中小企業対策 鈴木けんいち委員

区長公約の「直貸融資」絵に描いた餅 

○委員長 次に、共産党より質疑があります。鈴木(け)委員。

○鈴木(け)委員 だんだんと睡魔が襲ってくる時間ですが、なるべくわかりやすくお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。経済状況が一層厳しさを増しております。そういう中で区内産業の振興、区内業者への支援が一層求められていると思います。平成12年度の予算は、鈴木区長が編成した初めての予算ということで、区長の政治姿勢が十分反映できるものだったと思います。そこでお伺いしたいと思うのですが、鈴木区長は公約で「2・2・2住宅プランで景気を回復し、無担保直接融資も始めます。仕事をふやすため産業振興センタ―を新たにつくり、中小企業を支援する」このように掲げました。これらはいずれも区民の間で大きな期待になり、早く仕事をふやして景気をよくしてほしい。それから、借りやすい融資をやってもらえたら本当に助かる、こういう声がたくさん寄せられました。しかし、実際はどうなのか。初めに、2・2・2住宅プランですが、これは景気回復の起爆剤、400億円の仕事が生まれます。波及効果は約2,000億円と法定ビラに書かれ、大変宣伝をされました。お聞きしたいのですか、この公約どおりの経済効果は本当に見込まれるのでしょうか。景気回復の起爆剤になり得るのでしょうか。

○中野助役 区長さんの公約で非常に大きなものであることは間違いないわけですけれども、何しろこの実現に向かって、モデル事業で3地区を企画したわけでございます。現在2地区をやっているわけでありますけれども、例えば西綾瀬の五反野でも、一応60戸で2,000万円台ということで、大体3,000万円と考えて18億円という仕事が出るわけです。その仕事につきましても、区内業者がおやりになるようでございますから、大変景気浮揚策になっていくだろうと。これをこれから2,000戸に向けて一生懸命頑張っていけば、そういう効果は間違いなく出るのではないかと考えております。

○鈴木(け)委員 18億円の仕事というお話がありましたけれども、実際に受注したのは大手のデベロッパーで、区内業者は単なる下請で入って、直接の声を聞きますといろいろ複雑です。実際にこれで本当に区内業者に仕事が回ってくるのかと。いま実際に大谷田を入れても68戸です。このペースで本当に2,000戸になるのか。大谷田については施工業者が応募に二の足を踏むとか、西新井については中止と、これが実態です。そういう意味ではこの400億円の仕事、2,000億円の経済波及効果は、何といいますか、絵にかいたもちのような話、いま助役さんもおっしゃいましたけれども、最大の柱の部分が非常に実現できないようなことではないかと言わざるを得ません。次に、いま金融融資は、貸し渋りからさらに進んで、貸し放し、貸したものの返済を迫り、無理やり回収していくところまで来ているのが実態です。鈴木区長は、この問題では無担保直接金融(直貸し)を始めますとはっきり公約をしているわけです。ところが、選挙後の議会答弁では、公約にはものによってはできないものがあると述べました。さらに、その後、断念せざるを得ないと、その実施を否定をしたわけです。重大な公約違反だと思いますけれども、お伺いしたいのは、それでは直貸しは必要なくなったということでしょうか。ここに区長さんはいないのですが、お伺いします。

○地域振興部長 いまの公約の直貸しについては、ご承知のとおり、我々は、公約ですから当然執行機関としてはやりたいということで、いろいろな各区の状況等を含めて1年間資料をお出ししました。しかしながら、そういった1年間の検討の中で、議会の総意のもと、やるべきでないというお答えをいただいた結果、残念ながら断念したわけです。そういうことで、その中でかわるものといたしまして、いろいろな知恵を絞りまして、ご存じのようにマル経融資というものを13年度から開始をしております。

○鈴木(け)委員 いま議会の総意、委員会の総意というお話がありましたけれども、それは損失補償つき融資のことでしょう。その問題で議論を進めて、その中で出てきた議論であります。しかも、委員会の総意といいますけれども、中小企業委員会では、共産党委員が3人おりまして、この3人はいずれもこの問題では実施すべきだという主張をいたしました。実施すべきでないという主張には反対をしました。3人も反対をしているのに総意だというのは、極めて事実を偽るものであります。さらに、マル経融資というお話がありましたけれども、これは単なる利子補給です。直接融資や損失補償にかわるものではないというのは、委員会の区側からの報告書にも書いてあるものであります。しかも、この融資がどのようになっているか、実際に借りに行った方のお話を聞きましたら、あなたは立派な経営状況ですから該当はすると、しかし6カ月ここに通い詰めて、そこで初めて審査対象になると、ほかの、例えば国金に行けばすぐ借りられますよと言われてしまったと。なかなかそういう点では、区長が最初に公約したような直貸しとか、あるいは区が損失を補償するような融資のようなわけにはいっていないというのが実態であります。そのことをもって区長が最初に公約をしたことの実現ということは、全く言えないと言わざるを得ませんが、どうでしょうか。

