決算特別委員会の質問等 第3日目 10月6日 午後

さとう純子委員


○さとう委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、まず初めに、午前中、くじらい委員の方からも質問がありましたけれども、足立区の斎場の設置に関する要綱のことで質問をさせていただきたいのですが、この指導要綱の設置目的は何だったでしょうか。
○指導課長 設置目的でございますけれども、斎場の設置及び管理運営に関し、必要な指導内容を定め、斎場を設置する事業主及び近隣関係住民等が相互に協力を求めることにより、斎場の設置に伴う紛争を未然に防止し、地域の良好な居住環境及び生活環境等の形成に資することを目的としております。
○さとう委員 そうですね。未然に紛争を防ぐということで、建設委員会の中でも、9月1日から施行するということで、それについていつを着手と見るかということが論議されました。この斎場につきましては、建築許可を受けて建てるものではなくて、既存の銀行を借り受けて斎場にするということですから、どこを着手と見るのかが問題になったのですが、建設委員会の確認の中では、建物の中に霊柩車が駐車できるスペースをつくるという指導をしているので、その指導に応じて8月31日までに着手をすれば、この要綱は適用されない。しかし、8月31日までに着手をされない、指導を受けたことに対してきちんとした態度をとらないということであれば、この要綱は適用されると確認したと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○指導課長 建設委員会のときには、建築基準法上の適法な手続を経て8月31日までに工事に着工した場合は要綱は適用にならない。それまでに着工していなければ適用になるというお答えをしていると思います。
○さとう委員 今回の斎場については、要綱適用の第1号ということでよろしいのですね。
○指導課長 9月1日現在、着工がありませんで、計画をされているということでございますので、事実上の1号になると思います。
○さとう委員 地元の皆さんからも要望がありましたし、これから足立区にどんどんと斎場ができることになっても、地域の人との紛争も大変絶えないかと思うのでとてもいい要綱だと思うのですが、先ほども助役の方から区長決定という答弁があったかと思うのです。ぜひ区長の決意といいますか、要綱を決められて、最初の第1号からこの要綱が十分に運用できなかったということになったら今後の問題にもかかわりますので、第13条で協定事項を守らない事業者に対して区長は事実の公表等、必要な措置を講じることができるとなっていますが、これをきちんとやるべきだと思うのですけれども、区長の決意の方をお伺いしたいのです。
○建築担当部長 こちらの件につきましては、午前中の答弁にもありましたように、とにかく事業者が乗ってこないということが大きな原因でございます。こちらの紛争をつくった中身は、善良な市民が紛争に巻き込まれないようにという趣旨でございますので、私どもとしては事業者に対する指導を強化していきたいと考えております。
○さとう委員 ぜひ、せっかくつくった要綱ですので、これに基づいてきちんとした対応をしていただきたいと思います。
 ことしは、関東大震災から80年、6,400人を超す犠牲者を出した阪神・淡路大震災からは8年目、伊豆諸島三宅島の噴火はいまでも村民の方が避難中ですが、7月26日には宮城県の北部連続地震、9月26日には北海道で震度6弱の地震ということでいまだに余震が続いているのですけれども、日本は古くから地震や火山の噴火で大きな被害を受けてきた地震大国と呼ばれているのですけれども、日本列島で新たな地震の活動期に入ってきたとも言われているわけです。政府の地震調査委員会が発表している長期評価でも、21世紀前半には多くの地域で大地震が起き得る可能性が指摘されているわけです。
 そこで、区長に伺いたいのですが、地震は防ぐことはできないけれども、地震の被害については最小限に防ぐことができると思うのですが、いかがでしょうか。
○危機管理室長 委員がお話されましたように、20世紀に入っていろいろな不測の事態が起きていますけれども、特に日本列島で地震が頻発しております。ご案内のとおり、私どもの方は、9月7日の総合防災訓練、区民と事業者と区の三位一体で被害を最小限にする仕組みについては、これまでもつくってまいりましたし、これからもこれが生きて使えるように努力してまいります。
