○鈴木恒年区長 大島芳江議員の代表質問のうち、三つの構造改革及び医療改革についてのご質問にまとめてお答えをいたします。 国においても構造的な改革を避けて通ることはできないというのが、私の基本的な認識であります。医療制度の改革につきましては、もう少し国の議論の推移を見守りたいと思っております。 また、冒頭のあいさつでも申し上げましたが、国や都の構造改革と区の構造改革では、その内容が当然異なるため、同一には論じられませんが、区においても構造的な改革をさらに進めなければならないと考えております。改革の必要性は、広く国民、区民の理解を得たのではないかと思っております。痛みを避け、問題の先送りを繰り返す発想は許されないというのが多くの区民、国民の気持ちであり、何を選択するかという議論を十分に尽くしながら改革を進めてまいりたいと思っております。 他の質問につきましては、所管の部長より答弁をいたさせます。 ○河合 宏地域振興部長 まず、雇用特別交付金事業に関するご質問にお答えいたします。 緊急地域雇用特別交付金の事業継続につきましては、国が緊急雇用対策本部(仮称)を設置し、雇用セーフティーネットの充実・強化を図るため、2兆円規模の緊急雇用対策基金を創設すると聞いております。今後、これらの動向を見守ってまいります。したがいまして、現在のところ、区として継続を国へ要求することは考えておりません。 また、緊急地域雇用特別交付金事業は、短期雇用の創出を主眼としているため、区独自事業としての継続につきましても現在のところ考えておりません。 なお、今後とも、雇用につきましては、さまざまな産業振興施策を推進することによって確保するよう努めてまいります。 次に、融資制度の拡充についてご答弁いたします。 中小企業に対する損失補償つき融資につきましては、区財政に与える影響等の問題がありまして 現在のところ実施する考えはありません。 ○坂田道夫企画部長 ご答弁申し上げます。 まず、民間活力や協働についてのご質問にお答え申し上げます。 区は、これまでの右肩上がりの経済状況の中で多くの施策に取り組んでまいりました。中には、今日の社会の状況から見て、民間にゆだねてもよいのではないかと考えられるものもございます。区民のニーズにこたえ、住民の命と暮らしを守るという行政の使命を将来にわたって担保していく ためにも、社会経済の変化に合わせた施策の見直しを行うことは自治体本来の役割であり、まさに公的責任を果たすものであると考えます。 続きまして、厳しい財政状況の中であっても、区民の生活、健康を守ることを第一に考えた予算でなくてはならないのはご指摘のとおりでございます。 このため、昨年9月に、緊急財政対策本部を設置し、中期的な区の財政運営について論議を重ね、計画事業であっても聖域を設けず、不要不急事業の廃止、凍結や実施時期の見直しなど、財政再建へ向け、全庁を挙げて取り組んでまいりました。したがいまして、ご指摘のようなむだな公共事業はないものと認識しております。 むしろ、必要な事業だからこそ、その財源確保のため、土地開発公社の貸付金元金支払いの凍結など、臨時的財政対策を講じてきたのであります。区民の暮らしを守ることこそ、区政の目的であり、区財政の再建は区民の暮らしを支えるものと確信をしております。今後も、バランスのとれた区民サービスの向上に努めてまいります。 次に、本庁舎跡利用についてお答えいたします。まず、民間企業がもうけられる条件を区が整えなければならないのかというご質問にお答えします。 今回の事業プロポーザルの目的は、厳しい財政状況の中で、千住のまちににぎわいを取り戻す旧本庁舎跡利用を進めることであります。そのため、産業振興センターの設置を条件として、民間のすぐれた企画力、技術力、資金力を活用していくものであります。したがいまして、千住の活性化、区内産業の支援等の区民の利益を第一に考えたものであり、民間企業がもうけられる条件を整えることを目的としたものではございません。 次に、区のリスク回避の考え方についてお答えいたします。 本事業は、区有地に民間企業が定期借地権を設定し、民間が事業を実施するものであります。そのため、事業リスクの発生は考慮すべき事項であり、その回避の方法、リスク負担の考え方等について十分に検討する必要があります。