4、可決された意見書・決議
議員提出第9号議案 都区財政調整主要5課題の解決を求める意見書

 足立区議会では、平成12年の都区制度改革の際に確認された都区財政調整主要5課題の早期解決に向けて、特別区長会とも連携し、取組んできたところである。しかし、本年7月の都区財政調整協議会で確認された都区検討会の結果は、全ての課題について東京都が歩み寄りを見せず、大きな乖離のある都区双方の見解を併記するにとどまった。特に、大都市事務の役割分担を踏まえた財源配分のあり方について、都は本来、府県財源で行うべき政令指定都市の事務をも調整3税等の大都市財源を使用できるという現行法制度を逸脱する考え方を示した。
 特別区は、首都東京を構成する基礎自治体として、全国唯一の都区制度の下、お互いに連携協調し、都と協力しながら大都市行政を担ってきた。今回の協議における都の対応は、これまで築き上げてきた特別区と都の信頼関係を踏みにじるものであり、誠に遺憾である。主要5課題の解決において、特別区のめざすものは、都区制度改革により法制度上確立した都区の役割分担原則に則った都区関係を実現し、住民に対する行政責任の明確化を図ることである。主要5課題の解決のために残された協議時間はわずかである。
 よって、足立区議会は東京都に対し、都区財政調整主要5課題の全面的な解決をめざし、下記事項を早急に実現することを強く求めるものである。


 政令指定都市が行う事務等法令上明確な府県事務の取下げをはじめ、法に定める原則に則った都が行う大都市事務の整理

1、 清掃関連経費の財源として都に残した745億円の特別区への移転
2、 間近に迫る小中学校改築需要急増に現実的に対応できる財源の確保
3、 都区の都市計画事業の実施状況に見合った都市計画交付金の配分
4、 三位一体改革の影響等も含めた都区財政調整配分割合の拡充
5、 法の原則に沿った都区制度の運用の構築

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年9月30日

議  長  名

東京都知事        あ  て 

議員提出第10号議案 
東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の鉄道高架化を求める意見書
 
 本年3月の東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の踏切事故により、尊い人命が奪われた。
 また、去る10月12日にも、JR京浜東北線大森北の踏切において、死傷事故が発生し、地域住民をはじめ多くの人々に大きな衝撃を与えた。 こうした事故を二度と繰り返さないためにも、歩行者の安全確保に向けた対策が早急に求められている。
 竹ノ塚駅構内踏切事故の後、緊急対策として、国、東京都、足立区、東武鉄道株式会社は、「竹ノ塚踏切対策会議」を設置し、第37号踏切北側に歩道橋(平成18年3月完成予定)を設置すること、踏切内の歩行者、自転車通行帯の拡幅、竹ノ塚駅西口エレベーターの設置などの対策を講じている。
 また、東武鉄道株式会社は、踏切を手動式から自動式に切り替え、さらに踏切内に自動車などが取残されても、これを感知し電車を自動停車させる装置を設置するなど、安全対策を講じている。
 しかし、依然として「開かずの踏切」状態であることに変わりはなく、地域住民の地域分断、交通渋滞の原因となっている。
 足立区議会では、全議員で構成する「足立区議会鉄道高架化促進議員連盟」を、地域では「竹ノ塚駅鉄道高架化早期実現の会」を設立し、安全対策はもとより、鉄道高架化の早期実現をめざし積極的に要請活動を行っている。さらに、足立区は、国、東京都、東武鉄道株式会社及び東京地下鉄株式会社との五者による検討会を設置し、鉄道高架化に向けた具体的な方策を検討している。
 こうした中で、今後の活動をより強力なのものとするため、地域住民、足立区、足立区議会の三者による「竹ノ塚駅付近鉄道高架化促進連絡協議会」を結成し、互いに連携して鉄道高架化に取組んでいくことを宣言した。
 よって、足立区議会は政府及び東京都に対し、区民生活の安全と交通の安全確保及び渋滞解消のために、当該地区の鉄道高架化を早期に実現するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成  年  月  日

議  長  名

国土交通大臣

議員提出第11号議案
   日暮里・舎人線の平成19年度完全開業を求める意見書

 現在「日暮里・舎人線」整備事業については、平成19年度開業に向け、駅舎工事に続き、上部仕上げ工事に着手するなど順調に進められているところである。
 これまで、東京都は財政難の中で足立区民の悲願である日暮里・舎人線の早期実現に向けて様々な取組みを行い、本事業の確実な推進に努力されていることは、沿線住民をはじめとする区民はもちろん足立区議会としても大変評価しているところである。
 日暮里・舎人線の開業は、地域住民にとって、交通の利便性が飛躍的に向上するだけでなく、各駅を中心とした地域の活性化、定住人口、昼間人口の増加が見込まれる等、地域住民の、開業に寄せる期待は大きく、その熱い思いは日一日と高まっている。
 よって、足立区議会は引き続き東京都に対し、日暮里・舎人線の平成19年度完全開業を、計画どおり実現されるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成  年  月  日