○さとう委員 宮城県北部の地震で、耐震補強が実施されなかった小学校の校舎の中で、窓が落下してあたり一面にガラスが飛び散って、戸棚は倒れ、鉄製の防火扉もずれて廊下がふさがれた。鉄筋が切れた壁は崩れ落ちて、男子トイレの間仕切り板は外れて飛んで床に落ちていたということなのです。このとき、たまたま出勤していた校長先生は、地震の恐怖と同時に、夏休みの早朝だったので子どもたちがいなかったことが救いだったと、授業中であったなら大惨事は避けられなかったと話されているそうです。
 区長にお答えをお願いしたいのですが、万が一にも子どもたちを地震による被害に遭わせるようなことがあってはならないと思いますが、どうでしょうか。
○区長 当然だと思います。
○さとう委員 そうですね。
 それで、子どもたちを中心にお伺いをしたいのですけれども、子どもたちが集団で生活している施設は、公立学校だけではなくて、私立の学校、公・私立の幼稚園、公・私立の保育園、学童保育室などがあるわけです。まず、学校についてお伺いいたしますが、私たちは9月5日に30人学級の実現や耐震補強工事など学校環境の整備また青年の就職難の解決などということで文部科学省と交渉をしてまいりました。その中で、学校の耐震化推進で、担当者が来年度予算概算要求で学校の耐震化予算として248億円を増額して1,700億円を要求したと言っていました。それからまた、2005年までという計画であった学校の耐震補強工事助成制度を引き続き継続する方向で検討してもらうということで、現在、補助の対象となっていない簡単な官有学校建築物第一次耐震診断についても特別交付税を措置するように総務省に要望していると いう答えがあったのです。
 足立区では、いま、学校の耐震補強工事は平成24年までを22年に先行をするということで進められていると思うのですが、国の予算が決まれば、さらに先行をすることは可能でしょうか。
○教育委員会事務局参事 耐震補強のお尋ねでございます。平成16年度に、例えば国庫補助金が増額されますと、いまの制度の仕組み上、既に耐震診断、補強計画、少なくとも今年度中に実施設計が終わっていないと、その作業にのっていかないという実情がございます。したがいまして、平成16年度にふえたからといって、直ちに学校の数をふやすのは非常にむずかしいかなと考えております。
○さとう委員 来年度予算についたからといって、すぐに適用される仕組みにはなっていないということですが、予算がつけば、その分、積極的に先行をする。1年後には申請、2年後には工事というローテーションの早目な計画をぜひ立てて先行してやっていただきたいと思います。
 次に、同じ教育分野である幼稚園はどうかということでお尋ねいたしますが、「足立の教育」の幼児教育のところには、「幼児期は、人間の一生のうちでも心身が著しく成長し、発達する時期です。また、人間形成の基礎が養われる大切な時期でもあります。区立幼稚園では、よい施設、環境の中で、一人一人の望ましい発達を促進するために教育内容の充実を図るとともに、区内在住幼稚園児の保護者負担を軽減するための補助事業を行っています」となっていますが、公立幼稚園の耐震診断、耐震補強工事はどのようになっているのでしょうか。
○教育委員会事務局参事 幼稚園におけます耐震補強の関係でございますけれども、先ほど来申し上げているとおり、現在、まず優先的に学校の施設の作業を進めております。その理由は、基本的に鉄筋コンクリート造、幼稚園の場合は平屋ないしは2階建てでございまして、現在の小・中学校の3階、4階に比べますと強度的にも強いということが一般的に言われております。したがいまして、まず学校の方の耐震補強化を進めまして、引き続き幼稚園の方に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○さとう委員 平屋や2階の方が鉄筋で建てられたものよりも大丈夫と言われておりますというのは全く論拠がないので、地震で倒壊している住宅などを見ますと、1階、2階も関係なく倒壊しておりますし、幼稚園についてもぜひ耐震診断と耐震補強工事をやっていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○教育委員会事務局参事 幼稚園の耐震補強ということで、いま申し上げましたが、幼稚園におきましても平屋ないしは2階建ての鉄筋コンクリート造でございます。したがいまして、ほかの3階、4階の学校に比べれば強いものだという理解をしているということでございます。
○さとう委員 そこで余り時間をとりたくないのですけれども、例えば鹿浜は昭和54年、元宿は45年、大谷田は51年ということで、いずれも建築基準法が変わる前の建物なのです。新しい建築基準法になってからの総点検を全部の施設でやっているわけですから、これをぜひお願いしたいと思います。
