予算特別委員会 第5日目 総括質疑 村田晃一委員 介護基金(18億円)活用した保険料・利用料減免は可能 |
○村田委員 おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。 まず最初に、私は、介護保険特別会計についてお尋ねをさせていただきたいと思います。予算説明書の該当ページでは280ページになります。介護保険の保険給付費について、お尋ねをさせていただきます。 介護保険は、既に初年度、12年度の決算が出ておりますが、保険給付費は176億円で当初予算の算定がされたものであります。しかし、12年度決算のときには、この金額が122億円で決算をした。したがって、差し引き54億円の財源がかからなかったといいますか、保険給付費の8分の1が足立区の法定負担分となりますので、あらあらに計算しますと7億円ぐらいの財源が足立区の一般会計から出ていかずに済んだことになったかと思います。 私どもは、年度途中に、このように生まれる財源が一体どんな経費に使われているのかということに注目をしておりまして、この件については後ほど別の設問の中でお尋ねをさせていただきたいと考えていますが、とりあえず介護給付費の点からお尋ねをさせていただきます。 平成13年度も、3月のこの時期にきますと、おおよその決算の見通しも大体ついてくるころかなと思うのですが、平成13年度は、介護保険の給付費の当初予算の算定が189億円、ついせんだっての補正予算で、給付費はたしか173億円に減額がされたかと思いますけれども、いまの時点に立って、13年度の介護保険給付費の決算見込みは大体どのくらいと見込んでいらっしゃるでしょうか。 ○介護保険課長 173億円で補正をいたしましたが、それを下回って168億円ぐらいかと予定しております。 ○村田委員 ただいま、168億円くらいとお答えいただきました。私も、幾つかの資料をもとに、自分なりにいろいろな試算をしてみました。施設の数ですとか、在宅のサービスの伸びとか、それでどれほど正確な試算だったかは自分自身やや心配なところですが、いろいろな試算をしてみますと、最大で決算しても165億円ぐらいかなという印象を持ちました。場合によっては、160億円を切る決算という可能性もあるのではないかと思っているのですが、改めてお尋ねをいたします。160億円を切るような決算ということも、可能性としてはあり得るでしょうか。 ○介護保険課長 可能性としてはございます。 ○村田委員 わかりました。決算ですので、最終的に結果を見ませんと何とも言えないのですが、介護保険給付費が補正予算で173億円と補正されました。いずれにしても、さらにこの金額を下回って決算をする方向にあることは確認ができたかなと思います。 さて、この介護保険給付費の決算額が、見積もった予算額に対して低位にとどまるといいますか、見積もった予算額に届かない原因はどのような点にあるとお考えでしょうか。 ○介護保険課長 まず第1に、療養型病床群への転換が進んでいないことが上げられると思います。医療保険から介護保険への転換が進んでいないということは、国の方では社会的入院の解消と言っていますが、その方がなかなか進んでいかないということで、施設費の関係の予算が思うようにいっていないと考えています。 ○村田委員 確かに、療養型病床群の移行のおくれがあって、これが介護保険の保険給付費が伸びない大きな原因の一つだと思います。ただ、これは、介護保険制度の設計上の欠陥といいますか、ずばり言ってしまえば、介護保険制度に移行したのではもうからないという事情のもとで、医療機関が介護保険の制度の方に移行しないということを自己決定した結果だと思うのです。 これが、予算額に給付費が届かない大きな原因だというご説明をいただきましたが、それではこの問題が足立区の努力で解決ができるものかどうか。足立区が働きかけをして努力をすれば、介護保険への療養型病床群の移行が完成できるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。 ○介護保険課長 療養型病床群へのおくれでございますが、まず最初に、スタートをしたので、医療機関が模様眺めであるということ、2番目としましては、予想しました当初予算額に比べて少なかったということが上げられます。3点目といたしましては、保険外の問題がございまして、介護保険ですとおむつ代が適用になりますが、医療だと自己負担だということがございます。ただ、いま、国の方では、療養型病床群、社会的入院をなくすことに全力を挙げておりますので、推移を見守りたいと思います。 毎年あまる予算、重い経済的負担が最大の原因、このままでは来年もあまってしまう ○村田委員 国の方も努力をされているということですが、言ってしまえば、足立区が幾ら頑張っても、療養型病床群の移行は足立区の努力だけではどうにもできない問題となっているのだと思うのです。