○大島芳江議員 私は、日本共産党足立区議団を代表し、質問をいたします。
質問に入る前に、このたびアメリカ合衆国で起きた同時多発テロ事件で犠牲になった人々に、心から哀悼の意を表したいと思います。本共産党は、人命を無差別に奪うテロという行為を絶対に許しません。私たちは、強い怒りを込めて、このテロを糾弾するとともに、この真相究明とテロの根絶に向け、軍事力による制裁や報復ではなく、法と理性に基づく解決が図られることを求めます。
それでは、質問に入ります。
まず最初に、区長の行財政運営方針(依命通達)について伺います。
区長は、区政、財政、社会の三つの構造改革の実施で、自治体再生に挑戦すると述べました。また、国や都も、既にこの改革に立ち上がっているとして、区も国や都と同じ方向を向いた改革を断固として進めることを宣言しています。
小泉流構造改革とはどのようなものでしょうか。6月に出された骨太方針の中心は、不良債権の早期最終処理です。不良債権処理対象となる破綻懸念先などの債権は、不況の痛みに耐えて必死に働いているまじめな中小企業のものが大部分です。このような中小企業に対して、融資を打ち切り、担保を回収することは息の根をとめることにほかなりません。小泉首相も、生き残れない企業が出てくることを否定しませんでした。このまま不良債権の最終処理を強行すれば、30万社が倒産し、100万人を超す失業者がまちにあふれるという民間調査研究機関の見解もあります。小泉内閣は、中小企業の大規模な倒産と失業を進める不良債権処理を構造改革の目玉政策として推進するというのです。
また、政府は、2年以上連続して消費者物価が下落していることをとらえ、デフレ状態と言っていますが、その内容は、激しいコスト削減で賃金引き下げやリストラなど、労働者に犠牲を強いながら安売り競争が進む、社会保障の切り下げにより将来不安が増大する、その結果、国民の購買力は一層低下し、さらに物価が下落するという悪循環に陥っているということです。このデフレ状態を脱却するには、個人消費の拡大が何よりも重要で、消費税減税はデフレに対応する最も即効性のある重要な政策と考えます。
ところが、政府は、反対に消費税を基幹税と位置づけ、増税のねらいを鮮明にしています。ことし5月、塩川財務大臣は、3年後以降には税の増収を図っていかなければならず、その増収分については消費税が大きい財源になると答弁し、竹中経済財政担当大臣は、消費税は最低でも14%が持論です。さらに、連続する医療改悪など、社会保障を後退させ、地方分権で国の責任はあいまいにして、仕事けは自治体にゆだねるという古い従来型政策の一層の徹底です。
また、石原都政の財政再建プランは、シルバーパスの全面有料化、お年寄りの命綱となっている医療費助成制度や老人福祉手当の段階的廃止など、福祉の切り捨てで都民の将来不安と困難を一層ひどくしています。
区長も、このような区民に痛みを押しつける改革を進めようというのか、お聞きします。
小泉改革の医療改悪は国民に激痛を与えるもの
痛みを伴う小泉流構造改革は、国民の命と暮らしに直結する医療や社会保障の分野でも例外ではありません。みずから厚生大臣のときに、今日につながる医療改悪のレールを敷き、97年には健康保険本人負担を1割から2割に引き上げ、来年度から3割に引き上げる方針を示しました。
また、お年寄りには、介護保険の導入とともに、ことし1月からは医療費の1割負担を強い、さらに老人医療制度の対象年齢を現行の70歳以上から75歳以上に引き上げようとしています。これによって、70歳から74歳までの患者負担は現行の1割から3割に引き上げられることになります。
医療保険は、病気にかかったときに、お金がなくても安心して必要な医療が受けられるという、いわば命綱とも言うべきものです。このような国民負担増は、一層の受診抑制を引き起し、病気の早期発見、早期治療を困難にし、逆に病気の悪化、進行を招き、社会的コストを引き上げるだけで、区民の命と健康への影響ははかり知れないものがあると考えます。
区長は、このような医療改革についてどのように考えるのか。また、区民の不安を解消し、命と健康を守る自治体の長として、国に対し、医療改悪反対の意見を上げる考えはないか、伺います。