 次に、区立幼稚園については、よい施設、よい環境となっているのですけれども、私立の幼稚園の施設についてはどのようなかかわりを持っているのでしょうか。
○総務部参事 施設関係につきまして、特に私立幼稚園につきましては東京都の生活文化局の方が一手に引き受けてやっておりまして、私どものところに情報が通らない部分がございます。ただ、足立区といたしましては、私立幼稚園が施設等を増改築するときに、そこの利子補給という形で援助をさせていただいております。ことしから始めたのですが、幼稚園を回って、職員が全部つぶさに観察をしていこうということになっておりますので、その中で耐震補強がどうなっているのかというところも調査中でございます。
○さとう委員 利子補給ということで、平成10年度も実施していることがわかったのですけれども、私も私立幼稚園がどうなっているのかと思って調べてみました。東京都に聞きましたら、私学助成といいますか、東京都の私立学校教育助成条例の中に、新たに平成15年、16年を対象として、学校安全対策促進事業費補助金取扱要綱を平成15年4月1日に文化局長決定をしたということなのです。その内容は、防犯対策も含まれているのです。いろいろな事件がありましたので、カメラをつけるとか、それも含めてですが、防災対策もその中に入っておりまして、補助事業として校舎や園舎等の耐震補強工事及び附帯工事に対して助成をする。これは、かかる費用の1%を条件とするということですけれども、一つに、これは国が認める補助対象の3分の1までは東京都が補助するとなっているのです。
 それから、これは着目すべきと思ったのは、私立の小・中学校、幼稚園に対して、簡易耐震診断に対しては10分の10、ただし、上限が10万円なのですけれども、助成をするということでつくったそうです。ところが、ことしいっぱい、10億円の予算をつけたのですけれども、6月いっぱいの募集で3分の1にしかとどまっていないというのです。これを10月までに延長したということですが、このことは担当の方としてご存じで、例えば文教委員会でこのような情報連絡などをなさったのでしょうか。
○総務部参事 申しわけございません。私どもは総務委員会にしか出ていませんものですから、文教委員会では当然報告はしておりませんが、私も、つい先日、さとう委員の方からその情報を得まして東京都の方に確認をいたしました。ただ、耐震のところまでのお話はいただけませんでしたので、防犯対策としてだけ承っておりましたのが事実でございます。
○さとう委員 私も、安全対策促進事業補助要綱ということで、都の担当の生活文化局私学部振興助成課から耐震ということで資料をいただいておりますので、これはぜひ皆さんに情報としてやっていただきたいと思います。ただし、これは学校法人のところだけなのです。聞きますと、足立区の私立の幼稚園が54園あって、そのうち22園しか学校法人をとっていないということですので、学校法人以外のところにも何か支援を検討する考えはないでしょうか。
○総務部参事 先ほど申し上げましたように、施設の増改築につきましては、利子補給という形でかなり喜ばれているところでございますけれども、支援させていただいているところでございます。
○さとう委員 ぜひ情報をなるべく早く、耐震診断、耐震補強工事のことにも着目した上で、利子補給なり、できることはやっていただきたいと思います。
 次に、保育園のことについて伺いますが、学校には改修設備、校舎施設等の維持補修予算となって計画も立てられているのですけれども、区立保育園について35年から36年経過した保育園もあるようで、老朽化も激しいということですが、これについての耐震診断、補強工事などはどのようになっているでしょうか。
○保育課長 保育園の耐震診断につきましては、ちょうど阪神・淡路大震災が起こった翌年だったと思いますが、平成7年度に実施しているということで、その結果は、昭和57年度以降の着工や平屋等は対象外となりますので、51園を実施済みでございます。
○さとう委員 平屋を除いてというのは、先ほどの学校と同じような考えで、平屋は安全だという認識で平屋を除いているのでしょうか。
○営繕課長 平成7年度に、区長部局学校の第一次診断を実施しているわけですけれども、先ほど教育委員会の船田参事の方からも話がありましたように、平成7年度当時、一次診断はしておりません。というのは、過去の地震で平屋建ては被害がほとんどなかったという検討で、一次診断の検査方法が建物重量と柱率と壁との断面積で推定する計算方であり、平屋建ての場合、屋根のみですので安全性が高いということで除いております。
