区長あいさつ

○鈴木恒年区長 平成15年第1回足立区議会定例会をご招集申し上げましたところ、議員の皆様には、ご多用中にもかかわらずご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 私が区長に就任させていただいてから、はや3年8カ月が経過し、残す任期もわずかとなりました。
 就任直後を振り返りますと、区議会から不信任された前区長の後を任され、混乱した区政を一日も早く正常化し、停滞している事業を進めることが、私の使命であると痛感し、全力をあげて努力してまいりました。
 当時、区財政は危機的状況にありました。私は、区財政の立て直しを図るため、「財政健全化計画」を策定し、三つの具体的な目標を定めるとともに、緊急財政対策本部を立ち上げ、区の窮状についての情報を区議会の皆様、区民の皆様と共有しながら、公共事業の全体調整、事務事業の見直し、人件費の抑制など、区を挙げて取り組んでまいりました。
 こうした中で、第1の目標である実質単年度収支の赤字を5年ぶりに解消することができました。
 また、第2の目標であります経常収支比率は、目標の80%を下回ることができました。そして、平成15年度までに120億円の財源不足を解消するという第3の目標も、平成15年度予算編成をもって達成する見通しが立ったのであります。
 しかし、この間、私が強く感じましたのは、現下の状況が単に財政的な問題にとどまらず、分権化やグローバル化の進展など、さまざまな背景と要因が重なる一方、課題の多くが社会や制度の構造的な壁に起因しているということであります。
 こうした今日の困難な状況を乗り切り、将来に備えるためには、従来の改革の手段や枠組みを超え、区政運営のあらゆる部門、領域にわたり、既存の構造をもとから改め、これを行政の隅々まで徹底する必要があります。
 このようなことから、私は昨年6月、「足立区の構造改革戦略」を策定し、その中で、「区政」「財政」「社会」の三つの構造改革を同時に進めていくことを明らかにいたしました。
 平成15年度予算の編成に当たり、「包括予算制度」を本格導入いたしましたのも、また、従来の実施計画にかわる計画といたしまして、新たに「中期財政計画」を策定いたしましたのも、この「財政の構造改革」の一環であります。
 さて、平成15年度予算は、行財政運営方針でお示ししましたように、「子ども施策」「高齢社会施策」「都市型産業・雇用施策」の三つに重点を置いた「くらしと産業の明日を拓く予算」であります。
 区政運営や予算編成に当たっての基本的な考え方につきましては、これまでも議会の場で申し上げ、行財政運営方針の中でもお示ししてまいりましたが、足立区64万区民のために、公正・公平で責任ある区政運営を行うこと、そして同時に、地方自治体として、その自主性と自立性を高めることにあります。
 そのためには、一つ、議会との積極的な協議、話し合いを進め、ご理解を求めていくこと。二つ目は、地域のさまざまな問題を区民の皆様とともに解決していくこと。三つ、積極的に情報提供や情報公開を進め、「全国トップレベルの区政透明度」を目指すこと。四つ、「スリム・スピード・サービス」を区政の隅々に徹底し、簡素で効率的な行政運営を進めること。これら四つの行動指針を堅持してまいります。
 平成15年度の当初予算規模は、一般会計では2,110億円、前年度より154億円、7.9%の増となりました。
 増額の主な要因は、投資的経費の増加によるものでありまして、前年度に比べ158億円、95%の増となっております。これは、北千住駅西口再開発、総合文化センター「シアター1010」が完成すること、第一中学校、千寿桜堤中学校の改築工事が始まることなどによるものでありますが、それぞれ、財源といたしましては、公共施設建設基金、文化施設建設基金、義務教育施設建設基金と、起債によって賄うことができ、一般財源投入額では、前年度と比較しますと16億円、1.2%の減少となっております。
 扶助費では、前年度比47億円、9.6%の増、公債費は、前年度比5億9,000万円、3.9%の減、人件費は、公社派遣職員の引き上げによる増加があったものの、実質139名の職員削減によって、前年度比8億3,000万円、1.8%の減となっております。
 国民健康保険特別会計の予算総額は666億円で、前年度比8.1%の増となりました。これは、被保険者数の増による療養給付費の増、介護納付金の1人当たり負担額の増などによるものであります。
