予算特別委員会 第4日目 午前 渡辺委員
住宅改良助成事業の予算ゼロは公平の原則に反する

○渡辺委員 午前中の最後だから、よろしくお願いする。初めに予算説明書の4ページに各款の総額が出ているが、これを見ると、産業経済費が昨年と比べて10億余増やされている。これは増えた10億円の事業費への使い道と言うか、どういうところに10億円が使われているか、説明いただきたい。

○産業振興課長 当該10億の増については、中小企業融資のための貸付金という位置づけで歳出を組んでいる。

○渡辺委員 そうすると、結局預託金ということで、実際に事業費では使われないということか。

○産業振興課長 おっしゃるとおりである。

○渡辺委員 そうすると、昨年より構成比でも1.26%から1.89%というふうに増えているが、実際には昨年とほとんど変わらないということだというふうに思う。これは未来を育むという姿勢で言うと、予算上裏付けがないのではないかということだけ指摘する。
 次に、145ページの住宅政策に関連して伺う。私は本会議質問で、住宅改良助成制度について伺ったが、その答弁では、厳しい財政状況の上で、財政再建の見地から予算を減らしたことは実施されたものという答弁だ。13年度は実際に予算に使われたのは800万円余、その前が予算としては1,600万円使ってきたわけだが、こういうわずか1,600万ぐらい、昨年で言えば800万を節約することがどうして財政再建にとって重要なのか、その根拠を伺いたい。

○予算課長 区にはさまざまな事業があるが、それぞれ優先順位をつけ、予算のフレームの枠内でこういう査定あるいは事業の組み立てをしてきたということである。

○渡辺委員 13年の最終補正予算では、契約差金だけでも20億、それから、都市計画総務費の中で、市街地再開発だとか区画整理事業を除いたいわゆる都市計画の中でも、5,000万円ぐらい減額補正している。こういうことで、財政的にやろうと思えば十分可能だったわけだが、いまの予算課長の話だと、これは政策的に必要ない事業だという判断か。

○予算課長 私の申し上げたのは、必要がないと言っているのではなく、優先順位をつけさせていただいた。その中で予算を執行してきたということである。

○渡辺委員 これは14年度はこの予算がゼロにっているということで、これは住宅改良助成という条例がある。条例というのは、国の法律と同じだ。条例があるのに予算をゼロにするということで、これは区長の責任が重大だなと思って区長に答弁を求めたが、区長は卑怯にも答えない。これは選挙のときには行政のプロとか言っていたけれども、こういう条例の解釈で最高責任者である区長がこれに言及できないというのは、プロと言うのは、ごまかすためのプロなのかという解釈しかできないが、改めて、この条例で規定しているのに、なぜ14年度、予算をゼロにしたのか。

○予算課長 その条例もそうだが、予算も法体系とすれば、議会にお示しし、これをご審議をいただいた上で決定していただいているというところでは同等というふうに考えている。

○渡辺委員 住宅改良助成条例というのは、3条に助成対象者、4条に助成をする対象工事、5条に助成金の額という定めがあって、この規定に合っていれば、申請した区民はすべてこの条例どおり住宅改良助成のお金を請求できる。何人も全部この条件に当てはめれば支給しなければならない、こういう条例ではないかと思うが、いかがか。

○総務課長 条例の解釈に関することなので、私の方から答弁させていただく。住宅改良助成だが、予算を伴う条例である。このような条例だと、予算に関してかなり制約されるという内容になっている。3条において、費用の一部を助成することができる、ねばならないという規定ではないという裁量的な部分がある。あと5条に関して範囲の額ということであって、あくまでも5条に掲げている全部を出せということを制約しているわけではないということで、区長の裁量権があるという解釈できている。

 条例で実行義務があるのに年度途中でやめるのは区長の裁量権をこえるもの

○渡辺委員 地方自治法の222条、予算を伴う条例、規則等についての制限、いま、総務課長が言った、ここには新しい条例で予算を伴う条例の場合は、予算がなければ提出してはいけない。これは議決をしてもいけないとなっている。逆に考えれば、予算を伴う条例があって、それをゼロにできるというような解釈は成り立たないと思うが、いかがか。

○総務課長 確かに行政実例の中において、新しい予算を伴う条例をつくる場合は、予算の措置をしてから条例を通せという内容が行政実例である。しかしながら、既存の条例において、予算がつかないということならば、この条例を廃止するなりの方法もあると思うが、あくまでも長の判断において、これは1年、2年というような形で判断する場合は、廃止まで持って行かず、この条例のしいて言うと、凍結的なものは解釈としてできるのではないかと私どもでは考えている。

