5、付属資料 区長あいさつ |
○鈴木恒年区長 平成14年第4回区議会定例会をご招集申し上げましたところ、議員の皆様には、ご多用中にもかかわらずご参集をいただきまして、まことにありがとうございます。開会にあたりまして、一言ごあいさつを申し上げます。 記念すべき区制70周年の年も師走を迎え、1年を振り返る時期となりました。 今年は、1月の栃東関の大関昇進に始まり、2月のソルトレークシティ冬季オリンピック、6月には日本と韓国の共催による、アジアで初めてのサッカーワールドカップが開かれるなど、スポーツの感動と興奮に、区民の皆様をはじめ日本中が沸き立った年となりました。 しかし、一方では、小泉首相による日朝平壌宣言という歴史的な一歩を踏み出しながらも、国交正常化交渉の経過の中で明らかになった拉致事件では、いまだに多くの被害者の方の行方がわからず、抑えようのない怒りと深い悲しみを感じた年でもありました。一日も早く、被害者の方とそのご家族が、心安らかに過ごせる日が来ることを願っております。 一方、国内の社会経済情勢に目を向けますと、長期の景気低迷によりデフレ・スパイラルが深刻化し、依然厳しい状況が続いております。失業率も5%台で推移し、11月に発表された月例経済報告では「景気は持ち直しているものの、テンポは緩やか」とし、基調判断を1年ぶりに下方修正しております。 政府では、この難局を打開するため、金融機関の不良債権処理や税制改革などの経済活性化に向けた構造改革の加速策を打ち出しており、新しい国づくりによる景気回復がなされることに期待をしております。 さて、私が区長に就任して3年半が経過し、任期は残すところ、あと半年余りとなりました。私は「希望のもてる生活者のまち・足立」を実現するため、高齢者や弱者が安心できるまちづくり、安心して子育てができるまちづくり、安全に住める防災・環境まちづくり、生活者、中小企業に優しいまちづくり、意欲と生きがいを育てるまちづくり、これら5点を公約とし、区民の皆様、そして議会の皆様方の力強いご支援とご協力をいただきながら、ひたすら区民生活の向上を目指し、施策を推進してまいったところであります。その評価につきましては、議会、そして区民の皆様にゆだねられるべきものでありますが、公約として掲げた事項につきましては、おおむね達成が見込まれる状況となってきたのではないか、このように考えております。 そこで、これまでの取り組みと現況について、概括的に報告をさせていただきます。 まず、高齢者や弱者が安心できるまちづくりでありますが、介護支援専門員やホームヘルパーの目標数を平成13年度に達成し、介護保険サービスの中核を担う人材を確保いたしました。また、特別養護老人ホームにつきましては、4施設、350床を確保し、グループホームにつきましても、年内には116床に増床できる見込みとなっております。 安心して子育てができるまちづくりでは、本年4月に、子育て支援の拠点として、こども家庭支援センターを開設するとともに、全国初の認証保育所を開設し、多様化する保育需要にこたえる一方、学童保育室についても可能な限りの増設を行い、待機児童の解消に努めてまいりました。また、乳幼児医療費助成制度につきましても、順次拡充を進めているところであります。さらに、全小中学校に開かれた学校づくり協議会を設けまして、地域と学校の信頼関係を築き、ともに支え合う中で、いじめや不登校のない学校づくりを目指しております。 安全に住める防災・環境まちづくりでは、木造密集地への建てかえ支援を実施し、災害に強いまちづくりを進める一方、各町会・自治会による避難所運営会議の組織化と災害備蓄物品の全小中学校施設への配備を、平成14年度内に完了する予定であります。 生活者、中小企業に優しいまちづくりでは、コミュニティバスの運行を平成12年度からスタートさせ、平成13年には1路線を加えて、今後も順次拡大していく予定であります。また、中小企業融資では、平成13年度から国民生活金融公庫の行う小企業等経営改善資金、いわゆるマル経融資に対する利子補給制度を開始し、平成14年度には、開業資金の利子補給率を100%に拡充いたしました。さらに、起業家支援として、平成15年4月のオープンに向けて、旧千住保健所2階を創業支援施設として改修整備を進めております。 意欲と生きがいを育てるまちづくりでは、区政への区民参加、女性の参画を推進するため、平成13年12月に男女共同参画計画を策定し、現在その条例化の準備を進めております。また、生涯学習センターを中心とした学習環境の整備、文化スポーツ活動の支援にも積極的に取り組んでいるところであります。 私はまた、区長就任以来一貫して区の行財政の改革に取り組んでまいりました。 就任当時の赤字体質を脱却するため、第三次行政改革大綱、財政健全化計画を策定し、区民、議会の皆様のご協力をいただく中で、平成13年度の実質単年度収支を黒字に転換することができました。 私が公約として申し上げました施策の現況は、概括、以上のようでありますが、これらと並行して、現在、区民、民間企業等との協働を基本にした新たな挑戦が始まりつつあります。 まず、足立の新しい「顔」である北千住駅西口地区再開発事業と竹ノ塚駅西口南地区再開発事業、そして、足立の新しい「足」であるつくばエクスプレス、日暮里・舎人線の建設と駅周辺の整備であります。中でも(仮称)総合文化センターの整備におきましては、住民参加型のミニ市場公募債を発行し、区民の皆さんとともに新たなシンボルをつくり上げてまいります。 