産業振興センターが、賃貸であれ、所有であれ、千住のまちの活性化という事業目的を考えた場合、区の役割は重要なものであると認識しております。 事業リスクは、民間が提案する事業によって異なってくるものと考えられます。現在、第二次提案事業者にリスクに関する資料の提供を求めるとともに、事務局において、第1次提案のコンセプトをもとに、リスクの発生予測、回避方法、負担の考え方について検討を進めてまいります。 この結果を審査委員会に報告し、審査の重要な基準としていただくよう要請してまいりたいと考えております。また、基本協定の協議等、事業に着手する前に議会に十分ご説明し、ご理解を得ていきたいと考えております。 次に、区民の利益と要望を第一とすべきとのご質問にお答えします。 旧本庁舎跡地につきましては、一日も早く千住のまちににぎわいを回復してほしいという区民の切実な願いを無視した、代案のない吉田前区長による従前計画の一方的な撤回以来、実現可能な具体案が提案されないまま暫定利用されております。 今回の事業プロポーザルは、区民の要望にこたえるために事業化することを前提とした計画であります。そのため、実現性の高い第1次入選提案4案に限定して、区民の皆様のご意見、ご要望をお聞きしているところであり、この方法が区民の利益を第一に考えた区民要望を集約する責任のある方法であると確信しております。 次に、産業振興センターの規模等の縮小についての質問にお答えします。 産業振興センターは、区内産業の振興と活性化を図るため、支援機能、交流機能及びネットワーク機能の三つの機能を備える施設として設置する予定でございます。今回の見直しは、これら三つの機能を備えた上で、CADルームとパソコン研修室については各施設の一本化を、精密機械測定機器室については都の研究施設の利用を、また、多目的ホール、コンベンションホール、展示ホールにつきましては3ホールの一体化などにより規模を縮小したものでございます。 なお、産業振興センターの見直しにつきまして、あだち産業会議において検討したところ、大方の意見として異論はないとの提言をいただいております。 次に、区の計画の作成し直しと暫定利用の充実に関する質問にお答えします。 本事業は、現在、第2次応募提案の段階であります。今後、提案を審査委員会で審査し、委員会の答申を受け、最優秀提案を区長決定していく計画であります。審査の段階及び区長決定に当たり、資金計画、運営計画等の事業の安定性、区民要望などについては、十分に検討を考慮するものであり、議会のご理解を得た上で一日も早く事業に着手してまいりたいと存じます。 介護保険の減免制度やる意思なしー鈴木区政 ○八木良典区民部長 介護保険の保険料と利用料についてお答えいたします。 最初に、介護保険料の軽減についてでございますが、介護保険制度は負担能力に応じた保険料を納めていただくことにより成り立っております。保険料の徴収が本則になることを理由に、安易に軽減を行うことは介護保険財政の安定的な構築と維持の基盤を大きく揺るがすものであると考えます。したがって、保険料の軽減を国や都に要求し、また、区独自の軽減を行う考えはありません。 次に、利用料の軽減についてでございますが、介護保険制度はあくまでも利用料の負担を前提とした社会保険制度であります。その中で、世帯の所得に応じた高額介護サービス費制度や境界層該当の制度も設けられており、区として独自に利用料の負担軽減を行う考えは持っていないところでございます。 ○加賀美照男福祉部長 老人福祉手当は、介護保険制度と目的が重複すること及び限られた財源を有効に活用するため、見直しをさせていただきました。今後とも、区は、在宅福祉事業の充実に努めてまいります。 次に、乳幼児医療費助成制度は、東京都における制度拡大が実施されましても、引き続き所得制限つきであり、加えて、当区では、4歳以上の所得制限につきまして従来どおり東京都よりも広範囲に児童手当、特例給付の限度額で一律に実施いたします。このため、区における財政負担は、依然として大きなものであり、所得制限の撤廃は考えておりません。 次に、生業資金は、福祉資金として創設されたものであり、一般の金融機関から融資を受けることが困難な区民に対し、生活保護からの自立や生活扶助へ落層防止を目的に設けられた制度であります。 