千住地域の学校統廃合は中止を 鈴木秀三郎委員

○委員長  引き続き共産党より質疑がある。

○鈴木(秀)委員  4日のこの特別委員会で、スクールカウンセラーの話があった。その中で、子どもの相談より先生の相談が多いという趣旨の指摘があったが、本当に驚いた。足立の学校もそういう状況になってきているのかという思いがしたからである。教育の目的についてお伺いしたい。教育基本法の第1条には、「教育は人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的な精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない」とあるが、教育長、そのとおりだと思うか。

○教育改革推進担当部長  そのとおりである。

○鈴木(秀)委員  この教育の目的に照らしてみても明らかなように、いま、教育行政に求められているのは、いじめ、不登校、学級崩壊、こういう問題の解決である。そういう学力を高めていく。そのために全国の自治体で少人数学級、25人学級や30人学級実現の方向に取り組みが始まってきている。ところがいまの足立区は、40人学級を前提として、千住地域の学校統廃合計画をPTAや保護者、地域住民の十分な合意もないまま強行しようとしている。この千住地域の統廃合では、小学校9校を6校にする、3つ減らす。中学校5校を3校に2つ減らす、こういうことをやろうとしているが、我が党の質問のときの答弁で、本会議でで、区側は、ご質問の旧文部省の通知を尊重して進めている、このように言っているが、私にはとうていそう思えない。教育長にお伺いするが、昭和48年9月27日の旧文部省の初等中等教育局長、管理局長の通達はご存じか。

○教育委員会事務局次長  承知している。

○鈴木(秀)委員  昭和48年9月27日の旧文部省初等中等教育局長、管理局長の通達、いわゆるUターン通達だが、ここにはどういうことが書いてあるか、ちょっと紹介したいと思う。この通達では、前文で、昭和31年に出された公立小中学校の統合方策についてという通達がある。その学校統合促進の通達が、その後の実施状況を鑑みると、下記のような事項に留意する必要があるというふうに考えられるので、ご配慮をお願いするという前文がある。一つは学校規模を重視するあまり、無理な学校統合を行い、地域住民との間に紛争を生じたりすることは避けなければならない。また、小規模校には教員と児童生徒との人間的な触れ合いや個別指導の面で、小規模校としての教育上の利点も考えられるので、なお小規模校として存置し、充実する方が好ましい場合もあることに留意すること。2つ目は、いろいろ述べてあるが、統合に関する部分では、学校の持つ地域的な意義等を十分考えて、地域住民の理解と協力を得て行うように努めること、こういうふうに指摘されている。平成7年12月の区の小中学校改築検討委員会の報告でも、PTA等、学校関係者及び地域住民の理解を得るのに時間を要すると言って、時間を十分かけるべきだと言っている。しかし、PTA等、学校関係者及び地域住民の理解を得る、このために本当に時間をかけてきたのか、私はそのことをまず問いたい。教育委員会は区議会への報告で、60回も開いてきたというふうに言っている。しかし、実態はどうか。2月8日に統合地域協議会を設立した。それ以降はほとんどと言っていいほど統合協議会が中心になっていて、地元のPTAとか住民に対する説明はほとんどやられていないという状況である。この1月22日に文教委員会への中間報告ということで、これまでどういう団体にどういうふうに説明し、意見が述べられていたかということが報告されているところだが、この文教委員会の報告では、一つは町連単位の町会自治会長と書いてあるが、4団体延べ7回、2点目は学校単位のPTA役員、保護者9団体延べ27回、青少年委員、体育指導員その他6団体、延べ6回というふうに報告されている。ここで町連単位の各町会自治会長4団体延べ7回というのは、一つはこれは町会連合会のことを言っているが、常東地区町会連合会には21の町会自治会がある。第5地区町会連合会には11の町会自治会がある。千住本町連絡会には5つの町会と1つの自治会が加盟している。千住南部町会連合会には12の町会自治会が参加している。この町会連合会ごとに7回だから4つの連合会があるが、1回ないし2回の説明だ。これでは本当に住民に説明したなどと言えるものではない。肝心な統廃合校、柳原とか千寿とかあるが、そこの地元の町会には全く説明がない。例えば千四小のところだが、千住旭町町会、東二丁目町会、日の出町町会、この地元の町会にはほとんど説明がない。町会長が集まっている連合会で説明して終わっている。住民の理解が得られていないというのは、そういうことを指摘しているわけだが、これから学校に入学するという幼稚園の父母会とか、あるいは保育園の保護者会とか、あるいはそこの町会のこども会とか少年野球部とか、そういう関係の保護者の方々に説明をすべきだ。そういう方々には全く説明しない。こういう状況の中で、学校はこれまで避難所運営会議とか、その地域の町会長さん、いろいろな方を集めてずっと訓練を続けてきた。今度の統廃合で、避難所運営会議、どうなってしまうのか、もうやらないのか、いい加減なものだなという声が聞こえる。この地域の住民、保護者の理解を得ることに教育委員会としては力を尽くすべきである。こういうことで、体育指導員あるいは第4地区対とか、あるいは中心市街地推進協議会にも説明している。それはそれで大変いいことだと思うが、地元の町会、住民あるいは幼稚園や保育園の保護者の方に説明を呼びかけて意見を求めるべきだ。その点について教育委員会はどう思うか。

