7、付属資料
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区長あいさつ ○鈴木恒年区長 平成19年第1回足立区議会定例会をご招集申し上げましたところ、議員の皆様には、ご多用中にもかかわらずご参集をいただきまして、まことにありがとうございます。 開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。 1年前になりますが、私はこの場から「変革期こそ10年、20年先の長期的な展望を持ちつつ、区民のために責任ある区政運営を着実に推進していくことが最も重要である」と申し上げました。現在でもこの認識はいささかも変わるところはありません。むしろ、ますますその思いを強くしております。 振り返りますと、私が2期8年にわたり取り組んでまいりましたさまざまな施策、行財政改革、そして2次にわたる構造改革も、そうした視点からの取り組みでありました。 改めて申し上げるまでもなく、区民サービスの源泉は何と言っても財政状況にあります。その区財政は、歳入の約4割を財調交付金に依存し、歳出の約5割、1,000億円が民生費となっております。そして、多くの区民の生命を守る国民健康保険には、毎年100億円以上の赤字補てんを行っているのが現状であります。つまり、区財政の現状は、税収等の収入変動に対して、柔軟かつ臨機応変に対応することが極めて難しい構造となっております。 包括予算や行政評価の導入、さらには公共サービス改革へのチャレンジは、コスト感覚の組織への定着化や限りある経営資源の有効活用を最大限に図っていくための方策であります。 私の大きな目標でありました区財政の健全化を達成し、次に将来への備えとして、基金残高の回復を新たな財政運営上の目標として取り組んできたところであります。しかし、基金残高が回復してくると、そのことだけをとらえて「ため込み過ぎ」という批判も必ず出てまいります。基金と区債のバランスの23区平均値を当てはめますと、区の基金残高は980億円余となります。また、さきの「財務報告書」でお示ししました職員の退職給与引当金は400億円余となります。 こうした将来確実に支出しなければならない人件費や借入金の返済、さらには区民サービスに不可欠な施設更新の費用等を備えておくことこそが、将来にわたって住み続けられる足立区であるための、責任ある区政運営の礎であろうと思っております。私は、今、まさに「未来の区政に責任を持つ」ことの大切を実感しております。 平成19年度の予算編成に当たりましては、この間の議会からのご要望や依然厳しい区内経済の現状、そして地域の活性化に向けて、一時の空白をも生じさせてはならないという強い気持ちで取り組んでまいりました。こうした考えのもとに編成しました平成19年度の当初予算の規模は、一般会計で2,203億円、前年度より59億円、2.8%の増額となりました。義務的経費につきましては、扶助費が21億円増となったものの、人件費と公債費の減により前年度に比べ41億円、3.3%の減額となりました。また、投資的経費につきましては、公園や道路、土地区画整理事業の進捗の対応から277億円で、前年度に比べ63億円、29.6%の増額となりました。 3特別会計につきましては、国民健康保険特別会計が850億円と、前年度に比べ91億円、12.0%の増となりました。介護保険特別会計は331億円で、前年度に比べ34億円、11.3%の増、老人保健医療特別会計は436億円で、前年度に比べマイナス6億円、1.4%の減となっております。 区全体の予算総額は3,820億円で、前年度に比べ4.9%の増となりました。 次に、一般会計の概要についてでありますが、歳入につきましては、特別区民税が三位一体改革による税源移譲や定率減税廃止などの税制改正が主な要因となり、前年度に比べ68億円の増収を見込みました。同時に、地方譲与税、地方特例交付金が減収となります。財調交付金は、原資となる法人住民税の伸び率や基準財政需要額等を勘案し、29億円の増収を見込みました。 なお、平成19年度財調協議につきましては、去る1月31日の都区協議会におきまして、区側の配分割合を55%に変更することになりました。その内容は、三位一体改革の影響への対応として2%のアップ、そして都の補助事業の一部を区の自主事業に振りかえることで1%のアップといったものであります。あわせて、財調交付金のうちの特別交付金は、これまでの2%から5%に変更することになりました。今後は、55%という中期・安定的な配分率のもとで、区と都が協力して財調制度のより効果的な運用に努めつつ、それぞれが責任ある行財政運営を行っていくことが何より大切ではないかと考えております。 歳出では、2年目を迎えましたリーディングプロジェクト推進事業を充実するとともに、行財政運営方針でお示ししました重点項目、10項目につきまして、前年度を上回る予算配分をいたしました。 次に、分野別の主要事業でありますが、「魅力と個性のある美しい生活都市」の分野では、竹ノ塚駅付近鉄道立体化が、昨年末の財務省原案で連続立体交差事業の新規着工準備箇所として内示されました。区といたしましては、引き続き早期実現に向けまして10億円の基金積み立てを行うとともに、新規着工に向けた比較設計や関連事業計画の調査費等を計上すると同時に、関係各機関との連携を一層強化してまいります。 平成19年度開業予定の日暮里・舎人ライナーにつきましては、駅前交通広場の整備工事着手や沿線の自転車駐車場の整備経費を計上するなど、便利で快適な公共交通ネットワークの拠点を築いてまいります。 補助258号線の綾瀬車両基地への取りつけ道路工事の推進、並びに平野三丁目地区の整備工事に着手するととにも、綾瀬川架橋のための用地取得経費を新たに計上いたしました。また、補助138号線の用地取得を進めるとともに、千住大橋駅周辺の足立区画街路第11号線の整備負担金を計上いたしました。 公園等の新設事業では、(仮称)新田公園の用地購入費といたしまして54億円余を計上いたしました。 建築物の耐震化につきましては、平成19、20年度を区の耐震促進強化期間と定め、木造住宅、共同住宅の耐震診断費用助成、及び、木造住宅耐震改修工事費用の助成を拡充するとともに、分譲による共同住宅の耐震改修工事費用の助成を新たに行ってまいります。 