平成12年度までの貸付状況を見ると、課税世帯が多数占めており、本来の貸付目的と乖離したものとなっております。そこで、制度の趣旨に立ち返り、対象者を非課税世帯に限定したものであります。したがって貸付対象者をもとに戻すことは考えておりません。 ○小川正男教育委員会事務局次長 まず、学校選択制度についてお答えをいたします。 まず、導入の経緯でございますが、平成11年12月の区議会定例会におけるご質問にお答えし、学校選択制度の導入について発言して以来、教育委員会内部による検討会を経て、学識経験者、区議会議員、PTA、各種団体の代表から成る学校選択の自由化懇談会で十分な検討を行い、学校選択制度の導入の決定をいたしました。したがいまして、学校選択制度の導入につきましては十分な議論をしてきたところでございます。 次に、区民の間に不安の声があるがということでございますが、保護者や子どもたちに喜んでいただける各学校のメリットについては、学校間で積極的に情報提供を行い、大いに伸ばしていただくよう考えております。また、不安を与えるようなデメリットの面がある場合には、各学校の創意工夫により改善し、地域に信頼される学校づくりに努めてまいります。 次に、特色ある学校づくりと学校選択と、さらに統廃合計画との関係でございますが、保護者や子どもたちが学校を選択する基準は、学校の個性だけではなく、通学距離や兄弟関係など、多様な視点から選択していくものと考えています。 また、学校の個性を出すことが、学校の格差や序列化をもたらすことになるとは考えておりません。 さらに、学校選択制度は、学校の特色づくりを推進するものであり、過小規模校を解消する学校の統廃合とは全く関係はなく、統廃合が学校選択の妨げになるとは考えておりません。 次に、学校施設整備についてのお尋ねでありますが、毎年、各学校から提出された施設点検調査票に基づき調査を実施し、安全面や衛生面などの観点から優先順位をつけ、改修工事を実施しております。その結果として、教育環境の整備が図られ、施設や設備面での平等化も推進されていくも のと考えております。 また、教室等への冷房機の設置でございますが、多額の費用が必要とされること、職員室や音楽室、保健室など、既に設置されている冷房機が更新時期を迎えていること、学校には夏休みがあることなど、総合的に検討した結果、普通教室については教育委員会として全校への設置は困難と考えております。 また、特別教室については、今後、計画的に設置するよう努力してまいります。 なお、トイレの修繕、換気扇の設置については、老朽度等を勘案し、改修が必要と認められるところについては実施をしてまいります。
○大島芳江議員 答弁を聞いていまして、細かな点まで言えば全部再質問をしたいところですが、今回、決算もあるということなので何点かに絞ってお聞きしたいと思います。 まず、構造改革の関係で、区長は、国とは同一には論じられないけれども、方向は同じで、痛みを伴うという点についても仕方がないという答弁だったかと思うのですが、私は今回の問題では特に区民にどれだけのしわ寄せをさせるのかというところが大きな問題かと思うのです。 実は、公聴2000というところで区政を語り合う会というものが載っておりまして、ちょうど住区センターの皆さん方との懇談をやって、その最後に中野助役さんが閉会のあいさつのところで、地方分権というのは、国は都に、都は区にと、財源がないので次々にどんどん下におろしている。下では受けるところがない。区役所はどうするかというと、恐らく皆さんにお願いするしかないと言っているのです。いま、構造改革や区民との協働と言っているところの本当のねらいが、ここにあるのではないかと思うのです。 とにかく、区民にしわ寄せをするという問題についての改革、この点についてどう考えるのか、もう一度答弁をいただきたいと思います。 次に、介護保険の問題は何回も質問をしているのですけれども、そのたびに同じ答弁なのです。前の答弁をそのまま繰り返しているのです。 ところが、ほかの区は全然違うのです。こういう問題について、前向きに検討しようという方向が出ているのです。特に、10月から、新しく介護保険料が満額徴収になったことも受けまして、保険料については、これまでは東京都内で6自治体しか減免措置をしていなかったのですけれども、この10月からは11区、10市、21自治体、都内で約34%が保険料の減免を考える。