区民保養所条例の一部を改正する条例に対する反対討論
渡辺修次議員 |
◆渡辺修次議員 ただいま議題となりました第74号議案、足立区区民保養所条例の一部を改正する条例について、日本共産党足立区議団を代表し、反対の立場から討論を行います。 本案は伊豆高原にある区民保養所を廃止するというもので、@民間旅行会社の格安商品と保養所の料金格差がなく、総体的な魅力が薄れる等の理由で、利用率の低下傾向にある。そのような中で、約半数がリピーターの利用で不公平である。A14年度決算ベースで区の負担が2億円を超えるなど、保養所の整理が必要になっている。B国の「民間と競合する公的施設の改革について」が示され、保養所の新設・増築の禁止、既存施設の早期廃止、民営化その他の合理化を行うよう要請されているということを主な理由としてあげています。 反対の理由の第1は、保養所の役割は条例にうたっているような区民の健康増進に寄与する視点がないことであります。いま、国でも区でも、健康増進施策を進めています。特に森林浴が体によいことはみんな経験していることでしょう。森林総合研究所生理活性化チーム長の宮崎良文さんは、森を散策したときの快適さは、「視覚、聴覚、嗅覚、触覚など総合的な影響によって生まれる」ことを証明しています。 こうした区民保養所が果たしている役割、医療費への影響を減らしている側面を全く見落とし、もっぱら財政的な視点に終始していることであり、伊豆高原保養所の廃止を突破口に保養所施策から撤退する意向が伺えることであります。 伊豆高原保養所の利用が低いと言いますが、湯河原や那須高原の施設とは、部屋数でも定員数でも半分と規模が小さく、団体利用が制約を受けたり、日帰り客の利用もできないなどハンディがあり、単純な比較は正当性を欠いているのではないでしょうか。保養所周辺の環境は城ケ崎海岸や伊豆高原の森林など、すばらしいところにあり、温泉とともに健康増進に寄与する立地条件を持っており、廃止の理由は成り立ちません。 第2に、国の指示には忠実に従う姿勢です。大体ブバルがはじけて12年もたつのに、日本経済を立て直す方策が持てない政府の言いなりになるのは、自治権のかけらもないではありませんか。 民間施設との競合と言いますが、区民保養所は役割が違います。民間宿泊施設は、採算を取るためにいかにリピーターを増やすか腐心しています。区民保養所の利用の半分はリピーターということは、利用した区民から、また行きたいと評価されている証明ではありませんか。区民のために、区民の声に沿って事業を進めること自体が自治体の役割であり、その立場が全く見えません。 第3に、廃止に至る事前の区民への周知が全くなかったことです。私どもが来年度予算要望懇談会で、9月にあったある団体の方から、伊豆高原保養所は利用しやすいが、障害者用トイレの構造が悪く、実際は利用できないので、ぜひ改善してほしいと要請されました。実は今年度で廃止する提案がされていることを話すと、一瞬絶句し、どうしてそういう大事なことを事前に区民に知らせないのか、区民の声を聞いてほしいと訴えられました。 区が強調しているパブリックコメントの発想がないことです。区民保養所への区民の意見は、なかなか希望した日に予約が取れないことです。もっと利用率を高めるために、空き情報などを周知し、いまなら予約できますなどのPRをする。いまは1組2泊3日しか利用できませんが、空きがあり、利用可能ならば3泊、4泊の利用も認めるなど、柔軟性を持った内容に改善するなどの努力をすれば利用率は高まると考えます。廃止を前提として、こうした努力を怠り、利用率だけを根拠に結論を出す手法はご都合主義であり、やめるべきです。 なお、用語の使い方を子供から子どもに直すこと及び第7条第1号の「伝染病疾病又は他人に不快感を起こさせるような疾病があるとき」を「感染症に罹患し、他の使用者に感染させるおそれのあるとき」の改正には賛成することを申し添えて討論といたします。 |
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