第54号議案、足立区区有財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例の一部を改正する条例に対する討論 渡辺修次議員

○渡辺修次議員 ただいま議題となりましたについて、日本共産党足立区議団を代表し、反対の立場から討論を行います。
 本案は、区有財産の無償貸付または減額貸付の対象に、いわゆるPFI法に基づく事業を推進するため、選定事業者に貸し付けることができるようにするものです。
 反対の理由は、本条例改正は、足立区の将来の財政運営に支障をきたす恐れを大きくする可能性があるからです。民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の第12条の2で、地方公共団体は、必要があると認めるときは、選定事業の用に供する間、公有財産を無償又は時価より低い対価で選定事業者に使用させることができると明記されており、条例改正の必要はありません。
 財産の管理及び処分については、地方自治法第237条の規定の精神、条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払いの手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならないという精神を尊重し、選定事業が具体的に確定された段階で、個々の土地の活用について議決すれば、議会のチェック機能は働くわけですから、あえて条例を変える必要がないと考えます。
 また、区としてのPFI基本方針が定まっていないのに、本案を提出していることは、この改正1つでPFI手法を無条件に活用しようという政治姿勢があらわれています。
 PFI法には、民間の資金を活用することが前提になっており、自治体に予算がなくても、起債の余裕がなくても、公共事業ができることが特徴であり、運用方法が非常に難しく、メリットよりデメリットの方が多い手法であり、この活用は、慎重な上にも慎重な検討が要求されているのに、その検討が不十分なまま条例改正を進めることは誤りです。
 内閣府は、今年の4月、「PFIに関する全国アンケート」結果を公表しましたが、導入に向けて既に検討を進めている、あるいは既に導入事例がある自治体は4%、今後前向きに検討したいが22%、残りの74%はしばらく様子を見たいと回答しています。つまり、政府がどのようにメリットを強調しようと、こうした事実がそれを否定しているのではないでしょうか。そうした吟味もなく、国の言いなりで事業を進めようという区の姿勢が問われています。
 本案は直ちに撤回するよう求めて討論を終わります。
○鈴木 進議長 本案について、委員会の報告は可決であります。
 本案は委員会の報告どおり決することに賛成の方の起立を求めます。
       〔賛成者起立〕

少数意見報告書
平成14年6月17日
足立区議会議長
鈴 木   進 様
総務委員 渡 辺 修 次
賛成者村 田 晃 一
少数意見報告書
  6月17日総務委員会において留保した少数意見を下記のとおり、会議規則第75条第2項の規定により報告します。
1.諮問第1号 学童保育室の入室に関する異議申し立てについて
2.意見の趣旨
 児童の健全育成を図ることは、地方自治体の責務であります。足立区は、児童福祉法の精神にもとづき放課後において保護に欠ける児童を学童保育室などに措置しなければならない責任があります。しかし、区は、措置要件がある児童を様々な口実をつけて、相当数の児童を未措置のままにしていますが、これは重大な問題です。
 区は、口では未措置児童の解消に努力するといっていますが、毎年のように未措置児童を多数残し、今年度は保護者負担金が3900円から6000円に大幅値上げがされたにも係わらず、2958名の申請がだされました。定数増115名があったものの待機児童数は244名にもなっています。
行政不服審査法にもとづく「異議申し立て」が毎年されるという深刻な事態を受け止め、しかも学校5日制にも対応するという行政課題に、鈴木区政がこれを重大な問題として受け止める認識に欠けていると指摘せざるを得ません。
 原因は、区が未措置児童の解消のための抜本的対策を怠っていることにある事は明白であり、区が真に「児童の健全育成」と区長の「待機児解消」という公約実行の立場にたってやる気があるかどうかが問われています。区が必要な職員を確保し学校の空き教室等の活用を図れば解消できる筈です。
従って、異議申し立ては区民の立場から当然であり、保護者の要望に応えるべきであります。