<一般質問>鈴木秀三郎議員

○鈴木秀三郎議員 私は、区内業者の支援策と雇用対策に関連して質問を行います。初めに、鈴木区長の政治姿勢について伺います。
 この1年余、小泉政権のもとで、企業の倒産、リストラ、解雇など、失業率は増大し、最悪の事態が続いています。区民の暮らし、営業の実態は、大変厳しい状況にさらされています。

区内業者の支援策と雇用対策の充実を

 我が党の区民アンケートでも、失業、倒産、仕事の減少を訴える区民は25%にもなっております。54歳の女性は「わずかな貯金を削って暮らしていますが、中高年の働き口がないのです」と、64歳の方から「製造業だったが倒産し、家も金もなくなり、わずかな年金で生活中、子どもに援助してもらっているが、将来が不安」と、切実な声が寄せられています。
 いま、足立区に求められていることは、区民の暮らしと営業を守るために、区としてでき得る施策について、あらゆる手を尽くすことではないでしょうか。
 そこで、具体的な問題で質問します。

損失補償融資をはじめ融資制度の充実を

 まず、中小企業融資の問題であります。
 区長は、3月議会でのあいさつで、喫緊の課題である産業、雇用施策に重点を置くと言い、今年度の予算を子どもと産業の未来をはぐくむ予算と言っています。しかし、中小企業支援の重点事業と言っている中小企業融資でやったのは、東京商工会議所のマル経融資の利子補給や開業資金の利子補給ぐらいであります。
 しかも、区長は、生業資金を拡充すると言っていたのに、逆に生業資金の貸付対象を非課税世帯に限定し、家族の中に一人でも納税者がいる業者を締め出しています。このため、貸付件数は、平成10年度で58件もあったのに、13年度はわずか15件となっています。
 いま、都市銀行などの融資は大変厳しい状況にあります。区の資料でも、13年度は、信用保証協会の保証が受けられなかった業者は222件もあり、やむなく取り下げた425件をあわせると647件にもなっています。江戸川区では、信用保証協会の保証が受けられずに困っている業者支援のために行ってきた直貸し融資を、不良債権対策も含めて損失補償融資に切りかえ、引き続き中小企業支援を強めています。大田区や墨田区でも、損失補償付融資を実施しています。
 伺いますが、区長は、中小企業支援を本当にやる意思があるのなら、みずからの公約である直貸し融資を含め、積極的な中小企業融資施策を図るべきと思うがどうか、答弁を求めます。

  住宅改良助成事業を凍結やめよ

 次に、住宅改良助成事業の問題であります。
 区長は、この住宅改良助成条例に基づく事業を、今年度は予算計上しませんでした。我が党が予算特別委員会で指摘しましたが、この条例の対象となる区民は、助成金の申請をする権利があり、区は、これを審査し、執行しなければならないのに、今年度は予算がない。これでは、条例の基づく申請を受け付けないことになりますが、こんなひどい話はありません。区長の裁量権の乱用であり、改めるべきであります。
 しかも、この住宅改良助成事業は、良好な住環境の維持、業者の仕事確保の支援、地域経済の活性化に役立つ一石三鳥の事業であります。この事業は、消費活動を促し、地域経済に大きな波及効果をもたらすことは明らかです。実施している板橋区や目黒区など、五つの自治体の助成総額2,950万円で、住宅改良の施行総額は7億9,136万円に達しています。
 条例があり、事業を実施する責務があるのに予算をつけない、まさに区長の政治責任が問われる異常な事態と言わざるを得ません。区長は、区内業者の支援、地域経済の活性化のために、直ちに予算をつけ、事業を実施すべきと思うがどうか、答弁を求めます。
 次に、区の緊急地域雇用創出特別補助金事業計画の問題であります。
 この事業は、国の緊急地域雇用創出特別補助金事業による交付金のみを財源とするもので、区の独自財源による上積み事業は全くありません。それどころか、区は、昨年度、独自財源で学校に配置してきた非常勤特別講師を、今年度から緊急雇用の事業計画に組み入れ、国の交付金で行おうとしています。
 このため、昨年度までに行われた旧交付金事業の56事業数と比べると、今回の事業計画は、交付金が1億2,000万円余もふえているのに、31事業と大幅に少なくなっています。特に、15年度と16年度は、事業費総額の約48%、半分を学校への特別講師配置事業が定めています。これは、広範な失業者に就労機会を提供するという交付金事業の趣旨を損ねるものであります。この点でも、区長の政治市政が問われています。
 3月区議会の我が党の質問に、区は、交付金の効果的な運用を図ることで、事業の拡充、新規事業の追加が可能であると答弁していますが、そこで質問します。
 区の緊急地域雇用創出特別補助金事業計画の特別講師配置事業については、これまでどおり、区独自の財源措置で行い、この交付金で他の雇用創出事業を起こすなど、事業計画を見直すべきと思うがどうか、答弁を求めます。
 第2は、区内業者の仕事確保の支援についでであります。
 我が党の区民アンケートに、仕事が少なくなっている、区でも小口の仕事を業者に回せるような入札制度と手続の簡素化をしてほしいと、業者からも要望が寄せられています。
 区長は、区民の暮らしや区内業者の営業を支援するために、区民生活の安定、区内消費の拡大、区内業者への発注拡大、経済支援など、緊急に効果が発揮できる事業を全庁的に洗い出し、積極的に取り組む考えはないか、答弁を求めます。
 次に、公共施設の適切な維持、保全のための修繕であります。例えば、建物の雨どいが壊れてなくなっていたり、屋根の塗装が古く、さびが広がっていたり、フェンスや手すりが腐食しているなど、施設の適切な保全が必要なところが見られます。
 区は、良好な施設の維持と区内業者の仕事確保を支援する立場から、必要な財政措置を図り、学校、保育園、住区センター、公園など、公共施設の修繕を繰り上げて発注を拡大するべきだがどうか、答弁を求めます。
 また、区内の官公署へ、施設修繕や物品購入など、区内業者への発注について一層の協力を引き続き要請するとともに、区内の公団や公社など、公共住宅リフォームに伴う工事や施設修繕についても区内業者への受注機会の提供ができないか、協力を申し入れるべきと思うがどうか、答弁を求めます。

