決算特別委員会の質問等 第2日目 10月3日 午後 鈴木けんいち議員 |
○鈴木(け)委員 初めに、説明書の314ページから始まる児童福祉費に関連してお伺いしたいと思います。 子育て支援の強化につきましては、次世代育成対策法が制定され、行動計画も策定が義務づけられるなど、ますます重要な課題になっていると思います。その中で、保育所に入所を申し込んでも入れない待機児童の解消、これが焦眉の課題となっていると思います。そして、子育て支援対策の中軸に据えるべき施策だと考えます。 政府の発表、これは8月19日の厚生労働省の発表ですけれども、待機児は全国で2万6,383人、実は2001年にいわゆる待機児ゼロ作戦を政府は打ち出しました。2004年までには保育所の受け入れ児童数を15万人ふやすと、そして待機児をゼロにすると打ち出しはしたのですが、逆にその後の3年間は毎年待機児がふえるという実態になっております。 いま2万人ちょっとと言いましたけれども、ちょうど同じ2001年に、待機児の定義を少し変えて少なめに集計するようにしたと。待機児は変わらないのですけれども、集計だけ少なめにするという集計の仕方に変えましたので、従来の方法だと4万2,800人に上っております。 それで、今回、昨年と比べて、ことしまたふえているのですけれども、実際に保育所に入っている児童は去年よりもふえている。ところが入所を希望する児童がもっとふえていると、追いつかないというのが実態。振り返ってみますと、実はこの1年間で公立保育所は全国では182カ所減ったと。定員で5,554名減っていると。これが待機児がふえている大きな原因になっているのではないかと言わざるを得ません。 今決算特別委員会でも、保育所についてはさまざま言われておりますけれども、真に待機児の解消を図っていく、そして区民が結婚して安心して子どもを産み育てるという足立区にしていくためには、改めて、原点に立ち戻った検討が必要だと思います。 そこで、まずお伺いしたいのですけれども、児童福祉法第24条には、市町村は児童の保育に欠けるところがある場合において、児童を保育所において保育しなければならないと規定しておりますけれども、これは市町村に保育をする義務があり、必要な保育所の整備についても、市町村に責任があることを示したものだと思いますが、どうでしょうか。 ○保育課長 仰せのとおりでございますが、そのほかに付近に保育所がない場合、やむを得ない事由があるときには、その他の適切な保護をしなければならないという項目がありまして、義務は確かにございますけれども、そういった状況でございます。 ○鈴木(け)委員 いまの後半の件も後でお伺いしたかったのですよ。さきにお答えいただきました。やはり第一の市町村の義務はここにあるということは、認識は一致したのかなと思います。 いま足立区では、就学前の児童のうち24.5%が認可保育園に入っています。この認可保育所というのは、児童福祉法のいま読み上げました規定に基づいて設置をされたものだと思いますが、いかがでしょうか。 ○保育課長 この設置は児童福祉法第35条に基づいて、政令の定めるところにより東京都知事の認可において設置したものでございます。 ○鈴木(け)委員 24条に基づいて30の政令がありまして、なかなか認めがたい事情があるのかもしれませんが。 それで、保育の基本は認可保育所であるということも、最近、この点、改めて国会参議院厚生労働委員会で確認をしましたところ、改めて確認をする答弁をされましたけれども、保育の基本は認可保育所であるということについて、区の認識はどうでしょうか。 ○保育課長 基本は認可保育所であるということでございますけれども、そのほかにさまざまな需要に対応するために、認証保育所等、新たな保育施設ができてきていることも事実であります。 ○鈴木(け)委員 いろいろ言っておりますけれども、基本は認可保育所であるという認識はお持ちだと確認ができたと思います。 それから、経済負担の問題についてお伺いいたします。 この問題は大変重要で、実は我が党は9月から区民アンケート、こういうアンケート用紙を全戸に配布をしまして、匿名の方のご返事が多いのですけれども、そういう中でも、例えばこれは28歳の女性の方ですが、「少子化がいわれていますが、結婚して子どもを産み育てる上で何が障害だと思いますか」という設問に対して、「ずばり教育資金です。子どもは欲しいが経済的な理由で1人に抑えたりしなければいけない。