≪付属資料≫区長あいさつ

  平成13年第3回足立区議会定例会の開催に当たりまして、ごあいさつに先立ち、さきにアメリカ合衆国で発生しました同時多発テロ事件に関しまして一言申し上げます。
 このたびのアメリカ合衆国で起きました悲劇的事件の報道に接しまして、大きな衝撃を受けました。人道を踏み外すこのような事件は決して許されるものではありません。テロリズムに対するアメリカ政府及びアメリカ国民の怒りを共有し、この事件で犠牲になられた方々に対しまして哀悼の意をあらわし、また、被災された方々に対しまして心からお見舞いを申し上げます。
 さて、本日、平成13年第3回足立区議会定例会をご招集申し上げましたところ、議員の皆様方には、何かとご多用にもかかわらず、ご参集いただきましてまことにありがとうございます。本年6月、第2回定例会におきまして、私は、区の構造改革を登山に例え、自治体再生という高い峰に挑戦するため、区政、財政、社会の構造改革に取り組む考え方を明らかにしました。
 国や東京都も、半世紀続いた構造の改革に着手したところであります。もとより、国や都の構造改革と区の構造改革では、取り組むべき課題の質も内容も大きく異なるところでありますが、足立区におきましても、自治体再生という高い峰の登頂を目指し、大変困難ではありますが、断固として構造的な改革を進めてまいる覚悟であります。
 しかし、高い峰にたどり着くには、ともに同じ目標を共有し、挑戦するパートナーが必要であります。そのパートナーとして、区民の皆様、議会の皆様のご理解とご支援をいただき、協働して登山を開始したいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。登山には、綿密な計画と計画に対するメンバーの共通理解が不可欠であります。区の構造改革につきましても、これを進める手順、担い手、時期等を改革のパートナーとともに策定し、区内外に広くお知らせしようと考えております。現在、改革の計画案づくりを所管に指示しておりますので、まとまり次第、その検討素材をお示しいたします。
 今後、これをたたき台として、区民の皆様、議会の皆様と論議を深め、その成果をもって平成14年の夏までに足立区の構造改革戦略として計画を策定していく予定であります。計画策定前であっても、可能な構造改革につきましては平成13年度から着手していきたいと考えております。
 そのため、平成14年度の行財政運営方針では、三つの構造改革の目標を明示し、その上で重点的に取り組む課題を示しております。この行財政運営方針について、ご説明をいたします。

 まず、構造改革の目標についてでありますが、第1の区政の構造改革では、「民間経営手法の導入と自律型組織への転換」及び「区民等の参加と協働の働きかけ」の二つを目標としております。
 第2の財政の構造改革では「財政運営の改革」及び「官活の選択的採用と民活の全面的採用」を目標としております。
 第3の社会の構造改革では、子ども施策、高齢社会施策、まちづくり施策、都市型産業・雇用施策、環境施策、電子自治体化施策の6項目を充実すべき課題として取り組んでいくことを目標としております。

 平成14年度の具体的な課題として、次の事項を中心に取り組むことといたしております。
 まず、子ども施策では、開かれた学校づくりの推進、学校選択制の実施、IT化推進等の教育環境整備によりまして教育改革を進めてまいります。また、保育所等の待機児の解消に努めてまいります。高齢社会施策では、特別養護老人ホーム、高齢者グループホーム等の整備を促進するとともに、健康あだち21運動を推進し、元気で健康に高齢期が迎えられるようにしてまいりたいと存じます。
 まちづくり施策では、北千住駅西口再開発、竹ノ塚駅西口南地区再開発事業を促進いたします。また、日暮里・舎人線、常磐新線の整備を促進するとともに、新線沿線整備を促進してまいります。
 都市型産業・雇用対策では、新たに事業を起こす方への支援を充実してまいります。また、旧本庁舎跡地利用に係るプロポーザルの全手続を終了し、事業化に関する諸課題を明確にしてまいります。
 環境施策では、リサイクルの推進とごみ減量を促進してまいります。また、二酸化炭素排出抑制を推進してまいります。
 電子自治体化施策では、インターネットの活用による区民、各種団体等と区役所との交流を促進してまいります。また、入札や申請書、届け出等の電子化に向けた検討を進めてまいります。
 これらの施策を進め、三つの構造改革を実現するための留意点としまして、次の六つの事項を示しています。
 第1は、構造改革を具体的に推し進めるため、計画、予算、組織・定数だけでなく、広報、人事、契約、研修等についての方針を定めること。
 第2は、国や東京都と同様に、事務部局による各種査定前に、構造改革や施策の具体的な方向を定めること。
 第3は、構造改革をリードする区政の構造改革については、民間経営手法の導入、自律型組織への転換、区民等の参加と協働の働きかけを進めていくこと。
 第4は、法令規則遵守主義から区民第一主義へ、手続志向から成果優先主義へ、上意下達から現場による即断即決へ、求められてからの情報公開から積極的な情報提供へといった組織文化の改革を進めること。
 第5は、積み残し課題については、原則として平成13年度中に決着させ、平成14年度からは本格的な構造改革に着手すること。
 第6は、平成14年夏までに、構造改革の具体的な計画となる足立区の構造改革戦略を策定すること。以上の6点であります。

