障害者施策、健康審査は元に戻せ 橋本ミチ子委員

生活習慣病で「要治療者」を健診から排除するのは老人保健法違反 

○橋本委員 皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。初めに、補助225号線のことで伺いますが、この問題では、我が党が、開通後、20日間で9件の交通事故が起きている現状を訴え、信号機を設置するように求めました。工事の都合上で、年明け時期になるというお答えがあって、昨日のお答えと少し答弁が違っているように思われますが、どういうことでしょうか。

○土木部次長 昨日、答弁を申し上げました信号機の設置の時期につきましては、12月末と申し上げましたが、再度、警察に確認しましたところ、年明け早々ということでございます。よろしくお願いいたします。

○橋本委員 今後とも、交通事故の多い足立区ですから、万全の対策をとるようにお願いいたします。それでは、本題に入らせていただきます。健診についてお伺いいたしますが、まず、高齢者健診の受診状況をお伺いしたいと思います。基本健康診査ですが、平成10年は4万7,398人、平成11年は5万1,186人、平成12年は5万5,507人、健康意識の向上などで受診率は少しずつ上がっています。この現状をどのように見ていらっしゃいますか。

○健康推進課長 ご指摘のとおり、基本健康診査のうち、高齢者健診につきましては、過去3年間、受診率が向上しておりますが、毎年の受診勧奨、受診医療機関の増加等、より受けやすい健診状況、健診体制の整備を反映してきたものと考えております。

○橋本委員 受けやすい体制ということでは、大変大事なことだと思うのです。それは、区も努力してきたことだと思います。それで、高齢者健診については、高齢者の疾病予防及び早期発見、早期治療に役立つよう、受診の機会を提供し、健康の維持、増進を図ることを目的にしている。このことについては変わりありませんか。

○健康推進課長 委員がご指摘のとおりでございますが、現在、予防の考え方のより進歩に伴いまして、従来からの早期予防、早期発見という二次予防から、病気になる前に予防するという一次予防の考え方に大きく変わってきておりますので、それに対応した健診体制の整備等に努めているところでございます。

○橋本委員 今回から生活習慣予防健診の事業が始まったわけですけれども、この新しい事業は、昨年までの老人健診と成人健診を一体にしたもので、65歳以上の方には個別通知がきていました。ところが、昨年受診した人には通知がくるけれども、行かなかった人にはこない。そしてまた、そのはがきを持って誕生日月に受けることになったかと思います。それでいいですか。

○健康推進課長 ご指摘のとおりでございます。

○橋本委員 本来でしたら、いまごろは、医療機関にたくさんの高齢者の方たちが自分の健康を心配して訪れている時期だと思います。ある医療機関では、老人健診の1カ月半を中心にしながら、1年間で1,500人が健診を受けました。ところが、この制度は4月から始まったわけですが、8月までに健診に来た方は360人だったのです。この現状はどのように見ていますか。

○健康推進課長 本年より、健診の体系が大きく変化いたしまして、申込方法等にも変更がございましたので、その周知等に努めているところでございます。委員がご指摘のように、前半部分において受診者の立ち上げが少ないというご指摘でございますが、従前は9月、10月に実施しておりましたものですから、今後、高齢者の申し込みもふえるのではないかと考えております。

○橋本委員 いまおっしゃられたとおり、ちょうど9月に入りましたらば、今回、個別通知がこないよ、一体、健康診断を受けられるのだろうかという問い合わせが病院にはたくさんきていますし、本人自身も、ことしも健康診査を受けられるのでしょうかという形で訪れている状況です。新しい健診については、はがきを出して、6カ月の有効期間があるのだということですけれども、23区の中で3カ月間の高齢健診をやっている区があるのです。そこを調査してみましたところ、期間が長いから受診率が上がっているかというと必ずしもそうではないのです。長い間のスパンで考えますと、あの日に行こう、この日に行こうと計画を立てるのですけれども、その日にぐあいが悪くなったり、都合が悪くなったりしますと、この次にしようという感じで、結果的にはその機会を失ってしまっている。そして、受診率を下げてしまっている状況もあると聞いております。それを、足立区では6カ月のスパンでやろうということですから、そうなると、いままで受診率を上げて健康に留意してきたことに逆行するのではないかという心配をするのですが、いかがですか。

