住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の稼働見直しを求める意見書の提案理由説明
                            鈴木秀三郎議員(平成14年9月30日)

 私は日本共産党足立区議団を代表し、ただいま議題となりました議員提出第14号議案、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の稼働見直しを求める意見書の提案理由についてご説明いたします。
 本意見書案は、日本共産党足立区議団全員が提案者となり、提出するものであります。
 住民基本台帳ネットワークシステムは、1999年の通常国会で成立した改正住民基本台帳法に基づくシステムで、国民1人ひとりに11桁の番号をつけ、氏名、住所、性別、生年月日とその変更情報を国と自治体が管理するというものです。
 個人のプライバシーを守るための保護措置が不備であることから、国民の不安を受けて、個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提とする首相答弁をせざるを得ませんでした。ところが政府は、その個人情報保護の措置が未整備のまま、8月5日の稼働を強行したのです。
 住民基本台帳は地方の自治事務でありますが、自治体には住民の安全を守るという使命もあります。こうして判断が委ねられた各自治体からは、福島県矢祭町を初めとして、住基ネットに参加しないという自治体や、神奈川県横浜市のように、市民選択制をとる自治体、独自の情報対策を条例や要綱でとりながらも、情報漏洩や不正侵入が起きたときには切断することを表明する自治体が次々と出てきました。また、稼働開始時点では接続していた中野区では、9月11日になって「個人情報の安全保護措置が十分確認できない」として離脱するなど、事態は収まるどころか、広がる可能性もあり、国民全員の参加を前提にした住基ネットそのものの根幹が崩れているのは明らかです。
 我が党は、このような状況にある住基ネットについて、いまからでも見直しをすることを政府に求めることは、区民の安全を守る上からも必要であると考えます。案文を朗読し、提案いたします。

住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の稼働見直しを求める意見書(案)
 政府は、延期や凍結を求める住民や自治体の声がある中「住民基本台帳ネットワークシステム」を稼働させた。初日だけで6自治体、400万人が不参加、情報漏洩があれば接続を中断することを決めた自治体が多数続出するなど、異例の開始となった。
 「住基ネット」は、平成11年の住民基本台帳法の改正で導入が決まったものであるが、プライバシー侵害の危険性が問題となり、小渕首相(当時)が「個人情報保護整備が実施の前提」と国会答弁し、法案に「所要の措置を講ずる」と修正が加えられて成立したものである。
 政府が先の通常国会に提案した「個人情報保護法案」は、行政機関が個人情報を目的外に使うことに罰則がない一方で、報道・表現の自由を脅かす欠陥法案であったため、世論の反対にあって成立させることができなかった。「住基ネット」の実施の前提条件が崩れている中での稼働に国民の批判が高まるのは当然である。
 いかなるコンピューターネットワークシステムでも、侵入する方法はあり、絶対に情報が漏れないシステムは理論的にあり得ず、個人情報の漏洩ということが必ず起こりうる。同時に、現状では国民に11桁の背番号を付番するということについての国民的合意はない。一つの権力による管理社会がつくられるのではないかという不安がある。
 よって、足立区議会は、国会及び政府に対し、「住基ネット」について、今からでも見直しすることを強く求めるものである。
  右、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成 年 月 日
                議 長 名
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣あて
 総務大臣
 以上のとおりであります。
 議員各位におかれましては、本意見書の趣旨にご賛同いただきまして、速やかにご決定くださいますようお願いいたします。