1 、本会議質問 ○一般質問 松尾かつや議員 |
◆松尾かつや議員 初めに青年の雇用対策について伺います。 長引く不況の中で、雇用問題はかつてないほど深刻になっており、総務省が発表した今年4月の15歳から24歳の完全失業率は12.0%に達しております。この数値は全年齢層の完全失業率の2倍以上という、突出した異常な状況であります。完全失業者380万人のうち、50%にのぼる190万人が34歳以下の若者です。しかも月末の1週間に1時間以上仕事をせず、一度でも求職活動をしている方を完全失業者としてカウントしていますから、この間に1時間でも日雇いなど臨時の仕事をしたり、たまたま病気などでその週に仕事を探すことができなかった方、仕事がみつからないと、あきらめてしまった方は含まれません。したがって、実態は完全失業率の2倍以上にのぼると言われています。 青年雇用の深刻化は社会の全体の問題 この青年雇用の問題の深刻化は、青年だけの問題ではありません。最近、お話を伺った年配の方は、「最近、息子が仕事がないとわが家に戻ってきた。でも、私も自分の生活だけで精一杯、どうやって生活すればいいのか」と言っておられましたが、この方の話に表れるように、社会全体の問題であります。 この状況の中、企業では青年労働者が減ったことにより、これまで蓄積してきた独自の技術やノウハウが継承されない。暮らしが不安定となり、自立した生活ができない。結婚して家庭を持てない。子どもを産み育てる条件がない。低収入のため、年金や健康保険料などの保険料を払えない青年が増え、社会保険制度の根幹が揺らぎ始め、青年の将来不安も一層大きくなっているという問題が起こっております。この根本原因は国と大企業にあります。 大企業はこの間、人減らし、合理化による新規採用の抑制を行い、95年から01年までの6年間に108万人もの正社員を減らす一方、契約社員、パート、派遣労働採用を増加させています。多くの青年が正社員を希望しているにもかかわらず、やむを得ず不安定な仕事を行い、不安定な生活をせざるを得ない状況に追い込まれています。 加えて01年からは、小泉内閣の産業活力再生法の名によるリストラをすればするほど税金をまけてやる、この仕組みのもとで、わずか2年数カ月のうちに5つの銀行グループだけで3万3,000人もの人員削減を行い、650億円も税金をまけてもらっています。 小泉内閣は青年の雇用問題について、今年の6月10日、若者自立・挑戦プランを発表しましたが、この中身はもっぱら若者に自立・挑戦を促すだけで、企業側への対策はありません。これはみずからまとめた国民生活白書の中で、若者の就職難とフリーターの急増は企業側の要因が大きいとするみずからの認識にも反するものです。青年雇用の問題の主たる要因は、国と大企業に最大の責任があると思いますが、区長の認識をお聞かせください。 区はみずからのホームページの中で、いまの若者がなかなか就職できないのは、勤労意欲が低下していること、社会における役割認識が欠けていること、親が過保護であること、雇用のミスマッチが背景にあると、若者の側に主たる要因を見出していますが、いまの若者の就職難は、若者の努力が足りないからではありません。 日本経団連の奥田会長も、運営に対し助言、支援を行っている「わたしのしごと館」の紹介パンフレットは、いまの若者の就職難について、「若者たちにだけに要因を求めるわけにはいきません」とはっきり明記しております。 青年雇用問題の解決には大企業と政治の責任 また、渋谷のヤングハローワークの職業相談部長からもお話を伺いましたが、「若者の就職難は若者だけの責任ではない。かつては卒業すれば、そんなに苦労しなくても、自分の能力を発揮し、生活していける仕事はみつかった。いまはその仕事を見つけるのも難しいし、その悩みをぶつける場、腹を割って話をしてくれる人、行き場がなくて悩んでいる。発信すれば投げかけてくるものがある。行政の力で発展・前進の糸口をつくることができる」と、政治の果たす役割が大きいことを言っておられました。 いまこそ一番身近な自治体である足立区が本腰を入れ、この若者の就職問題の解決のために動く時です。区は第2回足立区定例議会において、「若者の意識啓発やスキルアップを図る」と述べておりますが、足立区において、青年雇用の問題についてどう積極的に取り組んでいこうとしているのか、お聞かせください。 