したがって、給付費が予算額に届かないという事情は、原因が療養型病床群の移行のおくれだけだとしますと、足立区の努力では解決ができない問題となるのではないかと思います。 さて、介護保険の給付費が、予算額に対して届かない、低位にとどまる最大の原因は、私どもは経済的な理由による利用抑制にあると考えています。これは、我が党が、本委員会でもいろいろな具体的な事例を示して、改めて明らかにしたところであります。この現実を認めない限り、鈴木区政は、介護給 付費を見積もった予算額に対して下回っているという構造を、みずからの力では改善できないことになるのだと思います。ここで、介護保険の保険料や利用料の減免制度の実効をなくして、これをやらない限りはこの問題の改善が図れないことを改めて指摘をさせていただきます。 次にお伺いしますが、介護給付サービス費は、制度発足前の予測を下回る状況のもとで、来年度の当初介護会計規模は219億円ぐらいですか。介護保険の保険給付費では210億円という算定がされましたけれども、来年度、14年度の会計規模はいかなる算定に基づいて提案されているものか、お尋ねをさせていただきたいと思います。 ○介護保険課長 介護保険の事業計画におきましては、介護保険法第129条第3項によりまして、3年間のスパンで決めることになってございます。したがいまして、14年度の予算につきましては、事業計画案に基づいて算定をした。そして、12年度、13年度の実績ベースを勘案して給付費を出したということでございます。 ○村田委員 いま、介護保険の事業計画の数字に基づいて算定をし、12年度、13年度の保険給付費の実績にも基づいて算定をしたというご答弁がありました。しかし、実際の介護給付費の伸びを反映させるとすれば、これほどの規模にはならないと思います。210億円という給付費の規模は、実績をもとに算定をしたのだとすると、大き過ぎる規模になるのではないかと思うのですが、その点を重ねてお尋ねさせていただきたいと思います。 ○介護保険課長 伸び率でございますが、特養も伸びておりますし、施設と在宅の支出金額は月平均で前は12億円ぐらいだったものが14億円と、だんだん伸びておりますので適正かなと考えております。 ○村田委員 それでは、この会計規模がどう定まったのかなという点で、私の方も計算をさせていただきました。そうしましたら、介護保険給付費のサービスの伸びに基づいて算定したものではなくて、老人や介護保険事業計画で当初算定した数字で逆算をしている数字だと思います。つまり、もっとわかりやすく言いますと、3年間の保険給付の予想に基づいて足立区の第1号被保険者の保険料が決まるのですが、この保険料を18%に置いて逆算をすると介護保険会計が219億円で、ぴったり当初予算会計規模になりました。つまり、第1号保険料は、年々高齢者がふえてきて、大体これぐらい入ってくる。その額が決まると、それとあわせて2号の保険料等も入ってきますので、保険料で50%、残りが公費で50%、それをあわせて合算をしていきますと、219億円の介護保険会計の当初予算規模にぴったりと合うということですから、実際の保険給付費の伸びを反映して当初算定したものではないと思います。 そういった意味では、介護保険会計は大き過ぎて、この過大な介護保険規模を当初算定することで、鈴木区政は介護保険の特別会計を今後の補正予算の財源対策の一つとして考えていらっしゃるのか。いままでも、実際に財源対策として特別会計が役立ってきた経過がありますので、そのように思うのです。これは、予算課さんの方にお尋ねをしたほうがいいのかもしれませんが、介護保険特別会計は、今後の補正予算で減額補正となって、そのことで財源を生むといまの段階でお考えでしょうか。 ○予算課長 いまの段階では考えておりません。 ○村田委員 では、その点は、今後のお楽しみということで見させていただきたいと思います。 さて、先ほどの質問でも明らかにさせていただいたとおり、鈴木区政が介護保険の実効ある減免制度の実施の意思を持たない限り、つまり利用抑制を改善する意思を持たない限り、予算額に対して介護保険の給付費が届かないという事態は改善できないと考えています。先ほど、療養型病床群と言われる医療機関を介護保険の介護施設に移行させることについても、実際に足立区の力ではできないということも明らかにさせていただきました。これでは、最初から介護保険会計には保留財源が含まれていると言われても仕方がないのではないかと考えております。 鈴木区長さんは、区民には、財源の保留を極力避けて、年間を通じた総合予算を組んだと説明をされました。総合予算と言うならば、介護保険の特別会計は、介護給付費の伸びに基づいた会計規模に変更すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○介護保険課長 ただいま、在宅でのサービスは伸びているという見解でございます。