先ほども述べましたが、小泉内閣が不良債権処理を強行すれば、大倒産と大失業をもたらすことが十分予測されます。7月の完全失業率が過去最悪の5%、330万人と発表されましたが、これに追い打ちをかけるように、企業利益はため込みながら、東芝やソニー、富士通など、大企業が相次いで空前のリストラ計画を発表しました。読売新聞の大手30社のアンケート調査では、16万人もの方がその対象とされています。
自民・公明政権は、リストラをやった企業には税金をまけてやるというリストラ応援の法律、産業再生法をつくりましたが、我が党は、このような法律や政策を改め、解雇を規制する法律をつくって、新たな失業者を出さない対策をとることが重要だと考えます。同時に、今日の深刻な失業、雇用情勢のもとでは、雇用をふやす対策の一つとして、直接失業者を就労させる公的就労対策も強く求められています。
99年秋から実施されている緊急地域雇用特別交付金事業は今年度で終了しますが、この事業は、次の就職先が見つかるまでのつなぎ就労として活用されており、雇用をふやす目標30万人に対して、ことし5月末で実績は23万人となっています。
足立区でも、この交付金を利用した事業を効果的に活用しようと今回の補正予算にも盛り込まれていますが、この事業の継続と改善を求める声は大きいものがあります。予算を大幅にふやし、委託中心ではなく、自治体が直接実施できるものにし、最長6カ月、就労機会は1回だけという規制は外すなど、事業の改善を図ることが求められます。
新たな雇用創出のために、特別交付金事業の継続と改善を国に要求する考えはないか。また、区としても、これまで行ってきた事業を区の独自事業として見直し、雇用を広げる事業の開拓を進めるとともに、雇用確保に全力を挙げる考えはないか、伺います。
債務保証融資の実施をせまる
また、中小企業支援も切実な課題となっています。ある縫製業を営む方は、仕事が激減し、信用金庫から借りた融資の返済に苦慮していました。何度も条件変更の相談をしている間に懸念先と見られ、保証協会の代位弁済の話にまで進んで、このままでは商売が続けられないという状況に追い込まれてしましました。いま、将来に不安を抱える業者の間では、条件変更の先には死が待ってい
るということまでささやかれているそうです。
中小企業を応援する自治体独自の融資制度の拡充が求められています。区が損失を補償する融資制度を実施する考えはないか、伺います。
次に、区長の掲げる改革では、主権者である区民を顧客と位置づけ、企業利益第一に考える民間経営手法を導入し、民活の全面的採用や協働という名で、区民やボランティア、NPOまで行政の一端を担わせるという徹底した民活路線を進もうとしています。
しかし、自治体の長として、いつも区政の中心に置かなければならないのは、区民のニーズであり、住民の命と暮らしを守るという自治体の使命です。区長の改革の方向は、区の責任をあいまいにして、公的責任を一層後退させるものではないか。また、区の改革方針は、国や都の改革方針に追随するもので、区民の実態から出発し、区民の暮らしを第一に考えるという自治体本来の役割の方向とは逆の区民の顔が見えない改革と考えるがどうか、答弁を求めます。
次に、国は、来年度予算概算要求基準で国民向けの予算の一律10%カットを打ち出し、都も依命通達で都民向け施策の10%カットを打ち出しました。
来年度予算で区民生活を支える予算編成を
区も、平成14年度予算編成方針で、臨時的な財源対策に要する経費を除き、対前年度比マイナス5%とするとし、新規事業についは原則として既存事業の廃止、縮小、事業手法の変更など、徹底したスクラップ・アンド・ビルドで事業の再構築を図るとしています。しかも、これまでの成果は、緊急避難的なものであって、財政構造そのものの改善には至っていないと述べ、財政運営の改革とあわせて官活の選択的採用と民活の全面的採用で構造改革を進めていくと宣言しています。
また、実質単年度収支の赤字解消を最大の目標にして財政健全化計画を進めていますが、そこに焦点を合わせれば、前年度より黒字の幅と積立金をふやそうとしていることは明らかです。これまでも、区民の暮らしにかかわる一般事業は財政健全化計画どおり削る一方で、公共事業がひしめく計画事業を削る目標は事業調整程度と、区民へのしわ寄せが大きかったと言わざるを得ません。
