平成17年度足立区当初予算案に対する討論

伊藤和彦議員


○伊藤委員 私は、日本共産党足立区議団を代表して、第5号議案一般会計、第6号議案国保特別会計に反対、第7号議案、第8号議案に賛成する立場から討論を行います。
 いま、区民の暮らしと営業は、自民・公明政治による不況や構造改革路線のもとで、一層深刻さを増しています。
 委員会審議でも明らかになったように、生活保護世帯は1年間で約7%の増、就学援助は小中学校合わせて41.5%の受給率となって、年2%から3%ずつふえています。一方、国保の保険料の収納率は、平成13年度72%程度だったものが15年度67%に低下、介護保険料の所得段階別人数では約5%も所得の低い人がふえている状況です。
 これに加えて、国の大増税計画の実施が始まり、収入がふえていないのに約25万7,000人の区民が増税となり、これまで非課税だった高齢者が新たに1万人近く課税対象となります。さらに、介護保険料、国民健康保険料、都営住宅など公営住宅家賃などにもはね返り、区民の負担は一層重くなります。
 このように深刻さが増す状況のもとでも、区長は我が党の本会議質問への答弁で、こうした区民負担増は区政にとりまして必要なものと述べ、区の財政は心配しても区民の暮らしは心配しないという立場を鮮明にしました。こうした考えのもとで編成された鈴木区長の2005年度予算案は、活力と安心で魅力あるまちを創る予算と名づけはされているものの、その内容は、保育料の20%値上げを初めとする負担増で区民に打撃を与え、高齢者福祉電話の縮小、学校給食の予算削減などで区民に不安を広げながら、収入減や増税で苦しむ区民、中小業者への支援の手は一切差し伸べない極めて冷たいものです。
 お金がないわけではありません。中期財政計画で区は総事業費で640億円の大型プロジェクトを打ち出し、そのうち区の負担は300億円、このために500億円の基金を積み立てる、入ってくるお金は開発と積み立てに回す方向を示し、05年当初予算で基金残高は268億5,000万円余となっています。
 我が党は、区民の所得の減少など生活悪化が進む中、限られた財源でもお金の使い方を変えれば、新年度予算を区民の痛みを和らげ暮らしを応援する予算とすることはできると、編成替えを求める動議を提出しました。
 その基本的な考え方の第1は、自治体のあり方を追求し、新たな負担やこれ以上の福祉・教育の切り捨てを許さない。第2は、区民の暮らしと営業を守り新たな区民要求にこたえる。第3に、不要不急・浪費型の歳出を改めるというものです。
 いざというときに役立つ緊急生活支援制度の創設や子ども医療費助成を小中学生に拡大すること、文科省の新たな措置を活用し、30人学級を目指しつつ、当面35人学級に踏み出すこと、介護保険料、利用料の負担軽減、ホテルコストに対する補足的給付、高齢者福祉電話の従来どおりの活用、耐震診断と補強工事がワンストップサービスでできる制度に拡充することなど44項目に及ぶ編成替えです。
 これらの内容は、区長がやる気になれば、一般会計予算のわずか0.63%を増額するだけでできます。
 この我が党の提案は自民、公明、民主によって否決されましたが、今後の区政に生かされるものと確信しています。
 国民健康保険特別会計予算については、区民生活悪化による保険料の収納率低下も明らかにされました。区長は、こうした区民に心を寄せ保険料軽減策を打ち出すことも、国保財政を厳しくしてきた国へ意見を上げることもないまま、保険料を値上げすることは許されることではありません。
 改めて、区民の暮らしを守る自治体本来の立場に立たれることを求めて、討論を終わります。