区長あいさつ |
◎鈴木恒年区長 平成16年第4回足立区議会定例会の開会に先立ち、さきに発生いたしました新潟県中越地震で亡くなられた方々への哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に、改めてお見舞いを申し上げます。この地震での、足立区の友好都市であります旧小出町の被害は、幸いにも比較的小さく済みましたが、今後も、議会・区民の皆様など多くの方々とともに、でき得る限りの支援を行ってまいる所存であります。 さて、本日、平成16年第4回足立区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様方には、ご多用中にもかかわらずご参集をいただきまして、まことにありがとうございます。 開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。 さきの第3回区議会定例会では、足立区の今後12年間の区政運営の基となります基本構想をご審議・議決していただきましたが、本議会では足立区の憲法ともいえる自治基本条例をご提案させていただいております。足立区の自治の基本理念や基本原則を定めるものであり、十分なご審議をお願い申し上げる次第であります。 さて、国と地方をめぐる三位一体の改革は、大筋での合意には至ったものの、引き続き多くの課題が今後の検討に委ねられることとなりました。 一方で、都と区の財政調整を中心とする都区協議会で確認された主要5課題につきましても、議会のご協力をいただきながら検討を進めております。いずれの課題も、今後の都区制度のあり方にかかわる極めて重要な課題であります。限られた時間の中で本質の議論をどこまで行うことができるのか、大変に憂慮しておりますが、こうした議論を乗り越えなければ新しい展望は開けないとも思うものであります。 三位一体の改革は、足立区にとって何をもたらすのか、都区の主要5課題の落着点はどうあるべきか。こうしたことを議会の皆様とともに真剣に議論を重ね、足立区民が不利益を被らないようにしていかなければならないと考えております。 いずれにいたしましても、国においても、都や区におきましても、この国の形をめぐる重要な課題の解決が求められている状況であり、このことは、我が国がいま大きな歴史の転換点にあることを如実に物語っていると思うのであります。とりわけ分権に対する国の考え方の中には、自治体の能力に対する拭いがたい不信感があるのではないかと思います。そうした不信を取り除くための努力を、各自治体が政策展開の中で示していくことが必要であります。 さて、この1年間を振り返ってみますと、これまでに取り組んでまいりました構造改革戦略を中心とするさまざまな改革が、徐々に成果を見せ始めた1年ではなかったかと思います。 子ども施策では、新たに5箇所の学童保育室を開設するとともに、認可保育園の定数増や認証保育事業の拡大を行う一方で、子どもを持つすべての家庭への支援強化を目指し、子育てホームサポート事業や子育てサロンの開設などを進めてまいりました。また、10月には足立区子育て支援サービス利用者負担適正化審議会から、保育料に係る利用者負担の適正化について答申をいただきました。答申を真摯に受け止め、実現に向けて努力をしてまいります。教育施策については、学力の面で大変厳しい結果が出されましたが、その一方で開かれた学校づくりやがんばる学校支援事業、区独自に採用する特別講師や学校ボランティアの配置などの取り組みを確実に進めております。また、五反野小学校はこれまでの取り組みが評価され、コミュニティスクールとして全国のモデルとされるまでになりました。 高齢社会施策につきましては、健康寿命の延伸のため健康あだち21事業をさらに地域に展開いたしました。また、特別養護老人ホームなどの施設整備助成も計画的に進めてまいりました。 まちづくり施策につきましては、北千住駅西口地区市街地再開発事業の竣工により、千住地域は大きく変貌し、その影響は足立区全体のイメージアップに貢献しております。こうした拠点開発のほか、交通事故多発箇所の緊急対策事業や密集市街地の整備、防災まちづくりなども計画的に進めてまいりました。 また、都市型産業・雇用施策につきましては、昨年の11月に雇用創出特区として開設しました足立ワークセンターが、目標の2倍を超える雇用を実現いたしました。さらに、中小企業向けの各種融資事業の実施や緊急地域雇用創出特別補助金を活用しました企業提案型の雇用創出事業も拡大実施いたしました。 環境施策につきましては、環境基金を創設するとともに、リサイクル推進のための3R推進キャンペーン事業、キッズISOの実施などを着実に進めてまいりました。 このほか文化芸術の分野では、秋にシアター1010がオープンし、意欲的な作品が矢継ぎ早に上演され、新しい文化の発信を始めておりますし、東京藝術大学の誘致につきましても、議会の全面的なご支援をいただき、具体化に向けた詰めが行われております。このようにしてつくられつつあります文化芸術の芽をしっかり育てるような地道な努力が、これからも続けられなければなりません。