平成13年度足立区一般会計歳入歳出決算、国民健康保険特別会計歳入歳出決算、介護保険特別会計歳入歳出決算について不認定の討論 
                       鈴木けんいち議員(平成14年9月30日)

 私は日本共産党足立区議団を代表して、第69号議案、平成13年度足立区一般会計歳入歳出決算、第70号議案、国民健康保険特別会計歳入歳出決算、第71号議案、介護保険特別会計歳入歳出決算について不認定の立場から討論を行います。
 今決算審議の中では、改めて、本来、財政は誰のためにあるのかということが問われました。
 自治体財政の赤字、黒字を判別する総務省が示す全国共通の指標は実質収支であり、足立区の実質収支は、平成11年度は4億円の黒字、12年度は13億円の黒字、13年度は33億円の黒字と、毎年黒字です。これに対し鈴木区政は、財調基金や特別会計への繰り入れなどでどうにでも操作することができ、そのために全国的な財政指標とはなり得ない実質単年度収支をもって赤字と宣伝し、お金がないからと、区民施策の縮小・廃止、区民負担増を矢継ぎ早に進めてきました。
 平成13年度は、政府自民・公明政権のもと、一層不況が深刻化し、国や都の社会保障改悪などで国民負担は増大、将来不安が拡大しました。我が党のもとにも、「今月仕事がきたのは5日だけ」「資金繰りに四苦八苦」「こんなに苦しくったのは初めて」「何とかしてほしい」と、苦境を訴える声が数多く寄せられました。
 このことは区内の倒産件数が、11年81件に対して13年は131件へと増加、生活保護受給世帯は11年度8,225世帯に対し、13年度は9,565世帯へ、就学援助受給児童数は同じく11年度1万3,065人から、13年度1万6,221人へと増えていることからも明らかです。住民に最も身近な自治体である区が、国や都の悪政から住民の暮らしと営業を守ることが痛切に求められていました。
 しかし、鈴木区政は12年度から訪問理美容サービスに500円の自己負担を導入し、27万4,000円、布団丸洗い乾燥事業に100円の自己負担を導入し、5万3,600円の歳出削減を図るという、僅かな予算を削減するために、まるで寝たきりの区民の布団をはぐような冷たさを見せてきました。
 さらに13年度は寝たきり高齢者世帯の命綱とも言われている高齢者福祉手当を25%削減、元気高齢者を支援する老人クラブ助成は一律4割カット、個人零細事業者への生業資金貸付は非課税世帯に限定、商店街アーチアーケード維持補修助成も削減するなど、苦しむ区民に追い打ちをかけてきました。区民無料健康診断に制限をかけ、受診件数を前年の53%にまで激減させるなど、区民の命と健康を保持する役割さえも投げ捨てました。
 鈴木区長は昨年の決算審議で我が党委員の質問に答えて、「できるものなら削りたくなかった」と述べましたが、13年度決算は当初予算より144億円も多い歳入があり、さらに実質収支も33億円の黒字となりました。区長が削りたくない施策と考えたなら、削る必要はなく、年度途中で復活することも可能であったではありませんか。
 このことはまた、我が党が13年度の予算修正案で示したように、僅か0.75%のお金の使い方を変えるだけで乳幼児医療費助成の所得制限撤廃や介護保険料の減免、中小企業融資の拡充などを実施することができ、区民の暮らしと営業を支える区政に踏み出せたことをはっきり示しているではありませんか。
 このように今決算審議で鈴木区政の、お金があっても区民施策には回さないという姿勢が浮き彫りになったことは、大変大きな特徴です。同時にこうした鈴木区長の政治姿勢を支えるためには、これまでの区民の決算資料にも明記されている前吉田区政の実績さえ事実でないと強弁する与党議員の野蛮で乱暴な議論も展開されました。
 前吉田区政は、財政は区民のものであり、限られた財源の中でも、不況の荒波から区民の生活と営業を守ることを重視して予算編成に当たりましたが、この立場はいまにも生きる重要なものです。そして福祉と産業を区政の柱に据え、保育料の据え置き、乳幼児医療費助成の就学前までの拡大、特養ホームの3カ所同時建設促進、小規模特別資金の拡充など、冷静に事実に目を向ければ、こうした区民のための施策の前進は明らかです。これをウソなどと言って否定することは、党利党略を優先し、区民の利益に攻撃の刃を向ける以外の何ものでもありません。
 こうした鈴木区政の政治姿勢のもとでは、区民利益に反する異常とも言える行財政運営が行われてきたことも決算審議の中で明らかになりました。
