平成14年度足立区一般会計決算等の認定に反対する討論
大島芳江議員 |
◆大島芳江議員 私は日本共産党足立区議団を代表し、第60号議案、平成14年度足立区一般会計歳入歳出決算、第62号議案、平成14年度足立区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定に反対の立場から討論します。 長引く不況の中で、区民の暮らしの苦しさは、本決算の数字でも明らかになりました。区民の課税所得が減ったことで、特別区民税は1.8%減り、不納欠損額は14.5%増えています。国民健康保険料の収入未済額は18.1%増加し、保険料が納められない区民は、平成10年からの5年間で倍増するという状況です。就学援助受給者は、前年より1,857人増え、受給率は39.1%にのぼります。1,000万円以上の区内業者の倒産件数は、昨年1年間で146件という深刻な実態となっています。 しかし、本決算を見ると、実質単年度収支は黒字、前年に比べ落ち込んだと言っても、23区の経常収支比率を比較すれば、23区中7位で、全体として不況に苦しむ区民の暮らしを支え、励ますための余力は十分ありました。 鈴木区長は、平成14年度予算を「子どもと産業の未来をはぐくむ予算」と銘打ちましたが、焦眉の課題である保育園の待機児解消はなかなか進まず、待機児数は相変わらず全国トップクラスです。質疑の中で、保育の基本は認可保育園であると、その必要性は認めたものの、認可園の増設計画をつくるどころか、財源不足を理由に、認証保育所、保育ママ定数増で、待機児解消を図るという従来の手法を変えようとしません。そればかりか、補助金削減などで経営が大変という私立保育園を支援するのではなく、区のコストダウンのために公立保育園を丸ごと民間にゆだねる民営化を父母や関係者の理解が得られないまま強行しようとしています。 また、子どもたちが安心して学び、生活する環境を整えることも重要です。その点で学校、幼稚園、保育園の耐震補強工事は、公私立を問わず、早急に実施すべきものです。区立中部保育園は、老朽化が激しく、雨漏りもしていますが、抜本的な修繕がされないまま、応急処置で対応している状態です。 児童生徒が通常の学校生活では得難い体験ができる自然教室を実施する区の校外施設は、それぞれ特色があり、区民にも開放され、喜ばれています。これらの施設を子どもの数が減ったことなどを理由に、「廃止も含め検討する」と答弁しました。子どもの数が減ったことは、よりゆとりある環境で実施することが可能となったことであり、子どもたちの貴重な体験の場を縮小する理由にはなりません。 また、教育改革の一環として2学期制のモデルを実施し、来年度からは全校実施という方向ですが、「2学期制を行うのは教員がターゲット」と答弁されたように、子どもたちのためというよりも、区教委の意向に沿った教育をする教員に変えるというのが本来の目的であることもはっきりしました。保護者の中には、戸惑いや不安もあり、賛否も分かれている重要な問題です。子どもを実験道具のように扱うことは許されません。十分な検証もないまま、区教委のスケジュールどおり進めるやり方は拙速であると言わざるを得ません。 長引く不況の中で、必死に頑張っている区内業者を支援し、活力を取り戻してもらうことは喫緊の課題です。ところが区は、地元業者に仕事が回るという点で、大変好評だった住宅改良助成を、条例があるにもかかわらず予算をつけませんでした。今年度からは、耐震診断やバリアフリー化を対象に含めた新たな条例改正によって予算は復活しましたが、もともとあった住宅の一般修繕やマンションの大規模修繕などは除かれてしまったために、申請受付がわずか2件と大幅に落ち込んでいます。 また、旧本庁舎など、公有地の跡地利用には、プロポーザル方式、PFIやPPPなどの事業手法を持ち込み、区内業者がなかなか参入できない仕組みまでつくってしまいました。これでは区内業者の未来は開けません。 深刻化する青年の雇用対策で、区は正社員に結びつけることが重要としながらも、区自身は雇用の場を提供するどころか、退職不補充方針を堅持し、正規職員を減らし続けています。正規職員を減らした分、再任用や再雇用職員のほか、パート・アルバイトなど、身分不安定な臨時職員を延べ8,300人も増やしています。審議の中で明らかにしたように、道路や公園の維持管理の仕事をする区の職員は、公園や道路全体を視野に入れ、区民からの苦情にも即対応でき、必要な仕事は何でもこなせるという豊かな経験と技量を持っています。このような職員は減らすのではなく、その貴重な技術を継承させ、大いに活用することこそ、効率のよい区民サービスにつながり、正規雇用の場を提供することにもつながります。 健康学園の廃止問題では、議会には何も決まっていないと言いながら、解体のための見積もりを取っていたことが明らかになりました。聞かれる前に知らせるどころか、聞かれても知らせないという区の姿勢に区民が不信感を募らせるのは当然です。区が今回、計画立案段階でパブリックコメントを実施し、情報公開と区民要望把握に努めるという姿勢を示したことは評価できますが、「すべてをパブリックコメントにかけるわけではない」「重要なものを選択的に」「具体的な判断は各部で」と答弁しているように、区の都合で実施を判断するというのでは、区民の声で区政を進めるということにはなりません。 介護保険につきましては、我が党が毎議会取り上げ、予算修正案まで出して要求してきた低所得者への保険料の軽減策がようやく今年度から実施されました。本決算では、既に給付準備基金が18億円あり、我が党の予算修正案どおり、これらを取り崩せば、平成14年度から保険料の軽減も可能であったことが明らかになりました。 本決算の区民レベルでの行政評価はされておりませんが、数字で見る足立に載った区民世論調査の結果を見ると、区政満足度は5.8ポイント減り、不満は3ポイント増えています。これが本決算に対する区民の率直な評価ではないでしょうか。区政の主人公は区民です。区民の声に従って区政運営を行うことを強く求めて討論を終わります。 |
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