予算特別委員会第一日目 午前中 渡辺修次委員

○渡辺委員 おはようございます。午前中の最後ということで質問をさせていただきます。
 初めに、先ほど冒頭、区長から答弁は的確に行なうということが言われまして、大変結構なことですけれども、本会議の質問にも同じようにお答えいただきたいなと思います。それは、いわゆる構造改革の問題について、我が党の針谷議員の質問に対して、全くまともな答弁では、的確な答弁ではなくて、すれ違えて答弁をしているなどということは、姑息な手段ではないかなと思います。それをまず指摘して質問に入ります。初めに、説明書の71ページに企画調整・特命事項というのが載っておりますけれども、この内訳についご説明いただきたい。

○企画部副参事(区政改革) 企画調整事務・特命事項の内訳でございますけれども、行政基礎分析調査に3,000万円、消費税を含めて3,150万円。 それから、新しい職員の提案報奨制度につきまして 105万円、その他行政改革推進委員会の経費が42万円ほどでございまして、トータルで3,620万円余でございます。

○渡辺委員 私どもが事前に伺ったところでは、基本構想の策定のための委託経費が入っていると伺っているのですけれども、いまの答弁はちょっと違うのか、それとも、基礎調査ということがその前提になるのか、その関係について伺いたいのですが。

○企画部副参事(区政改革) 冒頭申し上げました3,150万円の行政基礎分析調査が、これから予定されております基本構想の策定の基礎的な調査の経費ということでございまして、基本構想に絡んだ経費ということでございます。

○渡辺委員 これはコンサルに委託をするのですか。 それから、その内容、これはいつごろまでに調査結果を得ようとしているのか伺いたいのですが。

○企画部副参事(区政改革) この経費につきましては、前回の基本計画等の策定のときのコンサル委託料を参考にしてはじき出しております。したがいまして、そういったコンサル支払い料が想定されておりますが、今回につきましては、基本構想は区民の皆さんとの協働で進めていきたいという形を考えておりますので、具体的にどのようなコンサルタントをお願いするかということは、今後詰めていきたいと考えております。

つくったばかりの基本計画があるのに基本構想をつくる必要はない

○渡辺委員 そうすると、そのデータはいつごろ集めて、基本構想の策定にかかるのはいつごろと想定しているのですか。

○企画部副参事(区政改革) 今回予算計上させていただいておりますのは、例えば人口推計など、いままでの基本構想策定上必要と思われている基礎調査にかかる分でございまして、この調査経費については14年度中に執行し、したがって、14年度中に基礎的な調査の結果を出したいと考えております。

○渡辺委員 私の質問とかみ合っていないのですけれども、いずれにしても2000年の11月に未来世紀という第四次基本計画をつくったばかりなのです。区長、ご存じですよね。
 この基本計画を見ますと、介護保険だとか都区のあれが進んで清掃事業なども入ったということで、いわゆる21世紀の方針をきちっと書いていると。それから、区長が盛んに強調している自治体の再生とか自治体経営とか、いろいろな形ですべて入っているのではないかと思うのですけれども、改めて基本構想をつくらざるを得ないというのは、この第四次基本計画に重大な問題があったのか、それとも、基本構想がなぜいま必要だと考えているのか、その整合性についてご答弁いただきたい。

○企画部長 現在の基本計画、基本構想については、バブル時期のひとつの発想から出ているというのもございますし、それから、国のレベルでも構造改革の、その基礎がどうなるかわかりませんが、新しい時代にいま向かっているわけでございます。足立区としても、構造改革の戦略でお示しするように、3つの構造改革を進めなければいけないということで、根こそぎ、根本から改革をしなければだめだという認識がございますので、そういったものを踏まえることと、同時に基本構想、基本計画について役人がつくったものをお示しするスタイルではなくて、住民の方自身につくってもらう。このつくるプロセスも全部変えようということで、今回新しく着手するものでございます。

○渡辺委員 そうしますと、この第四次基本計画はわずか2年しかたっていないのですけれども、これには欠陥があるということですね。そういう理解でいいですか。

○企画部長 問題があるということははっきり認識しております。

開発予算を聖域にすれば区民生活施策を削ることになる

○渡辺委員 次に移ります。本会議の答弁で針谷議員の方から、今日の財政危機が都市経営論に立って行革先進国として区民施策を削り、開発優先の区政を進めてきたのが、財政的には年間の予算を上回る財政負担を負い、今日の財政危機を生み出したことを指摘して、財政健全化計画をつくって開発関連経費が多い投資的経費は180億円程度に抑えることを目標にしたのに対して、13年度は目標の2倍以上の370億円にも膨らんだことをただしたのに対して、企画部長は、将来にわたる財政負担の管理水準を図る手法の一つとして公債費比率がありますと。こんな公債費比率で質問をそらして、それは当区の11年度の13.2%をピークに漸減し、中期的には10%台で推移する見込みであるという答弁をされました。財政健全化計画の初めには、当区は仮に経済成長率をゼロ%とした場合、この累積赤字が630億円を超え、平成15年度には財政再建団体に転落するというシナリオもあながち否定できないという書き出しをした財政健全化計画とは、全く整合性がない答弁だと思いますが、その違いは何ですか。

