第13号議案 土地の貸付けに伴う権利金及び保証金並びに工事期間中の貸付料の免除についての反対討論

針谷みきお議員


○針谷みきお議員 ただいま議題となりました第13号議案、土地の貸付けに伴う権利金及び保証金並びに工事期間中の貸付料の免除について、日本共産党足立区議団を代表して反対の立場から討論を行います。
 本案は旧本庁舎跡利用計画の事業プロポーザル(事業提案)で第1位となった事業者と基本協定を結ぶため、定期借地の権利金及び保証金を免除するとともに、工事期間中の地代も免除するものであります。このこと自体、区民の財産である区有地を企業に破格の条件で貸与するもので、認めることはできません。同時に現計画案を最優秀案とした選考過程にもO案先にありきという疑惑が浮上し、この間の議会審議の中で明らかになりました。したがって、本定例会後に基本協定は結ぶべきではありません。
 我が党がしかるべきところから入手した「当方フジタ、先方足立区」と書かれた2001年12月17日付の打ち合わせ記録、区が提出した各案への質問と事業者からの回答、審査委員会議事録、審査評価項目別一覧表などを対比して検討した結果、ここで重大なことが明らかになりました。
 もともとO案は第一次審査で15案から4案に絞り込む際、事業の採算性、安定性に疑問があり、ようやく第一次選考では、最後に残ったことは、審査委員会の議事録でも、区の答弁でも明らかです。ところが審査委員会が第二次審査の最終段階で、各事業者に対する質問事項の決定をしたのが2001年12月10日、それを区が各事業者に送付したのが2001年12月12日でした。ところが補完ヒアリングと称する打ち合わせを、この質問決定から正式ヒアリングが行われた12月20日までの間で、行うことができたのは12月17日のO案だけでした。このことは区の答弁でも明らかです。しかも我が党が入手した資料と回答を比較したところ、回答はみごとに区の示唆したとおりになっていたことであります。
 例えばデジタルファクトリー及びSOHOの利用者イメージについての質問で、区は「ソーホー利用者について、需要のもとがあるという意味で、製作会社の数などのデータを載せてほしい。また、弁護士事務所や会計事務所などとしても入居できるという表現を入れるようにしてほしい」と回答の手本を示していますが、O案事業者の回答は、みごとにそのとおりになり、この項目の評価点は満点となっています。
 こうして審査委員会が示した20項目の質問のうち、14項目で区は回答を示唆し、O案提案事業者はそのとおり回答することによって、審査会での評価点が高まりました。結果としてO案は最終審査会での評価点で第1に浮上したのであります。
 まさに区事務局が補完ヒアリングと称する打ち合わせを行い、O案を最優秀案とするために誘導したという疑惑が一層深まったと言わざるを得ないのであります。
 現に助役は公明党の委員の質問に答えて、「私も審査委員として参加していましたが、A、L、Oそれぞれありましたが、A案は住宅というもので、これはちょっといかがなものか。L案はシネマとか温浴とかで、30年の事業に耐えられるんだろうかと問題がありまして、新産業振興センターをPPPでやるということで、ほとんどの委員がO案でいくということになった」とO案を決めたのは審査会であり、疑惑はないと否定したつもりでしょうが、審査会議事録で見る限り、そのような一方的な議論はされておりません。
 もし、住宅がもともとだめなら、最終選考に残ったこと自体おかしなことになります。シネマや温浴の事業採算性に疑問があるというなら、デジタルファクトリーの方こそ採算性、安定性に疑問があることは、審査委員会でも指摘されています。疑惑を否定したつもりが、逆に助役の発言は、O案先にありきの区の本音を吐露したものと言わざるを得ません。
 しかも、フジタと足立区との関係は大変深いものであります。千住の足立区役所庁舎新築請負契約の随意契約から始まり、足立区教育センター新築工事請負契約、竹ノ塚センター建設工事請負契約、上総湊養護学園改築工事請負契約、現足立区新庁舎建設工事請負契約、足立区生涯学習総合施設及び千住五丁目超高層都民住宅の建設など、フジタと契約しているように、区の大型施設は多くはフジタの受注であることも見逃せません。
 次に、区が権利金、保証金をゼロとする根拠があるのかという問題です。
 区長の公約である2・2・2住宅プランは、良質な住宅確保策の一つとして銘打った事業でありますが、定期借地権の権利金は、時価相場の2割を事業者に負担させています。また、吉田区長時代に建設した生涯学習総合施設「学びピア21」の上部に建てた住宅に対して、通常の借地権ではありますけれども、区は建物面積割合に基づいて、住宅供給公社に10億円余の権利金を課し、地代も時価評価額の2.5%を徴収しています。
 ところがO案事業者には権利金、敷金はなし、地代も時価評価額の1%と特別優遇、それだけの根拠があるのでしょうか。デジタル工場の集客は1日250人しかなく、この施設ができたからといって、地元商店街を賑わすものではありません。ソーホー(IT貸事務所)は、事務所内での仕事が中心で、賑わいを創出するものではありません。集客力の根拠となるコンビニ、スポーツクラブ、レストランはいずれも千住地域に既にあり、地元商店街と競合するだけで、賑わいを創出する施設では全くありません。唯一、O案提案者が官民パートナーシップで運営するとしている公開スタジオについても、年間5万2,000人と、わずかな集客しか見出せません。
 デジタルファクトリー(映像編集工場)は、同様の施設が既に秋葉原で工事着工されており、審査委員会でも区の計画の優位性に疑問が投げかけられています。事業者は年間29億円の収入で事業を進めるとしていますが、デジタルファクトリーがその大半の収入をあげないと、10年もすればただの箱になりかねないとの指摘もあり、この事業は継続できません。この事業の確実性というのは不透明であり、破綻した場合はパートナーシップに組み込まれた区のリスクが大きくなることは間違いありません。まさに50年間、民間企業と運命共同体になるのです。
 さらに言えば、施設計画では区民利用ができ、かつ産業振興センターの部分は2割程度しかないことです。施設の8割が大手企業の収益事業施設であり、綜合商事は土地代を顕在させずに、足立区の一等地に進出することに特別優遇するものです。しかも、この施設全体を新産業振興センターと名づけて、あたかも産業振興に役立つ施設であるかのように描くことは区民だましではないでしょうか。
 全く公共性が薄く、権利金、保証金はなし、地代も時価評価額の1%と特別優遇する根拠は全くなく、区有財産の不当処分に当たるものと思わざるを得ません。
 また、今回採用したPPP手法は、区は地元業者優先を貫くと言っていますが、その仕組みから、事業者が資金調達、建設、運営まで行うため、区内中小企業では資金調達や企業運営などから難しいと指摘されています。
 内閣府の調査によると、全国が行われている同様のPFI手法(民間資金等活用事業)では、そのほとんどを大企業が請け負っています。これでは区内産業支援にはほど遠く、区内業者排除の事業手法に足立建設業界からも批判の声があがっているほどであります。
 日本共産党区議団は、区長が本案を撤回し、基本協定は白紙に戻すとともに、旧本庁舎跡利用については、イベント広場、駐車場を拡充しつつ、改めて区民要望の集約を行い、地元の賑わいにつながり、区内産業を支援する産業振興センターを中核とする施設計画につくり直すよう求めて討論を終わります。