可決された意見書
(1)生活保護費国庫負担金の国庫負担率見直し等に関する意見書

 今般、「三位一体の改革」への対応策として生活保護費国庫負担金及び児童扶養手当給付費負担金の国庫負担率の引き下げ並びに介護保険事務費交付金の一般財源化の方針が示された。
 生活保護制度は、憲法第25条の理念に基づき、国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度であり、本来、国が直接実施すべきで、生活保護法第1条においても国の責務が明確に規定されているものである。
 児童扶養手当制度についても、母子家庭の生活の安定と自立促進を通じて児童の健全育成を図ることを目的とする制度で、国として全国統一的な措置を講じて当然であり、そのための財源も確保すべきものである。
 政府が打ち出した「高率補助率の見直し」を理由としての、生活保護費国庫負担金及び児童扶養手当給付費負担金の負担割合を現行の4分の3から3分の2に引き下げる方針は、到底容認できるものではない。
 また、具体的な税源移譲が示されないままに介護保険事務費交付金の一般財源化が進められた場合、地方自治体は多大な事務費負担増を強いられ、財政に与える影響も甚大である。
 福祉行政を適切に運営していくためには、国の積極的な財政負担は無くてはならないものである。
 よって、足立区議会は政府に対し、生活保護費国庫負担金及び児童扶養手当給付費負担金の負担割合の引き下げを断じて行わないこと並びに介護保険事務費交付金の一般財源化に当たっては、国から地方への具体的な税源移譲を伴う形で実施することを強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成15年12月8日
                 議  長  名

内閣総理大臣
財務大臣        あ て
厚生労働大臣


(2)小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置の継続を求める意見書

 我が国の経済状況は、政府や民間の調査機関の報告によると、企業収益は改善が続き、個人消費はおおむね横ばいで推移しており、景気は回復傾向であるとしている。
 しかしながら、区内産業の多くを占める小規模企業経営者は必死に事業継続の経営努力を行っているが、経営状況は、依然として低迷を続けている。また、家計の所得環境は企業の人件費抑制により収入が減じるなど改善が見られず、苦しい生活を余儀なくされ、景気の浮揚感を未だ実感できないのが現状である。
 このような中で、東京都が実施している小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置は、区民の生活を支える上からも非常に重要な施策となっている。仮に、東京都が財源確保の理由から本施策を廃止するようなことになれば、地域経済はさらに疲弊することが予想され、景気に与える影響も強く危惧される。
 よって、足立区議会は東京都に対し、現行の小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置を平成16年度以降も継続することを強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成15年12月16日
                 議  長  名

東京都知事      あ て


(3)小規模非住宅用地に係る固定資産税・都市計画税の減免措置の継続を求める意見書

 政府が本年11月に発表した月例経済報告では、「企業の設備投資は増加し、企業収益は改善が見られ、総論として景気は持ち直しており、今後も上昇傾向にある。」と報告している。
 しかしながら、依然として消費の低迷、雇用情勢の厳しさが続き、国民は景気の浮揚感を未だ実感できていないのが現状である。
 地域経済を支える中小零細企業経営者は、経費削減などあらゆる経営努力を行っているが、長引く消費の低迷は、区内企業の減収減益を加速させ、廃業に至らせる場合も少なくなく、地域経済の衰退に歯止めがかからない状況にある。
 このような中で、東京都が実施している固定資産税・都市計画税の小規模非住宅用地に係る減免措置は、厳しい経済環境下におかれた中小零細企業経営者にとって、まさに事業の継続や経営内容の健全化に大きな役割を果たしている。また、従来小規模住宅用地と非住宅用地における税負担には大きな較差があり、土地に対する税負担の均衡の観点からも減免は必要な措置である。
 この減免措置を、来年度から廃止することになれば、中小零細企業経営者に与える経済的、心理的影響は極めて大きく、景気に与える影響も強く危惧される。
 よって足立区議会は東京都に対し、小規模非住宅用地に係る固定資産税・都市計画税の減免措置を、平成16年度以降も継続するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成15年12月16日
                 議  長  名

東京都知事      あ て


(4)日暮里・舎人線の平成19年度開業を求める意見書

 日暮里・舎人線は、日暮里駅と舎人地区間の13駅を結ぶ新交通システムとして平成9年に着工されたが、開業予定を平成15年度、更に平成19年度へと二度にわたり変更を余儀なくされた。このことは、平成11年度の開業を待ち望んでいた地域住民を裏切る形となり甚だ遺憾である。
 地域住民は交通不便地域解消の一助となる日暮里・舎人線の一日も早い開業を待ちつづけている。
 足立区議会及び足立区としても、地域住民の長年の悲願である日暮里・舎人線の早期開業に向け、沿線の整備やバス路線網の再編など様々な施策に取り組んでいる。
 本年10月に発表された「東京都第2次財政再建推進プラン」にみられるように、東京都の財政は大変厳しい状況にはあるが、日暮里・舎人線の平成19年度開業のためには、安定かつ継続的な予算の措置等がなされることが最も重要である。
 よって、足立区議会は東京都に対し、日暮里・舎人線の平成19年度開業に向け、安定的な予算措置等を講じ、計画どおり実現されるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成15年12月16日
                 議  長  名

東京都知事      あ て