させてきただけではありませんか。 先に行われた文教委員会で、自民党・公明党は、この減額措置の目的を達したことと、受益者負担、公平性などを理由に不採択としましたが、これらはいずれも理由とはなり得ません 受益者負担、公平性については、陳情団体が「会員は公共の施設を活用し、生涯学習としてサークルを続け、生きる糧とし、また生きがいとして地道に学び続けています。現在の活動は、区民の文化や教養、健康の発展に寄与し、望ましい形態です」と述べているように、生涯学習活動とは、個人の私益の経済活動ではありません。足立区に根づいたこうした活動団体を本当に支援しようとする立場に立つのであれば、受益者負担と称して、活動を継続する上で不可欠な施策を切り捨て、活動を妨げようとすることはあってはならないはずです。 また、区は委員会答弁で、「施設の利用者の立場というのではなく、施設を管理する側のコスト意識というものも考慮しながら決めていかなければならない」と述べ、減免を行う団体と行わない団体があることを問題としていますが、そもそも区民の生涯教育推進をコストで計ろうとすること自体が問題です。 公平性の問題の本質は、コスト意識ではなく、区民の多様な生涯学習の機会を区が選別して、圧倒的多数の団体に負担をかぶせようとする姿勢が最大の問題として問われているのではないでしょうか。 こうした団体にとって、命綱とも言える料金負担をかぶせることがどんな結果を生み出してきたかは、団体の減少という歴史が証明しています。 陳情団体は「これ以上使用料が値上げされては個人負担が増し、サークル活動を続けられなくなり、会の存続にも影響し、生涯学習継続は不可能」と述べていますが、この経過措置がなくなれば、さらに解散に追い込まれる団体が生まれることは火を見るより明らかです。僅か年間2,000万円で継続できる経過措置の延長を求める区民の願いに対し、議会は不採択で応えるのではなく、生涯学習団体育成という本来の目的に立ち戻り、減額に関する経過措置を継続する立場に立つべきであることを強く求め、討論といたします。 |
※ 区議会では議案や請願・陳情に対して反対討論は認められていますが、単独の賛成討論はしないという申し合わせがあり、反対討論があるときのみ賛成討論ができることになっています。 |
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