9、付属資料

A区長あいさつ

○近藤やよい区長 平成20年第1回足立区議会定例会の開会に当たりまして、所信の一端を申し上げます。
 私は、昨年の8月に通達した行財政運営方針の中で、「当区においては、今後とも慎重な行財政運営をせざるを得ない状況にある」と申し上げました。その後の我が国の経済動向を見ますと、アメリカのサブプライムローン問題をきっかけとした金融不安の世界的広がりにより、経済成長率の減速が懸念されるような状況となっております。
 一方、国政では、道路特定財源の取り扱いに関し、極めて厳しいやり取りがなされております。この動向如何によっては、まだまだ立ちおくれている我が区の道路整備やまちづくりを初め、竹ノ塚駅付近連続立体交差事業にも深刻な影響が及ぶものと考えております。そこで、既に特別区長会を通じ、政府与・野党に対し、「道路整備財源の確保に関する要請」を行ったところでございます。
 このような状況をかんがみますと、改めて世界規模での経済動向や国、都における税財政制度を踏まえた的確な財政運営が不可欠であると確信しているところでございます。
 したがいまして、私にとりまして初めての編成となります平成20年度予算は、あれもこれもと手を広げるよりも、的を絞り、足立区のマイナスイメージを払拭するとともに、持てるよさを最大限に引き出し、活用することに力点を置いて編成することに心を砕きました。行財政運営方針では、九つの項目について重点的に取り組むことをお示ししましたが、その中でも特に「子ども施策」「環境施策」「治安回復施策」の三つの施策につきまして、集中的に行財政資源を配分してまいりたいと考えております。
 まず、子ども施策でございます。
 昨年末に子ども・家庭担当の副区長をトップとする庁内横断的推進会議を設置いたしました。ともすれば区教育委員会と区長部局間の連携が十分ではなかった嫌いもございますので、今後はこの推進会議の中で、子どもの成長を支えるための施策の内容を徹底的に議論し、それを区として一体的かつ総合的に展開していかなければならないと考えております。
 学校は学ぶ場所である以上、必要な学力を身につけさせることは最重要課題ではございますが、子どもにとってもっと幅広く楽しめる場所、憩える場所となるよう施策を強化することで、子どもの居場所を確保し、足立の子どもたちがたくましく、生き生きと育っていく場所として学校を活用していきたいと考えております。その第一歩として、小学校における放課後の全児童対策として「あだちキッズぱれっと」の拡大展開、中学校の図書館の放課後開放、「おいしい給食日本一」に取り組む一方、小中学校のクラブ活動等を含めた特色ある教育活動の充実支援策も講じることといたしました。
 また、「汚い、暗い、くさい」と補修・改修の要望の強い学校のトイレにつきましても、実情を把握した上で対応する予算を確保いたしました。
 一方、小中学校の校舎・体育館の耐震補強工事、公園遊具の補修、入れかえにも計画的に手厚い予算措置を行い、子どもの安全・安心の一層の確保に配慮したところでございます。
 次に、環境施策についてでございますが、京都議定書の第一約束期間の1年目に当たる本年、既にEUではCO2 が市場取り引きされるなど、温暖化に対する地球的規模の取り組みが一層進んでまいりました。
 当区では、本年4月にも「第二次環境基本計画」を発表いたします。一人でも多くの区民の皆様が、たとえ小さなことでも、身近なところから具体的な行動を起こしていただけるよう、「1人の100歩より100人の1歩」を合言葉に、さまざまな施策を重層的に展開し、普及啓発に一層力を入れてまいります。
 区民の皆様方を巻き込むには、まず私ども区役所が本気で取り組み率先垂範することが、何よりも大切であると考えております。そこで、区主催のさまざまな行事を環境負荷の観点から徹底的に見直すとともに、各所管に配置しております温暖化対策推進員制度を副区長をトップとする「庁内環境対策会議」に格上げし、一層の職員の意識啓発を進めてまいります。
 また、自然環境につきましては、四方を川に囲まれ公園が多いという、都心区にはない当区ならではのよさを、区民の皆様が日常生活で十分実感できるよう、地域の皆様と手を組んで、水辺空間や個性豊かな公園の整備などに力を入れて進めてまいります。
 次に、治安回復施策でございます。
 徐々に整いつつあるさまざまな社会基盤を最大限に活用して、今後さらににぎわいや活気のあるまちづくりをしていかなければならないことは、いまさら申すまでもありませんが、その大前提は犯罪の少ないまちの実現、つまり、安全・安心の確保であると考えております。たとえ自転車盗が3分の1を占めるとはいえ、刑法犯認知件数都内ワーストワンがいつまでも続くようでは、健全なまちのにぎわいは生まれてきません。そこで、区民の皆様一人一人に足立区の安全を取り戻そうという意識を持っていただくきっかけづくりの工夫が「ワンチャリ・ツーロック作戦」なのです。
