2 、本会議の質問等 ○一般質問 三好すみお議員 |
高齢者施策、介護保険の基盤整備について 私はまずはじめに高齢者施策、介護保険の基盤整備について質問いたします。 足立区老人保健福祉計画によると、足立区の高齢者人口は、区内人口が横ばいの中、増加傾向にあり、平成19年度には高齢化率は21.2%になると予測されています。また、介護が必要と認定される高齢者は、平成14年の1万4,900人から平成19年度には2万800人へ増加すると予測され、その中で施設入所は平成14年2,209人から19年3,572人と、62%も増加すると推計されています。高齢者数の増加率が21%、在宅サービス利用者の増加率が37%ですから、施設入所の伸び率の方が高くなっています。これは高齢者福祉と介護基盤整備の中でも、入所施設の整備の必要性がますます高まっていることを裏付けているものと考えます。 しかし、足立区の介護施設整備は、特別養護老人ホームが1,066床、老人保健施設803床、ショートステイ135床で、とりわけ特養ホームは入所を希望しながら入れない待機者が、現在ある施設定員の1.5倍の1,600人と、大変不十分な現状となっており、介護福祉の充実及び区政の推進上、重要な課題となっています。 区の高齢者保健福祉に関する計画の理念と基本的方向にも掲げられている区民1人ひとりが生涯にわたって真に幸福を享受できる高齢社会を築き上げていく観点から、高齢者福祉に対する区長の姿勢を伺います。 鈴木区長は、4年前の選挙で、「介護保険サービス開始の不安に応え、物心両面から支援します。民間活力を取り入れ、平成14年までに特養老人ホームベッド数を1.7倍、これで特養入居待機者がゼロに、さらに、民間の競争により、サービスの質を高めます」と公約しました。 また、99年第3回定例会では、わが党の質問に対して「介護保険のもとにおける公的責任の最大のものは、民間供給の誘導と調整であると考えている」「基盤整備につきましては、基本的にはまず民間の力を最大限活用してまいりたい」と答弁をしておりました。 しかし、特養ホームのこの4年間の推移は吉田区政時代に計画されたもので、鈴木区長になってからの建設計画は一つもありません。吉田区長が3カ所同時に建設したことと比べると、大きな違いであります。 そして区長が公約した入居待機者はゼロになるどころか、逆に増えています。2年前に制定された足立区高齢社会対策基本条例第2条の「区民が住み慣れた地域で安心して暮らし、必要に応じた適切な医療及び介護サービスが提供される地域社会」を目指す上で、介護保険の基盤整備が大変不十分な現状となっています。区長はこの不十分な現状を補い、克服するために、在宅サービスや他の施設サービス基盤の整備と合わせて、どのような努力をしてきたのか。また今後、どのように進めようとしているのか、まずはじめにお伺いいたします。 2つ目に、わが党は介護保険制度については、福祉と保険の結合によって、市場任せではなく、区が責任を持って行うべきと考えています。特養ホームの待機者がどんどん増えている現状の中で、希望する利用者が希望どおり入所できるように整備を進めていくのが行政の役割です。そのために財政出動も含めた積極的な対応が必要です。民間の力に依存する市場任せの政策では、民間の事業者が利益が出ないと判断すれば参入を控えることになり、目標設定に見合った必要な施設の建設が進まないのが実態です。保健・福祉の充実を図る上で、区の言っている民間供給の誘導と調整だけでは限界があるのではないか、区長の所見をお伺いします。 次に、特別養護老人ホームの建設推進について伺います。 特別養護老人ホームは、さまざまな介護サービスの中で重要な位置を占め、足立区高齢社会対策基本条例に示された理念実現の大きな鍵を握っているものです。特別養護老人ホームは平成19年度には1,674床にする計画になっていますが、現在は1,066床しかなく、満杯で入れません。平成14年度末で1,589人が待機者となっているのが現状です。計画との関係でも、待機者解消のためには、さらに1,000ベッドが必要になります。第2期老人福祉保健計画に示された施設整備計画を早期に達成していくことがいま、区に求められています。 待機者とその家族は特養ホームの空きを待ちながら、在宅で必死に頑張っています。待機者を介護されている家族の切実な声を紹介します。 東和に住むAさんです。「私の夫(86歳)は、介護保険の始まる前に肺炎にて入院し、寝たきりになりました。要介護5の認定を受けましたが、入院が長期になったということで退院させられました。私は目が悪く、高齢のため在宅介護はできません。この間、特養ホーム10カ所申し込み、どこも3年から4年待ちで入れません。