高齢者の就労支援について

 第3に、高齢者の就労支援について伺います。
 シルバー人材センターは、3,000人を超える高齢者が加入しています。我が党の区民アンケートに、60歳以上の元気な高齢者に働く場所をもっと与えてほしい、シルバー人材センターには申込者があふれているとの声も寄せられています。いま、高齢者の就労で一定の役割を果たしているシルバー人材センターへの委託を拡大し、就労機会を提供すべきであります。
 そこで、伺います。
 まず、学童の登下校時の交通安全誘導員についてであります。
 12年度には、学童擁護員とシルバー人材センター委託分をあわせて、107カ所に交通安全誘導員が配置されていました。しかし、いま、学童擁護員は廃止され、シルバー人材センター委託も41カ所だけになっています。
 我が党が予算特別委員会で指摘しましたが、学童の交通安全教育を進めることと同時に、学童擁護員の配置が必要であります。地域のPTAの意見も聞き、学童擁護員の配置をやめてしまった通学路への交通安全誘導員の配置をシルバー人材センターに依頼し、児童の交通安全と高齢者の就労機会の提供として委託箇所を拡大すべきと思うがどうか、答弁を求めます。
 次に、公園、児童遊園、プチテラス等の日常管理についてです。
 公園、児童遊園などで、水飲み場の蛇口が壊れていたり、遊具やその周辺が鳥のふんで汚れていて遊べる状況にないなどが見られます。また、せっかくつくった池を埋めたり、大名行列の絵が壊れたままのプチテラスなど、区の管理が不十分な状態であります。
 地域住民が自主的に管理しているところは意見も上げているようですが、この自主管理の公園を除いて、公園、児童遊園、プチテラスなど、高齢者の目で日常的に施設を点検してもらい、良好な環境を維持するために、日常管理についてシルバー人材センターへの委託を拡大すべきではないでしょうか。複数の人員配置や就労時間の拡大など、委託条件も改善すべきと思うがどうか、答弁を求めます。
 第4に、障害者の就労対策について伺います。
 不況の中、民間企業においては、障害者の就労を縮小する事態が起きており、障害者の就労確保が困難になってきています。3月議会の我が党の質問に、ハローワークと協力し、就労支援を進めると答えていますが、そこで伺います。
 離職障害者への対応も含めて、障害者の就労対策、仕事確保について、区はハローワーク足立や社会福祉協議会と協力し、就労支援体制をつくり、取り組みを強めるべきと思うがどうか、答弁を求めます。
 また、我が党が予算特別委員会で明らかにしましたが、障害者保護雇用の清掃事業については、障害者の就労時間が短縮され、その結果、障害者本人の収入が1カ月約3,500円の減となっています。このことは、ハンディーを持つ障害者の働く意欲をそぐことにもなりかねません。障害者の工賃(収入)減となる就労時間の短縮をやめ、もとに戻すべきと思うがどうか、答弁を求めます。