○渡辺委員 私は総務省の指導を1回伺おうと思っているが、少なくとも区長の裁量権をゼロにするというところまでは、裁量権はないと思う。予算の額が1,600万あったのが半分にするとか、こういう操作は裁量権にはあるけれども、ゼロにできるという解釈はどういうことでできるのか。どういう解釈か。

○予算課長 先ほど私、申し上げたように、この予算も議会にお示しし、ご審議をいただいて、承認した上で執行させていただくという点では、条例と同等のもの、したがって、このような議論をさせていただいているのだ、このように解釈している。

○渡辺委員 そうすると、議会へはこの条例は平成元年か、つくったわけだ。これは毎年予算がついていた。そうすると、条例では予算を伴わなければいけないのに、この本予算ではゼロになっている。これは議決すると、瑕疵ある議決に逆につながるのではないか。議会としてはそういう形になるね。

○予算課長 それは曲解で、先ほど総務課長が申し上げたように、裁量権のある条例、それに伴って予算をどのようにつくるかというのを、これは裁量権ではなく、区議会にお示しをし、議会で議決をいただく、こういう手続きを踏んでいるので、正当なものと言えると思う。

○渡辺委員 私、それはとんでもない話だと思う。法律の解釈とか条例の解釈、最終的には裁判をやらなければならないかもしれないけれども、これはかなり重大な瑕疵があるのではないかと私は思う。裁量権の範囲をはるかに逸脱した行為だと思う。結果としては区民に不利益を与えるわけだ。だから、議会としても、与党だから、鈴木区長の提案は何でも賛成ではなくて、区民の利益を守るために、区長の誤りを正すという立場に立つことが議会のために必要であって、区長の与党だからと言って、区民の利益を抑えてしまうのでは、これこそ党利党略ではないか。これはひどい話で、私はいまの答弁では納得できない。だから、これはいずれやるけれども、こういう乱暴な解釈で凍結をするなどというのは許せない。もう一つ、私は本会議の質問で、これは融資を受けた人だけが対象になっているから、自己資金でやる人にも助成をすべきだというふうに聞いたが、都市整備部長は、現在の利子補給方式とは異なるので、実施は困難という答弁をした。私は本当にセクショナリズムだと思った。都市整備部で区内の業者がどうなっているかというのは全然考えないで、施策を考えるのか、そこを伺いたい。

○都市整備部長 私どもとしては、利子補給制度という選択肢をしているので、その範囲で施策を打つということでやらせていただいているのが現状である。

○渡辺委員 私も前々から区の職員が中小業者の実体を全部悉皆で調査をしろと何回も言ってきた。それをすべての皆さんが、中小業者というのは、足立区の地域で税金も納めているし、いろいろなボランティア活動で、地域の活性化のための先頭に立って頑張っている人たちだ。こういう人たちがどういう状況になるかということを肌で感じて、すべての施策に、事業をやるときにそういうことを頭に入れてやることが大事だということだ。昨日もちょっとお話があったが、衛生部長さんだって、墨田区では仕事確保のために仕事探しに地方まで行っている。このくらい業者のために努力している。それなのに足立では、自分のところは関係ないのだ、そんな景気なんか関係ないというような言い方の答弁しかできないというのは、本当に情けないと思うが、区長、こういうことでいいのか。

○中野助役 ちょっと議論が食い違っているようだ。まず、住宅改良だが、歴史的に見ると、もともと足立区は土地が低くて水が出てしまうというようなことから盛り土助成が最初の考え方だった。盛り土するということに対する助成、それがお陰さまで下水がきちっとして盛り土しなくても大丈夫だということの中から、家を修繕する方が銀行からお金を借りてやるという場合には、借りたお金のなんぼかの利息を負担してあげようということできた。そこの部分では参入とはリンクしていない。いま、委員がおっしゃるように、区内の業者の参入に結ぶつけるということであれば、それは違う施策を打つべきだろうというふうに私は思っている。住宅改良というような、究極的な救済というのではなく、もっと過密地域のまちづくりとか、そういうところをどんどん展開して行って、その中で区内業者の方が仕事が獲得できるとか、そういう施策に変えないと、ここで焦点を合わせてやるのはちょっと無理かなと思っている。

