代表質問ー質問と答弁 ◎一般質問 橋本ミチ子議員 本会議 3日目(平成14年3月5日) |
○橋本ミチ子議員 私は、区の障害者施策の充実について質問いたします。 平成15年度からは、障害者福祉の措置制度が廃止され、利用契約制度へと移行となりますが、障害者と家族から、サービスはこれまでどおり受けられるのか、お金のない障害者はサービスの契約そのものさえできないのではと不安が広がっています。障害者の社会参加と平等の実現のため、障害者施策の充実は、国と自治体の重大な責任だと考えます。 はじめに障害者福祉の措置制度が廃止され、利用契約制度(支援費支給方式)へと移行する問題でお伺いいたします。 障害者福祉はこれまで措置制度として区がサービス提供の直接の責任を負い、事業者が障害者を選別することのないようにサービス提供をしなければならない義務を負っていました。そのための経費は、利用者等の一部負担を除き、公的責任が明確に位置づけられていましたが、この措置制度が廃止され、利用契約制度に変更されます。この新たな制度は、選択の自由がひろがると強調されていますが、日本共産党は障害者福祉の公的責任の後退とホームヘルパー等の基盤整備の遅れ、利用者への大幅な負担増の懸念など、重大な問題を指摘してきました。 制度の実施は1年後ではありますが、国は今年の10月から、この利用契約制度に基づく事前申請の受付を開始することを予定しています。障害者、家族の要求を反映させて、制度の実施の責任を持つ足立区として、現在のサービス水準を後退させないために、緊急に改善策に取り組む必要があると考えます。 障害者、家族の生活実態に見合ったサービスの量、支給期間などが確保される支援費が十分に支給されるようにするべきと思いますが、どうか。 利用者負担については、親、家族からの利用料負担も大きな問題になっています。成人した障害者本人が利用するサービスであるにもかかわらず、なぜ親、家族から利用料を徴収するのか、このことが障害者の自立を阻み、人権を著しく侵害しています。利用料負担は扶養者義務負担を外すとともに、現行を上回ることがないように、障害者本人の負担能力に応じた適正なものにするべきと思いますが、どうか。 利用契約制度では、障害者施策の整備、ホームヘルパー等の人的支援が選択できるだけのサービスが整備されていることが根幹です。介護保険でも大きな問題になっているところです。障害者施策の基盤整備については、足立区地域保健福祉計画の中の障害者計画で示されています。身体障害者ショートステイは17年度まで5カ所、11床の計画ですが、現在、3カ所、6床の到達です。しかもこれらはすべて民間の法人による運営です。障害者の自立を助け、在宅でも安心して暮らせるためにも、障害者施策、在宅サービスの整備は民間任せでなく、区が責任を持って進めるべきと思いますが、どうか。 介護保険制度も十分周知されない状況の上、新たな制度の導入は周知の徹底が図られなければなりません。必要に応じて、すべての情報が点字訳文されたり、手話通訳者の保障や制度解説の録音テープの無料配布などのあらゆる手段を取るべきです。以上4点の答弁を求めます。 平成15年4月開設で、(仮称)中央障害センターが建設されています。この中央障害センターは、区直営で運営されるからこそ、最重度の障害者の生活実習等、最も専門性を有し、困難なサービスは区職員が責任を持って当たることができます。 こうした職員の専門性、ノウハウを背景に、区内のすべての障害者施策を公的に指導、援助できるサポート体制をとることがとりわけ重要と、我が党は一貫して主張してきました。 そこで中央障害センターについて質問いたします。 区は区内のすべての障害者を対象とした専門的な相談・判定、リハビリ等を実施する体制と言っていますが、判定については、都の障害者センターと同程度の判定ができるようにすべきです。答弁を求めます。 平成11年度第2回定例議会の中で、我が党の村田議員が行った中央障害センターの質問に対する当時の坂田部長は、「すべての障害者の自立支援を視野に入れ」と答弁しています。この点では精神障害者が除かれているのではないでしょうか。他の障害者同様、精神障害者も専門サービスが受けられるようにすべきと思うが、どうか。 ひとり暮らしの障害者の中で、孤独感から土、日、祝日にかけて具合が悪くなる方もいると聞きます。