どうか要介護度の高く、在宅介護の無理な人を優先的に入れるようにしてください。介護ベッドをもっと増やしてください。よろしくお願いします。」 もう1人は91歳の父親を介護している方です。「父を介護して7年目になります。パーキンソン病で、現在要介護5で在宅介護です。肺炎と慢性気管支炎で入院して気管切開し、のどから吸引を行うようになりました。退院してからは、デイサービスもショートステイも断られ、私1人で介護しています。ヘルパーさんと訪問看護を頼んでいますが、夜中も吸引しなければならず、1日の休日もありません。介護する側のことを考えていない介護保険はおかしいと思います。医療が必要な場合でも、ショートステイができる施設や介護ベッドをもっと使いたいときに使えるようにしてください。介護する人が倒れる可能性は十分にあると思われます。早くしてください。」こうした切実な声が寄せられています。 現在、第2期老人保健福祉計画の実践が進められておりますが、私は次の2点について区長にお伺いします。 第1に、現在、上沼田への設置をはじめ、2カ所での計画がされていますが、いつまでに開設できる見通しか、お伺いします。 第2に、特養ホームを計画どおりに建設する上でも、そして利用者のニーズに沿った基盤整備を進める上でも、区が責任を持って建設し、民間事業者が参入しやすくすること、また、事業者への運営費補助の継続を行うなど、公的援助が必要と考えるがどうか、所見をお聞かせください。 次に、ショートステイベッドの拡大と改善についてお伺いします。 在宅介護を進める上で、介護者の負担を軽減するためにも、ショートステイの利用は欠かせません。ところが実態は利用者が必要に応じて利用できるようにはなっていません。特別養護老人ホームは、先ほど紹介した介護者の方の訴えにもあるように、胃ろうや気管切開でのどに管の挿入をするなど、医療行為が必要な方は入れません。そうした方が利用する老人保健施設では、3カ月前の毎月1日の午後1時から申し込み受付が行われますが、一斉に申し込みが殺到し、電話が通じない、5分後にやっと通じたかと思ったら、もういっぱいですと言われてしまう。 こうした状況は、介護をしている家族が休息をしたいと願う盆暮れなど、特に集中します。3カ月前からこういう満杯の状況ですから、緊急でショートステイを利用したい人が入れなくなるという事態も発生します。これは特養ホームでも同様です。高齢者・家族の緊急事態に対処できるように、区がショートステイのベッドを一定数、常時確保しておくことも必要になっていると思います。 こうした実態を踏まえ、医療行為の必要な方、介護者の休息を保障するためのベッドの確保、緊急にショートステイが必要な人のために、区が責任を持ってベッドを充実する支援策を考えるべきと思いますが、所見をお聞かせください。 次に、(仮称)高齢者激励見舞金の新設をする問題で質問します。 区は第1回定例会での渡辺修次議員の質問に対して、「徘徊高齢者位置検索システム費用助成」や「なやみ電話相談事業への支援」「平成15年度からは、痴呆性高齢者家族やすらぎ支援事業を開始する予定なので、高齢者激励手当の創設は考えておりません」と答弁しておりました。しかし、これらの施策を行ったからといって、高齢者激励見舞金を否定する理由にはなりません。社会的なセーフティネットというのは、いろいろな制度が重層的にあって当然です。経済給付の役割は「時代にそぐわなくなった」と石原都政のもとで老人福祉手当の廃止やマル福制度の削減などが次々と強行されました。しかし、この足立区では経済給付的事業である乳幼児医療費助成制度を就学前までに拡大をし、所得制限も緩和するということが全会一致で決められました。区民にとって経済給付的事業が必要だということの何よりの証明であります。とりわけ所得の低い高齢者にとっては、命綱となっています。 国が在宅での家庭介護を基本とする政策をとっている中で、「お年寄り本人のなけなしの年金から保険料・利用料を払わなければならない。赤字で持ち出しになってしまうこともある。家族は仕事もあきらめ、介護にあたらなければならない」こうした切実な声も寄せられています。我慢と犠牲の上に成り立つ介護では、やさしい温かい介護はできないと考えます。 要介護度の高い高齢者に毎月1万円の激励見舞金を新設することは、介護を必要とする高齢者及び家族の支援となり、高齢者を励ますものです。保険料・利用料の負担がかさむ中で、要介護度の高い高齢者本人に見舞金を支給し、本人及び介護者の負担を軽減すべきと考えますがどうか、答弁を求めます。 綾瀬新橋東側道路の安全対策について 次に、綾瀬新橋東側道路を広げ、安全に通れるようにする問題について質問します。 この道路は都市計画道路138号線上の約100メートル部分ですが、とにかく狭くて危ないところです。