本当は2人、3人と子どもは欲しいという友達がほとんどです。保育料の援助など、さらに力を入れてほしいです」こういうお答えをされております。 そのほかにも、同じような例がたくさん届いているのですけれども、やはり自治体が児童の保育に責任を持つということの中には、保育料は所得に応じて負担する、所得の少ない人は少ない保育料という応能負担の原則も含まれていると思いますが、いかがでしょうか。 ○保育課長 最近は、応能負担に加えて、国の方でも応益的な考えを取り入れるということになっております。 ○鈴木(け)委員 いまの点で確認をしたいのですが、では認可保育所は応益負担になっているのですか。 ○保育課長 現在は応能負担の考え方でございます。 ○鈴木(け)委員 原則はやはり応能負担ということは間違いないわけで、確認されたと思います。 それから、もう一つお聞きしたいのですが、そもそも保育所には二つの側面があるといわれております。一つは子どもの発達を保障するという側面、もう一つは労働力を確保する、親の就労を保障するという労働対策的側面があるといわれておりますが、この点は認識はどうでしょうか。 ○保育課長 ご指摘のとおりでございます。 ○鈴木(け)委員 次に、いま何とかの課長が大変興味持っていらっしゃるいろいろな保育ですね。その部分についてもお伺いしたいのですけれども、4月1日現在で足立区では認証保育所、保育室、保育ママ、ここには722人の児童が入っています。これらは認可外の保育室であるわけですけれども、これは先ほど申しました児童福祉法第24条のただし書き、付近に保育所等がないなどやむを得ない事由があるときの、何といいますか、緊急避難的な位置づけというか、そういう視点に基づいてつくられていると思いますが、いかがでしょうか。 ○保育課長 認可保育園で対応できない部分について、補完的な意味でそういう形で保育所が設けられていると考えております。 ○鈴木(け)委員 補完的なという意味で、やはりただし書きに該当するという点では認識が一致したかと思います。 確かにこういう認証保育所や保育室などは、現在、認可保育所が足りないもとでは、子どもの発達を保障しながら、そして同時に、親、保護者の就労を保障するため、大変役割を果たしております。そして、保育の質を保つということに大変頑張っている。非常にその役割は大きいと思います。ですから、行政がこういう認可外の保育所をつくりたいという場合には、そこも支援してどんどんつくっていくと、あるいは運営を安定して、質のよい保育を保つためには、運営費助成もする。あるいはもっと言えば、保護者の負担も軽くするために補助もするということは、行政の責任としては大事だと思います。 しかし、それがすべてではないと思うのですね。本来の市町村の役割というのは、児童福祉法に基づいて認可保育所を必要なだけつくる、保育に欠ける児童を保育する、その計画をきちんと持ちながら、同時にそれがいっぺんに進まない場合には、認可外の保育所でも補完的につくっていくと、こういう両方やっていく必要があると。 認可保育園をつくる計画を持たずに、認可外保育に頼るようなことがあるとしたら、いつまでたっても待機児解消はできないのではないかと思いますが、どうでしょうか。 ○保育課長 待機児解消につきましては、非常に重要な課題であることは認識しております。少子化の進行に伴う保育事情はかなり難しいという側面、一方で、民営化を進めながら公立保育園をつくっていくのは理屈に合わない。それと、現在の厳しい財政状況のもとでは、公立保育園の建設をしていくことは大変難しいと考えております。 ○鈴木(け)委員 民営化をしながら公立保育園は筋が通らないと言いますが、それであれば民営化をあえてする必要はないわけで、認可保育所をつくるという点は、計画を持ちながらそのほかの保育ニーズにこたえていくと、補完的な保育所もつくっていくと、こういう両方立てでなければ待機児解消は進まないと思うのです。 実はさまざまな保育サービスということで、区の方で強調されておりますけれども、さまざまサービスはあったほうがいいのですね。そこから選べるというのは一番理想的だと思うのです。 では、実際はどうかということなのですね。多くの区民は、認可保育所に入れたいということで応募が殺到するわけです。それこそ、入りきれないから指数を設けて、振り落とすと、40点でも入れないと、満点ですよ、満点になっても入れないという状況もあるわけです。