5、日本共産党区議団提出の意見書等

伊藤 和彦議員


A障害者自立支援法の見直しと当面の対策を求める意見書(案)

 4月から施行された障害者自立支援法は、実施後わずか1か月が経過した中で、不安が高まり、このまま推移すれば障害者施策が大幅に縮小せざるをえない懸念が広がっている。
 法の謳い文句は身体、知的、精神の3障害を統合することによって障害のある人が必要とするサービスを利用できるように仕組みを一元化したことなど積極面もあるが、利用する費用がこれまでの応能負担から応益負担になったことで、障害が重い人ほど負担が重くなり、「自立支援」どころか「自立阻害」になるなど弊害が大きく深刻な事態が生まれている。また、障害者施設の運営や事業者も採算が取れなくなるなど大幅な収入減によって施設運営の継続が困難な状況に直面している。さらに入所施設の概念がなくなり、「日中活動」と「住まいの場」の組み合わせに変わり、報酬減や各種加算廃止による収入が大幅に下がること、また、実際には土・日・祝日も障害者が生活しており、職員配置が必要なのにその分の報酬が認められないなど運営が困難となる報酬体系になっている。
 さらに手話通訳、ガイドヘルパー、小規模作業所などが地域生活支援事業に移行するが、国の予算額がかなり削減され、これまでのサービス水準が維持できるか不安を与えている。加えて障害程度区分認定基準について、訪問調査の聞き取りに基づくコンピューターによる一次判定と区の審査会の二次判定による障害程度区分の判定がおこなわれるが、一次判定は基本的に介護保険の要介護認定調査項目と同じであり、知的障害者や精神障害者については実態より低く認定されると懸念される。
 よって足立区議会は、このような実態が次々に生まれ、障害者とその家族に多大な不安を与えている障害者自立支援法を見直し、障害者の本当の自立を支える法律になるようにするとともに、当面の対策が講じられるよう求めて、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

障害者福祉制度と相容れない「応益負担」を撤回し、費用負担は「応能負担」の原則にもどすこと。当面、減免制度を大幅に拡充し、少なくともこれまでどおりのサービスが受けられるよう対策を講じること。
障害者施設の報酬単価を実態にあったものに改善し、施設運営が継続できるように見直すこと。当面、減収となる施設運営事業者に対する支援策を講じること。
入所施設の考え方をとらなくなったことにより、従来の入所施設は大幅な減収になるとともに、今後つくられる施設は入所を必要とする障害者の要請に応えられないものになろうとしている。入所施設の考え方を復活するとともに、当面、減収分の補填を行なう措置を講じること。
障害者の実態に基づいた正確な障害程度区分認定ができる仕組みにすること。
地域生活支援事業についてはこれまでのサービスが後退しないよう必要な予算措置を講ずること。

平成  年 月 日
議長名
内閣総理大臣 厚生労働大臣 財務大臣 衆議院議長 参議院議長     あて