○予算課長 本会議上のご質問が、過去の借金が区の財政をこういった危機に至らしめているのではないかというご質問に対して、過去の借金はきちんとお返しを、借金の額についても今後歳入の中の10%程度推移するという着実な線をいっているというご説明をしたところであります。それから、もう一つ、財政健全化計画にうたってありますのは、その年々がその年々暮らせているかという指標を積み重ねていくと、そこに借金の返済額も含まれているわけですけれども、そういったものを総じて、財政再建団体に落ちる危険性があるということを指摘したところでございます。

○渡辺委員 私どもも一度も起債制度を否定したことはありません。この問題は単年度に集中的に、起債というのは3年据え置いて、4年目から元利も含まれるから、自動的に膨らんでしまうのですね。そのバランスの問題で再三指摘したところです。そういう点で言えば、針谷議員が指摘したのは、200億円程度の計画をもっと抑えないと財源不足を生じるよと言っているのに、13年度最終補正では370億円もいってしまったではないかと、これは全然整合性がないではないか、健全化計画を無視しているのではないかという質問をしたのですよ。その答弁は無視していない、順調に言っていますよという話なんだね、どっちが本当なのですか。

○予算課長 総務委員会で発言させていただいておりますけれども、3月補正予算の内容というのは、土地開発公社会計、あるいは用地特別会計といったものの財務処理が中心でありまして、これを投資的経費に加算して、財政健全化計画が順調に進んでいないというご指摘とはすり合わないものと考えております。

○渡辺委員 そうすると、健全化計画で毎年この表では200億円、その計画の方でいくとさらにそれを減らさなければいけないという記述がありますよね。年間どのくらいの投資的経費であれば、この健全化計画と整合性があると判断しているのですか。

○予算課長 特定財源のカウントの仕方が、その年によって若干違っておりますけれども、最終ベースでいくと160億円程度ではないかと考えております。

○渡辺委員 そういう的確な答弁をしてくださいよ。私どもいろいろ調べたというか、これは明確に出ているからあれですけれども、言いますと、平成12年度の決算が228億円、それから、さっき言ったように、13年度最終補正では370億円、14年度当初では165億円、これが計上されています。この間、もらった総合実施計画の財政計画で見ますと、14年度は用地費は買収することになっているみたいなので、これを入れるとトータルで194億円、15年度は312億円、そうすると平均すると240億円以上になってしまう。健全化計画を見ると、健全化計画を立てたのに、投資的経費は温存して、区民の暮らしを支える施策だけどんどん削る計画かなと見てしまうのです。やはり、バランスよく180億円なら180億円、大型公共事業投資が多い投資的経費は180億円程度に抑えていくことが、区民の暮らしを守って一緒にやっていく、あるいはこれからの将来の借金を減らす、バランスの取れた運営ではないかと思うのですけれども、いかがですか。

○予算課長 いまご指摘の点でありますけれども、15年度が基本的に増大しているのは再開発、あるいは学校の建てかえ、こういったものが集中している時期であると。ですから、単年度でこの180億円を突破しているからといって、イコール財政が健全化されていないということではなくて、もう少し中長期的に見る必要があるだろうと。少なくても中期的に見て、私どもはこの費用については、先ほど申し上げました160億円程度でコントロールしていきたいと考えているわけで、それと、それほど大きく変えるものではないと考えております。

○渡辺委員 中期計画というと、何年ぐらいを想定しているのですか。

○予算課長 つけ加えますと、3月補正予算でもご説明しておりますけれども、さまざまな財源対策をして15年度の、今申し上げたような施設建設に対応しなければならないといったことを積み上げると、160億円という目標から若干増になってしまうのもやむを得ないのかなと思っておりますし、また、中期的なという点で申し上げますと、私が把握している範囲では少なくても15年度、16年度までを見通したいまの計画を、私の頭では持っているというところであります。また、その中期財政計画については、今年度できるだけ早い時期に策定をしたいと考えております。

