足立区区有財産の交換、譲与、無償貸与等に関する条例及び足立区行政
財産使用料条例の一部を改正する条例についての反対討論

ぬかが和子議員


○ぬかが和子議員 ただいま議題となりました第93号議案、足立区区有財産の交換、譲与、無償貸与等に関する条例の一部を改正する条例、第94号議案、足立区行政財産使用料条例の一部を改正する条例について、日本共産党足立区議団を代表して反対討論を行います。
 この2つの条例は、今年9月に出された区の公有財産有効活用検討委員会による遊休施設・用地の活用方針を具体化するために、公有財産の貸し出し規定を定めたものです。
 公有財産の有効活用について、日本共産党足立区議団は、公平性を貫き、区民のために有効に活用できる方針をつくること、待機者の多い住民の需要に応える施設、例えば障害者施設、保育園、特養ホーム、若者の居場所やスポーツを気軽に楽しめる施設などへの活用を優先することを繰り返し要望してきました。本条例案で対象を拡大することで、「NPOや障害者団体、医療法人などの活用に道が開く」としていることは歓迎すべきものです。
 しかし、本条例案には看過できない問題が含まれています。その第1は、無償貸与や減免をする対象の問題です。本条例案では、区の基本計画に合致するものは、すべて減免、無償貸与の対象とできるとしており、営利活動などについての制限は一切ありません。「基本計画に見合った企業が来てくれれば対象となる」と区も認めており、基本計画に関連づければ、特定の企業の営利目的の活動も無償貸与の対象になってしまいます。
 第2は、行政のチェック機能の問題です。委員会の審議でも、どういう団体にどういう基準で貸し出すかは、助役を長とする庁内の公有財産運用委員会で判断することが明らかになりました。これは結局、行政がフリーハンドに近い状態で貸し出しの権限を持つことになります。いままでは社会福祉法人については、社会福祉法人の助成に関する条例によって無償貸与できるものの、それ以外についての減額貸与については、議会の議決を必要とし、チェック機能を果たしてきました。これが今後は議会へ報告はするというものの、議決なしに決められることになります。
 例えば旧本庁舎跡利用は、権利金も保証金も取らないで貸すことについて、賛否両論の議論が議会で行われ、さまざまな議論を積み重ねながら議決されました。これが本条例案が適用されると、基本計画に合致しているからと、議会のチェックなしで行政の裁量で決められることになってしまいます。議会と行政は車の両輪と言うなら、議会のチェック機能もきちんと担保すべきではないでしょうか。
 いままでの条例案のままでも、議会の議決をすれば、社会福祉法人以外の団体に減額や無償で貸与することは可能です。
 最後に、区は行政財産の活用について売却を基本とするのではなく、区民の要望、地域住民の要望に基づく活用を最優先されることを強く願って討論を終わります。