第40号議案 足立区事務手数料条例の一部を改正する条例に対する反対討論

鈴木けんいち議員


○鈴木けんいち議員 私は日本共産党足立区議会団を代表して、ただいま議題となりました第40号議案、足立区事務手数料条例の一部を改正する条例に反対の立場から討論を行います。
 この条例案は、住民基本台帳ネットワークシステムの本格稼働にかかわり、住民基本台帳カードを8月から希望者に発行する交付事務手数料を追加するものです。
 住民基本台帳ネットワークシステムは、国民に11ケタの番号をつけ、これまで区市町村が管理していた住民票の情報を、全国的なコンピューター網で一元管理するものです。
 そもそもどんなコンピューターのネットワークシステムでも、絶対に情報が漏れないシステムというのは理論的にはあり得ません。だからこそ99年法律が通るとき、当時の小渕首相は、「個人情報保護に関する法整備が実施の前提」と答弁し、法律の付則にも「政府は個人情報の保護に万全を期するために、速やかに所要の措置を講ずるものとする」との文言が明記されました。
 しかし、法整備は行なわれないうちに、昨年8月第一次稼働となり、杉並区、中野区、国分寺市など、全国で5つの自治体が不参加の異常なスタートとなりました。
 今年5月、個人情報保護法が成立しましたが、思想・信条など、個人の名誉・信用・秘密にかかわるセンシティブ(慎重な扱いをする)情報収集の禁止規定が欠落していることや、自己情報コントロール権が明記されていないことなど、欠陥だらけの法律で、個人情報漏洩の危険性はなくならず、全面稼働の前提にはならないと考えます。
 すでに今月17日国分寺市では、住基ネットへの接続を改めて否決、18日小金井市では住基ネットの問題点が解決されない時点でカード発行は行うべきでないと、手数料条例が否決されました。また、長野県では、県本人確認情報保護審議会が、個人情報保護の観点から、当面、住基ネットから離脱すべきとの報告を出しました。
 住基カードは身分証明書ともなるとされていますが、住民の要望が強い身分証明書は、住基ネットのように個人情報が漏れてしまう危険性があり、守るべきものも守れないシステムとは切り離して別個につくられるべきです。
 わが党は個人情報保護にかかわる問題の根本的な解決もされないまま、本格稼働のためのカード発行に反対です。
 以上のような状況のもとで、住基ネットはいまからでも見直し、中止すべきと考え、本条例案に反対するものです。
 議員各位におかれましては、ご理解の上、ご賛同いただけますようお願いをいたしまして討論を終わります。