○健康推進課長 委員がご指摘の6カ月というのは、受診票の有効期間でございまして、高齢者健診につきましては、従前は2カ月ほどしか期間を設定しておりませんでしたものを、新しい体系では通年を通して受診できるようにしたものでございます。したがいまして、行政の側で、2カ月のうちに受けてくれというスタンスであるよりは、通年の受診期間を設けた中で、区民の方が自分の健康を守る意識から自分で受診時期を決めて受ける方がよろしいかと思います。その結果として、高受診率を得られることが最もよろしいことかと存じています。

○橋本委員 多分、そのようにおっしゃるのではないかと思いましたので、3カ月間の受診期間を設けている区に問い合わせをして聞いてみたわけです。申し上げましたように、高齢者の実態なども見て、長いだけがいいことではないのか。いままでのように、比較的短い間に、この間だけだから受けてしまいましょうということが長い間に定着してきたわけですから、そこの中で自分の健康は自分で守っていたことになるわけです。しかも、今回は、前年度に受診した際に糖尿や高血圧、高脂血症の要治療でないものと制限されました。自分は、糖尿病があるから受けられないのかなとあきらめてしまったり、また、この健診体制の変更を聞いて受けられるのかどうなのかと非常にわかりにくい。それでいて、年に1度は健康診査を受けたいと思っている高齢者もいるわけです。また、ある老人会の会長さんにお伺いしました。そうしましたらば、高脂血症でコレステロ―ルが230あって、自分が行っている病院はこの病気の分しか診てくれないのだと訴えているわけですけれども、こういう現状はどうなのでしょうか。

○健康推進課長 現在、要指導、要医療といった区分によって受診できない状況はございません。委員がご指摘の点は、恐らく、前年度受診者に対する自動送付の区分かと思われます。現在、前年度受診者のうち、生活習慣病の異常のない方につきましては、ふだんから医療機関にかかる機会が少ないだろうということで、誕生日月に自動送付しているところでございますが、生活習慣病の治療中の方については、医療機関に足を運ぶことが多いだろうということで、医療機関に受診票を設置することで対応しているところでございます。

○橋本委員 4月から始まって半年がたちました。担当者として、現場を見ておいていただきたいのです。病院に健診を受けにきている実態もありますし、いろいろと複雑に考えてしまっている高齢者もいるのです。病院の方も、その対応に大変な思いをしているということなのです。当然ながら、受診者のうち、年齢の高い人には要指導、要医療が多くなっていることはあります。高齢者健診の目的であります早期発見、早期治療で命を守ることができた事例も、よく聞くことであります。健診率を高めることは、区民の健康を守る地方自治体の役割でもあります。そして、重要な施策だと思います。だからこそ、区は、いままでも力を入れてきたのだと思います。健診事業は、老人保健法が根拠法だと思いますが、今度の生活習慣予防健診はそもそも老人保健法に反していると思いますが、どうでしょうか。

○健康推進課長 老人保健法の考え方に反しているとは思いません。それに加えまして、先ほど申し上げましたように、より積極的な一次予防の推進という考え方を加味したものでございまして、従前の健診においては、健診を受け、判定を受ければそれまでだったわけでございますが、今度の健康診断におきましては、治療に至らない要指導層と言われる方々に対して、医療機関で、半年間、3回にわたって生活習慣の改善に関する指導を受けられるフォローアップ事業まで一体化したものでございます。

○橋本委員 フォローアップ事業については後でお話いたしますけれども、老人保健法は、ご存じのように、第1条で目的、第2条は基本理念、第3条は国の責務、第4条は地方公共団体の責務、第16条で健康診査について明記しています。第20条は、区市町村、いわゆる区域内に居住地を有する40歳以上の者と年齢を定めています。そして、第24条で、実施の基準を定めています。この中に、健康診査は、対象となる者、1人につき、年1回行うものとすると明記されております。これについてはどう思いますか。

