1、本会議質問 ○一般質問 鈴木秀三郎議員 |
○鈴木秀三郎議員 私は旧本庁舎跡地利用計画の問題について質問いたします。 わが党は、旧本庁舎跡地利用については、区民要望と地元のにぎわいをもとに産業振興センターを中心とした施設計画を一貫して主張してきました。綜合商事のO案については、8割が民間企業の施設で、収益事業が中心、跡地利用計画基本構想にも合致しない計画だと指摘し、批判してきました。 今年4月30日、区は綜合商事と「あだち新産業振興センターの建設及び運営に関する基本協定書」を締結し、O案をもとに事業を推進することを決めました。この基本協定では、本事業の計画内容の概要は、綜合商事が提出した第二次応募提案資料の内容を基本とするとして、区と事業者はこれを尊重しながら事業内容の最適化に向けて協議する、計画の変更は最適化に向けたものに限られることを確認しました。 ところが10月16日の公共財産等活用調査特別委員会に報告された計画変更案は、事業プロポーザル審査委員会で評価された「近隣の商店街と競合しない業態の導入」「創業支援・新たな企業の育成」「集客力の高い施設を低階層に配置し、にぎわい創出に貢献」などがすべて変更され、さらに駐車場台数の大幅削減など、旧本庁舎跡地利用の基本である区民要望と地元のにぎわい創出とは全くかけ離れたものでした。 区は「施設の機能は維持されている」と変更を認め、事実上事業者言いなりになっています。何のためのプロポーザルだったのか、区の責任が改めて問われているのではないでしょうか。私は事業の計画変更案を中心に、以下質問をいたします。 駐車場の減などプロポーザルの意味をなくする計画変更 第1に、地元商店街との調和に配慮した計画かどうかという問題です。この点は事業プロポーザル審査委員会のチェック項目でもありました。10月16日の特別委員会に示された計画変更案は、驚くことに、O案の商業床面積440uを、南棟の1階と2階合わせて3,400uと、7.7倍も大幅に拡大し、レストラン、コンビニに加えて、飲食店、物品販売店なども入れる約1,000坪の大型商業床に変えるというものでした。 特別委員会では、「地元商店との競合が懸念される」と、また、地元の商店主などからは、「建物ができても人の回遊がなければ意味がない。我々にとっては死活問題だ」など、地元商店を潰しかねないと批判が集中しました。 こうした中で11月21日には、区の担当課長から、事業者から商業床の2階1,500uを、デジタルファクトリーの1施設としてデジタル映像スタジオに変更すると話があったと、突然、特別委員会の議員に連絡がありました。まさにくるくる変わる事業計画です。 ところで来年、北千住西口再開発ビルに丸井がオープンしますが、この中に東急ハンズ、京都の八百一、急成長のノジマ電気などが出店すると聞きました。このような状況の中で、旧本庁舎跡地には、地元のにぎわい、地域産業・商業の振興に役立つ集客力の高い施設が求められているのではないでしょうか。 区は平成12年7月、地元のにぎわいと地域の活性化を取り戻すため、庁舎跡地の開発・整備に関する基本構想を定めるとして、庁舎跡地について、商店街への波及効果が期待できるような地域産業の発展の活力拠点の役割を求められているとしています。この事業者によるたびたびの計画変更を見ても明らかなように、さまざまな業態の業者・店舗の入居・退去が想定されます。雑居ビル化を避けるためにも、事業者のテナント選定には区の承諾を約定で取り交わし、歯止めをかけることが必要であります。区民の立場に立って、地元のにぎわいと地域産業・商業の振興の視点を踏まえて事業を進めることは区の責務であります。区は事業者とこうした約束を確認しなくてもよいと考えているのかどうか、答弁を求めます。 第2に、計画変更案が、駐車場の台数167台を約80台と、半分以下の付置義務台数に変更している問題であります。 駐車場の台数を確保することは、まちのにぎわい、集客力を確保する上で大事な要素であります。ところがこの計画変更案に対して、区は、「機能的障害はない。投資的経費も節約できる」と言っていますが、O案の駐車場台数を半分以下に減らして、どうして機能的障害はないと言えるのでしょうか。集客力を後退させる結果となる駐車場台数の大幅削減で、事業内容の適正化と言えるのでしょうか。区の説明は詭弁としか言いようがありません。 11月11日の特別委員会の質疑で、区は駐車場について、「月極めをやめ、時間貸しも検討する」とか、「約100mも離れている旧千寿小学校の校庭に40台の暫定駐車場を設置する。この利用状況を見て、必要ならタワー式駐車場を設置する」などと答弁していますが、こんなひどい話はありません。最適化どころか、事業者言いなりに駐車場台数の削減を容認したということではありませんか。 