T、可決した意見書
(1)真の地方分権を確立するための三位一体の改革に関する意見書

平成16年度における国の予算編成では、三位一体の改革の名の下に、本来あるべき国・地方を通ずる構造改革とは異なり、地方交付税など一般財源の大幅な削減が行われた。これは国の財政健全化方策に特化されたものであり、地方自治体の行財政運営の実情を踏まえたものとなっていない。
 三位一体の改革は、税源移譲と国庫補助負担金の廃止・縮減を一体的に行うべきものであり、また地方交付税は、地方自治体が行うべき事務事業及び住民サービスに影響が生じることがないよう、その所要総額が確保されることが地方行財政運営において極めて重要である。
 特に、税源移譲については暫定的な措置が講じられたものの、税源移譲が本来目指すべき規模に比べて極めて不十分であるため、地方自治体の行財政運営に大きな打撃を与えている。このことは、市民生活や地域経済に多大な影響をもたらす事態を招来している。
 政府は、6月4日に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」を閣議決定したところであるが、当改革を「真の地方分権確立のための改革」とするためには、地方の実情等を十分勘案した上で、住民が安全で安心して暮らせるよう配慮することが重要である。
 よって、足立区議会は国会及び政府に対し、真の地方分権に向け地方財政を充実するため、下記の事項の早期実現を強く求めるものである。

1、税源移譲については、国と地方の役割分担に応じた税源移譲を早急に実現し、当面1対1となる規模で実施すること。
2、国庫補助負担金の廃止及び縮減は、国民へのサービス水準を維持して国の責任を後退させないように、また単なる地方への財政負担の転嫁とせず、税源移譲等と一体的に実施すること。
3、地方の判断で弾力的に投資が可能となるよう、地方債の自発的な発行を早期に実施出来るようにすること。
 
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成16年6月23日

                 議  長  名

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣 あて


(2)容器包装リサイクル法の見直しを求める意見書

 廃棄物処理が深刻な社会問題となっている中で、一般廃棄物の容積の約6割を占める容器包装廃棄物を減量し、リサイクルを促進するため、平成9年4月に、容器包装リサイクル法が施行された。
 容器包装リサイクル法は、事業者に再商品化の義務を課し、収集、運搬、分別、保管等は地方自治体の負担で行うことを義務付けている。このことは、容器包装のリサイクル率が上がるほど経費の負担が重くなり、地方自治体の財政を圧迫している。一方で、事業者の費用負担が比較的少ないため、容器包装の発生抑制効果に乏しく、使い捨て型ワンウェイ容器の大量生産、大量廃棄の構造は、現在も是正されていない。
 このため、平成12年6月に施行された循環型社会形成推進基本法に規定されている「拡大生産者責任」を容器包装リサイクル法にも適用し、事業者の責任を明確にした上で、収集、運搬、分別、保管等に関する費用を事業者負担とすることが必要である。
 また、容器包装のリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)を推進するための法令等の整備が喫緊の課題である。
 よって、足立区議会は国会及び政府に対し、拡大生産者責任を明確化し、容器包装のリデュース、リユース、リサイクルを推進するため、下記事項を含む容器包装リサイクル法の見直しを強く求めるものである。

1、拡大生産者責任に基づき、容器包装の収集、運搬、分別、保管等にかかる費用を事業者負担とすること。
2、容器包装がリデュース、リユース、リサイクルの優先順位で推進されるような措置を講じること。
                             
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

    平成16年6月23日

                 議  長  名

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣   あ  て
経済産業大臣
環境大臣


(3)犯罪被害者救済制度の拡充に関する意見書

 我が国の犯罪件数は年々増加し、その内容も凶悪化、低年齢化しており、治安は急速に悪化の一途をたどっている。こうした状況の中で、犯罪被害者とその家族は、堪え難い痛手を受けながら、社会から偏見と好奇にさらされ、正当な援助を受けることもなく、精神的、経済的苦痛を強いられている。
 司法の場においても、平成12年に「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」が制定され、公判手続の傍聴、公判記録の閲覧及び謄写等ができるようになったが、犯罪被害者は刑事手続からは除かれ、被告人への質問や反論などの関与手続が認められていない。
 また、犯罪被害者が加害者に対し損害賠償請求を行うためには、刑事裁判とは別に民事裁判を提起しなければならないのが現状で、このことは、犯罪被害者やその家族に対して犯罪の直接的な被害に加え、さらに多大な負担を強いている。
 以上のように、犯罪被害者とその家族の権利は尊重されない一方で、被疑者や被告人の人権だけが保障されていると言っても過言ではない我が国の司法制度の現状を是正するとともに、犯罪被害者の人権保障と尊厳を守る観点からも、被害回復のための犯罪被害者救済制度の拡充を図ることは、国の重要な責務である。
 よって、足立区議会は国会及び政府に対し、犯罪被害者の救済と被害回復制度の拡充のため、下記事項の早期実現を強く求めるものである。

1、犯罪被害者の権利を十分に保障する刑事司法を実現すること。
2、犯罪被害者が実質的に刑事手続に参加できる制度(訴訟参加)を創設すること。
3、犯罪被害者が刑事手続に附帯して民事上の損害賠償請求を行うことができる制度(附帯私訴)を確立すること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。

    平成16年6月23日

                 議  長  名

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣      あ  て
法務大臣
国家公安委員会委員長