電話で話を聞いてくれるだけで落ち着くことができると言われています。中央障害センターの事業内容から言っても、土、日、祝日を含む相談体制をとるようにすべきです。答弁を求めます。 障害者の方たちにとって、施設に通うための交通の安全が確保されることは、施設利用に当たっての重要な前提条件となります。中央障害センターは西新井駅からわずかな距離ですが、センターの前の道路は車の往来も激しく、歩道もなく危険です。障害者の安全な施設利用を守る立場から、中央障害センター前にコミュニティバスはるかぜの停留所を設置すべきと思いますが、いかがでしょうか。 障害者の雇用と就労の場の確保を図るべき 戦後、最悪の失業率は障害者の雇用の機会を奪い、暮らしを直撃しています。足立区では、既に法定雇用率は達成していると聞いていますが、障害者の厳しい雇用実態に目を向け、各部単位などで法定雇用率を達成する目標を持つ等工夫して、さらに雇用を拡大すべきと思いますが、答弁を求めます。 小規模作業所は精神障害者等の生活の場、訓練の場、仕事の場として、行政の隙間を埋める形で障害者福祉を守ってきました。しかし、長引く不況によって、企業からの発注は減少し、小規模作業所の仕事確保も大変困難になっています。区役所からの仕事の発注をさらに増やすべきと思うがどうか、答弁を求めます。 民間企業に就職が困難な障害者に対し、就労援助体制を整備し、障害者の就労の場としてのJステップや障害者が通う施設が連携し、共同受注、製品開発をして販売しているAふらんき等を支援すべきと思うがどうか、答弁を求めます。 足立区障害者団体連合会の区への要求で共通しているのが障害者団体共通の事務所の設置です。歴史が古い団体であればあるほど、その資料、そして書類はかなりの量にのぼり、それらは会長宅など、個人の自宅に保管されています。そのため情報の有効活用が図られず、また行政からの問い合わせにも個人の家では無理がありますと区長にも直接訴えています。連合会の皆さんは、これまでもまちづくりにおいては北千住駅大規模改修時の点検活動、ノンステップバスの区内導入運動等、障害者自身が団体でできることは精一杯頑張っています。区は障害者に求めるだけでなく、活動の拠点としての共同の事務所スペースを区施設内に確保し、提供するなど、何らかの支援サービスをすべきと思うがどうか、答弁を求めます。 知的障害者のデイサービスは定員20名に対し希望者が多く、定員を30名に増員しました。さらに増えて2部制にして対応していますが、それでもあふれている状態です。早急に増設すべきと思うが、どうか。 障害者の24時間緊急一時保護、緊急の課題として整備を約束 24時間緊急一時保護施設は、親の急病、けがなど不測の事態が生まれたとき、緊急に預かる施設として重要です。知的障害者用には2床、身体障害者用には4床の通所施設があり、うち身障の2床だけが24時間体制を組んでいます。同時に3人、4人の申し込みがあると、結局助け合いに頼らざるを得ません。親の高齢化も進み、助け合いにも限度があります。知的障害者の一時保護施設の24時間体制を確保するとともに、全体の増床など拡充すべきと思うがどうか。 親亡きあとの施設として求められているのが入所施設です。障害者団体からも、区内につくるための運動が起きています。区の実施計画では後期計画に位置づけられています。親の高齢化と待機者も増えている状況のもとで、計画を前倒して早急に建設すべきと思うがどうか、答弁を求めます。 聴覚障害者にとって庁舎の手話通訳は行政サービスの入り口です。吉田前区政のときには、毎日いた手話案内人が鈴木区政になって、現在は月曜日と金曜日の午前9時から午後4時まで週2日のみになってしまいました。区民の都合よりも、区役所の都合に合わせて来庁せよでは本末転倒です。鈴木区長も、耳の不自由な方にとりましては、手話は自分の耳にかわって意味を伝えてもらえるものと、手話の重要性を認めています。聴覚障害者がいつ来ても困らないように、手話通訳者を毎日配置すべきです。答弁を求めます。 精神障害者のホームヘルプサービスの充実を 平成13年度からモデル事業として精神障害者ホームヘルプサービスが始まりました。そのためのホームヘルパーの研修は、参加要望が高く、2回も行われました。精神障害者の保健福祉に対する理解の向上も図られています。来年度から本格実施を前に、障害の特性を理解し、サービスに当たることはホームヘルプの基本であると思います。