 スタートから4年目を迎える介護保険特別会計の予算総額は233億円で、前年度比6.1%の増となりました。これは、介護サービス受給者の増大に伴い、保険給付費が増となることによるものであります。
 老人保健医療特別会計の予算総額は467億円で、前年度比11.1%の減となりました。これは、医療制度改革による診療報酬の減、受給者数の減、及び自己負担の見直しによるものであります。
 用地特別会計の予算総額は57億円で、大幅な増となりました。これは、竹の塚五丁目用地を一般会計で買い戻すためでありまして、これで同会計の持つ土地は、すべてなくなることになります。
 これら5会計の総合計は3,535億円で、前年度比6.3%の増となりました。
 次に、一般会計歳出予算の主要事業について説明させていただきます。
 第1は、足立区の未来を担う「子ども施策」についてであります。
 乳幼児医療費助成制度は、これまで対象年齢4歳以上のご家庭には所得制限がありました。これを段階的に撤廃し、本年4月からは5歳未満、16年度には未就学児に対する医療費を、所得にかかわらず無料化いたします。
 また、里帰り出産のため、妊婦健康診査票を使わず、自費で健康診査を受けた方に対し、助成を行うほか、私立幼稚園の入園料補助金を現行の1万円から3万円に増額するなど、安心して子育てができる環境をつくってまいります。
 保育の待機児解消につきましては、「せきや保育園」の開設、定員拡大、認証保育所4カ所の新設、保育ママの増員などによって、合計321名の解消を図ります。また、休日保育、年末保育、病後児保育、一時保育など、多様な保育需要にも対応してまいります。
 さらに、すべての区立保育園で障害児を受け入れるなど、働きながら子育てができる仕組みをつくってまいります。
 同様に、学童保育室の待機児の解消策といたしましては、足立入谷、舎人、辰沼、加平、千寿第五小学校に新たに学童保育室を開設するほか、商店街の空き店舗を活用した学童保育室2カ所の支援を行うなど、205名の定員増を図ります。
 さて、「教育」への投資は、子どもたちに対する私たち大人の責務であり、さらに積極的に進めなくてはならない課題であります。
 そこで、本に親しむ環境をつくります。そのため、幼稚園や小・中学校図書室の図書の充実を図るとともに、図書館を中心とした読書推進事業、学校への支援活動を実施してまいります。
 さらに、夏までには、区立小・中学校、全校の図書室の冷房化工事を実施いたします。
 次に、わかる授業を進め、魅力ある教育環境をつくります。そのため、個人の個性に応じた習熟度別の授業ができるよう、特別講師の配置を進めてまいります。
 また、「開かれた学校づくり協議会」による「土曜事業」を支援してまいります。
 さらに、「がんばる学校推奨制度」、「新世紀学校プラン」などにより、特色のある学校づくりを推進してまいります。
 学習環境の整備につきましては、いよいよ第一中学校、千寿桜堤中学校の建設が始まります。この改築経費に20億円余を計上いたしました。
 このほか、足立入谷小学校ほか6校の耐震補強工事をはじめ、給排水設備工事や教室の照度をアップし、快適な学習環境を保持する経費など、学校修繕費の総額は29億9,000万円余でありまして、前年度比22.3%の増となっております。
 また、大谷田幼稚園を改修し、幼稚園と保育園の双方の機能を融合させた新しいタイプの幼児教育施設として、(仮称)「幼保園」を開設してまいります。
 第2は、「高齢社会施策」についてであります。
 介護保険制度の導入から早いもので来年度は4年目を迎え、4月には、全国の自治体で同時に介護報酬や保険料の改定が行われます。
 全国区市町村の8割で介護保険料の引き上げが予定されている中で、足立区地域保健福祉推進協議会の答申をいただきまして、保険料を現行のまま据え置き、改定は行わないことといたしました。さらに、低所得者の保険料負担を軽減することといたしました。
 本年4月には、区内17カ所目の高齢者在宅サービスセンター「西新井」がオープンし、第四次基本計画の目標まで残り2カ所となりました。「西新井」には、在宅介護支援センターが併設されますが、建設中の「伊興」とあわせまして24カ所目となり、目標まで残り1カ所と、着実に整備が進んでおります。
 区では、従来のシルバーピア事業にかえ、平成14年度から高齢者が安心して入居できる優良な賃貸住宅への助成事業を行っておりますが、今年度は21戸、来年度は22戸の整備を予定しております。また、一般住宅にお住まいの方には、バリアフリー化工事に加えまして、成長期の子どもの居住空間の確保など、家族構成に応じた住宅改良、耐震診断なども含め、その費用の一部を助成してまいります。