 また、単に治安回復だけの単発的な取り組みにとどまらず、駅前を中心とするポイ捨て、歩行喫煙に対する路上喫煙防止指導員の配置拡大、放置自転車対策の強化、緑や花をふやすことによって清潔で整然としたまち並みを生み出し、「犯罪を起こしづらい街」づくりを目指してまいります。
 ジュリアーニ前ニューヨーク市長が「ブロークン・ウインドーズ」ならば、足立区は「ビューティフル・ウインドーズ」といきたいものでございます。
 さて、本年4月からは、保健と医療の新たな仕組みとして、国民健康保険加入者に対する特定健診・特定保健指導と後期高齢者医療制度がスタートいたします。特に特定健診・特定保健指導は、生活習慣病の予防と生活習慣の改善を通じた健康増進を目的としております。病気を発見するための健診ではなく、病気を未然に防ぐための特定健診は、区民一人一人の自覚と一定の負担によることが前提と考えております。
 しかしながら、特定健診等の実施に当たりましては、区議会各党から区民の皆様の負担軽減について強いご要望をいただいており、また、形成途上の制度でもあることから、当面の間、自己負担をちょうだいしないことといたしました。できる限り多くの区民の方々が特定健診等を活用して、みずからの健康づくりと生活習慣の改善に努めていただきたいと考えております。
 「にぎわいだ」「活気だ」と申しましても、あくまでもその主役は区民の皆様です。「近き者喜びて遠き者来る」、そこに住んでいる人がまず幸せを実感することができなければ、何の意味もありません。たとえわずかではあっても、確実な変化を実感していただき、それを区政に対する期待に変えることができれば、区民の皆様との協働も、より一層進むものと考えております。平成20年度はその突破口を開く年度と位置づけ、「チーム足立」はさらにパワーアップして、区民の皆様の負託にこたえてまいりたいと考えております。
 なお、各部の運営方針や事業の実行・実現方法についての各部長との約束であるインナーマニフェスト事業予算についてでございますが、「こども」の分野では、学校関連施策、小児医療施策など36億円余、「くらし」の分野では、安全・安心施策、環境施策、産業施策など12億円余を計上いたしました。また、「まちづくり」の分野では、学校の耐震補強や建築物耐震化施策、竹ノ塚駅付近の鉄道立体化や北千住駅東口開発など36億円余、「行政改革」の分野では、発生主義会計に向けた財務会計システムの開発経費など1億円余を計上いたしました。
 次に、基本計画の見直しについてでございますが、現行の基本計画は平成17年度から平成24年度にかけての8年間の計画となっておりますので、中間年度に当たる平成20年度は、基本計画の見直しの年度に当たります。計画を策定し、3年間が経過した現在でございますが、振り返りますと、この間、つくばエクスプレスの開業、本年3月30日に開業を迎える日暮里・舎人ライナー、二つの大学の開学、大規模工場跡地の開発など、足立区のイメージを大きく変化させる契機となり得るプロジェクトが進展いたしました。 また、福祉分野でも、待望の障害者入所施設、4カ所の特別養護老人ホームが開所いたしました。子ども施策では、子ども医療費助成制度の拡充、平日夜間小児初期救急診療の実施、全小中学校へのエアコン設置、ステップアップ講師やスクールカウンセラーの配置などにも取り組んでまいりました。
 これらの成果を踏まえまして、今後は、新しい施策や事務事業の目標設定などの見直し作業に取り組む必要がございます。協働推進室を設置いたしましたが、「協働で築く力強い足立区」の新しいステージの構築、今後の公共施設のあり方、施策推進を担保する財政フレームの見直しなどが具体的ポイントと考えております。一定の節目におきまして、議会の皆様にもご報告申し上げ、ご意見をちょうだいできればと考えております。
 最後に、「学力向上に関する総合調査」における不適切な行為が発覚した後の不十分な調査や対応により、区民の皆様からの信頼を失墜したことに対し、区政のトップとしての責任を大変重大に受けとめ、給料の減額をすることといたしました。
 また、外部委員による「職員の不祥事根絶対策懇談会」において、職員による相次ぐ不祥事の原因究明、及び再発防止策等を検討いただいておりましたが、先日、提言をちょうだいいたしました。今後は、この提言をもとに具体的内容及び手法等の検討を行い、可能な限り早期に不祥事の再発防止策を実施し、信頼回復に努めてまいります。
 次に、平成19年度最終補正予算について申し上げます。
 今回ご審議いただきます補正予算は、一般会計が37億3,000万円余の増額補正でございます。国民健康保険特別会計は12億6,000万円余の減額補正、介護保険特別会計は17億1,000万円余の減額補正、老人保健医療特別会計は11億6,000万円余の減額補正でございます。
 以上、平成20年度当初予算案及び平成19年度最終補正予算案につきまして、ご説明をさせていただきました。
 なお、今回ご提案申し上げます議案は56件、報告4件でございます。各議案の提案趣旨につきましては、参与より説明をいたさせますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願いを申し上げます。