議員提出第33号議案 都立病院の統廃合計画の再検討を求める意見書

さとう純子議員


○さとう純子議員 ただいま議題となりました議員提出第33号議案、都立病院の統廃合計画の再検討を求める意見書案について、提出者を代表して提案理由の説明をいたします。
  石原都知事が推し進めている都立病院改革マスタープランは、都民の命を守るかけがえのない役割を果たしてきた16ある都立病院を8カ所に半減させ、民営化まで展望するという統廃合計画であります。この計画に住民、医療関係者、地元自治体から反対意見があがるのも当然です。
  板橋区にある老人医療センターは、日本最初の高齢者専門病院であり、130年の歴史を刻んだ養育院の1施設です。医療と福祉、研究に三位一体で取り組んでおり、地域医療連携に重要な役割を果たしていると、高く評価されている都の誇るべき医療施設であります。住民はもちろん、板橋区、区議会、区医師会がみな一致して、老人医療センターはいまのまま存続を求め、豊島病院は公立病院として存続し、現在の医療水準を低下させてはならないとマスタープランに反対の態度を明確にしています。
  また、八王子や清瀬小児病院の廃止方針についても、地元市から反対が表明され、世田谷区も母子保健院の存続を求めてきました。
  足立区民からも、駒込病院や墨東病院の整理・縮小計画について、足立区には総合病院がない。縮小どころか、増設してほしいとの声があがっています。
  言うまでもなく、都立病院のあり方は、住民の命と健康、さらには各自治体における医療計画に深くかかわる問題です。都立病院の統廃合計画は、都民と自治体の意見をよく聞き、抜本的に検討し直すことがどうしても必要と考え、本意見書を提出することにいたしました。
  案文を朗読して提案します。

都立病院の統廃合計画の再検討を求める意見書

  東京都は、昨年12月に策定した「都立病院改革マスタープラン」に基づき、16箇所ある都立病院を8箇所に半減させようとしており、その手始めとして世田谷区にある乳児院を併設した都立母子保健院を平成14年12月27日で閉院するとした「廃止条例」を都議会第3回定例会に提出し可決された。
  母子保健院は、妊娠から出産、子育て支援まで総合的に取り組む「母と子の安心センター」として、都民から厚い信頼を受け、かけがえのない役割を果たしてきた施設であり、都民の怒りが広がっている。
  さらに「マスタープラン」は、小児科の相次ぐ縮小・廃止など小児医療の危機が深刻になっているにもかかわらず、清瀬、八王子などの小児病院と小児精神専門の梅ヶ丘病院を府中の1箇所に統合するとしている。
  また、高齢化対策がますます重要となるときに、都立病院が担うべき医療分野から「高齢者医療」をはずし、日本で最も先進的・総合的な高齢者医療を行っている老人医療センターを豊島病院と統合し、直ちに民営化する方針である。
  大久保病院及び荏原病院は、身近な地域の患者が多いという理由で、地域病院として機能を縮小した上で、東京保健医療公社に移管し、さらに民営化を検討するとしている。
  「マスタープラン」は都立病院の役割は高度専門医療にあるとして、駒込病院、広尾病院、大塚病院は高度専門の「医療センター」化するとしているが、地域・一般医療をはじめ現行医療機能の整理・縮小が心配され、「広域基幹病院」とされる墨東病院及び府中病院には、一層多くの患者が集中することも懸念される。
  言うまでもなく、都立病院のあり方は、住民の命と健康、さらには各自治体における医療計画に深くかかわる問題である。
  よって、足立区議会は東京都に対し、都立病院の統廃合計画は都民と自治体の参加により、あらためて抜本的に再検討することを強く求めるものである。
  右、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
   平成 年 月 日
               議 長 名
 東京都知事   あ  て

  議員の皆様におかれましては、本意見書案にご賛同いただきますようお願いを申し上げて、提案理由の説明といたします。