我が党は、区の財政力からいえば、いまでも区民の切実な要求にこたえられるだけの余力は十分にあるということを財政の裏づけも示しながら繰り返し主張し、予算修正などでも明らかにしてまいりました。景気の一層の悪化、国や都の悪政の影響で区民の暮らしが脅かされているときだからこそ、破綻した2・2・2住宅プランなど、むだな公共事業をまず徹底して削減し、積立金の積極的な活用などで区民の暮らしを応援する予算にすべきと思うがどうか、答弁を求めます。
次に、補正予算について伺います。
今回の補正予算は、平成13年度都区財政調整交付金の区別算定が決定し、当初見込みより18億円の増となったことを含め、一般会計では55億6,900万円余という大型の補正予算となりました。このお金は、不況や福祉の切り捨ての中で必死に頑張っている区民の暮らしを応援する予算に使うべきです。
区も、緊急施策に絞り込んだと言っていますが、提案されている緊急策は、毎年実施している年末融資や緊急地域雇用特別交付金を使った雇用対策、大阪の池田小学校で発生した殺傷事件を教訓にした非常通報体制の整備など、あわせて10億2,000万円弱です。予算の実態は、公園用地購入費37億7,000万円などの投資的経費や学校統廃合のための積立金13億円などで、補正予算後の性質別構成は、投資的経費のみが増加し、他の経費はいずれも減少する開発型の予算となっています。大型予算であるにもかかわらず、区民生活支援のための必要な施策が極めて少ない、冷たい予算となっています。不況の中だからこそ、区民生活応援の予算に組み替えることこそ求められています。
このような中で、この10月からは、65歳以上の介護保険料の満額徴収が始まり、年間の保険料負担は昨年の3倍にふえ、高齢者の生活を直撃します。厚生労働省の調査でも、現在の半額の保険料でも44%の人が負担が大きいと感じています。住民税非課税者や、わずか月額1万5,000円の年金からも保険料を天引きするなど、国民の生存権にかかわる大きな問題です。
区民の高齢者福祉サービスに対する苦情等を公正な立場で迅速に処理することを目的として設置された区長の附属機関である高齢者福祉サービス苦情等解決委員会が、この1年間に寄せられた苦情、相談の内容や実態把握アンケート調査の結果を分析し、ことし6月、平成12年度の年次報告「足立区介護110番」を発行しました。
介護保険料の減免制度を
これによると、介護保険支援センター職員の8割が高齢者がサービス利用を手控えていると感じており、その理由として、経済的負担感とサービスを受けることへの心理的抵抗感を上げています。
このことは、介護保険特別会計の介護給付サービス費が41億円も不用になったことにもあらわれています。介護を必要としている高齢者が、保険料や利用料の負担の重さから十分なサービスを受けられない実態は、社会的介護の実現という法の趣旨から大きく外れることになります。
保険料の軽減を国や都に要求するとともに、9月補正で区独自でも行うべきと思うがどうか、答弁を求めます。
この介護サービス実態把握アンケートによりますと、家族負担が軽減されない理由の第1位が経済的負担の大きさです。また、区に期待していることの中には、他市町村では介護保険の利用料を全部3%にしたとか、足立区も実情に合わせてこのようなことを考えてほしい、低所得者対策として特別対策の継続と新たな対策を考えてほしいなど、切実な声も書き込まれています。
また、経済的負担を恐れて介護サービスを手控えたり、選択肢を狭めたりする高齢者の存在を明らかにしています。10月からの保険料の増が、利用料の負担をあわせて要介護者に一層重い負担となることは明らかです。区民の声にこたえ、利用料の負担軽減を行うべきと思うがどうか。
いま、都の老人福祉手当は、介護保険料や利用料、不足する介護サービスを補うために使われ、寝たきりのお年寄りや家族にとってもまさに命綱となっているのが実態です。苦情等解決委員会の改善のための提言の中には、介護保険でカバーできない介護サービスについては公的な支援を考えざるを得ないことを指摘しています。いま、この手当が段階的に削減されている中で、せめて老人福祉手当受給対象者に手当に見合う負担軽減策やサービスの提供ができないか、答弁を求めます。