○産業振興課長 ただいまマル経融資についてのご指摘がございましたけれども、東京商工会議所がやっておりますマル経融資の企業指導につきましては、東京商工会議所管内で申し上げると、3カ月の経営指導ということになっております。ちなみに、平成13年9月末現在で119件のご紹介があったと聞いておりますが、そのうち3分の1は個人タクシーの営業開業にかかわる設備資金、すなわち自動車の購入代金の融資でございまして、結果、個人タクシーに関しては1月余の経営指導で融資実行になっていると報告をちょうだいしております。

○鈴木(け)委員 いずれにしても、区長公約という点では実現はされていないということが、ますます明らかになったと思います。もう一つお伺いしたいのは、産業振興センターについてであります。産業振興センターの建設は、現在どのようになっているでしょうか。

○地域振興部副参事(特定地域活性化) 現在、ご案内のとおり、産業振興センターにつきましては、跡地のプロポーザル事業の中で事業者から提案をいただいているところでございます。

○鈴木(け)委員 この産業振興センターについては、先ほど申し上げました区長公約とともに、就任後の第1回の本会議で我が党の大島議員の質問に答えて、旧本庁舎利用につきましては、産業振興センターを中心とした計画をつくりと述べています。これは現在でも変わりはありませんか。
○地域振興部副参事(特定地域活性化) 当初、産業振興センターの規模につきましては、床面積6,000平米でプロポーザルの計画条件として提示してございます。その後、第1次審査の結果、4事業者事業に絞り込まれてございまして、そこで区の財政負担も考えあわせまして、規模の縮小を検討してまいりました。その結果、6,000平米を3,700平米ということにいたしました。機能につきましては、当初から予定されております交流機能、支援機能、ネットワーク機能、この三つの機能を備え合わせることについては変更してございません。

産業振興センターの縮小を区民は望んでいない 

○鈴木(け)委員 いま規模については6,000平米から3,700平米に縮小というご答弁がありました。最初にお聞きしました区長の就任後第1回の議会での答弁、産業振興センターを中心とした計画ということに照らして、これはそれに沿うものなのでしょうか。

○区長 何をやるにしましても、その時期、その時期の財政状況、社会の状況というものも考えあわせないとやっていけないわけでありまして、そういったものをいろいろ勘案して平米数を、いま少なくして計画を考えている状況であります。

○鈴木(け)委員 財政状況のために産業振興センターについては縮小せざるを得ないというお話のようですけれども、本決算委員会の質疑でも、財政状況が厳しいから子育て支援はなかなかと、また介護保険もなかなかと、福祉もなかなかという話があります。やはり中小企業への支援というのは、財政状況が厳しい中でも重視をして、そこは確保していくべき分野ではないかと思います。単に面積が広いからいい、狭いからけしからんという議論ではないのです。この規模を縮小する中では、重大な機能の縮小が含まれているという点で、私、どうしても見逃せないと思うわけです。この計画によりますのとどこが縮小されているか、一つは、受発注支援室が削除。それから、キャドルーム削除、これはキャドをパソコン等研修室に統合という形でありますけれども、しかし面積は半分になる形でキャドルームそのものは削除。それから、精密機械測定機器室も削除。それから、音楽スタジオが削除、そのほか、主なものではホ―ルが大幅に縮小がされていると。こういう形で規模の縮小の内実は、機能の縮小になっていると言わざるを得ないわけです。ここに大きな問題があると思いますけれども、この点、どうでしょうか。

○区長 産業振興センターにつきましては、かつての計画で、既に平成12年には完成して稼働しているはずでありました。これがなくなってしまったということでありまして、それから年数が経過して、しかも経済状況がいろいろ変わってくるとなると、当初の計画どおりやれといってもできるわけはないわけでありまして、あのときにやっていれば、いまおっしゃったようなことは解決していたと考えております。

○鈴木(け)委員 ホテルの中に産業振興センターをつくろうということのお話かと思います。ホテルをつくるのには熱心だけれども、産業振興センターについては、時がたてば、経済状況が変われば、都合が悪くなればどんどん縮小する、そういうことの表明ではないでしょうか。ホテル計画のときにも、我が党は産業振興センターについては大いに推進すべきだということを主張しておりました。しかもその中では、その当時の計画というのは、昭和62年の商工センター基本構想に基づいてずっと営々と積み上げられてきたものであります。そういうものをどんどん崩してきていると、区みずから崩してきているというのが今回の見直し、縮小だと言わざるを得ませんけれども、どうでしょうか。