○さとう委員 平屋は、安全といいますか、被害を受けていないと言うのですが、実は中部保育園に聞きましたら、非常に老朽化が激しくて、雨漏りをしているという状況も伺っているのです。それは、中部だけではなくて、ほかの園からも雨漏りして、老朽化が激しいという意見が出されているのです。ちゃんと保守点検をしていて安全と言うのならわかるのですけれども、このような保守点検がきちんとなされているのかと疑問に思うのです。
 私たちの代表質問の答弁で、「平成11年度に足立区建築物等保全規程を策定して、建物の適正な維持保全を進めている。長寿命化については、長期保全計画の策定に向けて、現在、営繕課で技術的な支援を兼ねたマニュアル作成等に取り組んでいます」という答弁があったわけですけれども、この中に維持管理、耐震診断、耐震補強なども全部含まれて、公立の保育園なども含まれているのでしょうか。
○営繕課長 足立区建築物等保全規程を平成11年に策定しております。この中に、保全計画は、年間保全計画と長期保全計画の二つに分けております。年間保全計画は、日常の施設運営に欠かせない保守点検、維持保全、修繕に取り組むものであります。長期保全計画は、20年スパンで計画したものですけれども、この中では、建築で言えば、外壁改修、防水改修、耐震補強工事なども含んでおります。
○さとう委員 ですから、保育園も全部含まれているということでよろしいですね。
○営繕課長 各施設すべての保全計画をつくる形になっております。
○さとう委員 その計画が不十分といいますか、いままでにかなり老朽化しているところもあるということで、きちんとした徹底的な調査と、子どもの命を守るためにもきちんと取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、今度は、私立保育園のことで伺いたいのですが、私立保育園につきましては、昭和24年に認可された高和保育園を初めとして、足立区の保育行政をずっと担ってきたわけです。公設民営のやよい保育園とさつき保育園、せきや保育園を除いて、すべての園が昭和56年、いわゆる建築基準法が変わる前に認可された保育園となっているわけです。既に、改築や耐震診断、耐震補強などを済ましてある園があるかと思いますが、私立について区はどのようにつかんでいるでしょうか。
○保育課長 ご指摘のように、私立保育園23園すべてが昭和56年以前に建築されたものでございます。ただ、このうちの何園が耐震診断を終了したかどうかについては詳しい資料がございませんのでわかりませんけれども、終了したところもあると伺っております。正確な数は不明でございます。ただ、既に大規模改修や改築したところについては4園ほどございます。
○さとう委員 これも調べてみましたら、区独自の耐震診断や耐震補強工事に対する助成という形では見当たらなかったので、助成をしていたのであれば、お答えいただきたいのです。東京都の福祉局、子ども家庭部、子育て推進課に問い合わせをいたしましたら、児童福祉施設等整備費補助要綱に基づいて、今年度、大規模修繕対象事業の中に、地震防災対策上、必要な補強工事が含まれまして、この修繕費の総額が保育所においては500万円以上であることということで、補助基準は、知事が大規模修繕と承認した範囲で、国が2分の1、都が4分の1、平成15年度予算は8億1,140万円、また、景気対策として国の補正で5億2,121万円がついて、本年度予算は13億3,200万円あったそうなのです。ところが、この助成対象の施設は、保育所だけではなくて、母子生活支援施設、児童擁護施設、婦人保護施設となっていて、東京都全体で保育所だけでも全都で1,619園あるそうなのです。今年度の対象施設は、19施設で全部確定済み、追加はないということです。耐震診断、補強工事に前堤となるのは耐震診断を独自に実施したところが大前提になっているのです。
 ですから、足立区として、私立保育園に対して、国の2分の1、都の4分の1、それプラス区の4分の1などの補助や耐震診断についての助成がちゃんとあるのかどうかを伺いたいのです。
○保育課長 耐震診断の補助金でございますけれども、現在、区には補助の制度はございません。耐震診断に助成金を出すことが施設整備を促進することにつながるかどうかということもございますが、耐震補強工事に限らず、改築をしたいという私立保育園の意思の方が問題であろうかと考えております。したがいまして、補助することについては、私立保育園側から強い要望があった場合に、必要であれば考えていきたいと思いますけれども、いまのところは考えておりません。
 それから、施設整備の補助は、国、都をあわせて4分の3、残りの4分の1は設置者負担でありますけれども、社会福祉法人のみが対象となっております。
○さとう委員 社会福祉法人でないところはまだたくさんありまして、これについてもぜひ耐震診断の補助をして、それから東京都の制度が受けられるように、国と東京都などに意見も言いながら、区として独自にぜひ実施していただきたいと思います。
