区長あいさつ |
◎鈴木恒年区長 平成15年第3回足立区議会定例会の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、平成15年第3回足立区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様には、ご多用中にもかかわらず、ご参集をいただきましてまことにありがとうございます。 6月の第2回定例会におきまして、2期目に当たっての所信を述べさせていただき、はや3カ月が経過いたしました。この間、景気は残念ながら横ばい状況で推移し、雇用情勢も依然として厳しい状況にあります。政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」の早期具体化により、社会保障制度改革や国と地方の改革など、構造改革の一層の強化に取り組んでおります。 足立区におきましても、依然として厳しい財政状況の中で、平成16年度に最終計画年次を迎える構造改革戦略の実効を上げるべく、改革の具体化、スピードアップを図っているところであります。現在、基本構想審議会の場を通じてご審議をいただいております足立区の将来ビジョンとなる新しい基本構想、さらには、それに続く基本計画にその成果を継承していくためにも、構造改革戦略を中心としたこれまでのさまざまな取り組みによる効果を確実なものとしていくことが何より重要ではないかと考えております。そうすることが、構造改革戦略でお示しした社会の構造改革をより確かなものにするとともに、将来に向けて安定した区民サービスを継続するための土台をつくることともなり、2期目を迎えた私に課せられた責務であると考えております。 多方面から期待が寄せられております人材ビジネスを活用した雇用創出特区につきましては、事業パートナーとしまして株式会社リクルートを選定し、北館2階に事業所を設置し、装いを新たに11月のオープンを目指して準備を進めているところであります。民間事業者の高度なスキルや能力を生かし、区民の雇用機会の拡大を図ってまいります。 また、これまで、図書館など公共施設の管理は自治体直営が原則でありまして、外部委託をする場合も第三セクターなどの公共性の強い団体に限られておりました。これが、さきの通常国会での地方自治体法の改正により、公共施設の管理運営を株式会社などに委託できるようになりました。このことにより、行政コストの削減や民間の柔軟な発想による新たなサービスの向上等が期待できることになります。 こうした新しい取り組みや規制緩和などの変化を積極的に区政に取り込み、区民サービスのさらなる向上を図っていくためには、さまざまな制度や仕組み等を新しい基本構想、基本計画のもとに一元的に整理していく必要があると考えております。 2期目の初登庁のとき、職員に指示したことがありますが、「将来を見据えた長期的な視点から足元を見つめ直し、いまなさなければならないことを実行する」、このことの必要性を日々強く感じているところであります。不透明感の強い現在の状況を考えますと、区政運営上の目標をこれまで以上に明確にし、施策の選択と資源の集中を図ること、場合によっては既存の仕組み等を根本から改めるといった大胆さが必要であると考えております。 こうした考え方を基本に、平成16年度の行財政運営方針では、区政と財政の構造改革の実現に不可欠な自律型組織への転換、区民等の参加と協働の働きかけ、民間経営手法の導入をより一層進めるとともに、社会の構造改革を実現すべく、今年度と同様に六つの重点項目を示しました。 子ども施策といたしましては、開かれた学校づくりの推進や学校選択の自由化など、第一次教育改革の取り組みをさらに深めるとともに、二期制の導入や学力向上への取り組みなど、第二次の教育改革を推進してまいります。 高齢社会施策では、引き続き健康あだち21運動を推進するとともに、特別養護老人ホーム等の基盤整備を進めてまいります。 まちづくり施策では、日暮里・舎人線、つくばエクスプレスの建設促進などを進めるとともに、(仮称)あだち新産業振興センターの整備をはじめとする都市型産業・雇用施策や環境施策、電子自治体施策を強力に推進してまいります。 これらの施策を推進する上で、まちの安全と安心がすべての土台となりますので、危機への備えとして、そして身近な犯罪防止にも全力を尽くしてまいります。 重点項目をはじめ、すべての事業を着実に推進し、成果を上げていくためには、中長期的な財源見通しを持つ行財政運営が不可欠であります。とりわけ、足立区では、360施設、120万平米にも及ぶ公共施設の平均建築経過年数が20年を超えて老朽化が進んでおります。中でも、学校改築需要は、集中かつ継続的に発生し続けるといった構造的な問題を抱えております。こうした施設の更新需要は、都市そのものの更新と言っても決して過言ではありません。また、老朽化に伴う補修経費の年々の増嵩も大きな財政圧力となっております。 一般財源(自主財源)の減少、増大する扶助費、施設の更新問題等々に対処しつつ、持続可能な区政運営をより確かなものにしていくためには、税等の徴収努力や受益と負担の適正化を図るとともに、公共施設の配置基準及び施設整備事業費に対する従来の考え方を根本から見直し、21世紀の足立区に見合う、そして身の丈に合った事業の枠組みへと再構築していくことが必要であり、今後、5年ほどの期間を目途に、その実現を目指していきたいと考えております。 もとより、2000年の地方分権一括法に始まった地方分権の流れが、未完の改革で終わることなく実現されることが何にも増して優先されなければなりません。足立区としては、不透明感がぬぐい切れない現状の国、地方の改革動向や厳しい財政状況の中においても、持続可能な区政運営に向けた取り組みを今後とも進めてまいります。 次に、平成14年度の決算の概要につきましてご説明申し上げます。 平成14年度の普通会計決算では、実質単年度収支は1億6,000万円の黒字となったものの、前年に比べまして18億円の減となっており、財政運営の弾力性や健全性をあらわす経常収支比率は84.9%と、前年に比べ5.4ポイント上昇しました。これは、長期化する経済不況の影響による区税収入の落ち込みや利子割交付金、財政調整交付金などの歳入減に加え、生活保護費を中心とした扶助費や他会計への繰出金の増加が影響しておりまして、財政状況は大変厳しいものと受けとめております。 決算を項目別に見ますと、人件費、扶助費、公債費を合計した義務的経費は1,086億円で、前年度に比べ3億円、0.3%の微増となっておりますが、人件費、公債費の減によって扶助費の増加を補っている状況にあります。投資的経費は、209億円で、前年度に比べ100億円、32.3%の大幅な減、物件費などのその他経費は、646億円で、前年度に比べ30億円、4.5%の減となっております。 今後とも、扶助費等の義務的経費の伸びが予測されることから、引き続き財政健全化に取り組んでまいります。 次に、平成15年度当初予算は、包括予算制度導入によりまして、年間の財政運営を見通し、編成しましたが、社会、経済の状況等の変化により、特に緊急度が高く、真に必要な経費として、国庫支出金や都支出金の財源確保が可能なもの及び現在予算化している事業について積極的に見直しを行い、財源確保が可能な事業についてのみ、補正予算を編成することといたしました。 ご審議をいただきます一般会計補正予算は2億6,300万円余、国民健康保険特別会計補正予算は22億1,400万円余、介護保険特別会計補正予算は2億4,100万円余、老人保健医療特別会計は6億6,700万円余、いずれの会計も増額補正であります。 最後に、今回ご提案申し上げました議案は30件、報告1件であります。各議案の提案趣旨につきましては参与よりご説明いたさせますので、慎重にご審議の上、ご決定くださいますようお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。 |
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