議員提出第32号議案 児童扶養手当の削減に反対する意見書

ぬかが和子議員


○ぬかが和子議員 私は、提出者を代表し、ただいま議題となりました議員提出第32号議案、児童扶養手当の削減に反対する意見書案の提案理由についてご説明いたします。
  いま、母子家庭に支給される児童扶養手当が大きく後退させられようとしています。児童扶養手当は、今年12月受け取り分から、足立では約1,300世帯が全額支給から一部支給へと減らされたばかりです。さらに来年4月からは、児童扶養手当の趣旨を抜本的に変え、18歳の年度末まで支給されていた児童扶養手当を、支給から5年たてば最大で半減できるようにするものです。これでは母子家庭の生活を継続的に支える制度から、一時的に支える制度へと大きく後退してしまいます。
  母子家庭の母親の9割は就労しているにもかかわらず、平均年収は約229万円にとどまり、一般世帯の3分の1程度です。児童扶養手当は、まさに母子家庭にとっては、なくてはならない命綱です。
  衆議院の参考人質疑でも、5人の参考人のうち、賛成を明言したのは1人だけで、反対や慎重審議を求める意見が相次ぎました。ホームページのシングルママのサイト「HAPPY晩餐」では「母子家庭は子どもに教育を受けさせるな、死んでしまえということですかね。40社にあたっても仕事はなし。在宅の仕事をしても、もらえるお金は安くなるばかりで割にあわない」と怒りをあらわにしています。
  幼い子どもを抱えて離婚をした母親は、子育てにまだまだ手がかかり、仕事も十分できないような時期、中学や高校に行かせなければいけないという時期に削減が始まるのです。
  政府・与党は、児童扶養手当の支給制限の理由として、母子家庭の自立促進を掲げ、就業支援の強化を図るとしています。しかし、就業事業は行政の努力義務規定に止まっており、どこまで実効性が担保されるのか疑問です。就労支援策の効果について、坂口厚生労働大臣は、「やってみないとわからない」と答弁していす。十分な自立支援策がとられないまま、自立を押し付け、手当を削減するのでは母子家庭の生活はますます困難になります。母子家庭の自立にも逆行する措置です。
  また、父親の養育費支払いを履行させるための努力を母親に押し付けていることも見過ごせません。父親の養育費の支払い義務は当然ですが、その請求を母親の努力に任せることは、母親の負担を大きくするばかりです。養育費の支払い義務が履行されない場合の救済などの制度的保障こそ必要です。
  児童福祉法は、「国と地方自治体が、子どもの親とともに子どもを心身ともに健やかに育成する責任を負っている」と明記し、現行法でも「手当は児童の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給される」と、経済的に自立できない母子家庭の子どもが健やかに成長できるよう、国が支援する義務をうたっています。
  母子家庭の現実を無視して支給制限を強化することは、本来の児童扶養手当の性格を大きく変質させるものです。母親の自立促進を口実に、母親の自立の責務を押し付け、国の責任を後退させることは絶対に許せません。
  以上の理由をもって、児童扶養手当の削減に反対する意見書案を提出するものです。お手元に配付されております意見書案文を朗読いたします。

児童扶養手当の削減に反対する意見書

  児童扶養手当は、1961年に制定された児童扶養手当法に基づき、母子家庭の子育てを支援する制度で、現在、母子世帯の75%に当たる約71万世帯に支給されている。この手当を支給することで、就学援助、医療費助成、母子福祉資金の貸付など、国や自治体の各種制度も利用でき、まさに母子家庭にとって命綱となっている。不況が深刻な中、ますます必要不可欠な制度となっている。
  ところが、政府は、母子家庭に支給している児童扶養手当を8月から満額支給できる対象を年収248万8,000円未満から130万円未満に引き下げ、受給対象者の大幅な削減を実施し、受給者の約半数に当たる33万人が減額(今年12月支給分から)された。
  さらに、今臨時国会では「離婚の急増」を理由に手当の支給開始から5年後に減額することを打ち出した。例外措置として、3歳未満の子どもがいる場合は、3歳になった翌月から5年を期間としているが、減額幅は、「2分の1に相当する額を超えることができない」とし、最大半分まで削減できる道を開いている。これは、これまでの長期支給のあり方を否定し、「母子家庭の母に対する『自立の支援』に主眼を置いた改革」に転換したものである。
  母子家庭からは、「5年後は子どもが小学校入学です。そんなときに減額は、あまりにむごい。」「母子家庭の子どもは高校に進学するなというのに等しい。」「手当は我が家で唯一の安定収入なのに、減額なんて言葉が出ません。」と切実な声があがっている。
  子育ては5年では終わらず、年齢が上がればますますお金がかかる。就労支援も、母子家庭の9割は何らかの仕事をしているが、問題は、安定した賃金、雇用の確保である。手当削減でなく、まず実効性ある支援を示すべきである。
  よって、足立区議会は政府に対し、母子家庭の児童の福祉増進を図るという児童扶養手当の目的と、すべての児童は平等であることを謳った児童福祉法の精神にたって、現行制度を後退させるのではなく、削減部分を復活することを強く求めるものである。
  また、この手当にかかわる事務全般及び財政上の負担の一部が区市町村に移されることになっているが、国の責任のもとに実施をされることを強く求めるものである。
  右、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
   平成 年 月 日
              議 長 名
 内閣総理大臣
 厚生労働大臣   あ  て

  以上のとおりでございます。
  議員各位におかれましては、本意見書案の趣旨にご賛同、ご決定くださいますようお願い申し上げまして、提案理由の説明といたします。