昨年3月、綾瀬新橋の歩道拡幅が確定した段階で、橋の上に続けてその東側の道路も広げてほしいという声が高まりました。その声は同年6月に開かれた綾瀬新橋の歩道を広げる工事の説明会で、わが党議員の発言でも示され、住民からも切々とした訴えが行われました。 9月には地元の日本共産党支部が住民アンケートを行い、98%の方から、危ないと思うという回答が寄せられました。実際に危ない目にあったり、事故やけがをしたことがあるという方がたくさんおり、歩道を広げてほしいという声が92.8%に上りました。 その後改善を求める住民組織が結成され、1,340名分の署名が足立区と東京都に届けられる中で、この道路部分を北側へ2メートルほど広げ、歩道を確保する方向で検討が始まり、区が道路北側の地主さんと会って話をしたと聞きました。先日の答弁では、可能な限り早期に整備したいとのことでした。住民の長年にわたる切実な要望にかかわることであり、これまでの具体的な経過と内容を示していただきたくお伺いいたします。 同時に歩道の確保の問題ですが、歩行者や自転車は綾瀬駅に向かう人も、あるいは江北高校へ通学する人も南側を通行する場合が多いのが実態です。北側だけの歩道の確保では南側通行をなくすことができず、危険な状態を放置することになりかねません。したがって、道路の両側に歩道を確保する方向で、地域住民の声をよく聞きながら進めるべきと思いますが、見解をお伺いします。 以上答弁を求めまして質問を終わります。 ○石川義夫福祉部長 三好すみお議員のご質問のうち、福祉行政についてお答えいたします。 まず、介護保険の基盤整備につきましては、どのように努力してきたかとのご質問でございますが、介護保険の導入と合わせて、在宅福祉の要であるヘルパーやケアマネジャーの育成に全力を尽くし、必要量の確保を図ってまいりました。また、地域介護の拠点として、24カ所の在宅介護支援センターを設置しております。基盤整備が不十分とのご指摘でございますが、前計画の計画数値の達成が困難な状況にあるのは、特別養護老人ホームの整備だけであると考えております。 これからは平成19年度を最終年次とする新しい老人福祉計画・介護保険事業計画の達成に向けて努力してまいります。 次に、民間活力の誘導と調整だけでは限界があるのではないかとの質問でございますが、決して介護基盤整備を市場任せにしてきたのではないことは、介護支援センターや在宅サービスセンターの整備状況をごらんいただきましたらご理解いただけるものと思っております。 特別養護老人ホームにつきましても、都有地を活用した(仮称)上沼田特養の整備を図っているところであり、決して市場任せにしているものではないと思っております。 次に、建設計画の見通しはどうかというご質問でございますが、ご指摘のとおり、現在、区内特別養護老人ホームは1,066床であり、目標は1,674床です。したがいまして、608床を19年度までに整備する計画でございます。上沼田などの2カ所の開設でございますが、今年度、国・都の内示待ちが新設1カ所102床、増設1カ所47床の計149床あります。上沼田への設置につきましては、都へ要望しているところでございまして、平成18年度開設を予定しております。平成19年度までに計画を達成できるよう努力してまいります。 次に、区が責任を持って建設し、運営費補助の継続などの公的援助について必要とのご質問でございますが、特別養護老人ホームの建設計画につきましては、多大な財政負担を必要とするため、区が直接建設する考えはございません。また、介護保険施行前に開設した公設特養施設への補助継続について検討してまいりますが、それ以外の新たな公的援助を行う考えは現在のところございません。 次に、ショートステイにつきましては、要望も高く、利用率も年々高くなってきております。それに伴い緊急利用も多くなってきていることは認識しております。したがいまして、今後、計画する特別養護老人ホーム、介護老人保健施設については、ショートステイ枠を多くするように事業者に働きかけていきたいと考えております。また、民間事業者のショートステイ専門施設の建設を誘導してまいります。 次に、高齢者激励見舞金についてお答えします。 介護を必要とする高齢者福祉施策は、現在、介護保険による給付をはじめ、さまざまな制度を実施しています。また、こうした高齢者を介護しながら暮らしている家族の負担を軽減するための施策として、三好すみお議員ご指摘のあった徘徊高齢者位置検索システム費助成や区民活動組織であるあだち1万人の介護者家族会が平成14年から始めた悩み電話相談事業がございます。そして本年度からは、痴呆性高齢者を抱える家族の負担を軽減するため、痴呆性高齢者家族やすらぎ支援事業を開始に向けて作業を進めているところでございます。