 さて、高齢者が地域の中で心豊かに生きるには、家族や周囲の支え合いが不可欠であります。
 痴呆性高齢者を抱える家族の負担を軽減するため、話し相手をする「やすらぎ支援員」を養成し、家族の留守中や介護疲れで休息が必要なときに派遣いたします。
 また、高齢者が高齢者の気持ちに沿って話を聴く「シニア・ピア・カウンセラー」を養成し、閉じこもりがちな、ひとり暮らしの高齢者宅などに派遣してまいります。
 さらに、健康の維持、増進という面では、足立区が進める「健康あだち21」をさらに推進してまいります。
 また、保健所に最新のエックス線検査装置を導入、乳がん検診のすべてにマンモグラフィ法を採用するなど、健康診査の精度向上を推進してまいります。
 第3は、「都市型産業・雇用施策」であります。
 まず、創業支援塾を開催するとともに、4月には創業支援施設がオープンいたします。起業家がここから産業界に大きく飛び立っていただくようにとの思いを込めまして、愛称は「はばたき」と名づけました。ここでは、事業用オフィスを低廉な賃料で貸し出すとともに、創業相談員による経営相談も行い、新規創業を支援してまいります。
 また、ISO認証取得助成やITセミナーの実施、「はばたき」に併設する産学公交流室での交流、大学等の技術移転機関との交流促進、インターンシップの拡大などを通しまして、区内企業を支援してまいります。
 次に、資金調達にかかる信用保証料や償還利子助成を行うとともに、融資制度の要件緩和を図ってまいります。新たに少人数私募債発行に対する助成制度を創設し、国や都の制度も含めた相談とあわせて「中小企業等の資金調達の支援」を図ってまいります。
 さらに、商店街の空き店舗を保育室やコミュニティ施設として活用することで、区民の利便性を高めるとともに、空き店舗の解消と商店街の活性化を図ります。
 また、昨年開催いたしました「光の祭典」につきましては、「来年も継続できないか」という声を多数いただきました。そこで、今後も、地域や商業の活性化策として、夏の花火と並ぶ足立の風物詩とし、引き続き実施していくことといたしました。
 なお、雇用、就労機会の確保では、国の緊急地域雇用創出特別補助金を活用し、28事業、2億2,000万円余を予算化し、1,600人の新規雇用・就労機会の創出を図ってまいります。
 第4は、まちづくり施策であります。
 北千住駅西口再開発事業は、平成16年2月の完成を目指し、着々と工事が進んでおります。既に、名称も「千住ミルディス」と決まり、都市型百貨店として丸井の進出が決定し、公益施設としては「シアター1010」が併設され、文化発信の中心的役割を担うものと期待しております。
 また、竹ノ塚駅西口南地区再開発事業は、昨年9月に着工し、平成16年度末には竣工する予定であります。ここには、竹の塚保健総合センターと公共駐車場が併設されます。
 このように、足立区の北と南の玄関が相次いで整備される一方、つくばエクスプレス関連事業では、荒川架橋、(仮称)青井駅、(仮称)六町駅を結ぶ地下トンネル工事が完成し、現在、(仮称)青井駅では自転車駐車場の建設が進んでおり、平成17年度の開業に向け、駅前広場の整備に着手していく予定であります。
 鉄道関係では、西新井駅のエレベーター設置を今年度から2カ年で実施いたします。
 都市の生活基盤といたしましては、補助258号線の営団地下鉄綾瀬車庫との立体交差を進めるほか、補助274号線、垳川架橋の工事を八潮市と協力して進めてまいります。
 第5は、環境施策であります。
 住宅に小型雨水貯留槽を設置する方に、補助金を交付します。水は大切な資源であります。貯留槽の利用によって、省資源への意識啓発を進めてまいります。
 また、住宅用太陽光発電システムを設置し、新エネルギー財団の補助金を利用する方に、融資のあっせんと利子補給を行います。
 さらに、平成15年10月から開始されるディーゼル車規制により、装着が義務づけられる粒子状物資減少装置の取りつけ費用融資のあっせんと、信用保証料の補助及び利子補給を実施いたします。
 また、「1万人マイバックキャンペーン」を展開します。これは、買い物袋持参運動に賛同する区民1万人の方に、携帯用買い物袋を進呈するとともに、「マイバック宣言」をしていただき、積極的に運動を進めようとするものであります。買い物袋を持参していただくことで、ごみ減量、リサイクルに対する意識を高め、資源循環型社会の実現を目指してまいります。
