区長あいさつ |
◎鈴木恒年区長 平成16年第3回足立区議会定例会をご招集申し上げましたところ、議員の皆様方には、ご多用中にもかかわらずご参集をいただきまして、まことにありがとうございます。 開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。 初めに、一昨年の暮れから取り組みを始めまして、ことしの4月に審議会より答申をいただきました足立区基本構想でありますが、おかげさまで策定作業もようやく終わりまして、いよいよ本議会に議案として提出させていただくこととなりました。この間の区民委員並びに基本構想審議会委員の皆様方のご協力に、改めて感謝を申し上げる次第であります。 今回の基本構想策定の作業は、審議会の検討に先立ち、公募の区民委員による検討やパブリックコメントの実施などの新しい手法を取り入れ、区民の皆様の参加とご意見をいただく機会を増やす工夫をいたしました。また、すべての会議を公開とし、議事録や関係書類もホームページに公表するなど、徹底した透明化を目指してまいりました。 今回の基本構想は、審議会の答申で示されました基本理念であります「協働で築く力強い足立区」を柱として、まちづくり、暮らしづくり、人づくり、しくみづくり、といった観点からの具体的な提言を尊重し、区の構想として提案させていただくものであります。また、これまでの策定作業自体が、区民との協働を目指したものであり、構想はその成果でもあると考えております。 21世紀の足立区の姿を定める重要な構想でありますので、議会におかれましては十分なご審議をお願い申し上げる次第であります。 次に、平成17年度の行財政運営方針について申し上げます。 平成17年度は、これからご審議をいただきます新しい基本構想、そして、この構想に基づく基本計画のもとに、これらと十分な整合を図りつつ、足立区の構造的課題の解決に向けた、具体的かつ効果的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。 特に、構想の基本理念であります「協働」につきましては、「足立区の構造改革戦略」の柱として、既にいくらかの取り組みがなされておりますが、これを可能な限り多くの分野に広げ、計画から評価に至るまでのさまざまな場面での協働のしくみづくりを具体化してまいります。 また、平成12年度から取り組んでおります行政評価制度につきましては、新しく策定する基本計画と連動させるとともに、第三者評価や評価結果の公開を進めるなど、協働と透明性の向上を図ってまいります。 こうした基本方針のもとに、平成17年度は、「まちづくり」分野、「暮らしづくり」分野、「人づくり」分野の3つの政策領域について、重点項目を示しました。 まちづくり分野につきましては、「魅力と個性のある美しい生活都市」という将来像を目指し、「日暮里・舎人線」及び「つくばエクスプレス」の建設促進と周辺環境の整備を進めてまいります。また、西新井駅西口周辺地区防災まちづくりや、土地区画整理事業を施行すべき区域における一括地区計画によるまちづくりを重点的に推進いたします。 暮らしづくり分野につきましては、「自立し支え合い安心して暮らせる安全都市」という将来像を目指し、あだち次世代育成支援行動計画の推進、生活保護受給者などの自立支援に向けた施策の推進、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・高齢者グループホームなどの整備を促進いたします。また、資源循環型社会を目指したリサイクルの推進と、廃棄物の減量を進めてまいります。 人づくり分野につきましては、「人間力と文化力を育み活力あふれる文化都市」という将来像を目指し、新しい地域コミュニティ施策の展開、第二次教育改革・学力向上策の推進、(仮称)足立区文化芸術振興基本計画の策定と推進、(仮称)足立区経済活性化基本計画の推進に取り組んでまいります。 これらの重点項目を推進する一方で、今後予想される社会の変化、とりわけ少子高齢社会・人口減少社会への対応についても、着実な取り組みがなされなければならないと考えております。 国立社会保障人口問題研究所の推計によれば、足立区の人口は、2030年には48万人にまで減少するとされております。この推計に現段階で見込まれる人口増加分を加えて補正しますと、ここ10年ほどは横ばいで推移する見込みでありますが、20年後には60万人台を切り、30年後には50万人台の半ば、40年後には現在よりも10万人以上の人口減少が予想されます。