 国は、私立の保育園の修繕に対して、予算は少ないのですけれども、景気対策という位置づけをして予算をふやしたということですけれども、学校の修繕についても、幼稚園、保育園についても、耐震診断、耐震補強工事の仕事は区内の事業者がほとんど受け持てる仕事であると思うのですけれども、いかがでしょうか。
○教育委員会事務局参事 お尋ねの内容ですが、耐震補強等、基本的には区内業者ですべて賄っているのが現状です。
○さとう委員 次に、住宅改良助成制度について伺います。
 住宅改良助成は、平成12年度は予算が1,760万円、13年が843万円、これが9月で14件の申し込みで全部終了してしまった。平成14年度、今回の決算ではゼロだったのですが、平成15年度の予算は幾らだったでしょうか。
○住宅課長 助成として、ほぼ1,000万円ほどをご用意させていただいております。
○さとう委員 申し込みの受け付けがまだ2件と聞いたのですけれども、いかがでしょうか。
○住宅課長 いろいろとお問い合わせ等はいただいておりますけれども、ご指摘のとおり、現在、受けているところ、具体的に進んでいるところは2件でございます。
○さとう委員 前回、平成13年度のときには800万円の予算が、この時期には申し込みがあって既に全部なくなってしまったという状況なのに、今回は申し込みを受け付けたものがまだ2件だけということは何か問題があるのではないかと思うのです。
 これも震災対策としてお伺いしたいのですけれども、阪神・淡路大震災で死者の9割が圧死、窒息死、それから、発生から15分以内での死者がそのうちの92%ということで、これは兵庫県が監察医資料ということで出しているのです。こういう衝撃的な資料があるわけですし、また、宮城県の地震では損壊した家屋が1万1,560棟に及んでいるということで、震災で倒壊した住宅の多くが建築基準法の改正前、1981年前につくられたものだということなのです。
 東京都では、平成9年にマグニチュード7.2の地震発生による被害想定を出していますけれども、その中で建物の全半壊は区部で12万1,000棟と見ているわけです。これから見まして、工務店の方にお話を伺いました。これまで、地震で大破した木造住宅の多くは、縦揺れで、柱が土台から抜けたり、開口部が破壊されたり、重いかわら屋根で家が押しつぶされるという共通した特徴が見られるということなのです。最近の建物は、柱に金物を入れて、金具で固定する羽子板と言っていましたけれども、ボルトでとめるということをやって補強工事をするということですが、このような木造住宅で、建てかえなくても土台と柱の結束、柱との間の筋交い、壁の補強、屋根の軽量化など、耐震改修を行うことで倒壊を防ぐことができる、また、不燃耐火の改修も、被害防止に大きな効果を発揮するとおっしゃっていましたけれども、技術を持っている方、このとおりでしょうか。
○危機管理室長 地震のことで全体的なお尋ねなので私の方からお答えしますが、まず、私どもの防災計画の大きな柱は、地震が起きた後の手当てももちろんですけれども、これまでも三つの大きな柱で取り組んできておりますし、これからも取り組んでいくわけです。その一つが、防災まちづくり計画ということで、なるべく震災に遭わないような強いまちをつくっていくことが一つの大きな柱でございますので、それをご説明させていただきます。それから、今回の地震でも、大きな被害が目に見えて起きているのは、主に直下型の場合に、阪神・淡路がそうですけれども、家の転倒、家具等の転倒で圧死する方が多いという事例がございます。今回、家具の転倒防止金具の取りつけの募集を災害弱者を中心にかけているところでございます。
 もう1点、建築法上の縦揺れや横揺れに強い建築工法は、当然、これから強い家に建てかえていただくのがベストでございますけれども、何分時間もかかるし、経費もかかるし、それだけではなくて、まち全体の問題もございますので、一言で言ってもなかなかむずかしいなという感想を持っております。
○さとう委員 改修していただくのが望ましいと、本当におっしゃるとおりだと思うのですが、改修に望ましい形にしていこうというのが住宅改良助成制度であったはずですし、そのために耐震診断が入ったということは非常によかったと思っています。ですから、耐震診断をして、欠陥といいますか、ここを補強すれば直るのであれば直したいのは当然ですし、そのために住宅改良助成制度があって、それで申し込みも殺到していた。しかし、今回は住宅改良に適用されないということで、申し込みがまだ2件しかないということだと思うのです。
