足立区事務手数料条例の一部を改正する条例の反対討論
鈴木けんいち議員 |
○鈴木けんいち議員 私は日本共産党足立区議団を代表して、ただいま議題となりました第95号議案、足立区事務手数料条例の一部を改正する条例に反対の立場から討論を行います。 この条例案の中には、住民基本台帳の一部の写しの閲覧について、これまで30分1,000円であった事務手数料を3,000円に引き上げることが盛り込まれています。そして、この料金引き上げの理由として、個人情報保護の観点から、住民基本台帳の閲覧を制限してほしいという区民の要望に応えるためとの説明がされました。 確かに現行住民基本台帳法のもとでは、閲覧の申請があれば、原則として住民基本台帳の閲覧を拒否できないことになっており、その閲覧によって個人の情報が流れ、被害や迷惑を受ける例が少なくありません。 わが党区議団のホームページにも、「娘の誕生とともに、雛人形の業者からダイレクトメールが頻繁に届くようになった。おかしいと思って調べたら、業者が区役所を訪れて、ダイレクトメールを出したいなどという要望があれば、区民台帳を有料で時間貸ししているということでした。なぜ区役所ともあろうところがダイレクトメール業者なんかに有料で区民の情報を売り渡すのでしょうか。そんなことをすれば、個人のプライバシーは損なわれ、いくらでも悪用されてしまいます」と、切々と訴えるメールが寄せられております。 また、消費者金融業者などが住民基本台帳を悪用していると思われる例もあることが指摘され、本当にしっかりした対策が必要です。 問題は閲覧料金を値上げすることによって、本当にこうした悪用を抑制できるのかということであります。実際にはこうした住民基本台帳を閲覧し、営利活動に使う場合、手数料が値上げされれば、その分を販売価格に上乗せするなどして収益を図るだけではないでしょうか。 総務委員会の質疑では、23区内でも悪用防止を目的に閲覧料金の値上げを条例化したところはあるが、効果の検証ができる状況ではないこと、また、新宿区では、手数料を値上げしている自治体があるのは十分わかっているが、手数料を値上げすることが抑止につながるのか、疑問だとして値上げを行わなかったことが指摘されました。そして、アンケートやダイレクトメールなど、使用目的の訴明資料の提出や本人確認を義務づけるなど、閲覧の運用を条例化し、厳格にすることによって悪用の抑止を図っていることも明らかにされました。 区は閲覧の運用を厳格にする要綱の制定も合わせて行うとしていますが、条例改正案にはこのことは含まれていません。新宿区では、本人確認などはこれまでも行ってきたが、条例化することで厳格になり、悪用抑止につながるとしています。こうした内容こそ条例化すべきです。 事務手数料を値上げすることは、個人情報を保護するための改善策とは思えず、かえって手数料を取りやすいところから取るという行政だとのそしりを免れませんし、ひいては本当に閲覧を必要とする住民の閲覧権を制限することにもなりかねません。 以上を述べて反対討論といたします。 |
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