○渡辺委員 すり替えてはだめだ。私、条例があるから言っている。それをさらに上乗せして、自己資金でやれる人にも助成すれば、しかも区内の業者を頼めば、もう少しプラスアルファーをつけてやれば、仕事がもっと増えるのではないか。住宅改良助成は、利子補給のあれでも、額の10%だから、実際の区の予算よりも10倍の事業費が生まれる。そういう点では、経済波及効果にもいい影響を与えると思う。昨日だか配られたときめきに「景気を読む」という欄があって、建設業、資金繰りの窮屈感強まる、業況は低迷の一途をたどっていて、区内でも売上額、実収額、収益など、すべてに低調感を強めている。深刻な状況だ。これを少しでも応援する区の姿勢が必要だと思う。区長は本会議のあいさつの中で、「21世紀、地域産業のあり方が地域活力の成否を決める」と言った。私、当然だと思った。実際、予算の内容では、それと全く逆のことをやっているのではないか。区長、そう思わないか。

○区長 私どもはいまの状況をどういうふうにつかんで、将来に向けてどうしたらいいかということで、予算の配分については、優先度を選択しているわけで、そういう中で今回の予算を提出している。それから、先ほど来、行政のプロだということを盛んにおっしゃっていたが、私はそんなことを1回も言った覚えはない。

○渡辺委員 これからの足立区を考えた場合、産業施策は本当に最優先にしなければいけないとつくづく実感している。未来にはばたくということであれば、ジェット機に例えれば、燃料を満タンにしなければ飛び立てない。いまの足立区のジェット機は燃料がなくて飛べないような状況がたくさんある。そういうところに燃料補給ということも絶えず考えてやらなければ、産業全体の底上げなどできない。しかも財政再建と言いながら、坂田部長などは、第4次基本計画をつくったばかりで2年でポイなどと、平気でやるような感覚、都市経営部だって、民間会社の部みたいな話をつけているけれども、民間だったらくびだ。親方日の丸みたいな、予算をあれだけかけ、人も集めてつくった分厚い本まで、わずか2、3年でいらないなどという発想は、私は全然理解できない。そういうことだったら、1年分でも2年分でも住宅改良予算を載せてもらいたい、このことを言って質問を変える。

 区道のバリアフリー整備計画を積極的に推進して高齢者にやさしい町に

 次に、道路の改修に関連して伺う。平成11年に足立区歩行空間バリアフリー整備基本計画というのがつくられた。これは予算書を見ると、予算が少なすぎると言うか、どういうことをやっているのか、よく見えない。説明してください。整備基本計画、小子高齢化社会の進展、ノーマライゼーションの展開、地域福祉の推進、生活の質の向上、地球環境保全のための車利用の抑制、大変いいことが書いてある。こういう事業はどんどん進めてもらいたい。ところが予算上では、この事業がどういう形で進んでいるのか、予算にほとんど計上されていないから、進んでいないのではないか。計画のつくりっ放しで、これは基本計画までつくったわけだから、進める必要があると思うが、これも予算がないから後回しのあれで無視しているのか。

○土木部長 歩行空間バリアフリーの整備基本計画については、当初は千住地域を面的に整備しようとかいう計画から始まったわけだが、限られた予算の範囲内なので、最近では新設の道路だとか、まちづくりの中で道路づくりが行われる場合とか、そういう点でこのバリアフリー計画の趣旨に沿った位置づけで行っているという状況である。

○渡辺委員 私ども、投資的経費をあまり増やすなと言っているが、こういう生活密着型はやってほしいと思う。これを見ると、まち歩き、地図で北千住地区と書いてあって、駅から学びピアまで整備する絵までかいてある。誘導ブロックとか、こういうところは優先してやるべきで、これは予算上、節約する対象ではないのではないかと思う。位置づけがちょっと弱いのではないか。

○土木部長 私の思いとしては、区内全域をバリアフリー化したいという気持ちは強いわけだが、先ほども言ったように、限られた予算なので、利用頻度とか、事業量とか、事業効果、そういうのを踏まえながら、これから効果的にバリアフリー化を進めていきたいと考えている。

○渡辺委員 いま、土木部長が言われたけれども、年間の予算は、例えば2,000万とか4,000万とか、全部を直すとなると、金が相当かると思うから、区切ることはいいと思う。しかし、事業に乗せていないと言うか、事業実現のペースに乗せていないというのは、この計画というのは何なのか。

○街路課長 バリアフリーの具現化の方策なので、私の方も道路の整備をしているので、その観点からお答え申し上げたいと思う。限られた予算の中でということで、街路課では今年度、数本の街路事業をさせていただいているが、その中で千住の通称板垣道路という道路、学びピアから旧道につながる道路の整備をさせていただいている。これは地中化の関係だが、これについて道路舗装の最終の工程に入る。先ほどからご質問が出ているバリアフリーの中で、展示ブロックと誘導ブロックの話がある。これは目の不自由な方のために、道を案内するためにつけるものだが、例えば誘導ブロックなどは、ある一定の長さがないと、目の不自由な方が途切れてしまって混乱するというような状況がある。こんなことから、整備については、一定の量がないと、なかなか効果があがらないというようなことから、バリアフリーそのものについて、その思想をそれぞれの土木の課で実現してやっている。バリアフリーそのものについての予算化はされていないかもしれないけれども、それぞれの課で予算措置されているものを具体化していくという方向で事業を進めている。

