議員提出第34号議案 都立高校改革に関する意見書

伊藤和彦議員


○伊藤和彦議員 ただいま議題となりました議員提出第34議案、都立高校改革に関する意見書について、提案理由のご説明を申し上げます。
 本案につきましては、日本共産党足立区議団に所属する11名の議員が提案者となり、提案することになったものです。
 来年度の高校受験を目前に、都内の受験生に深刻な不安が広がっております。それは改革の名による都立高校の再編の結果、来年度の受験生の様相が一変し、高校進学希望者はこれまで以上に厳しい受験戦争を強いられることになるからであります。
 東京都教育委員会は、都立高校改革推進計画を策定し、10カ年の再編計画を決定し、全日制高校を削減、夜間定時制も半分に減らすというものです。その一方で進学重点校や中高一貫校を大幅に増やし、すべての高校を進学指導重点校、中堅校、教育課題校などに序列化することで、進学率や応募倍率などの目標で競争させようというものです。この方向に沿って特色を出した学校には、人、物、金の配分を優遇するというものです。
 また、社会生活を送る上での必要な基礎的、基本的な学力や規範意識などを身にけさせようとする教育活動を展開する学校をエンカレッジスクールとして整備するとし、全日制普通科の都立高校の中から実践校として都立足立東高校が指定されています。さらに、改革推進計画には、定時制高校の統廃合が盛り込まれています。さまざまなハンディを抱える若者にとって、定時制高校はそこにしかない教育の場です。高校の義務化が言われているときに、現在、通学している生徒や区内中学生の高校進学希望者、高校就学の機会を保障する上で深刻な事態が予想される内容であります。
 なお、議員各位のお手元に配付いたしました意見書案を朗読し、提案いたします。

都立高校改革に関する意見書

 東京都教育委員会は、都立高校の統廃合を進め、新しいタイプの高校へと衣替えをすることで、学校間競争を一層激化させる都立高校改革推進計画・新たな実施計画を発表した。
 「都立高校改革推進計画・新たな実施計画」により、改編・統廃合の対象となる高校は、全日制25校、定時制32校、通信制1校で、削減される高校数は、第一次から合計すると、全日制で28校、定時制では45校とほぼ半数に及ぶもので、これを2011年までに実施するという計画である。
 新たな実施計画は、新しいタイプの高校として「リーダーとなりうる人材を育成する」中高一貫教育校、「幅広い知識をもった職業人や起業者の育成を目指す」産業高校、総合芸術高校、「社会生活を送るうえで必要な基礎的、基本的学力を身につけさせる」エンカレッジスクール、「高等学校のセーフティネットの役割を果たす通信制高校」トライネットスクール及び午前、午後、夜間の3部制で、周辺の夜間定時制高校を統合して、各学区に「概ね1校」設置する昼夜間定時制高校を列挙している。これらを既存の高校の統廃合や、既に募集停止された高校跡地に設置するとしている。
 しかし、定時制高校の統廃合は、現在通学している生徒や中学生の高校進学希望者に深刻な影響を及ぼすことが予測され、計画実施にあたっては、関係者、地域住民等の意見を十分に反映させることが必要不可欠である。
 また、いま求められているのは、学級定員についても、高等学校における専門性の高い教育等に留意した少人数制による行き届いた教育の保障である。
 よって、足立区議会は東京都及び東京都教育委員会に対し、都立高校の改革促進計画を再検討するよう強く求めるものである。
 右、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

   平成 年 月 日
               議 長 名
 東 京 都 知 事
 東京都教育委員会    あ  て

  以上のとおりであります。
  議員各位におかれましては、本意見書案の趣旨にご賛同くださいまして、速やかにご決定くださるようお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。