不況、雇用に関する総合窓口の設置を

 最後に、不況、雇用に関する総合窓口の設置について伺います。
 区の産業情報コーナーでは、ハローワーク足立が毎週金曜日の午後の2時間、内職、パート相談を行っています。高い失業率を反映し、13年度の相談者数は748人に達し、今年度に入って、さらにふえる状況で、5月10日には1日で48人にもなっています。現状では十分な対応はできません。
 そこで、伺います。
 例えば、専用パソコンを設置し、インターネットを使った求人情報の提供や、リストラなどで収入が減ったときに役立つ制度の紹介、就労に関する悩みの相談、さらに業者への融資制度の紹介、創業に関する情報提供など、仕事を求めている人や仕事を起こしたい人が幅広く活用し、相談できる不況、雇用の総合窓口として産業情報コーナーを抜本的に拡充すべきと思うがどうか。
 また、緊急地域雇用創出特別補助金事業についても、事業の計画決定や発注段階でハローワーク足立への周知だけでなく、産業情報コーナーにおいても失業者へ広く情報提供の措置を図るべきと思うがどうか。
 以上、答弁を求めて、この場での質問を終わります。

答弁

○坂本寛文産業経済部長 直接融資、損失補償付融資につきましては、区財政に与える影響等の問題があり、議会のご意向も踏まえまして、現在のところ、実施する考えはございません。
 直接融資に替わるものといたしまして、商工会議所の経営指導を受けた小企業者が、国民生活金融公庫から無担保、無保証人で融資を受けられるマル経融資があります。区は、この融資の利用を促進するため、13年度から利子補給を実施いたしました。これにより、小企業者、事業主の健全な支援が十分可能であると考えております。
 また、たきがみ明議員にお答えいたしましたとおり、区のあっせん融資制度を今後も見直し、零細企業者の視点に立って、積極的な要件緩和、利子補給の充実に努めてまいります。
 次に、緊急地域雇用創出特別補助金事業は、現在の極めて厳しい雇用状況下で、緊急かつ臨時的な雇用を創出することを目的としております。本補助金は、旧来の補助金に比べ、人件費割合がおおむね80%以上と厳しい条件が付されているため、件数は少なくなっておりますが、事業総額では昨年度より約2,000万円の増であり、区といたしましても本事業を活用した積極的な雇用拡大を図っております。
 ご指摘の特別講師配置事業につきましても、本事業の趣旨に十分適合するものと考えております。
 緊急に効果が発揮できる事業の洗い出しについてでございますが、今年度も引き続き緊急経済対策を策定し、チャレンジショップ2号店開設、空き店舗マッチング事業、一店逸品創出支援等の事業に取り組んでおります。
 また、緊急経済対策検討会議を開催し、「足立区で 買おう 食べよう 頼もう」運動の積極的は推進を、庁内はもとより、関係団体等にも働きかけております。
 次に、区内官公署等への働きかけでございますが、「足立区で 買おう 食べよう 頼もう」運動の推進について、区内官公署はもちろん、金融機関、郵便局、NTT等、幅広く協力依頼を行っております。
 最後に、総合窓口設置についてのご質問にお答えいたします。
 浜崎健一議員にお答えいたしましたとおり、現在、ハローワークと高年齢者職業相談室誘致の協議を行っております。主に40歳以上の求職者を対象とする全国初の検索用タッチパネル式パソコンを置いた相談室を、本年中の開設を目指して設置することを協議中です。
 次に、緊急地域雇用創出特別補助金事業の周知についてでございますが、現在、東京都のホームページにおいて、当区の事業も含めた情報提供が行われております。当区においても、産業情報コーナーの活用も含め、地域に密着した雇用情報の提供を積極的に進めてまいります。
○丸山 亮都市整備部長 住宅改良助成事業についてお答え申し上げます。
 住宅改良助成事業は、区民の居住環境の改善を図るため、その資金の一部を助成し、もって良好なまちづくりを図るため、平成元年度から始めた事業であります。しかしながら、今日までのさまざまな状況の変化の中で、14年度は凍結しておりますが、この事業のあり方については、住宅施策の中で総合的に検討をしているところであり、その結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
○坂田道夫政策経営部長 私からは、区内施設の維持修繕についてのお尋ねでございますが、現下の厳しい財政状況の中にあっても、施設の老朽度や使用頻度等を考慮しながら、必要に応じた修繕費の確保に努めております。また、このような事業が区内業者の仕事確保につながることも十分認識しております。
○八木良典土木部長 私からは、公園、児童遊園などのシルバー人材センターへの委託箇所の拡大、委託条件の改善についてお答えいたします。
 シルバー人材センターによる公園等の管理委託は、現在、親水水路や水施設がある公園、テニスコート、野球場がある公園など、受け付けや清掃などを常時必要とする施設を対象として行っております。
 今年度につきましては、緊急雇用対策事業として、巡回、監視の必要な公園などに、既に業務委託を拡大し、実施しているところでございます。
 また、施設への人員配置や就労時間につきましては、従来から施設規模や公園等の利用実態に合わせて設定しているところでございます。
○石川義夫福祉部長 障害者の就労対策についてお答えします。
 ご指摘のとおり、不況のため、障害者の就労支援が大きな課題となっております。(仮称)中央障害センターでも、就労支援室を設け、他機関とも連携し、生活支援、職場開拓、職場定着支援等、就労支援体制を整備してまいります。
 次に、知的障害者保護雇用清掃事業につきましては、社会福祉協議会で実施しております。本年度の作業員の就労時間につきましては、6時間30分から15分間短縮したところであります。これは、12年度の監査委員によるご指摘を踏まえ、民間との清掃単価の格差縮小等、経営努力を図ったところであります。したがいまして、今後も、この方針に基づき運営していきたいと考えております。
○石川純二教育改革推進担当部長 児童の交通安全と高齢者の就労機会について、ご答弁申し上げます。
 教育委員会がシルバー人材センターに委託をして通学路の配置している交通安全誘導員でございますが、信号機等の交通安全施設の未整備箇所に配置するものとしておりまして、今後もこの考えで配置してまいります。