○適正配置担当課長  私から適正配置の関係からご答弁申し上げる。まず、説明の関係だが、今回の適正配置計画の説明は、数にして50回、60回、ご報告している数ではそうだが、この以前に事前にPTAの役員だとか、また町会であれば役員の方、そういう方に根回しと言うか、未然の形でいろいろな形でご説明申し上げている。また、地域の方から説明がと言えば、私ども積極的に接触しているし、柳原の場合で申し上げると、柳原小学校のPTAだとか、そういう関係で4、5回は説明申し上げているということである。

○鈴木(秀)委員  日程表、一覧表をもらっているから、大体わかる。問題はどうしてやらないのかと聞いている。問題は地元の町会、これは教育委員会に聞きたい。

○教育委員会事務局次長  適正配置も教育委員会の担当なので、私どもとしては、例えば幼稚園とか保護者に対してというお話があったが、まず町連の方に伺い、きちんと説明し、必要であれば、私どもも町会単位でも何でも行くということは申し上げ、決まったこと等、議論されたこと等についても、その都度協議会ニュース等を発行し、地元の方々には十分ご理解をいただいてきているというふうに思っている。

○鈴木(秀)委員  ご理解いただいていると思っていると言うが、とんでもない話だ。これは一つの事例だが、柳原の保護者の方、PTAの方が教育委員会に電話し、地元でもう一度話をしてほしい、そういうことを要請したときに何と答えているか。どなたか名前はわからないが、統合が前提でなければ平行線だ、そういう答えだ。事実上話し合いを拒否する。こんな失礼な話はないではないか。委員会報告で、先に進むが、学校の単位のPTA役員会、あるいは保護者会、これは9団体延べ27回、そういうことで報告されている。教育委員会の説明に納得しているというふうに思っているのか。

○適正配置担当課長  各説明会で、地域の方も、またPTAの方も、当初はその辺の理解の歯車が合わないところはあったけれども、協議会が成立された今年の2月8日ぐらいには、大方の方が統合新校づくりに向けて協力しなければいけないのではないかという意識に変わってきたというふうに認識している。