しかし、実際に訪問すれば、障害は同じでも一人ひとり違いがあり、経験が不足して、一人で悩み、悲観的になってしまい、やめてしまうヘルパーさんもいます。そんな思いをしないで済むよう、ヘルパーを支援し、力量が高まるようにヘルパーの相談体制をつくるべきと思うがどうか、答弁を求めます。 現在、手話ができるのは、社協の10人のホームヘルパーと聞いています。しかし、聴覚障害者の方たちがホームヘルプサービスを受けるときは、手話のできる社協のヘルパーばかりとは限りません。聴覚障害者も高齢になり、介護保険の対象になる方が増えています。しかもひとり暮らし、2人暮らしが多く、ホームヘルプサービスを求めています。しかし、現実に最初の家庭訪問を受けたとき、ご自分の意思を伝えることができず、ヘルパーさんを断ってしまった方がいます。この方はその後病気になり、ヘルパーさんに来てほしかったのですが、以前にご自分が断ってしまったことで、もう申し込みをすることができないと誤解され、遂に一度もヘルパーさんの援助を受けないまま亡くなってしまいました。意思の疎通はサービスの前提であり、手話通訳の講習なども積極的に実施すべきと思うが、答弁を求めまして、この場からの質問を終わります。 答 弁 ○加賀美照男福祉部長 平成15年度に予定されております障害福祉サービスの制度改正につきましては、国が詳細を示していない段階であり、明確にできない部分も多い状況にあります。サービス水準については、国は支援費制度の導入がサービス量の低下を招くことはないと考えていると表明しております。 支給期間につきましても、期間終了時までに、改めて支援費の支給決定を受けることにより、継続してサービスを受けることが可能であります。 利用料の扶養義務者負担につきましては、一般の親族扶養との均衡を考慮し、本人及び一定の扶養義務者に負担を求める予定になっております。負担の程度については、現行の応能負担という考え方に沿って、全体としてこれまでの公費負担の水準が維持される予定になっております。 サービスの基盤整備につきましては、区の基本計画や地域保健福祉計画に基づき、民間の力を最大限活用しながら進めてまいります。 新しい制度の周知は極めて重要であり、説明会の開催や資料の配布等を予定しております。点訳本や朗読テープにつきましても、作成を検討してまいります。 次に、(仮称)中央障害センターにつきましては、更生相談所である東京都の障害センターと同程度の判定を行なうことは困難ですが、補装具判定等、区でできるものについては行ってまいります。 精神障害者に対する専門的なサービスは、保健所や地域生活支援センターを中心に展開してまいります。 相談体制につきましては、週2回程度の窓口延長と土曜日の対応を検討してまいります。 (仮称)中央障害センターの整備に合わせ、西新井駅行のはるかぜの停留所を設置する予定でございます。 次に、小規模作業所での仕事確保は重要であり、障害者施設でできる仕事については、できる限り発注するよう、各課に協力をお願いしてまいります。 次に、民間企業に就職が困難な障害者に対しての就労援助体制でございますが、福祉作業所の就労訓練コースでハローワークと協力し、職場開拓、就労支援を行っております。Jステップは一般就労と授産との中間として現在、13拠点で作業しております。14年度にこども家庭支援センター、15年度に(仮称)中央障害センターを増やす計画であります。Aふらんきは、14年度中のNPO法人化を目指し、準備に着手いたしましたので、区といたしましても法人化を支援してまいります。 次に、障害者団体の活動の拠点である事務所を提供することは考えておりませんが、活動の場所としては、貸出施設である竹の塚障害福祉館を提供しております。 次に、知的障害者デイサービス事業は、週2回ないし3回の通所であり、現在、日々定員20名で弾力的な運用をしております。需要が高いため、平成14年度は日々定員を5名増員し、対応してまいります。 次に、区の短期入所事業は、心身障害者の家族や保護者が病気や休養などにより、介護が困難になる場合に一時的に受け入れるものであります。現在、区内の知的障害者通所施設での2床と、東京都で実施している東京都心身障害者緊急保護事業で対応し、今後の増床については、法人の独自事業の利用実績等も考慮して検討してまいります。 