ローマは一日にして成らずということわざがありますが、文化芸術につきましては、なおさらのこと、一過性に終わらせることなく、息の長い取り組みが必要であり、今後とも議会の一層のご理解とご協力をお願いする次第であります。 こうした中で、大型台風や新潟県中越地震などの自然災害により、多くの方々が犠牲になりました。こうした犠牲者を出さないよう、行政は最大限の努力をしなければならないという思いを新たにしております。安全、安心施策は区政の根幹であり、基礎・基本であります。区民の皆様から行政に対して寄せられる期待を裏切ることなく、安全・安心の確実な基盤づくりを行っていかなければなりません。そのために、ことしも学校などの計画的な耐震補強を進める一方で、防犯カメラの設置助成や防災マップの作成、防犯パトロールの実施など、区民生活の安全を高める新しい施策に取り組みましたが、さらに一層の対策を行わなければならないものと考えております。 さて、議決いただきました基本構想を具体化するための基本計画の策定作業を進めておりますが、この基本計画は8年間を計画期間とし、協働や施設配置のあり方を示すとともに、行政評価を組み込んだ計画となっております。これに先立つ改革を主導してまいりました「足立区の構造改革戦略」が本年度をもって計画期間を終了いたします。この戦略は、主に区政、財政など、足立区の抱える構造的課題のうち、区政の内部改革を中心とする課題に取り組んできたわけでありますが、改革はいまだ道半ばといったところであります。 特に、庁内分権につきましては、ようやくその形ができ上がったものの、各部が自律的にさまざまな課題を政策化し、新しい区民ニーズにこたえられる体制になったかと言えば、包括予算制度も含めて、まだまだ改善すべき点が残されていると考えております。こうした点を引き続き改革するために、現在、第二次の構造改革戦略の策定を進めているところであります。 今回の戦略は、第一次の戦略が、経営や管理部門の改革に力点を置いていたのに対しまして、現場部門の改革に力点を置くことを目指しており、現場に近い若手職員を多く起用し検討を進めているところであります。現場の問題意識や課題解決にも十分にこたえられる内容とすることで、庁内分権などの改革を一段と深みのあるものにしていきたいと考えております。 以上、この1年間を振り返りながらの所感を申し上げましたが、改めて感じますことは、目に見える豊かさの裏で、自然の脅威に対する都市基盤や生活インフラの不安、ニートなどと言われる若者の意欲の問題、そして確実に迫る人口減少社会の到来といった、日常生活の足元に迫り来る危機の存在であります。 経済的な豊かさで、我が国は世界のトップクラスにあったはずでありますが、中越地震では、我々の生活がいかに弱い生活基盤の上に成り立っているのかを、多くの国民が感じたと思います。 トップクラスの経済力といっても、生産効率においては、我が国の経済は必ずしも上位ではありません。むしろ先進国の中では非効率な国に入るでありましょう。こうしたことをもっと強く自覚し、経済・産業基盤の強化とそのための人間力の向上を進め、堅実で安心の都市経営を行わなければならないと思うのであります。そのためのさまざまな取り組みや改革につきましては、議会とも十分な議論を行い、進めてまいる所存でありますので、引き続きご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。 次に、補正予算についてご説明申し上げます。 今回ご審議いただきます補正予算は、一般会計、介護保険特別会計の2会計であります。 一般会計の補正予算は、24億円余を追加計上するものであります。 主な内容を申し上げますと、法改正に伴う児童手当の経費9億5,000万円、道路維持工事及び街路樹維持管理委託経費1億7,000万円余、佐野六木土地区画整理事業に伴う公社用地の買い戻し経費6億2,000万円余、都市計画法第53条区域の地区計画決定に伴う細街路整備助成経費1億円余、介護保険特別会計繰出金3億2,000万円余などを追加計上いたしました。 これらの財源につきましては、既に契約締結が済んでいるものの、契約差金や事務事業の見直しに伴い発生した削減経費などを減額計上するとともに、国庫支出金、都支出金、土地開発公社貸付金元金の歳入などを充当しております。 また、債務負担行為といたしまして、新住記・税システム機器及びソフトウェア賃借料、(仮称)西新井駅西口公園整備管理者負担金、小学校コンピュータ室冷房機賃借料などを追加計上いたしました。 介護保険特別会計につきましては、利用者及び利用率の増加に伴う保険給付経費など27億2,000万円余を追加計上いたしました。 最後に、今回ご提案申し上げました議案は19件、報告1件、諮問1件であります。各議案の提案趣旨につきましては、参与よりご説明をさせていただきますので、慎重にご審議の上、ご決定くださるようお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。 ありがとうございました。 |
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