「自立し支えあい安心して暮らせる安全都市」の分野では、子育て家庭の経済的負担を軽減するため、入院医療費助成を中学3年生まで拡大するなど、子ども医療費助成制度の充実に努めるとともに、中学生以下の子どもを養育する世帯及び妊婦のいる世帯に対し、区内協賛店舗で5%の割引サービスを実施する(仮称)子育て支援パスポート事業を立ち上げてまいります。 平日夜間小児初期救急診療施設の設置に向けまして、引き続き足立区医師会等との調整を図っていくとともに、生後3カ月までの乳児のいる全家庭を訪問し、健やかな子どもの成長発達を支援する「こんにちは赤ちゃん訪問事業」を新たに開始いたします。 保育園待機児童の解消と保育サービスのさらなる充実に向けましては、認証保育所の増設、家庭福祉員の育成等を進めてまいります。とりわけ、認証保育所等利用者への新たな助成制度として、月額1万円の補助を行うとともに、私立幼稚園等に通園する園児保護者の経済的な負担を軽減するために、所得に応じて入園料補助金を最高10万円に増額するなど、総合的な子育て支援の充実を図ってまいります。 また、特別養護老人ホームや障害者入所施設等整備助成を引き続き行うとともに、健康な高齢者をたたえる「健康高齢者表彰事業」を開始いたします。 環境施策では、「第二次足立区環境基本計画」を策定するととにも、おもちゃトレード事業の開始やペットボトル自動回収機を今年度の16カ所から30カ所にふやすなど、足立エコネット事業を拡充してまいります。あわせて、環境家計簿のウェブ版の普及にも努めるなど、資源循環型社会の一層の推進を図ってまいります。 災害への対応、防犯への取り組みといたしましては、首都直下地震の発生に備えるため、災害時要援護者への支援体制の整備や災害時トイレ対策の推進などの対応事業を進めるとともに、区の災害対応能力の向上のため、災害情報システムや計測震度計などの更新経費を計上いたしました。また、引き続き地域の防犯対策支援事業にも力を入れてまいります。 「人間力と文化力を育み活力あふれる文化都市」の分野におきましては、平成19年度に町会・自治会連合会が創立50周年の節目の年を迎えます。区では、地区町自連を地域分権の包括コミュニティーの単位として、その活動や運営への助成、さらには地区町自連が提案する事業への助成を行うなど積極的に支援していくとともに、町会・自治会館の整備に対する助成金の上限を1,000万円まで拡充してまいります。 教育関連では、わかる授業を推進するためのステップアップ講師の増員や、夏休みなどの長期休業期間における予備校等を活用した補習講座の実施、さらには、がんばる学校支援と特色ある学校づくり予算の充実など、学力向上に向けた取り組みを推進してまいります。あわせて、夏の暑さ対策や学力向上の観点から進めてまいりました普通教室へのエアコン設置を小学校にも拡大してまいります。これによりまして、小中学校のすべての普通教室へのエアコン設置が完了いたします。 また、子どもたちの安全・安心な居場所としての「放課後こども教室」をモデル実施いたします。放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用しまして、地域の皆さんのサポートを中心に運営してまいります。 学校改築関連では、校舎一体型の新田小中一貫校の建設を引き続き進めると同時に、新たに西新井小学校及び中川小学校の改築・改修に着手してまいります。 なお、平成19年度は、区における施設更新の実質的なスタートの年であり、公共施設再配置審議会の答申を踏まえまして、公共施設の配置計画を策定してまいりたいと考えております。 文化芸術関連といたしましては、学校芸術鑑賞教室で夏目漱石の「坊ちゃん」を上演するとともに、東京藝術大学との研究委託連携事業を充実いたします。 産業経済関連では、「創業するなら足立区で」を目標に、資金とノウハウの両面から計画の段階に応じた強力なサポートを行うための「スタートアップビジネス助成」を始めるとともに、創業支援塾や創業支援パッケージ事業を引き続き展開してまいります。あわせて、ハローワーク足立や東京しごとセンター等と連携し、若年者や高齢者、子育て中の女性の就労支援事業を実施するとともに、あだち若者サポートステーションでのニート、フリーター支援を強力に推進してまいります。 「自己進化する協働型自治体」の分野では、新たに協働推進室を設け、プラットホーム型オフィスを開設して協働情報の収集・提供や協働コーディネートを行ってまいります。 また、区民の顧客満足度、サービスアップの向上を目指し、土日・夜間も対応するコールセンターを開設してまいります。 以上が、平成19年度予算編成の特徴であります。 次に、平成18年度最終補正予算案について申し上げます。 今回ご審議いただきます補正予算は、一般会計が70億6,000万円余の増額補正であります。国民健康保険特別会計は19億6,000万円余の減額補正、介護保険特別会計は1億1,000万円余の減額補正、老人保健医療特別会計は3億3,000万円の減額補正であります。 以上、平成19年度当初予算案及び平成18年度最終補正予算案につきまして、ご説明をさせていただきました。 なお、今回ご提案申し上げます議案は52件、諮問1件、報告3件であります。各議案の提案趣旨につきましては参与より説明をいたさせますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願い申し上げます。 終わりになりましたが、平成19年度は、区長会を中心に、都区のあり方が本格的に検討されます。また、地方制度調査会の答申を受けた地方自治法の改正に基づく副区長制につきましても今回ご提案申し上げておりますが、今後も地方行財政制度の改革はさらに進むものと思われます。 私は、残された任期の中で、こうした改革に全力を挙げて取り組み、足立区政のさらなる進展に努めてまいりたいと考えておりますので、区議会の皆様方の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。ありがとうございました。 |
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