 平成14年度は、区制70周年という記念の年であります。人の年齢に当てはめれば、古希の歳となります。古希とは、杜甫の詩にある「人生七十年古来希なり」という句に由来するもので、長寿を言祝ぐ言葉であります。私は、区制70周年を迎えるに当たり、これまで区の長寿を支えていただいた方々のご労苦に感謝の意をあらわし、区民の皆様とともに区の古希のお祝いをいたしたいと考えております。また、同時に、この区制の古希の年を自治体再生、すなわち区民、議会と区が協働して、新たな足立区を生み出す第一歩を標す年としていきたいと考えております。議会の皆様におかれましては、ご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。次に、平成12年度普通会計決算から、区の財政状況をご説明申し上げます。
 平成12年度の普通会計決算によれば、実質単年度収支は4年連続の赤字となったものの、その赤字幅は35億円から11億円へと縮少に転じました。また、財政運営の弾力性や健全性をあらわす経常収支比率は85.6%と、前年度に比べまして4.2ポイント下がり、3年前の水準に回復するとともに、公債費比率も11.8%と1.4ポイント改善されました。
 これらは、財政健全化への取り組みが少しずつ効果を上げてきたものと考えております。しかし、決算を項目別に見ますと、人件費、扶助費、公債費を合計した義務的経費は1,069億円で、前年度に比べまして28億円、2.7%の増となりました。依然として景気の回復が見えない中、これに伴う扶助費等、行政需要の伸びが見込まれることから、引き続き平成15年度を最終年次とした財政健全化計画を着実に実現していくことはもとより、さらに今後は財政の構造改革を進めていきたいと考えております。

 次に、平成13年度都区財政調整交付金について申し上げます。
 23区の区別算定が決定し、当区の交付額は前年度比で58億円増の862億円となりました。これは、電子自治体の基盤整備費を初めとした13項目の新規算定や17項目の算定改善などによるものであります。
 平成13年度当初予算では844億円を見込みましたが、結果的に18億円の増となり、次に申し上げる平成13年度第一次補正予算に計上いたしました。今回、ご審議いただきます一般会計補正予算は、55億6,900万円余、介護保険特別会計補正予算は5億8,100万円余、用地特別会計補正予算は25億5,200万円余、いずれの会計も増額補正となります。一般会計の主なものといたしましては、まず、景気低迷によって厳しい経営を強いられている中小企業への支援策であります。10月下旬から12月にかけまして、昨年に引き続き緊急年末融資を実施いたします。融資目標額は8億9,600万円です。また、緊急雇用対策として、自転車利用適正化事業など、6事業に4,200万円を予算化いたしました。さきの大阪教育大学附属池田小学校で発生した児童殺傷事件は、子を持つ親ばかりでなく、全国を震撼させた痛ましい事件でした。足立区では、事件の重大性にかんがみ、警報ベルの配備、防犯ブザーの配布など、さまざまな緊急対策を講じてまいりましたが、さらに、区内小・中学校、児童館、幼稚園、保育園などに、ボタンを押すだけで警視庁に通報、警察官が出動する非常通報体制の整備経費8,000万円余を計上し、万全を期することといたしました。
 投資的経費といたしましては、(仮称)新関屋公園の用地購入及び整備費、高齢者在宅サービスセンター「西新井第二」建設経費、コミュニティバスの新路線の道路改良工事などを計上しております。あわせて、所得制限の改定に伴う児童手当の支給、認証保育所への助成、(仮称)大谷田障害者福祉施設の改修、高齢者いきいき事業、健康あだち21推進事業等に係る経費などを計上し、子どもからお年寄り、そして障害者が安心できるまちづくりを一歩ずつ着実に前進させます。なお、都区財政調整交付金の当初算定による増分につきましては、今後、小・中学校の多額の改築経費が見込まれることから、可能な限り義務教育施設建設資金積立基金に積み立てることとし、13億円を計上しております。介護保険特別会計は平成12年度保険給付費の精算等によるもの、用地特別会計はさきに申し上げました新関屋公園の用地買い戻しに伴うものでございます。
 最後に、今回ご提案申し上げました議案は37件、報告2件であります。各議案の提案趣旨につきましては、参与よりご説明をいたさせますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願い申し上げましてごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。