さらにシニア・ピア・カウンセラーを養成し、閉じこもりがちなひとり暮らし高齢者宅などに派遣する事業も開始します。したがいまして、高齢者激励見舞金の新設は考えておりません。 ○八木良典土木部長 綾瀬新橋東側道路に関するご質問にお答えいたします。 ご指摘の綾瀬新橋付近の交通環境改善については、従来より継続して都市計画道路補助138号線の早期整備を東京都に要望してまいったところでございます。 先に白石正輝議員の代表質問にお答えしたとおり、今般、つくばエクスプレス開業を控え、緊急対策として綾瀬新橋東側区道に歩道を整備することについて、4月下旬、関係地権者にお会いして区の考え方をご説明し、ご協力をいただけるとのお話を承っているところでございます。 次に、両側に歩道を整備すべきとのことについてでございますが、今回の計画は緊急的かつ暫定的なものであり、短期間に施工可能な方法として北側に歩道を整備しようとするものであります。両側に歩道を確保するような根本的な問題解決には、補助138号線の本格的な整備が必要であると考えており、その早期整備について引き続き東京都に要望してまいります。 ○鹿浜 清議長 6番三好すみお議員。 ○三好すみお議員 3点について再質問させていただきたいと思います。 1つは介護保険の基盤整備について市場任せはしていない、特養ホーム以外については進んでいるという答弁でございましたけれども、足立四丁目、上沼田2カ所の設置計画が実現したとしても18年ということであります。それでも1,300床程度にすぎません。平成19年までに1,674床に持っていくためには、もっと区が積極的な役割を果たしていく必要があると思います。この遅れている現状、区民を苦しめているという認識が足りないのではないかと思います。私の質問は、この遅れた現状に基づいて、具体的にどう改善をして、必要な施設、とりわけ特養ホームの増設を進めていくのか、そのために区の責任をどのように果たしていくのか、このことを質問しているわけでありますから、具体的に答えていただきたいと思います。 2つ目に高齢者激励見舞金についてですけれども、質問の中で指摘しましたけれども、答弁のような施設を行ったからと言っても、高齢者激励見舞金を否定する理由にはならないと考えます。答弁になっていないのではないかと思います。経済給付の問題では、乳幼児医療費制度の例も出しましたけれども、必要性があるわけです。わが国の所得格差が80年代、90年代を通じて急速に拡大してきているのは政府の統計でも明らかですけれども、とりわけこの足立区は所得の低いお年寄りの多いことは周知のことと思います。こうした所得の低い高齢者、しかも要介護度の高い高齢者に限定した提案をしているわけでありますから、行政側から何らかの救済の手を差しのべるということが区長の姿勢として問われているのではないかと思います。再答弁をお願いします。 それから、綾瀬道路の両側に歩道をつくる問題ですけれども、本格的整備とは別に、両側に設置していただきたいという要望であります。同時に地域住民の皆さんのご意見を聞いていただく。新橋をつくるときも、地域の皆さんの要望を聞く中で問題解決が図られたわけでありますから、改めて地域の皆さんの要望を聞きながら進めていただきたいというふうに思います。以上です。 ○石川義夫福祉部長 ただいまの1点目の特別養護老人ホームの件でございますが、民間の計画を誘導するということで実施してまいりたいと考えております。現在、民間の方からいろいろな計画が提案されておりまして、それについて今後、実施するために区としては支援していきたいと思っております。 また、区有地等の活用についても、前向きに考えていきたいと考えているところでございます。 2点目の高齢者激励見舞金の件でございますが、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、さまざまな制度があるわけでございまして、それがあるということで、この激励見舞金については、新設は考えていないということでご答弁申し上げたところでございます。 ○八木良典土木部長 綾瀬新橋東側道路の歩道整備の再質問にお答えいたします。 今回の暫定的な歩道整備は、あくまで北側に2メートルの歩道を設置するというものでございます。既存の道路幅員の中で、必要な車線幅員、路側帯を確保すると、南側歩道を確保することは、かなり難しいものと考えられますので、両側に歩道を確保するためには、補助138号線の本格的整備が必要である、このように考えているところでございます。 |
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