昨日の本会議の答弁で、暫定駐車場については、イベント展示ホールの不確定要素があるからだとの答弁をしていますが、もともとO案の駐車場必要台数の算出根拠にはイベント展示ホールは含まれていないのであります。区は大幅削減に同意したことを批判されて、イベント展示ホールを理由に暫定駐車場を設置するというのは筋が通りません。しかも付置義務台数を超える分を区の負担で設置することまで容認したというのでは、全く事業者言いなりではありませんか。 区と事業者がそれぞれの都合による経費節約のために駐車場台数の大幅削減というのでは、地元のにぎわいや産業振興に役立つ施設の趣旨にも反することではないのか、答弁を求めます。 また、O案では、各施設ごとに利用者人数の予測と自動車の利用率を予測して算出した台数が示されています。地元からも批判されている旧千寿小学校の暫定駐車場ではなく、事業者の責任でO案の基準での駐車場台数を確保させるべきと思うが、どうか、答弁を求めます。 第3に、イベント展示ホールの問題についてであります。 O案ではイベント展示ホール兼公開スタジオとして1階です。この点について、事業プロポーザル審査委員会では、「集客力の高い施設を低層階に配置し、にぎわいの創出を図り、活性化に貢献」と、また、「千寿広場、十八番市場やイベント展示ホールでのイベントなど、集客力で回遊性を高める計画」と、高い評価を得ていました。しかし、イベント展示ホールが21階ということになれば、他の施設と分離され、相乗効果がなくなり、集客力が低下します。事業プロポーザル審査委員会の評価は低くなることは明らかです。事業者が天空のホールなどと称して、イベント展示ホールを最上階に移すねらいは、商業床の大幅な拡大であったことは明白ではありませんか。一部手直しの話がありますが、この点でも、事業内容の適正化ではなく、事業者言いなりの計画変更であったことは明らかです。 ところでイベント展示ホールが21階となれば、事業プロポーザル審査委員会での指摘があったように、東京都の建築安全条例の基準、つまり大震災など、災害時に避難誘導できる非常階段などの設備が必要となるものです。区は建物は事業者の責任で行うものであり、チェックしないというのは無責任です。イベント展示ホールは、区と事業者のパートナーシップ事業の施設であります。設備がどうなるのか、区は安全性をチェックする責任があると思うが、どうか、答弁を求めます。 また、このイベント展示ホールの利用については、区が利用日数の6割を借り上げ、区民などの利用に提供するものであります。イベント展示ホールが21階というのであれば、機器・機材搬入の専用エレベーターの設置が必要になるのではないか、答弁を求めます。 事業収支計画をチェックすべき 第4に、O案の事業収支計画についての問題であります。この点では、事業プロポーザル審査委員会でも、全収入の約8割をデジタルファクトリーの収入が占める計画となっており、やや不安があると指摘されていました。その理由は、デジタルファクトリーという事業が特殊で、先進的な機能であり、成立の可否による不安というものであり、また、事業収支計画が28年間という将来にわたって、毎年29億3,000万円もの一定収入を計上していることにやや不安があるということでありました。O案のデジタルファクトリー、つまり、デジタル編集スタジオは、事業者の直営で、1室約120uとかなり広く、トップエンド編集、バーチャルスタジオなど、各種の機器を装備した時間貸しの施設21室を設けるという計画です。 ところが計画変更案では、このデジタル編集スタジオについて、映像編集ができるフル装備の機器設備をやめて、スペース賃貸を基本に変更、つまり貸し事務所に変更するというものです。このような中核施設の機能変更は、営業収入を大きく変え、O案の事業収支計画に大きな影響を与えることになります。事業の成否にもかかわる問題ではないでしょうか。 この南棟には、イベント展示ホール兼公開スタジオや会議室、区が借り上げるSOHOなど、パートナーシップ事業が含まれています。区は事業収支計画については、事業者の責任の範疇であり、関知しないというのでは無責任ではありませんか。 区は計画変更案に基づく事業収支計画の説明を受けたのかどうか。また、説明を受けてなければ求めるべきではないか、答弁を求めます。 第5に、区は建設推進本部・幹事会の合同会議で、機能の障害はないと計画変更案を了承したということですが、変更した計画の各資料は地元にも議会にも出されていないという問題です。 区の説明を受けた地元の区民は、「計画変更案はきょう初めて聞いた。いままで全然知らなかった。駐車場は少なくなっているし、商業床は増えている、最初の話と全然違う。