また、足立の新しい「大地」を耕すため、都市再生に向けた用途地域などの見直し、居住環境の確保と土地利用の高度化を目指した都市計画法第53条地域におけるまちづくりの推進、西新井駅西口周辺地区などのまちづくり事業の展開、電子自治体施策の展開とともに、コンビニエンス・ストアとの組織的な協働も進めているところであります。 こうした取り組みとあわせて、長年の懸案であった旧本庁舎跡地につきましても、議会をはじめ地元区民の皆様のご理解とご協力により、ようやくと目途がつき、足立の新しい「発信」を行う新産業創出拠点として整備を進めることとなりました。千住地域の皆様の「少しでも早くにぎわいを」という声に応えることはもちろん、足立区全体の活性化にも結びつくものと考えております。 このほかにも、足立の新たな「元気」を生み出す健康あだち21運動の推進、総合型地域スポーツクラブの設立・育成、ITボランティアとITシニアネットワークの拡大も、地域の皆様の大きなご支援とご協力をいただきながら進めているところであります。 財政状況が厳しい中で、こうした取り組みを進めていくためには、一層の行政改革と同時に、いままでにない手法へのチャレンジ、行政と民間との枠組みを乗り越えた協働の手法、民間の経営に学ぶ戦略的発想が必要であります。そこで、本年6月には議会のご意見もいただきながら構造改革戦略を定め、既に数多くの改革プログラムを実行に移しつつあります。 成果の見える改革を念頭におきまして、区政、財政、社会の各分野における改革の徹底とスピードアップを図る必要があると考えており、生活創造特区につきましても、引き続き、その可能性を探ってまいりたいと思います。 さて、今後の区政運営でありますが、これはいままで以上に、区民、区議会の皆様はもとより、さまざまな団体や企業の皆様との協働により実現すべきものでなければならないと考えております。そのためには、まず、区政の透明度を高め、区の考えや施策、方針を発案の段階からオープンにしていくことが不可欠であります。全国トップクラスの区政透明度を目指し、現在、庁内で区政透明度の増進計画を鋭意検討しておるところであり、近々、その概要をご報告できるものと考えております。 一方、新たな足立区を築いていくための基本的な方針として、新基本構想の策定に取りかかったところであります。11月には新しい基本構想の策定を担っていただく区民委員の方々を決定し、第1回目の会議を開催させていただきました。量的成長から質的成長、資源や環境の重視、こうした社会的な要請に対応する新たな行政、そして地域のあり方を模索し、また、成果重視、区民との協働と民間経営手法の導入を基本コンセプトに据え、九つのグループそれぞれに足立区のあるべき将来像を描いていただきます。そして、来年の6月ごろには、区民代表、区議会議員、学識経験者などで構成する審議会を設置し、各グループが策定した基本構想等をもとに、総合的な検討をしていただく予定であります。 また、新基本構想とともに足立区の憲法的な意義をもつ(仮称)足立区自治基本条例もあわせて検討してまいります。 以上、公約への取り組みを含め、一連の改革への取り組みと現状を述べさせていただきましたが、財政の赤字体質は改善したとはいえ、今後の社会情勢の中での行財政の運営を考えますと、引き続き大変に厳しく、徹底した取り組みが必要であると考えており、区議会の皆様には、重ねてご理解とご協力をいただきたくお願い申し上げます。 次に、補正予算について申し上げます。 今回ご審議いただきます補正予算は、一般会計、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計の3会計であります。 一般会計の補正予算額は8,400万円余を追加計上するものであります。 主な内容を申し上げますと、職員の給与改定による11億9,600万円余の減額、既に契約締結等が済んでいる差金や事務事業の見直しに伴い発生した削減経費7億2,400万円余などを減額計上し、これらを財源に国民健康保険特別会計への繰出金10億7,300万円余を計上したほか、災害対策のため備蓄物品庫設置に2,900万円余、民営自転車駐車場の補助交付金に2,200万円余、要保護、準要保護児童・生徒への援助に1億900万円余、校舎・施設等維持補修に1億4,000万円余、私立幼稚園等園児保護者負担軽減及び就園奨励に6,500万円余などを計上いたしました。 また、債務負担行為として、来夏に備え、全小中学校の図書室の冷房化工事に着手するほか、千寿青葉中学校開設のためのリニューアル工事、第一中学校校舎解体工事を進めてまいります。 国民健康保険特別会計につきましては、老人保健医療対象年齢引き上げに伴う一般療養費、出産育児一時金などに4億3,600万円余を追加計上いたしました。 介護保険特別会計につきましては、次期介護保険料に対応するためのシステム改修経費1,300万円余を追加計上いたしました。 なお、今回ご提案申し上げました議案は35件、報告2件であります。各議案の提案趣旨につきましては参与よりご説明いたさせますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。 ありがとうございました。 |
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