議  長  名

東京都知事  あ て

議員提出第12号議案 アスベスト対策を求める意見書

 アスベスト製品を製造していた企業の従業員や家族、工場周辺住民のアスベストが原因と思われるがんの一種である中皮腫や肺がんで死亡する事例が相次いで報告されている。それに伴いアスベスト被害に対する不安が国民の間に広がり、正確な情報を求める声が強くなっている。
 また、アスベストが原因とされる健康被害を受けながら労働災害補償されていない従業員や家族、周辺住民の被害者から救済を求める声も高まっている。
 このような事態を受け、政府は「アスベスト問題に関する関係省庁会議」を設置し、実態把握、相談窓口の設置等の取組みを進めているが、これまでのアスベスト問題への対応は十分ではなかった。
 今後は、政府として国民の安全を確保し、被害者の救済を進めるための、より積極的な取組みが求められている。
 よって、足立区議会は国会及び政府に対し、下記事項の早期実現を強く求めるものである。



 「アスベスト問題に関する関係省庁会議」を格上げして、内閣総理大臣を本部長とする対策本部を設置し、政府をあげてアスベスト対策を実施すること。
 公共施設、民間建築物におけるアスベスト利用状況の調査を行い、利用者に対して適切な情報開示、暴露防止の対策を進めるとともに、建築物解体時に際して、その情報が適切に利用できるよう体制整備を進めること。
 過去から現在に至るアスベスト取扱い事業所において、取扱い作業に従事した者のアスベストによる健康被害の可能性などについて情報提供を行うよう事業者へ徹底すること。
 産業保健推進センター、保健所や労災病院等への健康被害の相談窓口の整備とともに、治療薬の早期承認など診断・治療体制の確立及び研究を進めること。あわせて、そのための中皮腫登録制度を創設すること。
 アスベスト取扱い事業者に対しては、作業に従事した従業員及びその家族の健康診断を進めるよう徹底するとともに、暴露が想定される周辺住民等の健康診断に対応できるよう地方自治体の健康診断事業等のあり方を適切に見直すこと。
 アスベストによると想定される中皮腫、肺がんは、その潜伏期間が極めて長期であることを踏まえ、現行制度下で救済の対象とならない事例の労働災害認定のあり方について抜本的に見直すとともに、現行制度では救済されない人達の救済を主眼とした新法を早期に制定すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成  年  月  日

議  長  名

内閣総理大臣、文部科学大臣  
厚生労働大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、 あ て

議員提出第13号議案 がん対策の推進強化を求める意見書

 がんは昭和56年以降、我が国の死亡原因の第1位を占め、現在では死亡原因の3割超にまで達している。そのため、政府においては「対がん10カ年総合戦略」を展開し、その第3次総合戦略が昨年度から実施されたところである。
 多くのがん患者・家族が、日本のがん医療に不満をもっており、自分の命を救ってくれる医師を探してさまよう患者の姿を例えて「がん難民」とさえ呼ばれているように、病院や地域によって治療成績に大きな格差があるなどの課題が指摘されている。そのため同戦略の中で、がん医療水準の「均てん化」(全国どこでもがんの標準的な専門医療を受けられるよう、医療技術等の格差是正を図ること。)が打ち出され、がんの罹患率と死亡率の激減をめざしている。
 政府は本年5月、厚生労働大臣を本部長とする、がん対策推進本部を設置したところであるが、がん医療水準の均てん化のみならず、がん専門医の育成、国民への適切な情報提供など、総合的ながん対策を強力に推進することが求められている。
 よって、足立区議会は政府に対し、がん死亡率の激減をめざして、下記事項の早期実現を強く求めるものである。



 がん医療水準の均てん化を推進し、地域がん診療拠点病院を整備すること。
 がん治療専門医(特に化学療法、放射線療法の領域。)を養成・確保すること。
 国民が利用しやすい「がん情報センター」、がん拠点病院等への「がん患者情報室」を設置すること。
 有効性が証明されたがん検診の強力な推進及び受診率の向上を図ること。
 地域がん登録の普及と精度の向上を図ること。
 国内未承認薬の使用促進のための着実な体制を整備すること。
 センター方式による高度がん治療技術の開発と臨床応用を推進すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成  年  月  日

議  長  名

内閣総理大臣
厚生労働大臣