41点、42点でも入れないという状況があるわけです。その一番の原因というのは保育料、5万円だ6万円だという保育料、払える人はいいですけれども、払えない人は、入れたくても入れられないという状況があります。 ですから、本当にこれから待機児解消を図っていくためには、認可保育所の増設計画を持つべきだ、つくるべきだと思いますが、改めてご答弁お願いします。 ○保育課長 先ほども答弁しましたとおり、待機児解消は重要な問題と認識しております。しかしながら、私どもは待機児解消には認証保育所のさらなる誘致、それから、保育ママの増設、それと定員の拡大等々で対応していきたいと考えております。 ○鈴木(け)委員 次に、民営化の問題についてお伺いします。 公立保育所の完全民営化の方針が打ち出されておりますが、どうして公立保育所を民営化しなければならないのでしょうか。 ○保育課長 民営化の理由でございますけれども、さまざまな、これからの子育て支援の施策を遂行していくためには、それ相応の人材と財源が必要でございまして、こうした歳入の増が期待できない状況では、区民のニーズにさらなる保育サービスの向上ということであれば、公立保育園を民営化しまして、そして保育時間の延長を初めとする多様な保育サービスを充実させていくと。それと同時に生み出される財源等で、他の子育て支援策を対応していきたいということであります。 ○鈴木(け)委員 いまのお答えですと、理由は二つおありのようなのですが、一つはさまざまな保育ニーズにこたえていく必要があるのでという理由ですけれども、このサービスの多様化、実際には延長保育とか夜間保育、一時保育、病後児保育などもあると思うのですが、しかしこれは私立保育園でないとできないというわけではないと思うのですね。公立保育園でもできると。 きのうの質問では、10時までの夜間保育、やっているのは品川ですが、これ区立保育園だということですね。実際に公立だからできないというわけではないと思います。実はこれは「こうちょう2002」、この中で石川福祉部長が子育てアドバイザーの皆さんとの懇談の中で、「公立保育園ができることはどんなことがあるのか、いま研究を園長にさせています。やはり、民間でなかなかやれないことをやれるのは、公立の保育園かなと思っております。その中で例えば一時保育みたいものを」と、具体的に述べております。ですから、多様な保育、ニーズにこたえる保育が本当にできるのは公立ではないですか。できないとしたら、それはできないのではなくて、やる気がないからではないですか。お願いします。 ○福祉部長 私立と公立のよいところがそれぞれあると思います。 まず、私立のよいところは、民営化の特徴でございますが、やはり対応が早いということでございまして、いままで、例えば一番最初に子育て相談を始めたのも私立保育園が始めました。それに公立が後から追いつくという形で始めていたものです。そういう意味では、私立ですと対応が早い。 それから、もう一つ、経費が安いというところが一番あると思います。公立でやった場合には非常に重たい形になりまして、公立は効率的でないかどうかわかりませんけれども、そういうところがあろうかと思います。 一時保育等につきましては、今回あやせ保育園で始めました。これにつきましても、ほかの私立の保育園等でもやっていただけるということであれば、それはそれで経費が安くできるといいますか、そういうことが一番大きいのではないかと思います。 公立で今後進めていくものは、例えば地域の中に出ていって少し出前保育といいますか、そういうことをやってみたり、あるいは地域の中の虐待のネットワークの中心になるとか、そういうところを進めていきたいと考えているところでございまして、60園あるうち60カ所がそれをやる必要はないのかなと考えているところでございます。 ○鈴木(け)委員 若干だじゃれも出たりしたのですけれども、私立とかは対応が早いというのは、では何か理由があるのでしょうか。 公立だって、きちんとやる気があれば対応できるわけで、それは理由にならないのではないでしょうか。 結局、区立でできないことはないということの裏返しのような気がするのです。ですから、あと残っている問題というのは、コストの問題ということが残るわけですけれども、では本当にこの問題をどう考えるかという点では、なぜ安くなるのかというのですが、まず、コストが下がるといわれる部分は、どの部分ですか、何で下がるのですか。 ○保育課長 基本的には、人件費の部分が主にコストの占める部分です。 ○鈴木(け)委員 人件費ということですね。 この仕組みとしては、国の補助基準が保育士の勤続年数が5年ないし10年で頭打ちになっていると、ここに起因しているのだと思います。ですから、私立の保育園は経営を維持しようとすれば、どうしても若い、勤続年数の少ない保育士と入れかえざるを得ない。いわば園長と主任は少し経験のある人を残すけれども、あとはほとんど20代の保育士で構成されるような事態が生まれても仕方がないような仕組みがいまはあると。しかし、そういう中で、何としても私立保育園も保育の質を確保しよう、高めようと頑張っていると。これが保育現場の実態だと思うのです。 ですから、民営化によってコストが下がるのではない。たまたま民営化をきっかけに保育士を入れかえて、年齢構成を下げることによってコストが低下するだけと言わざる得ません。 結局、保育をする手の部分、人間の分、そこを安くするというのは一体どういうことなのか、ということなのですよ。結局、民営化しても区立と同じレベルでの保育をするというなら、やはり若い保育士もいるけれども、中堅もいる、そして本当にベテランの人もいる、これが一番いい保育なわけで、例えば伊興前沼保育園のアンケートの中にも、やはり40代の保育士さんも残してほしいと、保護者からも具体的にそういう声が出ておりますけれども、そういうベテランの保育士も残れるような保育園の形態をすると。ですから、民間に渡せばコストが下がるというのではなくて、民間の保育を支援するため、逆に区立の保育園と同じレベルになるよう、区から補助金を出すということをするべきではないですか。 ○保育課長 既に運営助成として国と区から相応の補助金が出ております。 ○鈴木(け)委員 全く同じだったら民営化しないというわけですから、結局保育をする人の手という部分、人件費、いわば保育士が低劣な条件で働くことが前提となるような状況を、区がみずからつくろうとしている、これが民営化だと言わざるを得ません。 それで、コスト、コストと言いますけれども、コストだけでは図れないのが子育てだと、そして保育だと思います。 いまちょっと紹介しましたけれども、来年度から民営化される伊興前沼保育園の保護者の皆さんの生の声、少し紹介しますけれども、「私立は若い先生の入れかわりが激しいと聞くので不安です」それから、「今後、公立がどんどんなくなり、保育の質が改悪されていくのではないか」それから、「福祉予算を削ること自体がそもそも間違っていると思います」こういう厳しい意見もあります。それから、非常にいじましい声があるのですよ。「区の保育士が何人か、最低クラスに1人は残れるよう取り組んでほしい。もし可能であるならば、現状のままがよいと思っています」ここまで、本当に控え目ながら、しかし抑えきれない不安を抑えながらも述べているわけです。こういう声にこたえていく必要がある。 今回のやり方を見ても、入園が決まってから、その後に民営化を発表するというやり方もひどいし、そして、実際に説明も足りない。こういう声が出るのは当然だと思います。当面、この保育園の民営化については凍結をし、その是非も含めて検討をすべきだと思いますが、福祉部長、いかがでしょうか。 ○福祉部長 伊興前沼と、翌年は東部、それから、その次に南花畑ということで、民営化については発表させていただいたところでございます。 伊興前沼につきましては、既に保護者説明会ということで2回一応やらせていただきました。そのほかに、いろいろお問い合わせ等にも答えているところでございまして、計画どおり来年の4月から民営化を進めたいと思っております。 ○鈴木(け)委員 さっき石川部長から、子育てネットワークの構築ということもお話がありました。実はいま本当に子育てが大変になっていると。核家族ということが非常に大きな原因にあると思いますけれども、子育てに悩む、子育ての仕方がわからない、虐待に走る、こういう状況の中でいま子育てネットワークの構築が本当に必要だと思います。しかも、その核になれるというのは公立保育所。民間の保育所でも自主的にやっていますよ、しかし、きちんと行政として責任を持ってやれるのは公立保育所なわけです。そこを減らす、60では多過ぎる、そんなことないですよ。多ければ多いほどいいじゃないですか。いまある資源を生かして、そこを核に子育て支援を強めていく、子育て相談機能を強めていく、これこそいま求められている、まさに時代が求めているものだと思うのですよ。