可決した意見書
@小規模住宅用地に対する都市計画税の軽減措置の継続を求める意見書

 我が国の経済状況は、11月に内閣府が発表した月例経済報告によると、「企業収益は大幅に改善し、設備投資は増加している」「雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している」など、景気の回復が続いていると報告している。
 しかし、一般家計までの広がりを見せた本格的な景気回復には至っていないのが現状である。
 東京都が昭和63年度以来継続して実施している「小規模住宅用地に対する都市計画税を2分の1」とする軽減措置は、既に制度として定着しており、区民の生活を支える上からも非常に重要な施策となっている。

 このような状況において、都財政を優先させ、この軽減措置を廃止した場合、区民の税の負担が増し、一般家庭に与える経済的、心理的影響は極めて大きく、景気に与える影響も強く危惧される。

 よって、足立区議会は東京都に対し、現行の小規模住宅用地に対する都市計画税の軽減措置を、平成17年度以降も継続されるよう強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成16年12月16日

                 議  長  名

東京都知事     あ  て


A小規模非住宅用地に対する固定資産税・都市計画税の減免措置の継続を求める意見書

 我が国の経済状況は、11月に内閣府が発表した月例経済報告によると、企業収益の改善、雇用情勢の改善などを受け、景気は回復しているとしている。

 しかし、経営基盤の脆弱な中小零細企業は依然として厳しい経営環境にあり、本格的な景気の回復には至っていないのが現状である。 こうした状況の中で、東京都が平成14年度から実施している「小規模非住宅用地に対する固定資産税・都市計画税の税額の2割減免措置」は、厳しい経営状況におかれている中小零細企業経営者にとって、事業の継続や経営内容の健全化に大きな力添えとなっている施策である。

 また、この減免措置は、小規模住宅用地と非住宅用地における税負担の不均衡是正の見地からも必要な措置である。
 したがって、東京都がこの減免措置を平成17年度以降廃止したならば、都民、とりわけ中小零細企業経営者に与える経済的、心理的影響は極めて大きく、本格的な景気回復をも遅らせることが強く危惧される。

 よって、足立区議会は東京都に対し、小規模非住宅用地に対する固定資産税・都市計画税の減免措置を、平成17年度以降も継続されるよう強く求めるものである。 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成16年12月16日  

                 議  長  名

東京都知事     あ  て


B都区財政調整主要5課題の早期解決を求める意見書

 平成12年4月、地方自治法等の改正により、特別区が長年取り組んできた都区制度改革が実現した。この改革により、東京都は広域自治体として、特別区は基礎自治体として、それぞれの責任を果たしつつ、相互に連携して東京の大都市行政を担うこととなった。
 既に、平成12年2月の都区協議会において、「清掃事業の特例的な対応期間が終了する平成17年度までに協議すべき主要5課題」が確認されている。
 しかし、都区間の役割分担と財源配分の明確化については、今日まで実務的な協議が続けられているが、基本的な部分での認識が噛み合っておらず、いまだ都区の合意には至っていない。
 都区の役割分担とこれに応じた財源配分は、都区制度の根幹をなすものであり、この明確化なくして都区制度改革の趣旨が名実ともに実現されたとはいえない。さらに国の三位一体改革によっては、特別区財政に大きな影響を与えることが予想され、基礎自治体重視の分権時代にふさわしい行財政基盤の強化が求められている。

 よって、足立区議会は東京都に対し、主要5課題の全面的な解決に向け、都が行う大都市事務・財源の早急な明示を求めるとともに、下記事項の協議を具体的かつ早急に行うことを強く求めるものである。

1、都が行う大都市事務・財源の明示による都区間の役割分担の明確化

2、清掃関連経費の財源として都に残した745億円の特別区への移転

3、間近に迫った小・中学校改築需要急増に対応できる財源の確保

4、都区双方の都市計画事業の実施状況に見合った都市計画交付金の確保

5、三位一体改革の影響等も含めた都区財政調整配分割合の拡充                             

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

    平成16年12月16日

                  議  長  名

東京都知事      あ  て


C三宅島被災島民への支援に関する意見書

 三宅島噴火災害から4年余が経過し、島外避難を余儀なくされていた三宅島島民は、平成16年7月に帰島の方針が決定され、来年2月から帰島できることになった。このことは、帰島を願ってきた島民にとって待ちに待った朗報といえる。

 しかし、三宅島は復興が進められているとはいえ、いまだに火山噴火が続き、降灰に覆われ、家屋や農地には泥流が流れ込み、雑草が覆うなど荒れた状態にある。また農業、漁業、観光などの島民の生活の糧となるべき産業の復興にも大きな課題がある。

 東京都は被災者帰島生活再建支援金として最高150万円の支給を行うこととしているが、今後さらに産業の復興、雇用の確保など生活支援を引き続き行っていくことが必要である。

 帰島する島民はもちろんのこと、未帰島者に対しても継続的な支援が不可欠である。

 よって、足立区議会は政府及び東京都に対し、ガス監視体制の強化、高齢者の帰島支援、産業の復興、雇用の確保、介護施設を含む社会基盤の整備など帰島者に対する支援、及び公共住宅の提供や家賃減免など、未帰島者への生活支援を強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