PTAの反対決議まで無視、千住地域の学校統廃合 

○鈴木(秀)委員  認識がすごく甘い。千寿小学校と柳原小学校のPTAでは、反対の決議をあげているのはご存じか。それはなくなっていない。千寿小学校のPTAのアンケ-トの結果も、82.4%が反対だ、そのアンケ-トについて、いまPTAで集約しているが、そこにどういう声が寄せられているのか、ちょっと紹介してみたいと思う。その一部を声のまま読み上げる。「なぜこの小子化時代の子どもたちの心を一番に考えてくれないのでしょうか。私はこの千寿小を愛して、子どもを通わせています。こんなに子どものことをよく見て考えてくれる学校を去るなんて考えたくもありません。いま以上にすばらしい先生と学校をそろえていただけるのでしょうか。絶対に無理だと思います。次は自分が一番心配なのは、前に統廃合によって心身に異常を示す子どもが出たらどうするのかという質問に、カウンセラーの先生を配置すると答えました。それはそうした事例があるからなのか。もしそうなったら、このまま伸び伸びと育つであろう子どもたちに心の病になってしまうリスクを負わせてまでなぜ環境を変える必要性があるのだろうか。次には人数が少なくて、社会性がなくなる。そんな心配はありません。千寿小学校の子どもたちはみんなに守られて社会性を学んでいます。シルバーさんもなくさないでください。安心を減らして何が子どものためなのですか。」という声だ。千寿小学校からは、PTAで要望書が教育委員会に出されている。この要望書の一部を紹介する。「この住民基本台帳では、210人余りの児童が千寿小学校にいるはず。しかし、半数しかいないことに問題がある。本来、過小規模校となり得ないこういう事態になった要因は、方針等により千寿小学校を廃校にするという不安を保護者にかき立てて、指定校変更の手段により、安易に他校への移動を認めてきた教育委員会の姿勢にほかならない。過小規模校にされてしまった千寿小学校の児童保護者、地域住民の意向を無視して実施しようとしている教育委員会に対し、怒りを覚える以外の何ものでもない」というふうに言っている。次に、この問題では、12年9月21日、柳原小学校のPTA役員会での説明会でも、さまざまな意見が出ている。「学校の小規模化は、区の指定校変更の弾力化が主な原因、学区に200人近い児童がいる。区で進めてきて小規模になったのだから、統合するではおかしい。小規模校がよいと言って通学させている親もいる。先生や親の努力で非常にうまく行っている。統合する必要は全くない。」次にも、「千四小に詰め込んで、子どもの利益優先とは言えないではないかなどなど、多くの疑問がか出ています。」それから、10月16日の元宿小学校の説明会でも、「学区域には280名の児童がいる。にもかかわらず、平成7年の統廃合に関する足立区の広報の影響が大きく、それ以降児童の減少が現れてきている。」このように区が住民の理解が得られた、あるいはPTAの方の理解か得られているというふうにおっしゃるが、そういう状況に全くない。区は心情的には反対があるだろう。これは心情的ではない。区の意図的なやり方が背景にあってそういうふうになっているという反対の声だ。過小規模校のところで共通しているのは、指定校変更の弾力的な手法によって、学区域内に子どもがいるのに、ほかの学校に行ってしまう。どうせなくなるのだったら、入るときからほかの学校へ行ってしまおうという影響のもとにやられている。他の学校に移行している。そういうことが指摘されている。その問題について、真剣に受け止めていかなければならないというふうに思う。小中学校の合同の統合地域協議会の設立も、この間されてきたが、これについても、かなり強行なやり方をされてきている。この経過を若干言うと、9月5日に区議会への報告資料のスケジュールでも明らかになっているが、千住地域の統合協議会のスケジュール表だが、千四小と柳原小、千寿小と千二小の統合協議会は12年度内に設置する。しかし、元宿小と千三小、二中と十六小、三中と十五中、これは平成15年度に統合地域協議会を設置するというスケジュールになっていた。ところが、地元の説明会にこの資料を配付している。ここでも千住地域に3つの小中学校の合同の協議会をつくるということもここでは触れていない。先ほどの件と合わせて、9月に発表され、12月末、1月に入っても、地域統合協議会を3つに分けてつくるということは一言も言っていないが、1月10日に教育委員会事務局長の名前で、統合地域協議会を2月上旬に設置するということで、3つの小中の統合協議会がつくられる。そういう状況になっているが、この3つの統合協議会、ここでは統合の準備のための協議会ということになっていて、この協議会は統合についての意見が一切論議されない。そういう形で進められている。これは当然、統合のための協議会だから、そうならざるを得ない。だから、そういう中でやってきているわけだが、ここで元宿小学校と千三小学校は平成17年の統合で、まだ先だから、統合校の新校名は決めないということで出されている。これはよいことだと思うが、しかし、同じ17年統合の中学校、十六中、二中、こういうことについては、委員から意見が出る。まだ中学校は統合が先なのだから、いま決めなくてもいいのではないか、私たちは責任が持てないという委員からの意見が出ても、いま決めるのだということで押しつけている。中学校の先生も、校章や校歌について、いま決めるのはどうかと思うということで、ではそれは先送りにしよう。一つの協議会では、そういう意見があるだから先送りにしようと言っているけれども、東地区の協議会については強行して推し進める。統廃合先にありきという協議会だと言わざるを得ない。千寿小学校の次に統廃合計画の反対の動きの問題についても、さまざまな圧力をかけている。千寿小学校の子どもたちが、学校を残してという、自主的なノートを破って署名をやっている。学校側がそれを見つけて回収してしまった。教育委員会は、こうした子どもの自主的な活動がよいのか悪いのか、どういうふうに思っているのか、お伺いしたいと思う。