平成15年度、学校基本調査速報によると、今年3月時点の大学卒業者の就職率は55%、高校卒業者の就職率は16.6%と、過去最低になっています。また、高校や大学を卒業しても、就職できなかった人や、パート労働などで雇用保険に加入したくてもできない青年が失業した場合には、通常の失業者が受けられる生活保障が受けられないために、安心して仕事が探せず、自立した生活ができない状況にあります。この制度の狭間にある方々の救済措置を国に求めるとともに、区独自に対策を行うべきと思いますが、区長の考えをお聞かせください。 区内の23歳の男性は、仕事がなくて、ようやく見つけた仕事は日払いのバイト、その後は携帯電話でいついつにどこに集まってくれと連絡が入るようになり、呼ばれたら集合場所に行き、そこから車で仕事現場に運ばれる。しっかりした仕事を探したいが、毎日の生活に追われて探せないと言っておられました。 区内には本当に切実な青年の声があふれています。いまの青年の雇用問題を解決するためには、実際にこうした切実な声を持つ若い人の声を直接聞く姿勢が求められているのではないでしょうか。足立区としても、本格的に青年雇用の問題に取り組むためにも、まず区として青年雇用の実態調査を行うとともに、青年代表を含めた対策委員会を設置し、具体的な支援策を検討してはどうか、答弁を求めます。 先の定例議会において、青年の雇用問題について区は、雇用機会の拡大を図っていくと答弁しております。それならば、区が率先して公的雇用を採用し、雇用を拡大する姿勢が求められているのではないでしょうか。ところが足立区では、退職不補充の方針のもとで、平成5年4月1日現在で5,086名いた職員は、平成15年4月1日現在で都から受け入れた清掃職員381名を除き4,025名、つまり、この10年間に1,061人の職員を減らしております。本来、これだけの人が正規職員としてこの10年間に採用されるはずでありました。国や都に教育・医療・介護・保育・消防など、公共分野での青年雇用を増やすよう強く求めるとともに、区みずからも就職困難な状況に置かれている青年の雇用を促進する先頭に立ち、保育・教育・土木などの職員の積極的新規採用を図るべきではないでしょうか、答弁を求めます。 青年雇用問題について、千住のハローワークに、今年の4月1日から職業相談第2部門、いわゆるヤングコーナーが設置され、若者の就業に力を入れておられることは大変すばらしいことであると思います。ところが青年が雇用の問題を相談するとき、ハローワークは敷居が高くてなかなか行けない、正規の仕事を探すために相談に行きたいが、バイトをしているために、時間と場所の関係で行けないといった話を伺います。青年が利用しやすい場所に、青年の就職相談や労働問題などの相談、カウンセリングかができる相談窓口の整備を行うことが必要ではないでしょうか。 また、同時にいまの青年が将来、就きたい仕事のイメージが湧くようなサポートをすることも大切なことです。 京都に今年の10月からグランドオープンされる私のしごと館では、伝統工芸職人・声優・マスコミ・精密製品組み立て・食品製造など、さまざまな職業を館内で体験しながら、その仕事に対する理解を深めることができるような設備を整えております。私は8月のデモオープン期間に実際に訪れましたが、若者が多くいました。 また、渋谷のヤングハローワークでは、この私のしごと館と提携して、身近な仕事や場所を選んで仕事の情報を検索できるコーナーを設置したり、知りたい職業をわかりやすく紹介したビデオを設置するなど行っています。私はこの姿勢は見習うべきものがあると思います。足立区としても、こうしたコーナーを設置してはいかがでしょうか、答弁を求めます。 竹ノ塚の踏み切りの解消をはかれ 次に、交通問題について質問いたします。 竹ノ塚駅南北の踏切の閉鎖時間は、地域に深刻な影響を与えるだけに、東西の往来に必要な開かずの踏み切りの改善は、地域に住む方にとって共通の切なる願いです。今年の6月9日、地元の方とともに、竹ノ塚大踏切の実態調査を行いましたが、朝7時半から8時30分までの1時間に踏み切りが開いたのは12回、一番長く開いたのは50秒、一番短いときで10秒という短かさです。この間開いていた時間を合計すると、1時間でたったの5分しか開いていないという状況であります。 