入所施設については、財政的事情等により、前倒しは困難でありますが、計画に基づいて実現に努めてまいります。 最後に、利用者とホームヘルパーとの意思疎通は重要であり、ホームヘルパーの質を高めるため、ホームヘルパー派遣事業者に対して東京都の手話通訳等、養成事業や足立区社会福祉協議会の手話講習会を推奨してまいります。 以上でございます。 ○一場幸男総務部長 最初に区役所の障害者雇用についてお答えいたします。 障害者雇用の拡大についてですが、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令で定める雇用率は、職員総数を算定基礎とし、その2.1%と定められております。 今年度の当区における実雇用率は2.69%と、法定雇用率を上回る状況にあります。障害者の採用等につきましては、今後とも計画的に採用を行っていく考えでございます。 次に、庁舎での手話通訳でございますが、日常の一般的な手話による案内につきましては、案内業務に支障なく、毎日行なっております。 ご質問の高度な手話を必要とする、いわゆる手話通訳につきましては、区では手話通訳のできる職員が登録されておりまして、その職員にお願いすることになっております。いずれにいたしましても、障害者が安心して来庁できるよう、その改善に努めてまいります。 以上です。 ○降旗俊明衛生部長 私からは、最後になりますが、精神障害者ホームヘルプサービスにおきますヘルパーの相談体制が必要と考えるがということに対するお答えを申し上げます。 精神障害者ホームヘルプに従事するヘルパーを支える機能につきましては、ヘルパーの雇用主である民間事業者等が一義的に対応すべきものでありますが、新たな分野でもあり、また精神障害者が疾患と障害を合わせ持つ存在でありますことから、精神疾患に関わることなどへの対応の技術的な問題につきましては、必要に応じて保健師がヘルパーの相談に対応していく予定であります。 再質問 ○橋本ミチ子議員 2点について再質問をさせていただきます。 初めに利用契約制度に移行する問題の中で、基盤整備は民間任せではなくという私の質問に対して、民間の力を最大限活用しながらとのご答弁ですが、利用契約制度は、平成15年度から始まります。障害者が必要とするサービス、例えば区内の入所施設を要求した場合には、現在、法人の1施設、10床があるわけですが、絶えずいっぱいです。こういった場合、選択の自由が広がると言われるこの利用契約制度で言えば、これでは足りないから、私は区が責任を持って施設をつくりなさいというふうに質問しているわけです。 このことは、区の裁量権があるわけですから、ぜひ責任を持ってやってほしい、こういうことを言っています。 2点目は、都の心身障害者の24時間の緊急一時保護の問題の質問です。答弁は、都の心身障害者の緊急事業で対応するということですけれども、私はこの質問をつくる際に東京都の方に聞いてみました。時間もないから、身体の方のみを訴えますけれども、都全体ではベッド数は7床です。緊急の場合のみに使われる施設なのですが、入所施設がないため、結局、この7床もほとんど使われている、担当者は大変困っているということを言っておられました。ですから、この24時間の緊急保護施設についても、早急に増床すべきと思うのですが、この2点をご答弁ください。 再答弁 ○加賀美照男福祉部長 まず初めに基盤整備についての民間活力云々のご質問でございますが、これまでの福祉の対応ということで、いわゆる行政だけで対応しているのでは、今後の福祉の量的、質的な拡大に対して対応できないということで、民間の活力をできる限り導入しながら、量的拡大、質的なものも水準を上にあげていこうということでございまして、、民間の活力を十分に活用して、今後の福祉施策の充実に努めていくということでございまして、決して行政の方が責任逃れをするとか、そういうことではございません。 2番目の、東京都の施設の方はあてにできないということでございますが、これは確かに今後の障害者のショートステイにつきましては、重要な施策であるというふうに考えておりますので、需給状況を勘案しながら、その充実に努めてまいりたいというように考えております。 |
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