利用料については、39自治体、都内の63%の自治体が実施をする方向で拡大しているのです。保険料の減免は、10月からは3倍以上にふえている。ここが、一番の違いかと思うのです。それで、保険料、利用料、両方とも減免をやっていないのは、23区の中で足立区を含めて6区しかないのです。 そういう点でいうと、ほかの区は区民の声を聞きながら改善のための検討がされていまして、その都度、答弁も変わってくるのが普通なのですけれども、ほとんど変わらない。特に、区民の皆さんの声を聞くという点でいうならば、保険料、利用料の減免についてはどのように考えるのか、も う一度答弁をお願いしたいと思います。 それから、本庁舎の跡利用の問題ですけれども、吉田区政のときには代案がないと言っていますが、吉田区政の時代には、住民の声を聞いて、本当に区民の求めるもの、区民要望と地元のにぎわいがどういうものであるかということを徹底して考えていこうと、財政事情が悪い段階では暫定利用を活発にさせるような措置もしていこうということがあったわけです。 ところが、いま、区が区民の声を聞くというのは4案について聞こうとしている、ただそれだけなのです。区民の意見を広く聞くという立場に立ったら、4案という限定をすべきではないと思うのですが、この点についての再答弁をいただきたいと思います。
○鈴木恒年区長 構造改革につきましては、国も東京都も当然やらなければならないときにきていると思っておりますし、足立区におきましても、いままでと同じようなことをやっていたのでは自治体再生はなし得ないのではないかというときにきていると認識しておりまして、これを進めていくことがこれからの足立区にとって絶対に必要であるという思いであります。 そして、質問の中にありましたように、区民に押しつけるという考えは全くありませんで、区民の皆さんと協働でやっていこうではないか。これから、どうしたらば足立区の再生ができるのだという考えで構造改革を進めていきたいと思っております。 ○坂田道夫企画部長 庁舎跡利用についてのお尋ねですけれども、吉田前区長のときには確かに最初は代案が全くない状況でございました。その後、北区の北とぴあを想定して目指していたということは、我々は部下でありますのでよく知っております。ただし、北とぴあ的な事業は、民活による手法は全然とっていませんので、全部税金でつくるという考え方ですから、実質的にはゼネコン方式そのものというわけでありまして、実際にはそれもなくなったということであります。 それから、4案以外の案はどうかということでございますけれども、たたき台がなければ議論ができないということで、12月から1月にかけてまず4案をお示しします。その段階で、議会に対しては、審査会では議論していないさまざまな問題がたくさんありますので、そういった課題を全部議会に提示して、議会で大方の合意をいただいてから実際に事業化する予定でおります。 ○八木良典区民部長 介護保険に関する再質問にご答弁申し上げます。 先ほどの私の答弁はいろいろと検討した結果の答弁でありまして、何も考えていないということではありません。 せっかく機会をいただきましたので、もう少し補足答弁をさせていただきます。 まず、保険料の減額については、厚生労働省は、保険料の全額免除、収入のみに着目した一律減免、保険料減免分に対する一般財源の繰り入れ、この3点の実施は適当でないという3原則を示しているところであります。当区においても、この3原則を堅持することが健全な介護保険財政を維持する上で極めて肝要であると考えているところでございます。 次に、利用料の減額についてであります。一般的に、物であれ、サービスであれ、より安い価格で、より多く購入できれば、個々の消費者の満足度は極大になることでしょうけれども、そのことが社会全体にとって最適状態をもたらすことには必ずしもならないと考えております。介護保険につきましても、こうした法則の例外ではあり得ず、利用料を無料にしたり、限りなく割り引くこととすれば、その結果は医療保険の現状から推測できるところであります。 なお、介護保険料の利用料は、9割引きであることに留意していただきたいと思います。 |
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