東京都は、都民の強い要求で、この10月から、乳幼児医療費助成制度の対象年齢を就学前まで引き上げ、所得制限も軽減しました。こうした制度の拡充は、子育て家庭に大きな激励となっています。しかし、所得制限があることは一定の格差が生じることになります。
足立区議会も、平成5年(1993年)12月、都知事に対し、助成対象の引き上げとあわせて所得制限の撤廃を求める意見書を全会一致で提出したという経過もあります。子育て家庭の格差をなくし、どの子もひとしく医療が受けられるように所得制限は撤廃すべきです。
今日では、全国すべての自治体が何らかの乳幼児医療費助成制度を実施しています。そして、いま、国の制度としての実施を求める声が強まっています。こうした動きを踏まえ、ことし6月22日の参議院本会議で、少子化対策推進に関する決議が行われ、乳幼児医療費の国庫助成等、出産、育児に係る経済的負担の軽減を重点的に取り組むべきと言っています。
足立区では、吉田区政の時代に、既に就学前まで乳幼児医療費助成制度を実施し、段階的に所得制限を撤廃するという方針を持ち、現在では4歳未満児まで全員この制度を受けられています。今回、東京都の制度拡充で、区の財政負担も軽減され、1億1,000万円あれば、10月から就学前まで所得制限なしで実施することができます。子育て支援の立場から、区独自で所得制限を撤廃
すべきと思うがどうか、伺います。
鈴木区長のもと、ことしから、生業資金の貸付対象を住民税非課税世帯以下に限定するという大変厳しいものにしました。これまで、毎回、17から18件の申し込みがあったのに、ことし4月には3件、7月には7件と、申込件数が激減しました。
区は、生活保護からの脱却、あるいは、保護を受けないために貸し付ける資金という生業資金本来の福祉目的に戻したといいますが、一般金融機関から融資を受けることが困難な区民に対し、この資金を貸し付けることで、経済的自立と生活の安定を図ることができるようにすることがこの貸し付けの目的になっています。同じ福祉目的を言うのであれば、社会福祉協議会の福祉資金の貸付対象でさえ、非課税世帯に限定するなどという冷たいやり方はしていません。
区長は、掲げた公約の直貸し融資のイメージは生業資金だったと言いながら、直貸し融資は既に断念し、生業資金も大幅に借りにくくする。これで、どうして中小零細業者を支援していると言えるでしょうか。不況の中で必死に頑張っている低所得者の業者を支援するためにも、資格要件をもとに戻す考えはないか、伺います。
学校選択の自由化で教育はよくなるか
次に、学校選択の自由化について伺います。ことし1月、学校選択の自由化懇談会は、教育長から検討を依頼されていた学校選択制度の導入に伴う具体的な方策や条件整備などについての報告書を提出しました。これを受けた区教育委員会は、3月8日、区立小・学校の学校選択制度導入を決定し、来年度入学する新1年生から希望する学校を選ぶことになりました。
我が党は、本来、国民の教育権から見ると、学校の選択は尊重されるべきものと考えます。これまでも、障害を持つ児童、生徒やいじめを受けた場合など、子どもの状況に応じて弾力的に指定校を変更することで学校を選択することができています。
しかし、今回は、このような限られた要求からではなく、来年から入学するすべての子どもが対象となります。学校を選択させることで、学校間を競い合わせ、子どもを一層競争教育に追い込み、公教育の性格をゆがめ、小学校から学校間格差、序列化を進めるのではないか。地域に開かれた学校づくりを進めているのに、子どもと地域、学校の結びつきが困難になるのではないか。また、この自由化を進めることによって、過大規模校や過小規模校をつくり出し、学校統廃合を推進していくのではないかなど、子どもと教育についての矛盾が拡大していくことへの警告も発せられています。
我が党は、学校選択の自由化については、当面、その是非を含めて、広く区民の中で議論を起こすことが必要との見解を示してまいりましたが、区民的な議論をする間もなく、6月には第1回の学校公開が実施され、第2回の公開を経て、希望する学校を選択することになります。来年入学対象となる父母の間からは期待と不安の声が上がっています。