○区長 先ほど、ホテルの中に産業振興センターをつくるというお話でありましたけれども、ホテルの中ではなくて併設でありまして、多機能なものをつくろうということで計画したものであります。しかも、あれはきちんとできる、実現可能性が十分にあるものでありましたけれども、それがなくなったということで、時代の変化とともに財政状況がこんなになってきてしまった。そういう中で変更せざるを得ないということでありまして、いまおっしゃったことは、全く当たらないのではないかと思います。

○鈴木(け)委員 いろいろ言い訳をされているような感じがしますけれども、今度も産業振興センター、そもそも区の建設計画としてはどのように位置づけされているか、これが改めて問われていると思います。この大事な点は、区内産業の振興と活性化を図るための中核施設と位置づけられているわけです。その基本的な考え方に基づいて、機能として支援機能、交流機能、ネットワーク機能と改めて位置づけていると。それで、主にこの支援機能の部分が減らされて、削除なり縮小されて規模も縮小になっていると、ここに大きな問題を感じるわけです。私本当に、中小企業の皆さんが何を望んでいるのかという立場で考えるのが一番この点では大事だと思います。実は都内にもこのような類似の施設がありまして、調査をいたしました。訪問もいたしました。墨田区の中小企業センター、これは区のセンターでありますけれども、例えば精密測定機器がありまして、何と利用は年間1,200件、同時にいろいろな工作機械を開放して使用できるのと合わせると2,500件、1日当たり10件ご利用があるということで、これはこの数年ほとんど変わっていないそうです。それから、大田区には東京都の城南地域中小企業振興センターがあります。ここにも精密測定機器が備えられております。これが12年度、昨年度の利用件数は761件、墨田区と比べると少ないのですけれども、実はここのところ毎年ふえていると。ここに精密測定機器があるというのは、最初わからなかったみたいだと、それがだんだん知れ渡ってくると、知れば知るほど利用者が多くなると、そのように言っておりました。私は、区内の業者の方からもお話を伺いましたけれども、ある大学の実験室の実験器具をつくっている方、電気を使って精密機械をつくっていると。それで、実はその完成には精密測定器が非常に必要だと、どうしても必要なときには墨田区へ行ったり大田区へ行ったりしてやっていますと。区内にあったら毎日でも行って測定をしたいと言っているわけです。こういう部分を削除をして規模も縮小したと、こういう点では、本来の区長公約である産業振興センターをつくり区内業者の仕事をふやしますとか、また、中小企業育成の中核として建設するという趣旨に反するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○地域振興部副参事(特定地域活性化) ただいまの精密測定機器関係のお話でございますけれども、これにつきましては墨田区等の施設の利用状況を私どもも調査しております。ただ、私ども足立産業会議の中て産業振興センターの各機能についてご意見を伺ったところ、産業人からは、そのような測定器は当然北区の王子にあります産業技術研究所、それから、葛飾区に城東の都の施設がございます。それらの利用を図っているということで、改めて足立区の産業振興センターに、そのような相当な経費がかかって、また、かなり高度な技術を持った方がアドバイザーとして常駐しなければならないような施設をつくることは疑問があるというご意見もいただきまして、私の方としましては、精密測定機器につきましては東京都の施設を利用する中で足立区の産業を振興したいと考えて、今回削除したという形でございます。

○鈴木(け)委員 何を言っているのかと言いたくなりますね。大体、産業会議でどのくらい議論をされたのですか。しかもその中では、こういった規模の縮小については反対の意見もあったと聞いています。そもそも足立産業会議で提言を出したというのは、別に産業会議自身が考えたことではなくて、わざわざ区からお願いをしたのではないですか。

○地域振興部参事(特定地域活性化) そのようなことはございません。あくまでも産業会議の中で森議長から、産業振興センターについてきちんとした形でご議論をしようということで分科会をつくって、その分科会の中でまとまった意見として、規模の縮小については異論がないという形で答申が出たと考えております。

○鈴木(け)委員 ちょっと待ってください。これは9月の委員会の資料ですけれども、この中では、産業振興センターについて学識経験者や区内産業人からの意見を聞くべく、足立産業会議に産業振興センター建設計画の内容についての検討を付議したと書いてありますよ。付議したというのは、お願いをしてということになるわけですよ。しかも、その内容は、ここに資料をいただいておりますけれども、検討資料、庁舎跡地事業プロポーザルの概要、それから、(仮称)産業振興センターの概要、いずれも規模を縮小した、機能も縮小した内容のものを区から提出をして、これで議論をしてくれと。いわば庁舎跡利用計画の事業プロポーザルにあわせる形で議論をしてくれと、そのように申し込んだのではないですか。