区は東武線の竹ノ塚周辺の高架化問題について、早期実現に向け、東京都、鉄道事業者のアドバイスをいただきながら、できますれば来年度中にはこの計画づくりに着手してまいりたいと、昨年第2回定例議会本会議で述べておりますが、その後の経過はどうなっているのか、お聞かせください。 9月1日に足立区に2つの新しいバス路線が開業しました。交通便利な足立区に近づくことは本当に嬉しいことではありますが、同時に既存のバス路線についても、住民のニーズに合わせ、利用しやすいよう改善を図ることも必要ではないでしょうか。 例えば西新井駅から旧道を経て竹ノ塚駅方面に至るバス路線は、1日平日5本、土曜休日ともなると、たった3本、しかも真っ昼間に終バスという状況です。これでは必要なときに使えません。こうした路線については、一定時間に一定の本数が走らせていただけるよう、関係機関に強く働きかけるべきと思いますが、答弁を求めます。 9月1日にコミュニティバス「はるかぜ」区役所〜鹿浜都市農業公園線が新規開業しましたが、栗原地域は一方通行のため、一部ルートは上りと下りで別ルートであるのはやむを得ないものであると思いますが、鹿浜都市農業公園に向かうバスが通過するギャクシティの東側はバス停が設置されているにもかかわらず、区役所方面に向かうバスが通過する商店街がある西側通りには設置されておりません。委員会答弁では、通りが狭いので、警察の許可が下りないためと答弁されておりますが、それならばギャクシティ前の広いスペースを利用してバスベイをつくり、バスが停まれる場所を確保し、直ちに設置すべきと思うがどうか、答弁を求めまして、この場からの質問を終わります。 答弁 ◎坂本寛文産業経済部長 私から、雇用対策に関する基本的認識外について答弁いたします。 雇用問題は、若年に限らず、中高年や高年齢者にとっても厳しい状況にあり、大きな社会問題になっております。これは1企業や国の政策だけでなく、家庭教育を含めた教育分野での取り組み、個人の職業観の変化など、社会全般に係わる問題であると考えております。 本来、雇用対策は国の役割であります。しかし、区としては、現在の厳しい雇用情勢を考えますと、ただ手をこまねいて見ているわけにはいかないと考えております。このためワークコーナーの誘致、雇用創出特区の設置、雇用促進協議会の設立など、区として取り組みができる支援策を行ってまいりました。 次に、若年の雇用対策への取り組みにつきましては、雇用創出特区と関連した事業として、くじらい光治議員に答弁いたしましたとおり、高校単位の就職支援セミナーの開催を図ってまいります。また、雇用促進協議会の中で、国や都と連携し、区内団体や企業と協働して事業展開をしてまいりたいと考えています。 次に、雇用保険による生活保障が受けられないために、安心して仕事を探すことかできない若年失業者の救済措置についてのお尋ねですが、こうした救済措置については、国の検討すべき課題であり、区として独自に対策を実施することは考えておりません。 しかしながら、若年者の失業については重大な問題であり、足立区雇用促進協議会の活動を通じて雇用促進に努めてまいります。 次に、青年雇用実態調査の件ですが、区独自に実施する予定はありません。しかし、趣旨につきましては理解できますので、雇用促進協議会に諮りながら、ハローワーク足立が既に実施した調査結果を活用し、青年の意向を把握してまいります。 また、新たに対策委員会を設置する考えはありません。雇用促進協議会の事業計画にもあります若年雇用対策施策を検討し、実施していきたいと考えております。 最後に青年の就職相談、労働相談の件ですが、既に足立区におきましては、ハローワーク足立が本年4月1日より所内にヤングコーナーを新設し、運営しております。また、足立区といたしましては、ヤングジョブセンターの設置をお願いし、本年度中に北千住に開設されると伺っております。さらに、くじらい光治議員に答弁いたしましたとおり、特区の活動として株式会社リクルートとハローワークが連携し、求職者のカウンセリングと職業紹介を実施し、自己検索端末機も増設していく予定です。 ◎坂田道夫政策経営部長 私からは、青年の雇用対策のうち、公共分野での雇用についてのご質問にお答え申し上げます。 区はこれまで行政改革の一環として、退職不補充等により職員定数の削減を実施してまいりました。これは継続した事務事業の見直しによる民間委託や非常勤化などの結果によるものでございます。