○渡辺委員 これも小子高齢社会の進展ということで、高齢者が増えて、加齢とともに運動機能が下がると言うか、そういう点では歩きやすい道路は、単に障害者だけでなく、これからの高齢社会では当たり前にしなければいけない。そうすると、相当の時間をかけて、施策的には重点にしてやるということが位置づけとして必要なのだと思うが、区長、そういう点では高齢社会の進展の中で、こういう道路整備の中のバリアフリー化は施策的に重点にしなければいけないのではないか。ゼロではまずいのではないか。

○区長 いま、課長からお話があったように、一つにまとまってバリアフリー化の予算が出ているわけではなく、いろいろなところに散らばって、各所管のバリアフリー化に向けては積極的に進めている。例えば駅のエスカレーター、エレベーターの設置とか、いろいろな形でやらせていただいており、バリアフリーについては、積極的にやっているし、特に道路については、道路をつくるときとか何とかやるのが重点でやっているが、これも投資的経費を最大限抑えるというような形で考えており、そういう中でバリアフリーは進めていこうという考えである。

○渡辺委員 いずれにしても、これからの高齢社会の進展ということで、障害者のためにも、子どものためにも、優しい道路整備を進めていくために、もっと明確な位置づけをして、せっかくつくった整備基本計画を進めて行っていただきたい、こういうことを改めてお願いしておく。
 次に、分譲マンションについて伺う。分譲マンションの啓発ということで、この前セミナーをやったが、その結果はどうだったか。

○住宅課長 昨週の3月9日の土曜日、午後からやらせていただいた。申し込みが51人あり、参加が47人、事前に申し込まれた方が51人いたが、実際には当日7人が欠席、事前申し込みの方が44人。また、竹の塚センターでやったので、そこの入館者は、当日私どもの受付に来て、聞いていいかとい方が3人おり、47人ということである。

○渡辺委員 こうした啓発活動は14年度、どういう予定をしようとしているか。

○住宅課長 私どもの最初の計画は、14年度に本格実施というふうに思っていたが、実際に今回、テストケースという意味合いを含めてどんな状態だろうと思ってやらせていただいたら、定員100名で打ち切りというような衝撃的な宣伝をしたにもかかわらず51人しか来なかったということで、まだ意識は低いのではないかということで、今後はダイレクトメール等でマンション居住者にも送って、継続的にやらざるを得ないのではないか。各区の状況も聞くと、マンションセミナーの表題と言うか、表題によって集まる度合いが違うようで、うちの場合、今回は分譲マンション管理入門ということでやった。ほかのところで行くと、メンテナンスだとか、管理会社とのつき合い方とか、そういう表題と言うか、そういうのも工夫しなければならない。今後とも継続してやっていく予定である。

○渡辺委員 分譲マンションは相当数が増えているので、そういう点から言うと、こういうセミナーも大事だけれども、各管理組合に居住者に基本的な理解をしてもらうパンフレットなども作成して、啓発することも大事だと思うが、その辺は考えていないか。

○住宅課長 実は私もこの講義を聞いて大変勉強になり、今回もマンション管理適正化法というのができたのも、周りのサポーターの役割をきちんとさせたという法律だそうである。あくまでもマンション管理をやるのは居住者の方々、ただ、サポーターがしっかりしないと、管理がなかなか難しいということで、そういう意味では区の責務も情報提供等が入っているので、これから区の責務としては、情報提供等はしっかりしていきたいと思っている。

○渡辺委員 ここでもマンションをなるべく良質に保つということで、大規模改修の重要性なども説明を受けたらしい。そうすると、さっきの話ではないけれども、住宅改良助成というのは必要だ。これからこういうことに住宅改良助成制度の予算を同時補正でつけていただきたいということを改めてお願いする。
 最後に綾瀬新橋のことで伺う。今度14年度に暫定整備をするということだが、この暫定整備をすると、いわゆる本格整備が遅れるということもだいぶ話が広がっていたらしいが、暫定整備と本格整備の関係で本格整備は影響を受けるのか受けないのか、伺いたい。

○土木部副参事 暫定整備だが、これと本格整備とのお話については、影響はないということである。

○渡辺委員 影響はないということで、暫定措置だけれども、安全を確保するということで整備することは非常に大事なことなので、今後も区民の安全のためにしっかりと暫定工事をやっていただきたいということをお願いして質問を終わる。