それなのに、みずからいまある資源を壊してしまうような、減らしてしまうような、こういうことなんじゃないですか、民営化というのは。時代に逆行すると。そう思いませんか。もう一度お願いします。 ○福祉部長 時代に逆行するというご発言でございますけれども、基本的に虐待防止に関しては、いま福祉事務所単位でネットワークをつくっているところでございます。その中で、当然そういう大きな単位だけでは足りないということもありますし、また、さらにその下の部分でつくっていくということで、保育園をその核にしたいとも思っているところでございます。 ただ、保育園だけが核ということではなくて、いろいろなところに核があってよろしいかと思っているのです。その場所として保育園が一つのスペースとしてあるのかなと思っておりまして、先ほど60園ということで発言をしましたけれども、私立を入れて80園あるわけでございまして、それの連携ということになりますと、いま計画しております公私のバランスを、40対40的にしたところで、核となるところを公立の保育園が担っていくと。そういうところで計画をつくっているところでございまして、60対20というと、余りバランスがよろしくないのかなと思っております。 ○鈴木(け)委員 子育て支援のネットワークの核に保育園をという点では、福祉部長も答弁されましたので、そこは握って離さずに進めていきたい、そういう意味では民営化はすべきでないということを再度申し上げまして、次の質問に移ります。 契約についてお伺いします。 いま建設業に携わる方々の中では、下請が幾重にもわたる重層下請構造がある。実際に工事に携わる労働者、労働力というのは、かなり下の方の方でありまして、下請の事業者が多くを担っていると。発注者と元請の間で契約の際の設計施行の積算、ここで労務費が計上されているわけですけれども、下請にいけばいくほど減額されてしまう。施工現場で働く労働者に払う賃金がかなり低くなっていると、実際よく聞く話ですけれども、大変切実な問題になっております。中には、結局生活できないようなお金しかもらえないという声まであります。 こういう事情というのは、区が発注する事業、工事でも同じだと言えると思います。 私は7月29日に、この問題で区内で行われたシンポジウムに参加をさせていただきましたけれども、この中では、民間のマンション建設工事現場の労賃よりも、公共工事の労賃の方が安いという訴えもありました。公共工事のもとで働く労働者が、実は低賃金や劣悪な労働条件で働かざるを得ない、働いても生活できないような賃金しかもらえないような実態もあると、これは改善をしなければならない課題だと思います。 実はこの点では既に北海道の函館市で、「公共事業の積算については二省協定単価に基づく労務単価により積算しているため、この点に十分留意し、適正な賃金を支払われるよう配慮をしてください」と明記をした文書を発行しています。 これは土木部長名になっておりますけれども、これが現物のコピーです。それで、適正な工事の施工をと、普通お役所の文書で、びっくりマークというのですか、これをつけた文書を初めて見たのですけれども、ちゃんと強調する意味でびっくりマークをつけて強く訴えている。こういう文書を発行しています。 いま二省協定といいましたけれども、これは国の国土交通省と農水省の二つの省で二省です。ここで協定をして労務単価を積算をしていると。 この北海道ですと、具体的に大工さんが1万7,400円、それから、とび工だと1万7,300円、左官だと1万6,900円、そのほかずらっと一覧表があるのですね。これを下回らないようにやってくださいよと、きちんと市が、お願いという形ではありますけれども、指導をしております。こうした動きについては、区は把握されているでしょうか。 ○契約課長 先ほど鈴木(け)委員から指摘ありましたように、建設工事においては重層的下請構造があるということは十分認識しております。 したがいまして、毎年区で実施しております登録業者を対象とした技術指導連絡会におきまして、下請業者の適正な選定とか、あるいは書面による契約、支払い方法の適正化などについて指導要請をしております。 ○鈴木(け)委員 この函館市の例をいまご紹介いたしましたけれども、これと同じようなことは、実は函館市だけではなくて、全国的にいま広がっております。北海道では帯広市で既に実施されております。それから、この東京都の近くでは千葉県の我孫子市、ここでも実際に文書をつくって指導をしていると。 