ホールは上に行ってしまっているし、前と変わっていないなどというのは矛盾している。さらには千住のにぎわいのためになるものを求めている、陳情書を下ろすときの約束。地元、行政、議会の三位一体で話し合いながら区役所跡地を進めていくとの約束がある。それが守られていない」。地元・区民の理解も得られていない現状であります。 しかも建設推進本部・幹事会の合同会議で了承した計画変更案は、その後も例えば駐車場の問題、商業床の再度の変更、新たにデジタル映像スタジオの設置など、次々と変わっています。区は事業者から計画変更に基づくきちんとした資料を出させ、地元にも議会にも説明するべきではありませんか。 事業者が、資料提出は入札にかかわる心配があるなどというのは方便にすぎません。O案の第二次応募案提出資料として、既に出されている資料の当該計画部分が大きく変更されているのであります。この変更・修正した資料が出せないことはないではありませんか。事業者の言いなりではなく、計画変更案による事業収支計画、施設計画、建物の図面など再提出を求め、議会に示すべきと思うがどうか、答弁を求めます。 第6に、区のリスクにかかわる問題についてであります。 この事業計画は、区民の貴重な財産、旧本庁舎跡地を50年間もの長期にわたって、一般定期借地契約で綜合商事・事業者に提供し、デジタルファクトリーを中核とした新産業振興センター南棟を建設させ、収益事業を行わせるということです。しかも、事業者からは権利金も保証金も取らないばかりか、地代も相場の半分程度と優遇しているのであります。 ところで新聞報道によれば、綜合商事は、中部国際空港のホテル建設計画を受注し、建設後のホテル運営会社とともに内定していましたが、ホテル運営会社と折り合いがつかないということで撤退したと言われている会社です。 この事業者の計画、O案では、新産業振興センター、南棟建設の概算工事費は78億3,200万円で、金融機関からの長期借入額は76億5,100万円も予定しています。事業者・綜合商事は資本金1,000万円の企業です。一定の株式保有はあると言われていますが、株式は譲渡が可能であり、持っていても、銀行貸付などの担保にはしないと言われています。なぜ金融機関から多額の融資が受けられるのかと言えば、足立区がこの事業のパートナーとなっているからではないでしょうか。 いまの経済状況の中で、この事業者が途中で倒産しないという保証はどこにもありません。破綻したときは、区のリスクは大きなものになると思うが、どうか、答弁を求めます。 最後に、わが党は昨年の第4回定例会で鈴木けんいち議員が提案しましたが、千住の歴史や観光資源の発掘に連動する機能を持つ施設、地元のにぎわいの創出、千住の回遊性のポイントとなる生活文化の振興にもつながる施設、産業振興条例で述べている、足立区の産業で重要な位置を占めている中小企業者、小規模企業者の振興を図るための施設、産業振興の中核として、真に役立つ産業振興センターをつくるべきであると考えています。 この事業計画では、地元のにぎわいと区内産業・商業の振興に役立つものになるとは思えません。いま、駐車場台数の問題、事業収支計画の問題、商業床の変更問題、施設計画の変更など、計画変更案に基づく修正した資料・計画書が示されておりません。このような現状では、本契約・定期借地契約を行うべきではないと思うが、どうか、答弁を求めまして、この場からの質問を終わります。 答弁 ○坂本寛文産業経済部長 (仮称)あだち新産業振興センターの建設についてお答えいたします。 まず、商業床の面積3,400uは、中島 勇議員にご答弁申し上げたとおり、供用部分を含めた1階及び(仮称)黒澤明デジタル映像スタジオが予定されている2階の総床面積の合計です。 なお、事業者の説明によりますと、事業施設用途の床については、商業床と記載することが一般的であるとのことであります。 次に、事業者のテナント選定については、指定用途の変更を伴う場合に限り、区の承諾を条件とする方向で協議中であります。用途変更を伴わないテナントの選定につきましては、区の承諾は不要と考えております。 次に、駐車場についてのご質問にお答えいたします。 駐車場の必要台数については、事業者は付置義務台数で充足されているという考えです。中島勇議員にお答えいたしましたとおり、区は事業者からの提案を受け、同意いたしました。しかしながら、議会からのご指摘を受け、イベント展示ホールの車での利用者数等が不確定であることから、旧千寿小学校校庭を利用して、暫定駐車場を設置することといたしました。施設開設後の利用状況を見極めながら、駐車場整備計画を検討してまいります。 次に、イベント展示ホールを21階へ設置することによる安全性の確保についてお答えいたします。 