そこで、質問いたします。
区民や保護者の間で、学校選択の自由化について何の議論もされないまま、なぜこれほど急いで実施しなければならないのか。また、学習内容や部活動など、特色ある学校が選べる、友達関係を考えて選べる、子どもに合った教育が期待できるという声がある一方で、学校と地域の連携、親同士のつながりが困難になる、勉強のできる学校とそうでない学校との格差ができる、生徒が集まらない学校はだめな学校というレッテルが貼られ、子どもの気持ちを傷つける、学校統廃合につながり、地域の学校がなくなるという不安の声もあります。この不安に、区はどうこたえようというのか、答弁を求めます。
いま、保護者が望んでいる学校は、子どもたちにしっかりとした学力をつけられる学校、いじめのない、落ちついた学校、クラブ活動、教育活動などに熱心に取り組んでいる学校ではないでしょうか。このことは、ことし3月議会での我が党の小野議員の質問でも取り上げましたが、民主教育研究所が足立区の子どもや親、教職員に行ったアンケート結果でも、もっと基礎学力をつけてほしい、いじめのない自由で楽しい学校を、そのためにも学級の人数を少なくして、それがそれぞれ第1位になっていることにも明らかです。
40人学級は変えず、授業時間数に比べて教える内容が多く、わからない子をそのままにしてスピード授業を進めざるを得ない現状では、どの学校を選んでもこの点は変わりなく、保護者の願いにこたえられるとは言えません。
また、学校を選ぶのは、学校の個性(特色)を選ぶのだから、学校に個性(特色)がなければならないと特色ある学校づくりが強調されています。しかし、その特色が子どもにとってよい特色なら、他の学校にも広めるのが当然であって、そこに格差をつくって学校間で競争をさせ、学校の格差や序列化をもたらすべきではないと思うがどうか、
答弁を求めます。
また、全校の子どもたちの顔も名前も覚えられ、一人一人の子どもにしっかりかかわり、教えることのできる小規模校のよさも特色の一つではないでしょうか。学校統廃合計画を前提にして学校を選ばせることは、学校の教育方針や理念を理解したとしても、やがてなくなってしまう学校ということで、最初から親の選択肢から外れることになれば、区の言う自由な選択を妨げる結果となりま
す。この点からも、学校統廃合計画は白紙に戻すべきと思うがどうか、答弁を求めます。
学校施設の豊かさ、設備条件がよいという教育環境も、学校を選択する条件の一つとなっています。学校の改修時期は、当然、学校によって違いますが、基本的にはどの学校に行ってもひとしい教育環境が整っているということでなければ、選択時の平等性に欠けてしまうではありませんか。学校選択の前にすべきことは、いま、学校から出されている施設の改善要求など、教育環境の整備が図られることだと考えます。
ことしは、例年にない猛暑が続きました。学校の鉄筋校舎は熱を蓄え、教室いっぱいの子どもたちの体温で気温は一層上昇し、時には40度近くまで上がったという話もあります。子どもたちは、ぐったりとして、勉強どころではなく、熱中症の心配さえありました。クーラーの設置されている学校とそうでない学校では、この暑さの中での学習への集中の度合いも大きく違ってきます。
いま、緊急要求となっている子どもたちの学ぶ教室に計画的にクーラーを設置する考えはないか。また、トイレの修繕、換気扇の設置を行う考えはないか、答弁を求めます。
最後に、本庁舎跡地利用について伺います。
旧本庁舎跡地は当面、暫定利用の拡大で
昨年12月、本庁舎跡地の開発に関する事業プロポーザルの第1次審査で入選した4案についての第2次応募提案がことし11月12日に行われますが、第1次応募のときと比べると、足立信用金庫の共同ビル方式からの撤退や、産業振興センターの専用面積を4,200平方メートルから2,560平方メートルと4割も縮小し、テナントではなく、区みずから所有する買い取りに変更することなど、その条件設定は大きく変わりました。