○渡辺委員 さっき言いましたけれども、いわゆる15年まで入れると4年間の平均は276億円、14年度だけでとめても264億円、こういう大型の、投資的経費はそれだけの財源が必要であるということが書いているのです。健全化計画も、やはり特定財源ではなくて、一般財源の投入をコントロールしなければならないと書いてあるのです。それを優先すれば、当然区民施策を削らなければならない。結局、区民に犠牲がいくと言わざるを得ないことだけを指摘しておきます。
 次に移ります。次に、同じ説明書の71ページ、電算組織の管理運営で区政情報サービスということで、今回コンビニのローソン20店にこれを流すということにしたのですけれども、なぜ20店なのか、ちょっとお伺いしたいのですが。

○情報化推進室長 なぜ20店なのかというご質問でございますけれども、現在、コンビニで行政情報を提供しているコンビニさんがローソンしかないと。ローソンの区内店舗が20店舗ということで、必然的に20店舗という形になります。

○渡辺委員 情報弱者に情報を提供することは非常に大事なことで、私も大事だなと思っているのですけれども、この20店でどのくらいの区民全体のエリアをカバーできると考えているのか。それから、区政情報の内容はどういうことでしょうか。

○情報化推進室長 20店舗でどの程度エリアをカバーできるかということでございますけれども、これは試行事業ということで、私ども20店舗で十分だとは考えておりません。
 このほかに民間のご協力をいただいて、区内のブロックセンター等にインターネット端末を設置する予定でございます。そういういろいろな手法を使って情報の格差をなくしていこうと考えております。掲載内容につきましては、広報課長の方からお答えをいたします。

○渡辺委員 現在ローソンで端末を使って利用している方々はどういう利用の仕方をしているか、ご存じでしょうか。

○情報化推進課長 ローソン端末は、基本的には民間のいろいろなサービスの予約等ということでご利用が多いと聞いております。

○渡辺委員 そのとおりなのですよ。みんなチケットとかの予約状況とかで券を押さえるのですね。足立区の情報は、例えば体育館があいているとか、区民保養所があいているかどうか、このあき情報だって入っていないのですよ。区議会でどういう質問をしたのかを見るのか、区長のあいさつを見るのかわかりませんけれども、一般の若い人たちに、こういう情報を見られますよと言っても、長々と見ていると、後ろからチケットを予約したい人が邪魔だという問題も出てくるということまでいわれているのです。どうせ流すのだったら、本当にインターネットを活用して予約ができるとか、少なくても空き情報があって、これが利用したいと区民がサービスを受けられるような情報を含めて流すべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○広報課長 今回のコンビニの方に出す情報につきましては、当面まず区のホームページの中の便利帳に出ている内容を中心に流させていただくような形になろうかと思います。
 また、今後につきましては、所管とも協議しながら、そういった予約システム、まだシステム上がきちんとできていない部分がありますから、そういった推移を見守りながら拡大していきたいと考えております。

○渡辺委員 もう少し区民に流す情報を、区民にメリットがある、しかももっと地域もカバーして、本当に情報弱者と言われる方が気軽利用できる体制を整えて実施をすべきだと思っております。
 次に、質問を変えます。平成12年度の監査報告書というのが監査事務局から出されているのです。私、これが気になっていて、改めて予算の関係で伺いたいのですが、これの28ページに障害者保護雇用のための日常業務について触れていて、委託契約金額を見ると、清掃業務に従事する障害者の人件費を1平米当たり月額単価180円と算定しているため、民間清掃会社に委託している区施設の契約実例1平米当たり月額121円と比較すると、約1.5倍程度割高なものとなっているとして、障害者の社会参加を目指した区の福祉施策の実現であるとしても、この事業を継続していくためには、民間清掃会社の委託と比較して、経費が過大とならないように工夫されたいという指摘をしているのです。ちょっと伺いますけれども、監査事務局としては、どうしたら経費が過大にならないように工夫することができるのか、その工夫の仕方について伺いたい。
 それから、この事業を継続していくためにはということは、この事業はやめるということも発想されているのかどうか、その2点について伺いたいと思います。

○監査事務局長 まず、障害者の保護雇用の経費がどうやって削減できるかということに関しては、これは所管の方にお願いしておりますので、所管の方からお伺いください。
 なお、監査委員がこの結果をまとめるに当たっては、保護雇用を拡充するために余りに保護雇用が民間清掃会社に委託する経費と格差がついていては拡充できないであろう。拡充するためにはいろいろな工夫があるだろうから、そのあたりを所管にお願いしたいというニュアンスだったと思います。工夫については、所管からも報告が来ておりますが、所管の方からお伺いください。

障害者保護雇用(Jステップ)に民間とのコスト論を持ち込むべきでない

○渡辺委員 まず、障害者の対策というのは健常者と比べてハンデがあると、このハンデを埋めることが障害者対策だと私、理解しているのですけれども、監査事務局長はどうですか。

