第20号議案  「足立区生活安全条例」に反対する討論
                              鈴木秀三郎議員

○鈴木秀三郎議員 ただいま議題となりました第20号議案、「足立区生活安全条例」について、日本共産党足立区議団を代表し、反対の立場から討論します。
 この生活安全条例は、犯罪を未然に防止あるいは抑止するという防犯対策に係わるものであります。もとより我が党は、地方自治体としての区が、区民の生活や暮らしの安全を守ることについては、地方自治の本旨からいって当然のことと考えております。
 しかし、この条例は次のような問題があります。最も重大なのは、本条例文が全体として極めて抽象的であり、あいまいな規定となっていることであります。例えば第1に「青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為」という第3条第3項及び第5条第2項にある「おそれの行為」とはどんな行為を言うのか、誰が判断するのか、そして区の指導とはいかなるものか、その全てが極めて抽象的であり、その内容、行使によっては人権侵害さえ招きかねないものであります。
 第2に、事業者による「路上におけるビラ配布」などについても、どんな種類の「ビラ」が青少年の健全な育成を阻害するおそれのある「ビラ」なのか。また、どんな配布方法が「区民の生活、安全、環境の保持」に反するのかも全く不明であり、このままでは「表現の自由」への規制、介入に道を開くことにもなりかねません。
 現在、犯罪防止や予防のために多様な法律や条例があり、平成11年5月には「児童買春・児童ポルノに係わる行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」も施行されました。
 東京都でも「東京都青少年の健全な育成に関する条例」や、「東京都テレホンクラブ等営業及びデートクラブ営業に関する条例」など、いくつもの条例が制定されており、企業への申入れなど具体的な取り組みがされています。
 足立区においても、「足立区青少年問題協議会条例」を制定しており、法律や条例に基づき、書店やコンビニ等に有害図書やビデオ類の販売、自粛の要望書を出し、更に児童を持つ各家庭に「有害なビラ・チラシお断り」のステッカーを配付するなどの取り組みが行われております。
 慎重に議論することは必要であっても、人権侵害、表現の自由への規制が懸念される内容を含む新たな条例を急いで制定する必要性は全くありません。
 日本共産党は、青少年の健全な育成のためにも、足立区が積極的に青少年の居場所づくりに取り組むことこそが重要であると考えます。このことを強く求めまして反対討論を終わります。