再質問

○鈴木秀三郎議員 いま、全体的に極めて不十分なのですけれども、2点だけに絞ります。
 一つは、住宅改良助成の問題ですが、前の3月議会の答弁では、財政事情で凍結しているけれども、一定の見通しがつけば再開を検討すると答弁をしていたのに、今回はそうではなくて、凍結をしているけれども、踏まえて廃止することもあるのではないかという趣旨をにおわせるような答弁になっている。今回の区長のあいさつでもあるように、黒字になったことを踏まえて、こういう問題については早急に予算をつけてやるべきだという趣旨で言っているわけですから、その辺をしっかりと答弁していただきたいと思うのです。
 もう1点、特別緊急地域雇用の事業創出の非常勤講師の問題ですけれども、去年は一般会計から支出してやっているのです。もちろん、これは一般会計の中にあるのですけれども、4月当初は予備費でやって、9月に補正をして、区の財源措置をして諮ってやっている。結局、去年も、この雇用創出事業はあったわけです。そのときは、独自財源でやっていますから、計画にはもちろんありません。今度、わざわざ緊急雇用の計画に入れたことがおかしいのではないか。5年の計画で特別講師配置事業をやる計画があるわけですから、それはそれとしてやりながら、緊急雇用の方の交付金事業については、別に事業を起こしてやるのが当たり前ではないかという趣旨で質問をしていますので、もう一度、明確に答弁していただきたい。

再答弁

○坂本寛文産業経済部長 ただいまのご質問でございますけれども、確かにこれはこれまで継続しているものでございます。しかしながら、一般会計の中で、どの財源を充当するかということを考えますと、当然、特定的に活用できる財源があれば、その歳入財源を有効に活用していくべきと考えておりまして、平成14年度の補助金交付予定額がふえているところでございますので、まずはこれを充当させていただく。そして、今後、この補助金の事業で差金が生じていけば、さらにまた新しい事業の実施を庁内に働きかけていきたいと考えているところでございます。
○丸山 亮都市整備部長 私は、先ほど総合的に検討をしていると申し上げました。したがいまして、この事業を実施していくのか、それともスクラップすべきなのか、実施するとしたならば、いまのままの内容でよいのか、悪いのか、さらなる工夫が必要なのかという意味で総合的に検討しているとご答弁申し上げたところでございます。
○鈴木 進議長 以上で、質問を終結いたします。