特に民間委託においては、民間にできることは民間に委ねることを基本とし、民間での雇用創出効果をねらいとしております。今後も定員適正化指針に基づき、定員の適正化に努めてまいります。したがいまして、青年の雇用対策は、あくまで民間における雇用創出をベースに行うものであり、国や都に対して公共分野での青年の雇用を求めることや、区みずから必要以上の新規採用を行う考えはありません。 ◎丸山亮都市整備部長 竹ノ塚駅周辺の東武線高架化問題についてお答えいたします。 平成13年7月以来、東京都及び東武鉄道をアドバイザーとした竹の塚駅周辺地区道路・鉄道立体化検討会を開催しております。竹ノ塚駅周辺地区の道路と鉄道の立体交差につきましては、区として検討を重ねておりますが、これに必要な調査項目等について、東京都から具体的なアドバイスをいただいているところでございます。 昨年度行いました調査では、周辺道路の現在及び将来の交通量について調査をすとともに、一体的なまちづくりとの整合の面から、鉄道高架化による立体化案が優位であることを技術的検討により確認をいたしました。 今後は引き続き都や東武鉄道の協力を得ながら、道路と鉄道の立体交差化について多角的に検討してまいります。 次に、既存バス路線の運行に関するご質問についてお答えいたします。 西新井駅から旧道を経て竹ノ塚駅方面に至るバス運行につきましては、ご指摘のとおりでございます。以前からバス事業者に、バス利用者の立場に立った運行本数、運行時刻等の要望、申し入れを行っているところではございますが、近年のバス利用状況やバス利用予測から増便に結びつかないのが現状でございます。区といたしましては、今後も引き続き増便について要望、申し入れをしてまいります。 次に、ギャクシティ西側のバス停設置に関するご質問にお答えいたします。 ギャクシティ前のバス停設置につきましては、施設へのアクセスを図る上から検討してまいりました。しかしながら、現道が一方通行で狭く、自動車や自転車の通行量が多いこと、最寄りの環7都道下バス停と至近距離にあること、また、切り込み型バス停として整備するには、ギャクシティの敷地後退による親水水路の改修が必要となること等、総合的に判断し、現在の位置にバス停を設置したものでございます。 再質問 ◆松尾かつや議員 私から2点についてだけ再質問をさせていただきます。 一つは青年の雇用対策に対する政治姿勢ということで、認識を問う質問を最初にさせていただきました。と言うのは、足立区の方では、青年の雇用対策の主たる背景、原因というのは、若者の側に主たる要因があるような形でホームページには掲載しています。しかし、実際には他の自治体の方の調査例ですけれども、若者の、いま失業状態で職を探している人は、安定した収入が得たい、やりがいに感じられる仕事がほしいということがダントツなのです。こういう社会的状況がいまあるかと言えば、ないのではないか。私はその立場から国や企業に最大の要因があるのではないのですかということを質問しているのです。それに対して、国の方の解決すべき問題ということでなく、その認識についてお答えいただきたいというのが1点目です。 2点目は、いま質問した中で、失業保険の問題について、国に救済措置を求めるとともに、区独自に対策を講じたらいかがですかということに対して、区独自の対策はございません、考えはございませんということでいま、答弁がありましたが、国に救済措置を求めるのかどうか、その点、答弁がなかったので、答弁をお願いいたします。 再答弁 ◎坂本寛文産業経済部長 まず第1点でございます。繰り返しになりますけれども、認識として、企業や国の政策だけでなく、家庭教育を含めた教育分野での取り組みとか,個人の職業観の変化とか、社会全般に係わる問題、こういうものが錯綜すると言うか、副次的にからみ合っていると言いますか、こういうことが認識だ、このように申し上げたということでございます。 第2点目の失業中の金銭給付的なものについての答弁がなかったというお話ですが、先ほど申し上げましたように、こうした救済措置については、国の検討すべき課題であり、区として独自に対策を実施することは考えておりません。つまり、国の検討すべき課題だ、しかしながら、区としてはできるように、雇用促進協議会の中で雇用促進に努めてまいるということであります。 |
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