また、年少人口の減少と老年人口の増加、そして、生産年齢人口の減少という傾向が、今後50年近く続くものと予想されます。当面は顕在化しないものの、その後に確実に訪れる人口減少、そして人口構成の変化については、区が保有する360施設、約120万平方メートルの公共施設の更新のあり方を考える上でも、大変に大きな問題を含んでおります。したがいまして、施設の配置基準の見直しなど、中・長期的な視点も十分に踏まえた対策を具体的に検討する必要があると考えております。 また、施設更新とも関連して、公の施設の管理、運営に関する指定管理者制度の導入について、その受け皿の育成なども含めた、多角的な検討を行わなければならないと考えております。 次に、組織・定数についてでありますが、昨年の8月に行財政運営方針とあわせて策定をいたしました「定員適正化指針」及び「外部委託推進ガイドライン」に基づき、平成16年度は165人の職員定数を削減いたしました。平成16年度から19年度までの4年間で428人を削減する予定でありますが、平成17年度につきましては137名の減員を見込んでおり、既に目標の7割を超える状況であります。今後ともサービスの質を確保しながら、可能な限りの簡素化を進めてまいります。 また、組織運営につきましては、庁内分権による各部の自律を高める一方で、部長級による政策論議の場である政策調整会議を新設し、各部が区政の課題と方向性について、一層緊密な認識を共有できるよう改善を行いました。今後とも、議会との意見交換をスムースに行うためにも、円滑な組織運営に努めてまいります。 次に、平成15年度決算の概要につきましてご説明申し上げます。 平成15年度の普通会計決算では、実質収支は53億円の黒字で、前年度に比べ18億円の増となり、また、財政運営の弾力性や健全性を示す経常収支比率は81.5%と、前年度に比べまして3.4ポイント改善をいたしました。 これは、景気回復基調の中にありまして、財政調整交付金の増加が大きく寄与していることによるものであります。自主財源の根幹をなす区税収入は、6年連続の減収となり、特に区民税収入は300億円を割り込み、昭和62年度の水準近くまで落ち込んでおります。このことは、区財政が、国庫支出金、都支出金や財政調整交付金などへの依存度が高まっていることを示しており、財政指標は改善しているものの、内容は大変厳しいものと受け止めております。 決算を項目別に見ますと、人件費、扶助費、公債費を合計した「義務的経費」は1,123億円で、前年度に比べ36億円、3.4%の増であり、特に扶助費は44億円、9.1%の増となっております。これは、生活扶助の21億円の増、事務移管による児童扶養手当の20億円の増などによるものであります。 「投資的経費」は321億円で、前年度に比べ113億円、54.0%の大幅な増となりました。これは、北千住駅西口地区再開発や足立区文化芸術劇場の建設などによるものであります。 物件費などの「その他経費」は690億円で、前年度に比べ44億円、6.9%の増となっております。 今後とも扶助費等の義務的経費の伸びが予測される中で、小・中学校を初めとする公共施設の更新が目前に迫ってくることから、引き続き財政の健全化に取り組んでいかなければならないと考えております。 次に、補正予算につきましてご説明申し上げます。 平成16年度当初予算は、年間の財政運営を見通した総合予算を編成いたしましたが、国の「三位一体の改革」による国庫支出金及び都補助金・負担金の廃止・縮減の影響と、財源対策の暫定措置として創設された所得譲与税などを計上するとともに、社会・経済の状況等の変化により、特に緊急度が高く、真に必要な経費について計上することといたしました。 ご審議をいただきます一般補正予算は13億800万円余、介護保険特別会計補正予算は3億3,600万円余、老人保健医療特別会計補正予算は2,000万円余、いずれの会計も増額補正であります。 最後に、今回ご提案申し上げました議案は35件、報告2件、諮問1件であります。各議案の提案趣旨につきましては、参与よりご説明をさせていただきますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。 ありがとうございました。 |
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