 その第1は、我が党は13年度予算を分析する中で、歳入見積もりについて、ある程度の余裕を持たせることは認めた上で、少なくとも一般財源歳入で32億円の過少見積もりがあることを明らかにしました。もともと都区財政調整交付金の歳入予測は、明らかになっている財政数値をもとに、ほぼ正確に算定できるものであり、特別区税を初めとした基準財政収入額についても同様に、明らかになっている財政情報からほぼ正確な歳入推計が可能です。今決算では歳入過少見積もりは我が党の指摘どおりの結果となり、一般財源歳入は66億円の増額となりました。
 第2は、本決算で特徴的だった投資的経費です。区長が財政健全化計画でみずから定めた年間180億円への縮減目標に逆行し、目標を2倍以上上回る370億円に増やしました。我が党は投資的経費への財源配分の異常な集中を指摘しましたが、その投資的経費の増大が区民生活を圧迫していることは明白です。
 さらに鈴木区政は、投資的経費のうち、土地購入経費は財源対策だという議論がありましたが、この財源対策で生み出された49億円は、わざわざ財源を13年度の区民施策への充当には間に合わない年度末以降に歳入し、また、歳入過少見積もり等で生み出された補正財源を区民生活に回さないための予算編成までされていたことが明らかになりました。これらの財源を回せば、削られた区民施策を復活し、区民の暮らしと営業を支える区政が前進できたことを本決算は示しています。
 第3は、こうした異常な行財政運営が、旧本庁舎跡利用計画の進め方にも表れていることです。
 旧本庁舎跡利用について、区長は、「広く区民の皆様の声を聞き、産業振興センターを中心とした計画を早く実現したい」と議会答弁していましたが、その後の推移は、区民に説明はするが、意見は聞かない。産業振興センターの名前はついたが、規模も中身も、とても産業振興センター中心とは言えない計画です。
 さらに区の費用負担が少ないことをうたい文句にして、民間事業者との協議が進められていますが、民間施設の中に公共施設が組み込まれたこの計画は、民間事業者と区が将来にわたり運命共同体とならざるを得ない危険な要素を持っていることが浮き彫りになりました。集客力、事業収支計画でも疑問があり、区民の望む施設でも、地元のにぎわいにもならない計画は撤回し、改めて区民要望を集約すべきと考えます。このような行財政運営が行われた本決算はとうてい認めることはできません。
 介護保険特別会計については、13年度予算審議の時点で、我が党は、3月補正で積み立てた介護給付準備基金の活用も含め、介護会計に低所得者への独自の負担軽減を行う十分な力があることを指摘しましたが、本決算ではそのことがはっきりと裏付けられ、低所得者への独自の負担軽減を拒否した鈴木区政の冷たい政治姿勢が一層明らかになりました。
 介護保険は介護の社会化、選べるサービスをうたい文句にスタートしましたが、高い利用料、不十分な基盤整備のもとで、サービス給付は限度額の約4割にとどまっています。
 こうした利用抑制を最大の要因に、サービス給付量は、3年間の見込み608億円に対し、実績は486億円にとどまる見通しです。差し引き122億円が使われなかったことになります。そのうちの20億円は、介護給付準備基金に積み立て、15億円は区の一般会計に繰り戻して介護保険以外に使ってしまったことが明らかにされました。
 鈴木区長は公約で、「民間資本の導入でコストダウンを進め、保険料を値下げします」と述べていましたが、民間資本の導入では介護基盤整備が進まず、平成13年10月からの保険料全額徴収に際しても、保険料は値下げされませんでした。介護会計の原資には、高齢者の貴重な保険料が含まれているにもかかわらず、利用料の独自減免を実施せず、利用が抑制されることによって介護会計を余らせ、そのお金を一般会計に戻すという、これほど高齢者に冷たい区政はありません。
 我が党の13年度予算修正案では、保険料・利用料の減免策は6億円余で実施できることを示していますが、介護会計財源の一部を使えば、これが実現できたことが改めて実証されました。
 国保特別会計については、不況やリストラのもとで倒産、失業が進行し、国保加入世帯が増える中、社会保障制度としての拡充が期待されていました。加入者の生活と営業実績の悪化は、収入未済額が前年比25.1%増となっていることに端的に表れています。国保の均等割額1,200円引き上げと、国保加入者の介護保険第2号被保険者の均等割額900円引き上げは、均等割世帯に重くのしかかり、支払いが困難となり、滞納者が増大すると指摘しましたが、結果はそのとおりとなりました。23区統一保険料方式となった中で、独自の減免策に知恵を絞ることが求められていたのに、何一つ打ち出さない区長の政治姿勢は認められるものではありません。
 我が党は住民福祉のために必要な仕事をやってこそ自治体と言えると考えます。区民生活重視の区政運営に転換することを求めて討論といたします。