    平成16年12月16日

                  議  長  名

内閣総理大臣
経済・財政政策担当大臣
総 務 大 臣
財 務 大 臣         あ  て
農林水産大臣
国土交通大臣
東 京 都 知 事


D消防団の装備の充実と支援に関する意見書

 消防団は、地震や台風、水害などの大規模災害が発生したとき、初期消火や救助救援活動などを行う地域防災リーダーとしての役割を担っている。また、日常の火災や水難事故などの救助活動、更には地域のための警備など、地域住民の日頃の生活安全にも大きな役割を担っている。

 消防団は地域の安全を確保するため、日頃から消防訓練等を行い防災力を高めているが、その役割にふさわしい装備や十分な援助がされていない。分団本部の多くは老朽化し、待機スペースや打ち合わせ場所すらなく、資機材の保管場所が十分確保されていないなど、本部としての機能を持っていない分団もある。また、一部に可搬式動力ポンプ等の搬送車が導入されているが、人力による可搬式動力ポンプがほとんどというのが消防団の現状である。

 ソフト面では、研修及び講習会等の充実により地域防災リーダーとしての消防団員の更なる資質の向上や、技術の向上が急務とされ、応急手当普及員の増員も必要となっている。

 よって、足立区議会は東京都に対し、消防団の装備の充実と支援を強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


    平成16年12月16日

                  議  長  名

東京都知事      あ  て


E大規模災害の対策と早期復旧に関する意見書

 本年は、新潟県中越地震の発生や、台風が観測史上最多上陸するなど、日本列島は近年まれにみる大規模な災害に見舞われた。この一連の災害によって全国各地に死者・行方不明者の発生や、住宅損壊・浸水、農林水産業用施設や農作物、港湾施設等の公共施設への被害など甚大な人的、物的被害がもたらされ、住民の生活や地域経済に大きな打撃を与えている。

 この深刻な事態に対し政府として、速やかな応急措置と復旧対策を講じるとともに、これまでのすべての大規模災害で行った対策を総点検し、災害発生の原因や治水計画、防災・地震対策の検証を進め、抜本的な対策を早急に講じる必要がある。

 よって、足立区議会は国会及び政府に対し、被災地のライフラインの復旧及び被災者への支援に一層力を注ぐとともに、将来予測される震災等の自然災害について万全の対策を講じるため、下記事項の早急な取り組みを強く求めるものである。


1、 建物の耐震構造化推進の重要性を強く認識し、震災対策の見直しを行うこと。
特に、避難所や救援活動の拠点となる施設の耐震補強には早急に対策を講じること。
2、 都道府県管理区間の中小河川の堤防改修に際しては、緊急点検結果に基づき、優先的に整備を進めること。海岸及び湾岸の水防施設も同様に、堤防などの総点検を速やかに実施し、整備を進めること。
3、 今回の新潟県中越地震の教訓を活かし、国土の7割を占める中山間地での震災対策の確立を早急に図るとともに、災害関連緊急治山事業を速やかに実施すること。
4、 防災無線の整備、洪水ハザードマップの策定に関し、早期の普及のための計画策定と予算措置を講じること。合わせて、区市町村長に対する警戒情報の発令基準及び避難誘導マニュアルの策定を早急に行うこと。
5、 高齢者などの要援護者への対策を推進するため、災害情報の伝達・避難・救助・復旧・自立支援などに関し、対処マニュアルの策定を早急に行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

    平成16年12月16日

                 議  長  名

衆 議 院 議 長
参 議 院 議 長
内閣総理大臣
経済・財政政策担当大臣   あ  て
総 務 大 臣
財 務 大 臣
農林水産大臣
国土交通大臣


F高齢者虐待防止に関する意見書

 高齢化が世界有数の速さで進む我が国では、最近、介護が必要な高齢者を放置したり、家庭や施設内で高齢者に暴力をふるったりするなどの虐待が深刻化している。
 しかしながら、高齢者への虐待は表面化しづらく、これまで家庭や施設内の問題として見過ごされてきており、児童虐待に比べ法整備などの対策も遅れているのが現状である。
 昨年の医療経済研究機構による「家庭内における高齢者虐待に関する調査」の結果では、「生命に関わる危険な状態」に至る事例が1割という深刻な事態が浮き彫りになる一方、虐待に気付いた在宅介護支援の専門職の9割が、対応は困難と感じていることも明らかになった。
 この結果からも、高齢者虐待の定義を明確にすることをはじめ、虐待防止と早期保護への具体的な仕組みづくりが急務であることが確認されたところである。
 よって、足立区議会は国会及び政府に対し、高齢者の人権を守る体制を充実させ、虐待防止のための具体的な対策を実現するため、下記事項の早急な取り組みを強く求めるものである。


1、 虐待を早期に発見するための通報システム、相談支援の専門機関等の設置などを確立するため、「(仮称)高齢者虐待防止法」の制定
2、 高齢者を虐待者から切り離す緊急保護のための一時保護施設等の整備
3、 関係機関や家族のネットワークづくりの推進
4、 施設職員や関係者への虐待防止教育の実施
5、 高齢者虐待防止に関する国民への教育・啓発の推進

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

    平成16年12月16日

                  議  長  名

衆 議 院 議 長
参 議 院 議 長
内閣総理大臣    あ  て
法 務 大 臣
厚生労働大臣