もともと、このプロポーザルは、単なる施設の提案ではなく、施設の企画、設計、建設、維持管理、運営、資金調達まで、事業者みずから行うという自由な提案を求めています。区は、産業振興センターを施設の中に導入することや定期借地権を設定するという幾つかの条件を示しただけで、事業者に貸す区有地の権利金の設定も、地代も、公共施設の賃貸料も、すべて提案者である民間事業者に決めさせるという民間企業主導のものでした。民間企業が、みずから手がける事業で、より多くの利益を上げ、もうけることを最大の目的として事業展開を考えるのは当然のことです。
区は、提案の実現性、事業リスクに配慮し、詳細に検討する、地代、権利金については提案者の案を一方的に採用するものではないと答弁しています。しかし、厳しい財政事情の中では、民間活力を利用することが不可欠という民間に依存する立場に立ち続ければ、区の主体性が発揮されず、区民の利益のために区民の財産をいかに活用するかということよりも、民間企業のためにもうけを
保証する条件をいかに区が整えるかということになるのではないか、伺います。
次に、区が設定権者となる定期借地権について伺います。
区は、事業破綻の責任と対策の主体とならないよう、基本協定に明記すると答弁しています。しかし、区は、地主であっても、定期借地の契約が結ばれれば、事業者に対して事業変更の権限を持ちません。ましてや、第2次応募条件に示されたように、産業振興センター部分が区の所有となった場合、民間の事業が破綻し、当初の事業計画が変更になるとか、建物が他の事業者に譲渡され、当初の利用計画と全く違うものになるとか、借地契約が終了した建物をどうするかなど、さまざまな問題の解決の主体にならざるを得ないのではないでしょうか。また、それに伴う財政負担も予測されます。
区は、将来にわたる建物全体の公共性、公益性をどのように担保しようというのか、担保できる保証はあるのか、将来のリスクをどのように回避しようとしているのか、以上、答弁を求めます。
次に、区民意見の集約の問題で伺います。
区長は、区長選挙後、初の区議会で、私の質問に、一部の意見に偏ることなく、広く公平に区民の意見を聞き、実現可能性のある計画を策定すると答弁しました。しかし、区長が区民に意見を聞いたのは、民間事業者がつくった4案に対する意見であって、区民が旧本庁舎跡地にどのような要求を持ち、どのような施設を望んでいるのかという区民意見の集約とは違います。区長答弁のように、広く公平に区民の意見を聞くところから始め、区民の利益や区民要望の集約をした上で計画を策定すべきと思うがどうか。
次に、導入される唯一の公共施設である産業振興センターについて伺います。
旧本庁舎跡地には、もともと産業振興館が建っていた敷地も含まれることから、産業振興センターの建設については以前から強い要求が区に寄せられていました。ホテル計画のときでさえ、区内産業の振興と活性化を図るための中核的な施設とするという基本的な考え方が示され、産業文化交流機能と産業支援機能を持つ施設として、その規模も6,000平方メートルが予定されていました。ところが、今回の提案では、民間事業者の施設の規模に押され、ついに半分以下の2,560平方メートルにまで縮小されてしまいました。
区内産業の中核施設という考えは一体どこにいってしまったのでしょうか。長引く不況の中で、区内産業の振興のために、その規模、内容の充実こそ望まれているのであって、それを縮小することは区内業者を支援する姿勢に欠け、区民要望に逆行すると思うがどうか、答弁を求めます。
旧本庁舎跡利用計画を作成するために区長がとったプロポーザル方式では、区民の財産である区有地を活用するにもかかわらず、区民要望も集約されず、将来にわたる公共性も担保されず、財政負担も不透明であり、このようなやり方で計画を策定することは区民の利益を守る立場から反対です。財政状況が厳しいから民間に任せるのではなく、このような時期だからこそ、開かれた区民懇
談会などを数多く開催して区民の要望をしっかりと聞き、区財政の改善を進める中で区の計画を策定していくことが必要と考えます。
当面は、暫定利用を思い切って充実させ、人の流れとにぎわいを取り戻すべきと思うがどうか、答弁を求めまして、この場所からの質問を終わります。 |