 第6は、電子自治体化施策であります。
 当区では、IT、いわゆる情報技術を利用して、「いつでも、どこでも、だれにでも、安全に」行政サービスが利用でき、区民に開かれた区政実現のための電子自治体を目指します。
 昨年8月、住民基本台帳ネットワークシステムをスタートさせました。システム運営に当たっては、今後ともセキュリティ面に万全を期してまいりますが、今年は、引っ越し手続の簡素化や身分証明書に利用できる住民基本台帳カードの発行と、全国どこでも住民票をとることができる広域交付が始まります。
 また、コンビニエンスストアと提携し、店内の情報端末、及びインターネットから屋外スポーツ施設の予約ができるようになります。
 さらに、区のホームページをより多くの方に利用していただくため、普及著しい携帯電話からでも閲覧できるようにしてまいります。
 なお、現下の厳しい経済状況に照らし、緊急に雇用の拡大と、中小企業の活性化を図る必要があるとの判断から、総額1億円の同時補正予算を編成いたしました。これは、1月30日に成立した国の補正予算によります「改革加速プログラム」との相乗効果をねらうものでありまして、当初予算とあわせて3億2,000万円余、2,000人の雇用創出効果を見込んでおります。
 次に、平成14年度補正予算について申し上げます。
 今回ご審議いただきます補正予算は、一般会計が37億6,000万円余の増額補正であります。国民健康保険特別会計は2億8,000万円余の増額補正、介護保険特別会計は5億4,000万円余、老人保健医療特別会計は32億3,000万円余を、それぞれ減額補正であります。
 以上、平成15年度当初予算及び同時補正予算、並びに平成14年度補正予算の基本的考え方につきまして説明させていただきました。
 なお、今回ご提案申し上げました議案は38件、報告1件であります。各議案の提案趣旨につきましては、参与よりご説明いたさせますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願い申し上げます。
 終わりになりますが、現時点での所感の一端を申し述べさせていただきたいと存じます。
 日本経済が低迷を続ける中にありまして、当区といたしましても、長引く不況による中小企業対策・雇用対策、少子・高齢社会対策、都市基盤整備など、取り組むべき課題が山積しております。また、区民の意識や価値観も多種多様化し、行政への期待は、ますます高まっております。さらに、地方分権の進展による自治権の拡充、自治体が地域特性と独自の発想を生かして地域経済の活性化と住民サービスの向上を図る構造改革特区など、本格的な自治体間の競争が始まっております。
 これら直面する問題・課題に的確に対処し、新たな社会変化に柔軟に対応しながら、長期的な視点で区民一人ひとりの生活の向上、活力と魅力に満ちた「ふるさと足立」の実現をしていかなければならないと思っております。
 こうした考えのもとに、新たな足立区を築いていくための総合的な羅針盤となる新基本構想の策定に取りかかったところであります。
 昨年11月には、策定を担っていただく九つのグループの区民委員を決定させていただき、毎月の議論を経て、本年4月ごろには各グループの構想がまとまる予定であります。6月には、区民、区議会議員、学識経験者などで構成する審議会を立ち上げ、各グループの構想をもとに、成果重視、区民との本格的な協働などを礎にした夢のある足立区の将来像を策定していただく予定であります。
 また、これまでの区政の重点課題として取り組んできた施策も多くあります。足立区の新しい「顔」であります北千住駅西口地区再開発事業、竹ノ塚駅西口南地区再開発事業、足立の新しい「足」であるつくばエクスプレス及び日暮里・舎人線の建設と駅周辺のまちづくり、足立の新しい「大地」を形成するための用途地域の見直し、都市計画法第53条地域におけるまちづくりの推進、足立の新しい「発信」を行う旧本庁舎跡地を活用した新産業創出拠点の整備、足立の未来を担う子どもの育成、教育改革など、いずれも区政の発展に欠かせないものであります。各施策とも軌道に乗りつつありますが、さらに気持ちを引き締めて取り組んでいく所存であります。
 区議会の皆様におかれましては、今後ともご理解とご協力を切にお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。