○健康推進課長 法律は、委員がご指摘のとおりでございますが、40歳以上の方のすべてを対象とするものではございませんで、例えば職場健診等、ほかの健診機会を確保されている者、あるいは、あらかじめ医療を受けている方に対しての項目については除外するのが趣旨でございます。

○橋本委員 お勤めされている人の中で、受けている人は当然のことなのです。しかし、それ以外の40歳以上の方というのは、強調している点なのですから認識していただきたいと思います。それでは、角度を変えて聞きますけれども、今年度、予想している受診者数は何人ぐらいで、予算額はどのくらいを見込んでいらっしゃいますか。

○健康推進課長 受診人員の予定といたしましては、今回、健診統合をいたしましたので、成人健診、高齢者健診をあわせて6万人を想定した予算を組んでございます。予算額は、後で報告いたします。

○橋本委員 昨年度よりも1億円を減らした予算額なのです。実際には、予算の削減をしているわけですが、足立区はこれまで一貫して健診率を高める努力をしてきた状況だと思います。それで、フォローアップの事業もやっているのだと答弁をされていますが、ちょうど6カ月間でフォローアップ事業が終わるわけですけれども、3回に分けてやる生活習慣改善指導事業は健診なのでしょうか。

○健康推進課長 健診ではございません。健診の結果に基づいて、病気になりやすい生活習慣を改善していただくための指導事業でございます。

○橋本委員 指導事業なのです。健診ではないのです。それで、6カ月間に3回の指導があるわけです。その中で、指導を受けなくてはいけない人は本当に少ないのです。ある病院では、体制をつくって待っていましたけれども、3回目はほとんど来ない。もう一つの病院はどうしたらいいのだろうかという状況があるのです。こういう現状を見ますと、必ずしもフォローアップ事業は成功していない、まだまだいろいろな問題があるのではないかと思います。それで、話を変えますが、1月の厚生委員会の報告では、この新しい事業につきまして、移行期間の質問に対し、おおよそ2年程度を見込んでおりますという答弁がありました。4月の厚生委員会では、2カ年ということでございますけれども、そこを一つのめどとして考えざるを得ないと答弁しています。これは、いまでも変わらないのでしょうか。

○健康推進課長 ご指摘については、1月17日付の厚生委員会の報告資料の中に移行期間という文言が出てくるわけでございますが、移行期間の終了の後には、生活習慣病において治療中の方については健診の対象外とするという文脈の中で出てくるものでございます。この場合の移行期間につきましては、今回の大きな健診の体系変更でございますので、この体系が落ちつくまで、定着するまでという考え方でございまして、2年間という数字につきましてはその目標と考えております。

○橋本委員 移行期間は、内部でもいろいろと検討があるようですけれども、この制度自体を定着することはなかなか難しいだろうと思うのです。移行期間は設けないでいただきたいと思います。そのためにも、受診用のはがきがありますけれども、現在、これは保健センターや医療機関、区民事務所に置かれています。そのはがきを、もっと積極的な意味を持って高齢者が集まる住区センターにも置くべきではないかと思いますが、いかがですか。

○健康推進課長 ご指摘の点を含めて、より区民が申し込みをしやすい体制整備に努めていきたいと思っています。

○住区推進課長 それでなくても、住区センターの側からすれば、先ほどの質問にもございましたが、委託しているところの相手方との関係からしますと、説明を要するものを置くのは難しいのではないかと思います。

○橋本委員 説明は余りしなくてもいいのです。ぜひ置いてみてください。その結果、手がとられるようでしたら健康推進係の方と相談をしていただきたい。これを積極的に活用していただく立場でお考えいただきたいと思います。新しい健診制度は、老人保健法の40歳以上、1人につき、1回行うもの、区はこの原則を侵してはならないと思います。また、地方自治体は、住民の健康と福祉を守る立場で期限などを切らないようにすべきだということを訴えて、終わります。