それから、ことしの3月、大阪府の大阪府議会でこういう内容の請願が出されまして、それが府議会で採択をされました。そこの請願部分というのを読み上げますと、「府発注工事において、工事の積算は二省協定単価に基づく労務単価で積算しているため、この点に十分留意し、適切な賃金が支払われるよう配慮すること」この点を求める請願なのですね。これが採択をされたとなっております。 いま建設業界の話をしましたけれども、いわば公の契約、公共事業に関することなのですが、これは建設工事だけではない、例えば学校給食の委託ですね、それから、福祉施設でもあるし、駐輪や清掃などの委託業者に関してもいえるわけです。 それから、こうやって労務者の賃金を守る、きちんと一定より下がらないように、きちんと協定に基づいてというのは、何も労働者のためだけではない。公共の事業を受注する業者、企業にとっても大変いいこと。つまり、コストの大半を占めるのはやはり労務費なわけですけれども、これに歯どめがつけられるということで、この受注価格とか単価の切り下げによらない公正な競争条件がつくられる、整備されると。ですから、企業経営の安定も図られるというメリットもあります。 それから、住民にとってもメリットがあります。やはり安かろう、悪かろうではなくて、適切な労務費が確保されれば、きちんとした工事が行われる、きちんとした作業が行われる、そのことによって良質な社会資本が整備をされる、あるいは良質なサービスが提供される、こういうメリットがあります。 聞きますと、こういう考え方は、既にイギリスとかフランスでは1世紀前ぐらいからありまして、法律や条例ができているのですね。アメリカではリビング・ウエージという運動と条例がありまして、これがかなり定着をしている。それから、実は国際的にILOが1949年に公契約における労働条項に関する勧告というのを採択をしている。これが、いま述べてきたようなことを規定する勧告だというのですね。このILO勧告、既に59カ国で批准をしています。残念ながら日本は批准していないのですね。しかし、こうやって国際的にも広まっている、ILO条約でも勧告が出されている、こういう労働者の生活を守ると。 いま本当に景気が悪い、悪いといいますけれども、なぜ景気が上向きにならないのか、なぜ脱却できないのか、低迷が続くのか、いろいろ政府もやっていますね。しかし一番欠けているのは、この国民の懐を温める、これがないからですね。温めるどころか冷やすことばかり、奪うことばかり、これでは他の手を打っても結局景気は回復しないという問題もあるわけです。ですから、こういう点でも国全体の景気も回復し、そして国民の生活を守っていくという点でも、そういう広い視野から言っても、これは大事な運動というか、行政としての役割になるのではないかと思います。 足立区として、この点、実は国内では公契約条例という名前で運動が行われているそうです。条例にするかどうかは別として、足立区として何らかの形でこういう趣旨を取り入れて、行政に生かすお考えはないでしょうか、お伺いいたします。 ○契約課長 まず、足立区におきましては、工事発注の積算に当たりましては、先ほどからお話のありました二省協定に基づいて、労務単価を積算しております。また、ダンピングを防ぐという意味では、入札に際しまして最低制限価格の設定などを行っております。 ただ、先ほどから述べられております公共工事に関する賃金の規制、あるいは賃金保障につきましては、今後とも研究を進めていかなければいけませんけれども、基本的には例えば下請代金支払い遅延防止法等の法律のレベルで規制すべきではないかと考えております。 ただ、先ほど申し上げましたように、技術指導連絡会等におきまして、元請業者に対して指導は行ってまいります。 ○鈴木(け)委員 契約に当たっての発注の価格が二省協定に基づいて積算しているというのは、そのとおりなのです。それどおり実際現場で働く労務者には支払われていないという現状があるのですよということなのですね。 いま契約課長のご答弁でも、これから何か指導をされていきますということですので、現場の労務者の賃金が二省協定を基準に支払われるよう、努力をお願いしたいと思います。終わります。 ○委員長 本日の審査はこの程度にとどめ、散会をいたします。 午後4時00分散会 |
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