いま、予算が給付費に届かないのは、施設の関係が少であったので伸びないということで、在宅のサービスは適切にいっていると述べさせていただきます。そして、いまのいろいろな関係でございますが、どうしても3年間のスパンで介護保険の事業計画を立てまして、その調整は給付準備基金や財政安定化基金でする形になってございますので、多少はやむを得ないのかなという気がいたします。 介護基金は区民負担軽減に活用せよ ○村田委員 次に、介護保険の給付準備基金積立金について、お尋ねをさせていただきます。この基金の現在高と原資は何でしょうか。 ○介護保険課長 給付準備基金は、18億3,696万3,000円でございます。基本的に、このお金は第1号被保険者、65歳以上の保険料でございますが、12年度、13年度におきましては半年間は無料、1年間は半額ということがございましたので、12年度におきましては区民の方にご負担をいただいたのは4分の1、13年度におきましては4分の3でございます。したがいまして、18億円のうちの半分の9億円は国の交付金でございます。 ○村田委員 いま、ご答弁をいただきましたが、国からの特例交付金が半額ある。12年度の給付費が非常に少なくて、13年度が伸びたということですから、9億円は理論上の数字で、12年度に国からの特例交付金が多く充当され、それが多く上がったということでは、9億円を超える国の特例交付金が基金の原資になったとも言えますが、この2年間について言えば、国の特例交付金が2分の1、第1号被保険者の保険料は2分の1を自主的に負担をしたという考えでは、半額の9億円が基金の原資であるという考え方でよろしいかと思います。 それでは、この基金の活用範囲といいますか、どんなものに使えるか、使える内容を具体的に例示をしていただきたいと思います。 ○介護保険課長 どういうものかといいますと、介護保険に指定しております在宅サービスという形では使えますが、基本的に黒字になった部分につきましては、3年間で積み立てて、次期の介護保険事業計画の中で使うことが筋だと考えております。 ○村田委員 いま、お答えいただきましたが、私の方で具体的な活用の事例を少し上げさせていただきまして、こういうことが可能かどうかという点でお尋ねをします。基金の活用としては、将来の保険料の軽減や引き上げを抑えるとか、いろいろとありますし、現在の保険料も含めて、現在または将来の1号保険料の軽減とか、介護給付サービスの利用に当たっての利用料の軽減、あるいは、上乗せ、横出しといった事業への活用なども考えられて、実際には可能だと思いますが、やる、やらないということではなくて、可能かどうかという点でお答えをお願いします。 ○介護保険課長 委員がご指摘の件は、理論的には可能でございます。 ○村田委員 足立区の介護基金の活用方針を最終的に決定できるのは、区長さんということになりますので、鈴木区長さんにお尋ねをさせていただきますが、介護給付サービス費が当初予測の水準、当初予算の算定額に到達しないという現実は否定できない事実として存在をしているところです。それは、先ほどから私が申し上げてきたとおりです。介護給付サービス費が低位にとどまっていることに原因があるのなら、そして足立区がその原因の改善に有効な対策をとれるものがあるならば、この基金はその原因の改善のための対策にこそ活用されるべきであって、区民生活の実態もそのことを強く求めていると思います。鈴木区長さんは、この基金をこういった問題解決のために活用しようというお考えがおありかどうか、お尋ねをさせていただきます。 ○区民部長 先ほど来の議論の中で、行政が介護サービスの給付を抑えるというニュアンスの発言があったと思いますけれども、我々は決してサービスの給付を抑えたつもりはありません。初年度、12年度は、結果として、当初予算の給付サービス費以下の実績であったことは実績ですから、やむを得ない。それから、給付準備金は、次期介護保険の事業計画の中で、当然、算定のベースにすることを考えております。 ○村田委員 私は、行政がサービス給付費を抑えたとは一言も言っておりません。正確な答弁をお願いしたいと思います。 我が党は、この問題の解決のために、足立区が現実にとれる改善策は介護保険料の軽減と利用料の軽減にあると見ております。こうした立場から、この問題点の改善のために、保険料の軽減策ということで、先ほど申し上げた国から交付された特例交付金の財源を使って、この特例交付金は1号保険料を軽減するために国が足立区に交付をしたものですから、その趣旨のとおり、第1号被保険者の負担軽減に充てる。いわば、国費による介護保険料の軽減策を修正案として提案をさせていただきました。