建築物は何より利用者の安全を第1に考えなければならないと認識しております。本件南棟は総合設計制度を活用し、東京都が建築確認を行う建築物であります。区としても、建築基準法、東京都建築安全条例の遵守はもとより、消防署等の関係所管とも十分協議して計画していくよう事業者に求めてまいります。 また、機器・機材搬入の専用エレベーターの設置についてですが、計画では非常用エレベーターと兼ねた搬入エレベーターが1基設置される予定と聞いております。 次に、区は事業収支計画について説明を受けるべきではないかとのお尋ねにお答えいたします。 事業者はみずからのリスクを負担した上で、区の政策目的である産業振興の発展に協力する姿勢であります。現在、事業者は今回、提示した計画概要で事業採算性が取れると説明しており、事業収支計画を提出するつもりはないと回答しております。基本的には、事業採算性などは、事業者の力量と裁量の範囲内と考えておりますが、公民パートナーシップ対象施設につきましては、使用料の算定や施設の効率的な運用の見地から、今後、情報開示を求め、協議していく考えでございます。 次に、収支計画、施設計画、建物の図面等の資料提出についてお答えいたします。 施設計画と建物の図面については、今後、内容が固まったときには公開していくことで、事業者と協議しております。事業収支計画については、民間事業としての経営戦略上からも、公開になじむものではないとの説明を受けておりますが、先ほどご答弁いたしましたとおり、公民パートナーシップ対象施設につきましては、情報開示を求めていく考えでございます。 次に、区のリスクについてお答えいたします。 権利金と保証金の免除については、本計画が区の政策である区内産業の振興に資するという事業目的から議決をいただき、免除を決定されたものであります。 また、地代については、区の定期借地権の基準を適用し、区財産価格審議会で決定するものであり、優遇扱いではありません。 本事業は50年間の一般定期借地権を設定した上で、事業者がみずから建設し、事業を運営していくものです。したがいまして、区が直接、事業リスクを負うものではありません。定期借地契約については、事業者との協議が整い次第契約を締結してまいります。 再質問 ○鈴木秀三郎議員 2点ばかり。一つは駐車場の問題ですけれども、駐車場ではO案提出資料で見れば、算出根拠も出されています。いまになって事業者の方がこれでできるのだというふうに言って、それを納得しているという話なのですけれども、その根拠は聞いているのかどうか。話は聞いているのかどうか。算出根拠は変わっていないというふうに言っているのだけれども、変わっていないのに、なぜ区は認めたのかということで質問しているわけですけれども、その根拠について説明がないというふうに思います。 もう一つは、事業収支計画は、事業者の問題だということで、公開にはなじまないという話なのですが、O案の第二次応募案提出資料の収支計画が大きく変わってしまうのではないか。その部分、提出資料が変わってしまうということについては、確認はしているのかどうか。その説明もあったのかどうか。その辺が不明確なので、2点に限ってお答えいただきたい。 再答弁 ○坂本寛文産業経済部長 第1点の駐車場の問題でございますけれども、これが区の方に提案がございましたときには、まずは旧本庁舎の駐車場の床の部分に、非常に大きい構造物が残っておりまして、これを壊すことによりまして、非常に工期がかかる。それから、本庁舎建設当時、建設がされておりませんでした地下鉄千代田線が敷地のすぐ南側を走っております。これに対する影響を避けたい。また、こういう時代に産業廃棄物はなるべく出したくない。また、資金等についても、経済的、効果的に活用していきたい、こういう申し入れがありまして、それを受けて私どももそれはそのとおりだろうということで、相手方の申し入れについて同意をしたものでございます。 2点目の収支計画でございますけれども、O案の収支と新たな事業計画との収支の比較は私どもで求めておりません。これは私どもの理解では、O案の段階で、提出の根拠として算定されたものでありまして、また、状況等が変わって、経済状況等も変わるわけですから、全くO案そのものであったとしても、パートナーシップ事業のところについては、先ほどご答弁を申し上げましたとおり、きちんと情報開示を申し入れをし、実現していきたいと思っております。相手方がその裁量に基づいて、独自性に基づいて、企業経営としておやりになる部分については、相手方が収支計画を示すつりはないというのも、私どももさもあろうというふうに承諾しているところでございます。 |
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