 耐震補強工事は、マンションも同じなのです。マンションは、この前、政府で意見陳述をした方ですが、東京都の分譲マンションアドバイザー、マンション管理士の千代崎さんがこのように言っているのです。「マンションは、自分たちのものだという意識を強く持つことが大切です。そう考えると、バリアフリー化をやれば、年をとっても住んでいられる。死ぬ前に引っ越さなければいけないのと、死ぬまでいられるのとは大違い。長く使えば省エネにもなりますし、コンクリート構造物は手入れさえすれば60年、70年ともつことができる。また、築年数が高くなると、居住者の収入状況も変化して多額な資金を要する大規模修繕工事の合意形成などが難しくなる。資金不足のために必要な工事を先送りするような事態をどう防ぐかが課題である」と言っているわけです。
 マンションも戸建て住宅もそうですが、どのように長生きさせるのか、公的支援をどう強めるのかということで、いま、国が動き始めていると思うのですが、定期診断制度の導入や大規模修繕耐震改修に助成をとか、低利の貸付制度をつくるべきだという動きがあるのですが、このような意見を区として国に言っていく考えはないでしょうか。
○住宅課長 防災等で言えば、それを防いでいくということでは、先ほどの防災まちづくり等、さまざまな仕組みがございます。住宅関係につきましては、今回、私たちの方で実施させていただいております住宅改良助成は区の独自の事業でございますから、まず、この事業の周知を図っていく。先ほど委員ご指摘のような2件ということではございますけれども、多くの方々のご相談をいただいております。その中で、だめというところで少ないということだけではございませんで、この改良にしましても耐震にしましても即実施できるということではなくて、ある一定の計画の中でというところで今後に期待をしながらと思ってございますので、現制度を広めていくところにも努めていきたいと思ってございます。
○さとう委員 相談の内容が問題かなと思うのです。区で予算を1,000万円つけたなら、利用していただきたいという思いを込めて1,000万円の予算をつけたかと思います。ですから、これを有効に使っていただくことが区の姿勢だと思うのです。
 それで、住宅の一般改修というのは、二世帯にしたいとか、お年寄りが住むからお年寄りのための部屋をつくるということよりも、皆さん、いま、一番せっぱ詰まっているのは、日常生活に支障をきたすような大きな地震が来たときに家が壊れるのではないかという不安を持ちながら暮らすのではなくて、きちんとした住宅の改修をする相談が多いかと思います。約1,000万円の予算をつけたということですから、これを所管として積極的な取り組み、いま、お知らせをすると言っていましたけれども、相談内容をよく考えて改善しながら1,000万円の予算を執行するという方向が大切だと思うのですけれども、再度、ご答弁をお願いします。
○住宅課長 ご指摘のとおり、貴重な財源、区の財政の中で予算をつけていただいたということもございますので、今後、この事業を積極的に推進していくように重ねてPR等の努力をしていきたいと思ってございます。
○さとう委員 改善が必要かと思うのですけれども、いまは融資を受けることが最前提になっています。高齢者世帯で融資が受けられない世帯もあろうかと思うのですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
○住宅課長 これは、自己資金にお困りの方を対象に、区としてご支援を申し上げるというところで進めさせていただいておりまして、高齢者の方々、若年者の方々を含めて自己資金に困っているという方々がいらっしゃれば、住宅改良助成としてご支援していきたいということでございます。
○さとう委員 すべての方が融資を受けられればということがあるのですけれども、いまある自己資金の範囲内で何とかやりたい、それには少し足りないというときに、自己資金にもちゃんと助成すべきと思います。それから、融資を受けるのにもなかなか受けられない方に対して、低利の融資制度などを区独自につくってみてはどうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○高齢サービス課長 自己資金による改修につきましては、福祉部門におきまして高齢者住宅改修助成制度や介護保険の中にもございますので、そちらの方を活用していただければと思っております。
○さとう委員 それは制度が全然違うから答弁にならないかと思うのですが、最後に、住宅改修は多くの職種が必要なわけですから、区内業者への仕事確保にもつながる事業だということで経済効果抜群の制度ですので、これを充実させていただくようにお願いをしまして、質問を終わります。