○適正配置担当課長  最後の部分の、お子さんということだが、これは学校の校長または教員から、お子さんに、適正配置というのはどういう意味で行われるのか、またどういう形で子どもたちの教育が向上するのかということは、適時適切に指導しているというふうに報告を受けている。

○鈴木(秀)委員○鈴木(秀)委員  いま聞いたのは、子どもが自主的に学校を残してほしいという署名をやった。それを回収してしまった。そのことについてどういうふうに思っているのかということを聞いている。端的によいのか悪いのか、悪いから取り上たのだろうと思うが、その点、どうか。

○適正配置担当課長  お子さんも自分の意見を言うということは必要だと思う。ただ、今回の適正配置計画のように、いろいろ地域の方、また保護者の方、当初は意見が分かれていた。そういう中で混乱の中に巻き込むということはよしとしないというふうに私は考えている。

○鈴木(秀)委員○鈴木(秀)委員  答えられないということですね。子どもの権利条約で言う子どもの意見表明権を抹殺するということだ。とんでもない話だ。柳原小学校の臨時総会の問題についても、校長は、臨時総会は反対の決議をする恐れがある、そういうふうに考えられるから、校長は出席しない。しかもその文章を子どもを通じて保護者に回す。教頭はPTAを脱会する、そういうこともやっている。教頭がPTAを脱会するということについては、どういうふうに考えているか。

○教育委員会事務局次長  ご案内のとおり、PTAというのは、先生と保護者とが一体となって学校運営とか、あるいは学校を支えるとか、そういうことをやっていく会だというふうに思う。したがって、それを一方的に例えば統廃合に反対だからと言って、PTAの一部の役員だけが強硬に押し切るということであれば、学校長あるいは教頭も責任が持てないということで脱会するとか、そういう意思表示をするはやむを得ないことだと思う。

○鈴木(秀)委員○鈴木(秀)委員  PTAというのは、親と先生の協力し合う団体だ。学校長とか教頭はあて職で、そこに来ればPTAに参加しなければいけない。そういう仕組みになっている。これはPTAそのものぶち壊すことになる。PTAの教育機関という位置づけもPTAにある。その教育機関に参加している先生が、PTAを脱会するということになれば、ある意味では責任放棄というふうに言わざるを得ない。ここで指摘しておきたいのだが、私はこういう自主的なPTAの総会に、一緒になって意見を交わし、よりよい方向に努力するのが先生の立場だろう。教育基本法の第10条だが、1、教育は不当な支配に屈することなく、国民全体に対し、直接に責任を追って行われるべきものである。2、教育行政はこの自覚のもとに、教育の目的を遂行することに必要な諸条件の整備確立を目的として行わなければならない。私は千寿小学校の千住地域の学校統廃合、住民や保護者の理解が得られていない、教育的配慮も欠いている、こんな学校統廃合はやめるべきである。少なくとも来年度4月にやるということは延期すべきだということを求めて終わりたいと思う。

○委員長  本日の審査はこの程度に止め、散会する。なお、次回の委員会は明10日、午前10時より開会するので、定刻までにご参集願う。長時間ご苦労さまでした。
午後3時59分閉会