足立区一般会計補正予算案に対する反対討論 大島 芳江議員 |
ただいま議題となりました、第1号議案平成17年度足立区一般会計補正予算(第5号)、および第3号議案平成17年度足立区介護保険特別会計補正予算(第3号)につきまして、日本共産党足立区議団を代表して反対の立場から討論を行います。 この最終補正予算は、歳入歳出の執行状況を精査し、最終調整を行うもので、今年度を通じた鈴木区政の行財政運営がどのようなものであったのかが、端的に示されています。 平成17年度は、小泉内閣の下で所得税の公的年金控除の縮小、老年者控除、配偶者特別控除の廃止、定率減税の半減、介護保険のホテルコスト導入など大増税、負担増路線が、区民生活に大きな影響を与えた年です。 この税制「改正」は住民税でも行われ、区民の収入は伸びていないのに、配偶者特別控除の廃止でおよそ57000人が影響し、区は9億円の増収、均等割りの見直しではおよそ33000人が影響を受け、5000万円の増収となっています。区は、景気回復の兆しがあり、生活保護人員の増加率が鈍化したといって扶助費を9億8431万6000円減額していますが、福祉事務所での相談件数は16年度の7000件に比べ17年度8000件と前年を1000件も上回る状況となっています。 このように区民の暮らしがたいへんな時だからこそ、区民の暮らしを守る施策の実施が、区に求められています。 ところが補正予算審議の中で明らかになったように、一般金融機関から融資を受けることが困難な区民が、独立生計を立てるために必要な資金を貸してもらえると毎年100件以上の申し込みがあり、好評だった生業資金は、申込資格を非課税世帯に限定したため、借りたくても借りられない制度となってしまいました。年々申込者が減り、今年度は当初で12件しか見込んでいなかった予算に対して、現在までにわずか1件の貸付しかなく、1200万円を減額しています。70歳以上の一人暮らしなどの非課税者に電話の設置と基本料金を助成してきた高齢者福祉電話設置事業も、「介護度3以上の人」という条件をつけたため17年度当初で見込んだ510台を330台と激減させ、542万5000円減額しています。高齢者住宅改修給付事業も介護保険の「自立」の方を対象外にしたため、当初予算でこれまでより少なく見込んだ利用件数をさらに下回る見込みとなり、1941万8000円を減額しています。まさに区民の暮らしを守るべき自治体が、暮らしを支える制度を改悪し、対象となる区民を狭め施策から排除する、予算はあっても受けられない、このような事態を進行させていると言わざるを得ません。 また介護保険の改悪で、昨年10月から介護保険施設での食費や居住費が保険給付からはずされ、全額利用者負担となりました。区は、この制度改正で、各種介護サービスの伸びが低下していることを認めながら、ホテルコストや食費の支払いが大変という高齢者の声にも耳をふさぎ、負担軽減策を検討することもなく、保険給付見込額が減ったとして介護特別会計への繰出し金を2億9000万円余減額してしまいました。また、同時に介護保険特別会計では、高齢者の自己負担分が増えた分だけ保険給付費を削減できると17億円も減額し、重い負担を強いています。予算を減額するのではなく、負担軽減のために使うべきではないでしょうか。 お金がないのではありません。今回の補正予算を見ると、区民税の増収で3億5000万円余、三位一体の改革に伴う地方譲与税で9億円余、特別区交付金が42億8500万円余、公有地の売却などで5億6000万円余など70億円近くの新たな歳入があるのです。しかし、それを区民の暮らしを支え、切実な区民要求にこたえるために使うのでなく、日暮里・舎人線及び常磐新線建設資金積立基金に4億円弱、減債基金に34億円余など、この大半を基金への積戻しに充てています。さらに公共施設建設資金積立基金に10億円、財政調整基金に7億7000万円余、義務教育施設建設資金積立基金に30億円余、竹の塚鉄道立体化資金積立基金に50億円を新たに積み立てるなど、一気に138億円余も積み立て金を増やしていることは、余裕財源があることをはっきり示しているではありませんか。区の財政は豊かでも区民の暮らしはいっそう厳しくなっています。区民の暮らし第一に考える区政への転換を強く求め討論を終わります。 |
![]() |
![]() |