○監査事務局長 目的については、何も異を唱えているわけではございません。障害者施策に対して異を唱えている監査結果ではございません。

○渡辺委員 一応12年度を見ますと、15カ所、就労者が44名、援助者が28名ということになっていますが、この13年度は、いわゆる障害者が就労者の賃金とか労働時間に変化があるのかどうか。14年度予算は12年度、11年度と比べて変化があるのかどうか、ご答弁いただきたい。

○総務部副参事(社会福祉協議会) 社会福祉協議会におきましてこの事業を担当しております。12年度に比べまして、13年度は清掃箇所17カ所、知的障害者46名でございます。14年度につきましては、子ども家庭支援センターの受託がございますので、18カ所となりまして、それに伴う予算額も増大いたします。また、ご指摘の作業員の人件費につきましてですが、これはJステップ全体の契約単価を引き下げる内部努力を続けていまして、清掃用消耗品ですとか、事務改善を進めてまいりました。それとは別に、作業員につきましは、就労時間を1日当たり15分間の時間を削減させていただきまして、6時間30分から6時間15分の労働時間とさせていただきました。

○渡辺委員 そうすると、15分間短くなりましたよね。いわゆる受け取る給料は減ったのですか、変わらないのですか。

○総務部副参事(社会福祉協議会) いま時間単価706円でございますので、1日当たり176円減額となります。それを1カ月にすると約3,500円の手取りの減額になります。

○渡辺委員 確かにこういう事業であっても、むだをなくして節約するのは非常に大事だと思うのですけれども、こういうところに効率ということが入ると、例えば同じ障害者でも、一応就労の場、就労訓練して一般の企業にも就職できるような意味合いで支援者もつけている制度だと思うのですよ。そういうところに、こういう形で効率が入るというと、どうしたって同じ障害者であっても障害の軽い方を雇った方が経費としては下がっていくわけです。
 いまは不況で、本当に障害者の就職の場というのが狭められているよね。そういう中で、こういう形でJステップの事業にまで効率が入ってくるというのは、非常に将来にわたって不安があるわけですけれども、この辺はもう少ししっかりした方針でやっていくべきだと思うのです。
 施設課長は14年度18カ所ということで、あと中央障害センターが完成すれば、あそこもJステップでやるのではないかと思うのですけれども、それ以後はどういう計画になっているのでしょうか。

○福祉部長 私どもは障害者の社会参加、雇用については極めて重要な仕事であると認識しているところでございまして、そういった点でJステップを建てたわけでございますが、Jステップで働いている人が、本来でしたらそこを足がかりとして一般企業に就労していただくというのが望ましい形ですが、残念ながらこういった経済状況の厳しさもありまして、そこで長くずっといる人が多くなってきているとなりますと、それに伴いまして国の補助金も段々逓減してくるということでございまして、果たしていまのJステップが今後とも事業として継続し得るのかということは、極めて大きな問題にあるわけでございまして、そういった方向性、なるべく育てて社会参加を促進させていくという視点から、いまJステップのあり方について検討しておるところでございます。

○渡辺委員 ちょっと聞き捨てにならないというか、重大な答弁ではないかと思うのですけれども、そうすると、Jステップ事業そのものを改めて見直すということですか。

○福祉部長 冒頭に申し上げましたように、障害者のより量的な社会参加への拡大の機会を確保していくという方向で、基本的なあり方も、本質的なところも含めてどうあるべきかというところを検討させていただいているということでございます。

○渡辺委員 区長に伺いますけれども、この構造改革という、いわゆる役所の仕組みを変えるという内容の中に、この障害者対策なども、すべて効率で判断するという考え方で変えようという考え方があるのですか。それとも、障害者対策というのは基本的にはどうあるべきと認識しているのか、その認識について伺いたいと思います。

○区長 障害者対策につきましては、もちろん障害者対策の基本的な考え方というのはあろうかと思います。そういうものを踏まえた上で、区政全般にわたって構造改革を進めていきたいという考えです。

○渡辺委員 そうすると、Jステップ事業というのは、確かに援助者もつけるから、相当この事業にはお金が必要なのですよ。だから、こういう事業について、金がかかり過ぎるからやめるという発想というか、金がかかるから、かからないから、こういうことで見直すという立場に立つのかどうかということを伺いたいのです。

○区長 私ども考えております構造改革は、金がかかるからやめてしまおうとか、そういうことはありませんで、金がかかるんだったらば、その金をかけないで何かやる方法はないかとか、あるいはいままで区が主体になってやっていたものを、民に肩がわりしてやっていただくことの方が効果が上がるものもあるのではないかとか、こういったことを考えながら進めるものでありまして、やめてしまうとか何とかということを前提に考えるものではございません。

○渡辺委員 どういう税金の使い方をするかということが、本当に自治体の一番大事な仕事なのですね。そこを十分踏まえて、また構造改革についてはうちのメンバーが議論しますので、また改めてお願いしたいと思います。