鈴木区長には、この提案を真剣に検討していただくことを求めて、次の質問に移ります。 わかりにくい会計処理には問題がある 次は、ページで言いますと、52ページの土地開発公社の貸付金元金であります。52ページに記載されております土地開発公社からの平成14年度の貸付金の返還金収入は、14年度の土地買い戻しによるものでしょうか。 ○用地管財課長 開発公社の土地の買い戻しに伴う区への返還金でございますが、一部14年度、ほとんどが13年度の最終補正予算に計上した分でございます。 ○村田委員 13年度の土地買い戻しに係る返還金が13年度に歳入されず、14年度に歳入できるのはなぜでしょうか。 ○用地管財課長 区の買い戻しの時期でございますが、年度末のぎりぎりになるため、開発公社ではそれから銀行に対する借入金を繰り上げ償還いたします。それまでの利子を清算した上で、残りを区に返還することになります。したがいまして、事務処理の関係上、4月に入ってしまいますので、公社の会計上、14年度の返還ということでございます。 ○村田委員 13年度の土地の買い戻しによる返還金が13年度の歳入となるか、14年度の歳入となるか、事務処理上というお答えをいただきましたが、その基準は何でしょうか。 ○用地管財課長 いまお答えしましたが、事務処理上または予算の計上の関係で、特に基準はないと思います。 ○村田委員 特に基準はないというお答えですが、あえて基準を考えますと、私の方で言うのもなんですが、どちらの年度の歳入とするかは、例えば年度末あたりを基準とした土地開発公社における会計処理の時期の前後によるという形で受け取らせていただいて、先に進ませていただきますが、本来なら、13年度の土地買い戻しによる返還金は13年度の歳入に、そして14年度の土地買い戻しによる返還金は14年度の歳入へと会計処理がされるべきで、このような年度をまたぐ会計処理は避けるべきものなのではないでしょうか。 ○用地管財課長 委員の指摘もわかりますが、事業課及び資金の手当て等の関係から、年度末にならなければという事情がございます。例年、年度末に補正が組まれておりますので、あとは先ほどお答えしたとおりでございます。 ○村田委員 それでは、14年度の返還金歳入に対応する事業経費の歳出額はどれぐらいの金額になるでしょうか。 ○用地管財課長 14年度予算は576万円、13年度が大部分で約54億6,000万円でございます。 ○村田委員 約54億円というお答えをいただきました。当然ながら、この54億円の経費の性質別分類をいたしますと投資的経費となります。このような前年度の歳出に伴う歳入を、前年度の歳入とせず、そして繰り越し等の処理も経ずに翌年度の歳入とすることは、もちろん違法だと言うつもりは全くありませんけれども、問題があると思います。こうした処理は、14年度の当初予算の透明性を損なうといいますか、低めるといいますか、いずれにしても説明がされなければ議会もわからない。ましてや、区民には非常にわかりにくい。透明性が確保されていない予算となってしまっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○予算課長 この予算編成を組むに当たって、私どもは非常に苦慮いたしました。それはなぜかと申しますと、国民健康保険会計の老健への拠出金約30億円を1月になって請求を受けた。これを14年度で返還しなければならない。この費用をどのように生み出すのかということを土壇場の区長説明の中でやったわけですけれども、土地開発公社の用地の買い戻し分の返還金を14年度に繰り入れることでつじつまを合わせることができた。これは、透明性を欠くのではなくて、むしろ透明性を追求するために、14年度の枠の中で処理をすることにしたわけでありまして、決して問題があるものではないと考えております。 ○村田委員 14年度の土地開発公社に係る歳入だけがあって、その歳入に伴う当然の歳出である事業経費の計上がない。このことを説明するとなると、14年度の当初予算と13年度予算において、ここの土地買い戻し事業に係る歳入歳出が年度を超えてつながっているという説明が必要になります。その説明を欠いては、14年度の当初予算の構造の説明ができない。つまり、14年度の当初予算の基本性格を説明するには、とりわけ13年度の最終予算と合わせた評価が不可欠なのです。この評価をしっかり示さなければ、つまり、この54億円の土地買い戻し事業の歳入と歳出が年度をまたいでいることの説明責任をしっかりと果たさなければ、議会も区民も14年度の当初予算の基本性格が理解できないと思います。 時間がきましたが、この次にまた質問がありますので、この件についてはそのときにやらさせていただきます。ありがとうございました。 |
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