○地域振興部参事(特定地域活性化) この産業振興センターにつきましては、当初足立産業界全体の会議の中で6,000平米のときにもお話をしまして、その段階でも精密測定室については東京都の施設を利用したほうがよろしいではないかというご意見をいただきました。さらに、この3,700平米につきましても、産業会議の分科会の中でさらにご議論をいただいて、このような提言になったということでございますので、私どもの方から押しつけたということではございません。

○鈴木(け)委員 押しつけたというわけではないと言いますけれども、実はこの意見書そのものにこのように書いてあるのですよ。「その結果、産業振興センターの建設については、設置時期及びその規模に関してはさまざまな意見があった。一方で建設を切望する意見もあり、大方の意見としては産業振興センターの建設について異論はなく」と、つまり、つくることに異論はありませんと。しかし、規模についてはさまざまな意見がありましたよ。これが2回開いたという分科会の結果の報告書なのですよ。規模を縮小してくれということで意見が一致しているわけではないのですよ。ところが、出てきた提言そのものになると、急に規模についても一致しましたと書いてある。どうなっているのですか、これは。

○地域振興部参事(特定地域活性化) 私どもにつきましては、この分科会の中で提言を受けまして、さらに足立産業会議という全体会の中で、この分科会の内容についてさらにご議論をいただいた上で、この提言がまとまったと了解しております。

○鈴木(け)委員 全体会の中でさまざまな意見が出て、規模は縮小すべきでない、機能の縮小も含まれているという意見もあったわけです。ところが結果としてこういう提言が出ていると。そういう提言が出たから区民の皆さんのご意見ですというのは、非常におかしいと言わざるを得ません。しかも、この機能縮小の中には、そのほかに、最初あった受発注支援室の削除もあります。墨田区には取り引き相談ということであるわけですけれども、非常に実績を上げています。相談件数が年間で500件から700件、実際に250件ぐらいのあっせんが行われ、その中で少なくても69件は成立していると。実際ここで受注がされるという場になっている。ところがそれが今度は、常駐者は置きませんという形で削除してしまった。さらに、例えばこのホールの問題です。当初の案では3室あって、一緒に使うこともできるし、それぞれ別々に使うこともできると。いま区内の多くの方の話は、気軽に使えるホールが身近に欲しいと、本当に多くの方のご要望です。そこをこういう形で縮小をしていると。そういう点でも大変な機能縮小だと思います。私は最初に申し上げましたけれども、産業振興センターをつくって区内業者を支援しますというところから大きく離れてしまっていると、これが現在の鈴木区政の姿ではないかと言わざるを得ません。次に、産業振興、区内業者支援の観点から幾つかお伺いしたいと思います。高齢者訪問理美容サービスは現在年何回でしょうか。

○高齢サービス課長 現在年3回でございます。

○鈴木(け)委員 理容業者、町の床屋さんですね、この不況の中で大変苦しい経営を迫られて追い込まれています。後継者もなかなかできないということで、いまどんどん減っていると。区内では3年前は408件、これは組合に入っている業者さんですけれども、それがこの9月には386件、毎月統計をとっていますが、ほぼ毎月廃業されるお店が出ている。そういう中で、お店の方はどういう思いかというと、うちがなくなったら近所の方に申しわけないという気持ちで頑張っているというお話も聞きました。まさに必死で頑張っていると。実は高齢者の訪問理美容サービスは、床屋さんの営業を支えるという点で大変喜ばれています。もちろん高齢者、ことしからは重度の障害者の方にも対象が広がりましたから、そういう方にも喜ばれている。ところが、年3回という件数ですけれども、23区内では実は足立区だけなのですね。ほかは全部4回以上、年6回とか8回とか12回という区もあります。理容業者の方からも、回数をふやしてほしいという要望が実際寄せられています。ぜひ産業振興、区内業者支援の観点からも、この訪問回数をふやすべきと思いますが、いかがでしょうか。

○高齢サービス課長 昨年度から理髪サービスに加えて理容サービスも加えて   したところでございます。また、現在利用者数の実績も非常に伸びてきているところでございます。そうしたところから、現状の回数で継続してまいりたいと考えております。

○鈴木(け)委員 学校の方ですが、普通教室にク―ラーをつけてほしい、トイレの改修、換気扇の設置もしてほしいという要望も上がっています。この工事は、区内の中小業者さんが十分できる仕事です。工務店、電気屋さん、配管屋さん、とび、はつり、塗装など、1件の工事でたくさんの区内業者の仕事が回ってくるのですね。区内産業の振興という点からも計画的に進めるべきと思いますが、いかがでしょうか。

○中野助役 大変財源が豊かであれば、それもできるわけでありまして、ぜひとも財源を生み出していただきたい。

○委員長 どうもご苦労さまでした。本日の審査はこの程度にとどめ、散会いたします。なお、次回の委員会は9日午前10時より開会いたしますので、定刻までにご参集願います。ご苦労さまでした。午後3時59分散会